交響曲第6番『悲愴』 ライナー&シカゴ交響楽団(XRCD)
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2011年07月09日
本盤は、全盛時代のライナー&シカゴ交響楽団がいかに凄い演奏を繰り広げていたのかを伺い知ることができるCDであると言える。それは何よりも、XRCDによる鮮明な高音質によるところが大きい。本演奏は1957年のスタジオ録音であるが、今から50年以上も前の録音とは到底思えないような鮮度の高い音質に生まれ変わったのは殆ど驚異的であり、あらためてXRCDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。これを聴くと、当時のライナー&シカゴ交響楽団は、卓越した技量もさることながら、とりわけ弦楽合奏の音色に独特の艶やかさがあることがよくわかるところであり、単なる技量一辺倒の演奏を行っていたのではないことが理解できるところだ。もちろん、技量には卓越したものがあり、鉄壁のアンサンブル、ブラスセクションのブリリアントな響き、唖然とするようなテクニックを有した木管楽器群など、当時のシカゴ交響楽団の演奏の凄さを味わうことが可能である。演奏内容も、素晴らしい名演と高く評価したい。本演奏でのライナーは、チャイコフスキー特有のメランコリックな抒情にいささかも耽溺することなく、終始早めのテンポで引き締まった演奏を心掛けているように思われる。この演奏を聴いて真っ先に念頭に浮かんだのが、トスカニーニ&NBC交響楽団による演奏(1947年)だ。本演奏では、さすがにトスカニーニの演奏のような即物的な表現に徹し切れているとは言い難いが、それでも純音楽的に徹したストレートな表現は、正にトスカニーニの演奏の系列に連なる演奏と言っても過言ではあるまい。そして、とりわけ金管楽器やティンパニなどによる最強奏は、壮絶ささえ感じさせるほどの圧巻の迫力を誇っていると言える。もっとも、こうした壮絶な演奏に適度の潤いと温もりを与えているのが、前述のような当時のシカゴ交響楽団が有していた弦楽合奏の艶やかな音色であり、その意味では、本演奏は、ライナーとシカゴ交響楽団の黄金コンビだけに可能な名演とも言えるだろう。いずれにしても本盤は、指揮者、オーケストラ、演奏内容そして録音の4拍子が高水準で揃った名CDと高く評価したい。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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遊悠音詩人 | 埼玉県 | 不明 | 2011年06月07日
例えノイズや欠落が若干あろうと、それを無理に除去しようとしないで、あるがままに復刻したエンジニアの判断に賛同したい。ライナー&シカゴ響の一連のXRCD復刻盤は、何れも年代離れした超高音質な録音である。しかし、さすがに半世紀以上前の収録であるため、マスターテープによっては、経年劣化による瑕疵があるものも存在する。この《悲愴》がまさしくそうで、ガサガサ、ブツブツというノイズが何カ所かある。ライナーノートにもことわり書きが付されているが、歴史的価値を重視し、あえて修正しなかったとのことだ。大方のCDの場合、機械的なノイズ除去によって修正されるが、そのぶん音が痩せることが多く、これでは、マスターテープに込められた厚みのあるサウンドを再現することを第一義とするXRCDの理念に反する。修正なしだからこそ生々しい迫力がダイレクトに伝わり、音の分離もよく、重層的なサウンドを味わうことが出来るのだ。ライナーならではのタイトな表現が、明晰な録音によって実にリアルに響いてくる。ありがちなセンチメンタリズムに傾斜することは決してなく、むしろ対極的に辛口である。だからといって感情に乏しいかといえばそうではなく、格調があり男性的である。この点、ムラヴィンスキーとの間に共通点を見出だすことも出来よう。ムラヴィンスキーの場合、有名なDG盤を除いて劣悪な音質のものが多いことを鑑みると、このライナー盤の存在価値は大きい。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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