蚤と爆弾 文春文庫

吉村昭

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167903480
ISBN 10 : 4167903482
フォーマット
出版社
発行年月
2015年04月
日本
追加情報
:
248p;16

内容詳細

戦争の本質を直視し、曇りなき冷徹さで描かれた傑作

大戦末期、関東軍による細菌兵器開発の陰に匿された、戦慄すべき事実とその開発者の人間像を描き、戦争の本質に迫った異色長篇小説。

【著者紹介】
吉村昭 : 1927年、東京生まれ。学習院大学中退。66年「星への旅」で太宰治賞を受賞。同年「戦艦武蔵」で脚光を浴び、以降「零式戦闘機」「陸奥爆沈」「総員起シ」等を次々に発表。73年これら一連の作品の業績により菊池寛賞を受賞する。他に「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞(79年)、「破獄」により読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞(85年)、「冷い夏、熱い夏」で毎日芸術賞(85年)、さらに87年日本芸術院賞、94年には「天狗争乱」で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。97年より日本芸術院会員。2006年7月31日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ちょろこ さん

    731部隊の一冊。細菌兵器は知っていたけれど、ここまで赤裸々、生々しく綴られた作品は初めて。そして衝撃も爆弾級だった。軍人であり医学者である曾根二郎の、細菌兵器考案、製造に至るまでの過程。ここにも見え隠れする医学者として、国のためという口実はあまりにも逸脱し過ぎていて、嫌悪感を通り越し戦慄しかない。次から次へと行われる人体実験、そして全てなかったことにする"後始末"は地獄絵図そのもの。ただ命令に従う、ロボットのような人間のさまも心に焼き付く。戦後、動じない曾根とこの実験の関係者の怯えの対比もまた恐ろしい。

  • いつでも母さん さん

    吉村昭という作家の精神はどうなっているのだろうか。凄い人だと思う。思うなんて優しい言葉ではなく、読み手を挑発している感じがする。この作品はフィクションだよね?限りなく真実だとしてもフィクションだと誰か私に「落ち着け」と言って!731部隊の事、少しは知ってはいた。戦争の持つ非道の一面。日本人の持つ狂気の一面。吐き気がする。しかし眼を背けるなと私のかき集めた『良心』が叫ぶ。軍人の前に医学者だからと言う事はなんの免罪符にもならぬのに、生き延びて喉頭がんで亡くなった事に振り上げた手の行き場がなかった。

  • ケンイチミズバ さん

    ドローンが爆弾を投下する動画をよく見ます。ロシア兵がのたうち回る動画もあり感覚がマヒするのか、ロシアが酷すぎてざまあみろと思う気持ちが勝るのか、人間には暗い面がありますね。人権や人道への配慮が存在しない戦時中の大陸で、敵であり、スパイであることからマルタと呼ばれた囚人はハルピンの施設でアウシュビッツと変わらない扱いを受けます。ナチスの所業ほど歴史に痕跡を刻まなかったのは、戦後、大国が細菌兵器のデータと技術を喉から手が出るほど欲したためで、おぞましくもその取引で曽根というフランケンシュタインは生き延びます。

  • モルク さん

    満州ハルピン南方に実在した731部隊の研究機関、その中では鼠や蚤が大量に飼育され伝染病の細菌を培養し細菌兵器の開発のため捕虜を人体実験に使用していた。軍医である曾根(実在をモデル)の実験対象を生きた人間にしたいという思い、科学者であるが故の好奇心も医学の進歩として理解できないものではないが、あまりに非人道的である。戦後、その資料全て米国に渡し富を得ていたことに憤りを感じる。それに対し、他の部員たちは戦犯をおそれ身を隠し、忌まわしい過去に苛まれていた事実。衝撃的な日本の汚点を描く。

  • びす男 さん

    「かれは、それらの死体を惜しいと思った。どうせ死んでゆくものなら、実験動物代わりに使用して軍事医学の研究に役立てる方が軍にとって有益だと思った」。淡々とした文章だからこそ、凄みがある。約3千人が「丸太」と呼ばれ、実験台にさせられた。しかし、まさに戦後に差し掛かる時、その成果のために殺りく自体が不問となったのだから奇妙だ。人道などの論理とは異なる筋がまかり通るのが戦争なのだろう。研究の従事者らが目を伏せて戦後の時代を過ごす様も印象的。埋もれた歴史をすくい上げ、本に仕上げた著者に脱帽するしかない。

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人物・団体紹介

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吉村昭

1927(昭和2)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。58年、短篇集『青い骨』を自費出版。66年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。73年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、79年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、84年『破獄』で読売文学賞を受賞。2006(平成1

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