丸い地球のどこかの曲がり角で

ローレン・グロフ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309208176
ISBN 10 : 4309208177
フォーマット
出版社
発行年月
2021年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
306p;20

内容詳細

爬虫類を愛する学者の父と本屋を営む母の軋轢のなかで育った、数字がすべての若者が世界の真実に触れていく表題作のほか、車を吹きとばすハリケーンのなか、絶品のワインを供に過去の思い出深い男たちと邂逅する「ハリケーンの目」、深夜のウォーキングで目にする水族館の水槽のような近隣の窓景を描く「亡霊たちと抜け殻たち」、奨学金の受給停止をきっかけに、路上生活者となった女子大学院生の彷徨譚「天国と地獄」など、蛇やワニの危険に満ち、差別や格差が色濃く残り、亡霊たちがさまよう土地で語られる傑作短篇集。

【著者紹介】
ローレン・グロフ : 1978年ニューヨーク州生まれ。ウィスコンシン大学大学院で創作を学ぶ。『ニューヨーカー』などの雑誌に短篇を発表。2007年、短篇「L・デバードとアリエット―愛の物語」が『アメリカ短篇小説傑作集』に収録されて注目を集める。その後、長篇『テンプルトンの怪物』(08)、短篇集『繊細でおいしい鳥たち』(09)、長篇『理想郷』(12)を上梓。15年に発表した長篇『運命と復讐』は、オバマ元大統領が選ぶその年のベストブックに選ばれ、世界30か国あまりで翻訳出版された

光野多恵子 : 1953年生まれ。津田塾大学卒業後、舞台制作の仕事などを経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • アン さん

    原題『Florida』。爬虫類が群れ棲む沼のほとりで生まれた男性の妻が不在中に起きた出来事を描いた表題作、猛烈なハリケーンが接近しても避難せず家に居残り、過去の懐かしい男性達と邂逅する「ハリケーンの目」、貧困により安心できる居場所を失い、湿原で過ごした女性の孤独な夜の記憶「天国と地獄」など短編11編を収録。厳しい自然の移ろい、彷徨う魂と抜け殻、暗闇と一筋の光。著者自身の人生を反映したと思われるエピソードもあり、どこか奇妙で危うさを伴うお話ばかりですが、読後はほんのり温かみを感じる作品もあり魅力的な一冊。

  • ヘラジカ さん

    原題の通り収録作の大半はフロリダを舞台にしており、そうではない作品も登場人物の心は彼の地に囚われているように見える。危険で多すぎる蛇やピューマ、大規模なハリケーンといった厳しい自然環境に、幽霊か幻想か、オカルティックな雰囲気がそこはかとなく漂う地。満たされなさによってうちに空虚を抱えている人々が、そんなフロリダと共に生み出す孤独と不安に満ちた物語の数々。どの作品も甲乙つけがたいほど素晴らしかった。善と悪をフラットに描いているなか、ほんの少しだけ優しさが滲んでいて前向きなのが良いな。とても好きな短篇集。

  • 優希 さん

    面白かったです。フロリダに縁を持つ短編集。蛇やワニの危険や色濃い差別や格差、彷徨う亡霊たちのいる場所で語られる数々の物語は不思議さがありつつも、読後感は爽やかです。読み始めたら引き込まれ、物語の魅力に囚われるのを感じました。

  • 愛玉子 さん

    フロリダと聞くと真っ青な海に輝く太陽、水着の美男美女達がプールサイドでカクテルを楽しむイメージだが(ドラマの見過ぎだ)ここに描かれているのは大量の蚊や蛇やワニがいる湿原、時にはピューマも現れハリケーンが荒れ狂う、プリミティブで土臭い場所だ。生と死の、あるいは生者と死者の区別も曖昧な。陥没穴にゆるゆると落ちてしまい、でもほら、ここはもう底だから大丈夫、と苦笑しながら言われているような、ほんのりユーモアのある前向きな文章が好ましい。「彼女の居場所はフロリダだ。こんな発見をするなんてがっかりもいいところだが。」

  • みねたか@ さん

    フロリダを舞台とする短編集。蛇やワニが棲み亡霊がうろうろとする世界。「家守綺譚」など梨木ワールドとの親和性を感じてしまう。もちろんフロリダは亜熱帯で嵐ともなれば凄まじい破壊力だし爬虫類の楽園に人間が入り込んでいる感じでかなりハードな世界なのだが。狂いそうな暑さの中、あてどなく彷徨う生者と死者。いつしかあたりまえに思ってきた常識をグラグラと揺さぶられるような心地良さ。作品中では異色ながらフロリダからフランスに逃れた母子のひと夏を描く「イポール」が妙に心に引っかかる。

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ローレン・グロフ

1978年ニューヨーク州生まれ。ウィスコンシン大学大学院で創作を学ぶ。『ニューヨーカー』などの雑誌に短篇を発表。2007年、短篇「L・デバードとアリエット―愛の物語」が『アメリカ短篇小説傑作集』に収録されて注目を集める。その後、長篇『テンプルトンの怪物』(08)、短篇集『繊細でおいしい鳥たち』(09

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