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マーラー(1860-1911)

CD マーラー:交響曲第9番、R・シュトラウス:『死と変容』 シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン

マーラー:交響曲第9番、R・シュトラウス:『死と変容』 シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン

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    宗仲 克己  |  東京都  |  不明  |  2023年01月01日

     じつに味わい深い第九交響曲である。シノーポリは、1993年12月のフィルハーモニア管弦楽団との全集版のセッション録音では、平均的なテンポを採用していた。しかし、わずか3年あまり後の1997年4月のSKDとのライヴ録音では、全楽章でテンポを遅く設定した。特に第1楽章の演奏には32分53秒をかけている。これは、マゼールとフィルハーモニア管弦楽団による2011年のライヴ録音の35分38秒に次いで、現在でも史上2番目にゆったりとした演奏である。全曲の演奏時間も92分22秒であり、最長演奏時間の部類に属する。 1993年の録音は、若干硬さが感じられたが、 1997年のライヴ演奏は、音楽表現の熟成度が増しており、じつに味わい深い。以前、このHMVのレビューで、村井教授は、SKD 盤について、「すでに『あちら』に行ってしまった人が人生を回顧するかのごとき印象だ。」と評されていた。村井教授の演奏評はいつも的確であり、共感できる。しかし、私は、シノーポリの第九交響曲は、SKD盤のほうを好んで聴いている。  第九交響曲は、やはりヴァイオリンの両翼配置が効果的だ。 SKD盤の第1楽章の冒頭の呈示部の演奏は理想的であり、心にすっと入ってくる。第46小節 (03:25) 以降のリタルダンドをかけた圧倒的な頂点の築き方、第71小節(05:25)以降の弦とホルンの掛け合いの切ないまでの美しさなど、聴き所も満載である。展開部の第2部の第163小節(11:46)からの molto espress Allmahlich fliessender と指示されたオーボエの「溜め」のある表現も絶品である。また、Schon ganz langsam と指示された第406小節(28:31 )以降のコーダでは、人生を回顧し、その人生に別れを告げる深い情感が表現されている。  第3楽章の中間部のニ長調によるエピソードにおいて、第394小節(07:28)以降の Mit grosser Empfindung では、第1ヴァイオリンが極端にテンポを落とし、チェロが優しく続く。この大胆ともいえる表現には、外連味はまったく無い。まさしく大きな感動に包まれている。  第4楽章の第49小節(06:19)以降の高揚感もみごとである。第56小節(07:29)の lang gezogen 以降の各音の伸ばし方も理想的だ。シノーポリは、 1990年11月25日のフィルハーモニア管弦楽団との演奏会では、この小節は指揮棒をあっさりと振っていた。だが、このSKD盤からは、音楽表現をより深めようとするシノーポリの強い意志が感じられる。第4楽章の終盤では、特に総譜の最後の4ページを残して、音楽はすでに異次元の響きを帯びている。第134小節(18:26)の第1ヴァイオリンの上行のポルタメント、 第147小節(21:17)の第2ヴァイオリンの下行のポルタメントをはっきりと聴き取れる。総譜の指示は、前者はpp、後者はppp だから、一般的な演奏ではほとんど目立たない。ポルタメントを際立たせた音楽表現上の明確な意図によって、聴き手は異次元空間を浮遊するような不思議な感覚におそわれるのである。  シノーポリは、抜群の知性を背景にした緻密な分析力と情熱的な表現力を兼ね備えた稀有な指揮者であった。1990年11月には、東京芸術劇場の開館を記念する Mahler Zyklus として、フィルハーモニア管弦楽団とともに、歌曲と 『嘆きの歌』 を含めて、すべての交響曲を、16日間で10回の公演で演奏しきった「つわもの」であった。シノーポリは作曲家でもあるため、交響曲第10番のクック版をどのように評価していたかは分からない。しかし、1987年に録音されたフィルハーモニア管弦楽団との全集版の第10番 『アダージョ』 は、聴き手を戦慄させる驚愕すべき名演奏である。そのため、私はシノーポリが指揮するクック版第10番を熱望していた。  シノーポリは、長生きをしていたなら、名実ともに指揮界の巨匠として、さらに多くの優れた演奏を聴かせてくれたであろう。あるいは、彼自身の作曲作品も数多く生まれたかもしれない。いかにもインテリゲンチャらしい険しい表情、一方で気さくな人懐っこい笑顔、演奏後の聴衆の熱烈な拍手に応えて何度でもステージに出てきてくれたシノーポリの姿を、私は今も鮮明に記憶している。

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  • ★★★★★ 

    sunny  |  兵庫県  |  不明  |  2016年10月09日

    シノ―ポリさんは、学の人で、それだけ、探究心深く頭の良い人でした。一方、音楽では、実は、情の人、熱血漢でもありました。フィルハーモニアとは、セッション。こちらは、人間が聴きにやって来るライヴ、オケは、伝統の音を持つシュターツカペレ・ドレスデン。じっくり、たっぷりと、このオケの美音と共に歌い尽くしています。深み、怖ろしさよりは、美しさ、やはり、耽美的な演奏ですが、これはこれで、素晴らしい。機能的にも充然と、言っていいでしょう。’60年代のバルビローリ・ベルリンフィル、ジュリーニ・シカゴの70年代の美しい演奏にはない、時代を超え追い求めているものがある。’90年代マーラー9番の総決算、代表的遺産。シュトラウスは、チェリビダッケ・ミュンヘンに匹敵する様な名演。

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  • ★★★★★ 

    ドレスデン  |  三重  |  不明  |  2007年10月26日

    ”すばらし”の一言です。 最近SKDに興味を持ち始めこのCDを購入しましたが、すばらしい演奏です。本来のオーケストラの音はこうあるべきだと思うような演奏です。その他にもSKDのCDを何枚か買いましたが、このオケは凄い!飾り気や贅肉のないタイトな音がたまりません!もちろんシノーポリの音楽作りもすばらしいのですが、このオケのサウンドがあっての作品でしょう。

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  • ★★★★★ 

    犬くんくん  |  縦浜  |  不明  |  2007年07月04日

    購入後いろいろなケースで聴いていて面白いことに気づいた。許先生の薦める録音は車で聴かれることを勧める。私はカロッツェリアを使ってるが、そうすると彼の主張が良くわかる。彼も車で聴くことが多いことを記事で知り、試して納得でした。でも静かな部屋で聴くと全く印象が異なる。ライフスタイルと聴くシチュエーションは、嗜好する演奏に相当に影響することを考えるようになりました。評価は車内のケースです。

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  • ★★★★★ 

    としちゃん  |  宮城  |  不明  |  2007年03月25日

    オーケストラの魅力を聴く録音だと思いました。ところどころの表情付けを、どう思うかで好みが分かれると思います。私はノイマン・カラヤンに続くベスト3です。『死と変容』は文句なく素晴らしいです。

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  • ★★★★★ 

    せいろく  |  ふくしま  |  不明  |  2007年03月21日

    フィルハーモニア管時代のマーラーは音楽がブツブツ切られている印象で、大嫌いだった。でも、この演奏ではシノーポリがやりたいことをよりはっきり表に出していて、首を傾げるところもあるけれど、それ以上に強く共感するところが多い。第一楽章163小節からのため息の様なオーボエは私の理想通りで、唯一無二のもの。第一楽章でペットの音が割れる等録音は今一だけど、それでもオケの美しさは十分伝わってくる。とにかくこの演奏をこうやって聴けることに感謝。シノーポリ、もっと長生きして欲しかった。

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  • ★★★★★ 

    ぽん太  |  横浜  |  不明  |  2007年03月19日

    刺激、激情、号泣を求める人には不向きな演奏かもしれないが、とにかく美しさでは最高絶美。でも、金管の音が割れている録音(マーラー)はいまひとつかも。どうにかならないのですかね。

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    犬くんくん  |  縦浜  |  不明  |  2007年03月14日

    帰りに買って帰ったが、これはまた超強力な一枚が出たものだ。とにかくオケがべらぼうに凄い。この後にリリースされる演奏は厳しいねえ。今年も随分残っているが、これ以上の演奏が今年中に出ますか?といわれると私は言葉を窮する。帰ったら、コーヒーでもいれてゆっくりと聴き直そう。

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