指差す標識の事例 上 創元推理文庫
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ねも | 兵庫県 | 不明 | 2021年04月25日
17世紀後半のイングランドを舞台にしたミステリー。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラがイングランドのオックスフォードにやってくる。そこで知り合った雑役婦サラの母を治療したり、学者などを訪ねたりしながら過ごしていると、大学教師の毒殺事件が起きてしまう。その事件で犯人として検挙されたのがサラだった… 最初の手記はコーラによるものだが、さらに上下巻併せて他の3人による手記で、毒殺事件を含めた関係者の動き、それぞれの利害に対する思惑などが様々に描かれている。当然ながら、コーラが知らないことを他の3人が書くこともあれば、コーラがあえて書かなかったと思われることを違う人物が書いていることもある。芥川龍之介の『藪の中』(映画『羅生門』の原作の一つ)を思い浮かべる人も多いだろう。 ただ、クロムウェル没後の王政復古によりチャールズ二世時代のイングランドが日本人にとってあまり馴染みがないこと、ボイルやローワー(ロウアー)などの実在の人物もそれほど知られているわけではないこと、さらに旧教と新教、イギリス国教会などのキリスト教の問題などを考えると、必ずしも楽に読めるものではない。しかも、殺人事件は一つで、極端に言えば、その「解釈」の問題になっているので、スリルもない。 シェイクスピアの『リア王』らしき舞台のシーンがあったりすることも含め、多少ペダンチックな楽しさもあるが、誰にでも楽しめるミステリーとは言い難い。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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