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渡辺裕

本 【中古:状態AB】 聴衆の誕生 ポスト・モダン時代の音楽文化 中公文庫

【中古:状態AB】 聴衆の誕生 ポスト・モダン時代の音楽文化 中公文庫

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    gkrsnama  |  北海道  |  不明  |  2015年12月09日

    この著作の内容はある視点からのクラシック受容史の記述としては概ね納得できるものである。もちろん音楽の近現代音楽史として完全なものが提出されているわけではない。例えば西洋音楽の歴史とは、Jazz もこの点は同様なのであるが、三和音体制の確立と崩壊の歴史として語られてきたのだが、それについては全く言及がない。また、高級音楽と大衆音楽の二分論であるが、精神性うんぬんよりも前に、そもそも手触りが違う。前者に共通するのは究極の点に向けての果てしない努力なのだが、後者を特徴づけるものは気楽さである。それは「中学生にもわかるように(グレイ)」といわれもするし、時には気楽さが技の欠陥に対する免罪符となることもある。紅白ですらキーを半音ほども外す歌手がいるのだ。1hzの調律が大問題になるクラシックではこんなことはありえない。 が、そういう問題は実は大きな問題ではない。この著作がかかれて20年、ある面ではポストモダン状況は一層深化したといえるが、逆にそれは極めて限られた現象であることもはっきりしてきたのである。ポストモダン状況とは先進国の消費生活のそのごく一部、ありていに言えば風俗にかかわる側面に限られることがそれである。先進国においても、生産現場では決してポストモダン状況にない。例えばポストモダン的な働き方として導入された派遣制度は、結局のところいっそうの搾取と従属を生んだだけだった。そして世界においてはむき出しの利潤追求であるグローバリズム資本主義が支配している。さらに、宿痾のような南北問題を背景に、それを文明の衝突と解釈し、先進国支配体制に挑戦する勢力も不気味に力を伸ばしている。つまり、現代がポストモダン状況にあるというのは、相当にノー天気な考えであり、むしろ世界とはいまだにプレモダンとモダンの悪しき結婚の場であるという方がより実態に近いであろう。 それゆえ、ソーカルの批判は重要である。古来、進歩は真理や正義に基づいた批判を通してなされてきた。ところがポストモダン派はすべてを相対化することで、悪しき権力を許容し問題を隠ぺいしてしまっている、と。以上の結果、思想の世界において脱構築派は力を失い、公共性や正義や真理などの理念的な概念を再定義しようとする思潮が主流となっている。 本書は以上の限界を理解して読まないと、足をとられることになるだろう。

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