魔都 創元推理文庫

久生十蘭

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488471118
ISBN 10 : 4488471110
フォーマット
出版社
発行年月
2017年04月
日本
追加情報
:
512p;15

内容詳細

『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』―昭和九年の大晦日、銀座のバーで交わされた奇妙な噂話が端緒となって、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。絢爛と狂騒に彩られた帝都の三十時間を闊達自在な筆致で活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌“新青年”の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る決定版。

【著者紹介】
久生十蘭 : 1902年北海道生まれ。岸田國士に師事して演劇界で活動する傍ら、34年に“新青年”で連作『ノンシャラン道中記』を連載。52年「鈴木主水」が第26回直木賞を受賞。55年、吉田健一の英訳した「母子像」が「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」紙主催の第2回国際短篇小説コンクール第一席に入選する。57年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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作者の職人的な手腕で、読み始めたら一気に...

投稿日:2018/05/12 (土)

作者の職人的な手腕で、読み始めたら一気に読破できるほどのリズムをもった大衆文芸的スリラー。 日中戦争〜太平洋戦争に進む混沌とした時代の東京を活写した都市小説としても楽しめました。

白塗りのサル さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 青蓮 さん

    舞台は昭和9年の東京。奇妙な噂話が発端となって起きた一大事件。失踪した皇帝の行方、ある女の謎の死、狙われた宝石。500頁に及ぶ大作。登場人物達が入れ替わり立ち代り、入り乱れて展開していく物語は複雑な輪郭を描いて、まるで迷宮に迷い込んだように予測不可能。難しい言い回しも多く、ついて行くのも必死でしたが、十蘭が書きたかった魔都・東京の姿、雰囲気は存分に堪能することができました。本作品はあくまでも探偵小説。推理小説として読むと些か違和感があるかもしれません。言葉の贅を尽くした絢爛たる十蘭ワールドを是非。

  • penguin-blue さん

    日比谷公園の噴水の鶴が歌を唄うという奇妙な噂、月光の中落ちてくる美女の死体、お忍びで日本に滞在する異国の王とそれを取り巻く怪しげな面々。謎がどうの、トリックがどうの、という問題ではなく、とりあえずどこへ転ぶかわからない物語と舞台設定の勢いでつい先へ先へと頁をめくる。何だか、昔二十面相や少年探偵団にわくわくしたあの感じ。今よりも東京の夜の闇が深く、濃く、その夜の暗さゆえに街の灯が妖しい明るさを放っていた時代。何より驚くのはそれが私たちが知っている昭和という時代の一部だという事だ。

  • まさむ♪ね さん

    日比谷公園の青銅の鶴は水を吐き出し唄いだす。その適度に甘く適度に湿り気を帯びた唄声は、大晦日の渇いた魔都東京の地下迷宮に深くしみ込み、やがては遠く安南の地へとたどり着くだろう。哀れな追跡者の研ぎ澄まされた明晰さは恋の炎にわれを失い、持ち前のオプティミズムは見栄と権力によって蹂躙される。逃げ惑うのは安南皇帝とその大金剛石。嗚呼しかし、彼等はなす術もなく混沌の海へ放り込まれてゆく。そして正月、己が欲望にその身を焦がす悪魔たちが、明けの明星も美しい銀座時計塔に舞い降りた。すべてを貪り食い尽くさんと。

  • 小夜風 さん

    【所蔵】「日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄う」という何とも幻想的な出来事で始まる長編小説。読みながらこれは喜劇なのか悲劇なのか判らなくなりました。どの登場人物も何だかとても愛らしく、読者の方でも愛着がわくのに、ことごとく裏切られて「そんなぁ!あんまりだ!」と叫びたくなりました。この話が戦前に書かれていることに驚きを隠せません。今放送されている警察ドラマにも通じる内容だと思うどころか、こちらの方が数倍も面白いと思いました。途中まで喜劇のつもりで読んでいたので、終盤の次々に起こる悲劇はちょっと辛かったです。

  • そうたそ さん

    ★★☆☆☆ 名前は当然知っていたが、作品は読んだことのなかった久生十蘭という作家。この作品はミステリでありながら、随所に挿入される当時の東京の描写が作品が東京小説であるかのように思わせるものとなっている。雑誌連載であったこともあり、思いもよらぬ方向へと話が広がっていき、後半に至っては読み始めの頃のイメージと異なる印象を受けた。謎解きもあるにはあるが、後半のドタバタぶりや当時の東京の風景を堪能できるあたり、本書の魅力はもはやミステリというジャンルを超越したところにあるのかもしれない。

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人物・団体紹介

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久生十蘭

1902(明治35)年、現在の北海道函館市生まれ。本名、阿部正雄。東京の聖学院中学校を経たのち、帰郷して函館毎日新聞社に勤務。28(昭和3)年、新聞社を退社して上京し、岸田國士に師事。パリでの遊学も経て演劇界で活躍する。34(昭和9)年に「新青年」にて「ノンシャラン道中記」の連載を始め、次第に小説の

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