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ベートーヴェン(1770-1827)

CD ピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番 マウリツィオ・ポリーニ(2019)

ピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番 マウリツィオ・ポリーニ(2019)

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  2020年04月20日

    始めに少し個人的な事を申し上げて恐縮ですが、自分にとってBeethovenの後期ピアノ・ソナタとの出会いは、忘れもしないNHK-FMでのWilhelm KempffによるHelsinki FestivalでのOp.111のライブ演奏で、それは当時、Beethovenを含めた古典派・ロマン派クラシック音楽すべてを、華美で大仰で退屈なものとして軽蔑していた自分の考えを、たった一晩で180度変えさせた、生涯忘れられない体験でした。それ以後、現在に至るまでBeethovenの音楽、特に晩年のOp.109-111の3曲については、自分の中で永遠に変わる事のない特別な位置を占めていますが、自分にとって感動できる演奏ばかりかというと、その逆、実はほとんど満足できた事がありません。世に言う巨匠、名ピアニストのこの3曲の演奏もそのほとんどを聴いてきた積もりですが、わずかにKempffのステレオ録音(これとて3曲全部に満足できたわけでない)を除けば、Polliniの旧録音を含め、感心はしても心から感動できたことは希でした。そもそもOp.111以外の2曲、109、110を知ったのも当時のFM放送で、巨匠、名ピアニストなどとは程遠い、現在名前も覚えていないような無名の日本のピアノ奏者の演奏でしたが、逆にその演奏には感動できたのです。自分は個人的に、本来この最後のピアノ・ソナタ3曲には、名声・権威・完璧な技巧などの外面の要素を全く受け付けない部分があると思います。音楽があくまで音楽であること(だけ)の素晴らしさを極めていった先に、ついに音楽以外のものへの扉を開いていく瞬間(これは故吉田秀和氏の言葉)を見せてくれる、文化史上でもまことに希有な芸術なのですが、そこへ至るには巨匠だの名演奏家だのであることは何ら必要でも十分でもないのが、恐ろしいところです。この3曲のM.Pollini旧録音、彼のBeethovenピアノ・ソナタ録音の劈頭を飾った演奏であり、全世界で絶賛された名盤です。確かにあれほどの後期ソナタ集の録音は、技術的に現在に至るまで空前絶後であり、将来においても超える人はいないでしょう。しかしながらその演奏は、完璧であるのと同時に大事な「何か」がすべて欠けている、それこそPolliniのみならず世界の一流とは較べるべくもない無名のピアニストでも(演奏者によっては)持っている「何か」が欠けているために、とても名演とも良演とも呼べない特殊な音楽だったと思います。長々と煩雑な前置きで恐縮ですが、今回のM.Polliniによる新録音、この3曲に出会って40年以上聴き続けてきた自分にとっても、こんなにも素晴らしい音楽、演奏は予想していませんでした。偉そうな事を言って叱られるのを覚悟であえて申し上げれば、過去のあらゆるBeethovenピアノ・ソナタ録音すべて(もちろんPollini自身の録音も含めた)の中でも特筆すべき名演奏ではないでしょうか。もちろんM.Polliniにも流れた時間の当然の結果として、ここにはあの空前絶後の完璧な旧録音から失われたものはいくつもあるわけですが(それらは必ずしもこの3曲の演奏に必要でなかった)、その代わりに旧録音に欠けていた「何か」、Beethovenのこの最後の3曲に必要なすべてをこの新録音はあまりにも豊かに得ています。とにかく旧録音と比較する気すら起こらぬほどに、新録音の世界は別次元なのです。Op.109冒頭、Vivace ma non troppoの最初の一音から、こんなにも優しく心のこもった音は聴けるものではありません。それでいて、この3曲の演奏すべてが隅々まで、この作品に対する演奏者のほとんどにみられる、作品に向き合い、理解し、構築しようという(よい意味での)構え、作為的な姿勢が微塵もなく、すべてがM.Polliniの心から湧き出た音楽をただ紡いでるだけのような自然さに溢れており、もはやここに歌い上げられる音楽が、Beethovenの心なのか、Polliniの心なのか判別できないほどに、作品と一体化しています。Missa Solemnisの総譜にBeethovenが記した「心より出て心に至らん」という言葉が、これほどに実感される演奏はBeethoven演奏史上でも稀ではないでしょうか。Op.109の最初の一音から、Op.111の最後の和音が鳴り終わるまで、心のこもっていない時間は一瞬たりともなく、正直、自分はとても涙無しでは聞き通すことができませんでしたが、その感動は完全に音楽そのものによってしか説明できない純粋な音楽の感動の結晶なのです。M.Polliniの全キャリアはもちろん、あらゆるピアノ音楽録音の中でも、最上位に位置する名盤と考えます。西洋音楽史上、いや人類の歴史上でも類のない高みに位置するBeethovenのこの最後の3曲のピアノ・ソナタ、その限りなく優しく美しい演奏であるPolliniのこの演奏は、第二次大戦のドイツでW.FurtwanglerのBeethoven演奏が明日をも知れぬ人々に生きる希望を与えたように、現在世界史上でも困難な時代を迎えつつある我々に慰め、希望となり得るのかも知れません。華美な外見やすぐ人目につくような特徴とは無縁ですが、音楽を愛する全ての方にお進めできる音楽であり、演奏と思います。

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  • ★★★★★ 

    M1959  |  新潟県  |  不明  |  2020年02月27日

    枯淡の響きか衰えかなどを友人と話した。個人的にはシェーンベルクの演奏が好きでLP時代からよく聞いた。ベートーヴェンでは32番とハンマークラビーアがお気に入りだったが、今回は32番で聴き比べてみた。  録音が新しくなってよい音であることは間違いないが、第2楽章は新録音を聴いていて胸が熱くなった。言葉ではなかなか表現が見つからないが、すべてひっくるめてポリーニだと思う。力強さより優しさと美しさが際立った第2楽章だった。新しいハンマークラビーアは聴けるのだろうか…。

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  • ★★★★★ 

    古き良き時代  |  大阪府  |  不明  |  2019年12月28日

    小生にとっては、ポリーニのベートーベン後期ソナタは、ショパンの練習曲と並ぶ最高のCDでした。 衝撃の再録音です。 学生時代に聴いた30・31番の衝撃の演奏に圧倒され、「これ以上の作品・演奏・録音はない」と40年以上も確信し続けてきましたが、新録音はどんなものでしょうか? 全集の際に、28〜32番は再録音されるかな、と思っていましたが、されなかったので新録音が出るとは驚き以外のまにもんじょでもありません。 80歳近くになり、さすがにポリーニも大人しくなってしまったのでは?とも思います。次の再録音はショパンの練習曲を期待したいものです。

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