アメリカのナボコフ 塗りかえられた自画像

秋草俊一郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784766425222
ISBN 10 : 4766425227
フォーマット
発行年月
2018年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
355p;20

内容詳細

序 章 ナボコフと読者たち(オーディエンス) 1 ナボコフ、アメリカ上陸/2 新天地でのロシア語活動/3 「ロシア詩の夕べ」/4 『ロリータ』以後/5 ケンブリッジ凱旋 ほか 第一章 亡命の傷――アメリカのロシアで 1 亡命、二言語使用、翻訳/2 亡命文学史上の「V・シーリン」/3 亡命者たちの英語作家ナボコフ評/4 アメリカのなかのロシアで/5 プニンたち ほか 第二章 ナボコフとロフリン――アメリカ・デビューとモダニズム出版社 1 アメリカ作家になる方法/2 ただ愛のために/3 パウンドの「啓示」とニューディレクションズ誕生/4 セバスチャン・ナイト――近代世界の殉教者として/5 ロフリンの歓迎 ほか へ 第三章 注釈のなかのナボコフ――『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注から自伝へ 1 『エヴゲーニイ・オネーギン』翻訳と注釈/2 埋めこまれた記憶/3 自己言及癖のある語り手/4 注釈――第四章十九連四−六行/5 決闘の謎 ほか 第四章 フィルムのなかのナボコフ――ファインダー越しに見た自画像 1 被写体としてのナボコフ/2 「捕虫網をもった芸術家」/3 「愛妻家ナボコフ」/4 ぼく自身のための広告/5 そしてアイコンへ ほか 第五章 日本文学のなかのナボコフ――戦後日本のシャドーキャノン 1 円城塔――蝶に導かれて/2 ナボコフ日本上陸とその周辺/3 丸谷才一 ――モダニズムと私小説批判/4 「樹影譚」――「捏造」された「起源」/5 大江健三郎――晩年の傾倒 ほか 第六章 カタログのなかのナボコフ――正典化、死後出版、オークション 1 「欲望」の対象としての『ロリータ』/2 世界一高価な『ロリータ』/3 正典化されるナボコフ/4 売り払われる遺産/5 ドミトリイ・ナボコフ――父の代理人 ほか おわりに アメリカ到着後の年譜と地図 引用元クレジット一覧 図版一覧 索引

【著者紹介】
秋草俊一郎 : 1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、ハーヴァード大学研究員、東京大学教養学部専任講師などを経て、日本大学大学院総合社会情報研究科准教授。専門は比較文学、翻訳研究など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • harass さん

    作家ナボコフの『文豪・巨匠』イメージをいかにして作家自身が作り上げていったかを論じる研究書。世間的に売れる、名声と収入を得るための彼の戦略の数々。亡命ロシア人小説家から英語作家になるまでや、代表作『ロリータ』の背徳的な内容とは間逆な、蝶収集と妻と家族を押し出す肖像写真や、署名入りの遺品の処理など、初めて知ることが多かった。神格化されがちな作家の俗さに人間らしさを感じてしまう。出版社に怖気づいていたがさほど難しくない内容だった。ナボコフのファンであればオススメ。

  • donut さん

    アメリカへと渡ったナボコフがどのように英語作家としての地位を確立していったかを、膨大な資料を参照して描いた大著。亡命者コミュニティからの孤立、出版ビジネス、自己イメージの操作といった、私のような俄かナボコフファンからすれば、あまり知りたくなかったようなナボコフの一面にまで迫っているが、ナボコフに限らず、文学の世界というのはこういうものなのかもしれないとも思ったり…。芸術とビジネスとは、やはり切り離すことのできないものなのだろう。2章が凄く好きで、そのまま映画化して欲しいくらい。

  • parakeet_woman さん

    亡命作家としてのナボコフの姿を知ることができた。恥ずかしながらナボコフに対して「ロリータの人」以上の認識を持っていなかった。薄学な私のケースを踏まえれば、大いに誤解されてきた作家でもあるのかもしれない。彼の短編を読むと亡命作家の背中がありありと見えてくる。青白い炎などの長編ばかり読んできたが、短編を読んだときに彼の印象が、まさに「がらり」と変わった。ここまで「がらり」という擬音語の成り立ちを意識したことがないほどに。短編こそ、ナボコフの神髄を感じることができると思う。

  • でこぼこ さん

    さすが秋草俊一郎先生ですわー

  • ときのき さん

    面白かった。ナボコフをめぐる”文学産業”の一員による、現場リポート。特に興味深かったのは自己翻訳についての一章。作者には自分の作品を書き直す権利がある、と素朴に考えていたが、一度発表され、多くの読者に読まれ、社会的な文脈に組み込まれたものを後の都合で書き換えることの具体的な影響が検討されていて、腕組みしてしまった。作家とその作品の神話――孤高の芸術至上主義者!本物の芸術作品!!――がある意味では毀損されてしまう訳だけれど、これもつまり(本文中の言葉を借りるなら)研究者による”在庫一掃セール”なのだろうか。

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