名無しの権兵衛  |  千葉県  |  不明  |  2020年01月13日

これほど優美に繊細に縦横の糸を織り成したトリスタンは記憶にない。多くの演奏で音の塊で塗り潰される場面では、シュナイダーが縦に並ぶあまたの音から強調する音を選び取っており、絶妙な中間色の太い線が浮かび上がっている。曲を通じてあちこちに散らばっている箇所の繋がりを新たにいくつも気付かせてくれた。タイトルロールをはじめ歌手陣もよい。 当方は、ベーム66年バイロイトなど、オーケストラがうねりニルソンやヴィントガッセンが絶唱する演奏をリファレンスとしてきた。あの時代も素晴らしいが、こういう演奏もいい。