オペラ10曲入りDVDボックス(11DVD)
カルメン(クライバー指揮)、フィデリオ(アーノンクール指揮)、アイーダ(マゼール指揮)、エレクトラ(アバド指揮)、他
定評ある舞台映像DVDを集めたボックス・セット。クライバーのカルメン、グシュルバウアーのこうもり、イヴァン・フィッシャーの魔笛、アーノンクールのフィデリオ、マゼールのアイーダ、ディドナートのセヴィリャの理髪師、チェドリンスのトスカ、アバドのエレクトラ、フィリップ・ジョルダンのウェルテル、タンホイザーを収録。
ビゼー:『カルメン』全曲
オブラスツォワ、ドミンゴ、マズロク
カルロス・クライバー&ウィーン国立歌劇場
収録された舞台は、1978年12月9日におこなわれたウィーン国立歌劇場でのプレミエ公演。鳴り止まぬ拍手の中、〈前奏曲〉のタクトを颯爽と振り下ろすそのカッコいいこと! 一瞬にして聴衆とオーケストラを魔法にかけてしまうクライバーの華麗な指揮ぶりを実際に映像で確かめられるはこのうえない喜びです。
それにしても何というしなやかなフレージングとリズムのキレ! その場に居合わせた幸せな聴衆たちの熱狂は幕を追うごとに高まり、第2幕や第3幕ではクライバーが指揮台に登場しただけで万雷の拍手。なかなか演奏を始めることができません。
『カルメン』はオペラとは別に管弦楽用組曲が存在するほどの名曲揃い。このためオペラとはいっても、いつになく指揮者を映すカットが多くなっており、身をよじるようにして音楽を煽りたてるクライバーや、背もたれに寄りかかり、注意深く舞台を見守るクライバーなど、その指揮姿をたっぷりと楽しむことができます。
歌手陣では、豊かな美声を存分に駆使したドン・ホセ役のドミンゴがその演技とともに圧倒的に充実しており、「花の歌」などクライバーにも劣らぬスーパー・スターとしての存在感を示して見事です。
【収録情報】
● ビゼー:歌劇『カルメン』全曲
エレーナ・オブラスツォワ(メゾ・ソプラノ:カルメン)
プラシド・ドミンゴ(テノール:ドン・ホセ)
ユーリ・マズロク(バリトン:エスカミーリョ)
イゾベル・ブキャナン(ソプラノ:ミカエラ)
チェリル・カンフシュ(ソプラノ:フラスキータ)
アクセル・ガル(メゾ・ソプラノ:メルセデス)、他
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
カルロス・クライバー(指揮)
演出、舞台装置:フランコ・ゼッフィレッリ
衣装:レオ・ベイ
振付:ラファエル・デ・コルドバ
収録時期:1978年12月9日
収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:154分
画面:カラー、4:3
音声:PCMステレオ
字幕:フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語
J.シュトラウス2世:『こうもり』全曲
ヴァイクル、ポップ、グルベローヴァ、ファスベンダー
テオドール・グシュルバウアー&ウィーン国立歌劇場
ポップ、ヴァイクル、ファスベンダーというドイツ・オペラ界きってのスター歌手に、超絶的なコロラトゥーラ・ソプラノとして当時ウィーンで売り出し中だった若きグルベローヴァが参加、さらにベリー、クンツと、ウィーン国立オペラの重鎮バリトンふたりが加わるという豪華なキャスト。有名歌手が集結したこの映像ソフト、まずはポップのロザリンデ役の素晴らしさが目を引きます。その豊満な健康美と澄んだ美声、そこはかとなく漂う気品と色香が秀逸で、この舞台全体の女主人といった感さえあります。
バイエルン国立歌劇場の主というべき活躍で知られたヴァイクルは、重厚なワーグナー歌手としての普段の顔をかなぐり捨てたコミカル演技が見もの。声はさすがに立派ですが、第1幕では「夜の女王のアリア」のひとふしを披露するなど茶目っ気もバツグンです。
ファスベンダーのオルロフスキー役は、バイエルン国立オペラの風物として長年にわたって知られた十八番中の十八番。この特異なキャラクターを演じさせて、たしかに彼女の右に出る歌手はいないと思わせる歌唱をここでも聴かせています。
その他、若きグルべローヴァのハツラツぶり、カルロス・クライバーの映像ソフトでもアルフレートを歌っている同役のスペシャリスト(?)ホプファーヴィーザー、地のセリフでは誰よりも元気にしゃべりまくって駆け回り、歌えば若いヴァイクルと互角の声量でわたり合うベリー、節回しにも立ち居ふるまいにも「往年のウィーン」の雰囲気を感じさせるクンツ、演出家シェンクの長年の友人でもある舞台俳優ローナーの見事すぎるヨッパライぶり等々、とにかく全編、目の離せない面白さ。第2幕の夜会の場面で『電光と雷鳴』に乗って繰り広げられるらんちき騒ぎはその頂点といってよく、聴衆も思わず手拍子をはじめてしまう大盛況ぶりです。
ウィーン・フィルの演奏も見事。オーボエをはじめとする木管楽器の独特な音色、当時まだ健在だった名コンマス、ゲルハルト・ヘッツェルの姿も見える弦楽セクションのとろけるような魅力など、いまや昔日のものとなりつつある悦楽がここには確かに存在しています。グシュルバウアーのさっそうとした音楽造りも素晴らしく、これほどの指揮者がなぜレコーディングが少ないのか不思議に思えます。
演出はオットー・シェンク。さらにシェンクは映像監督も兼ねており、自身の演出をさらに詳細に織り込むとともに、映像独自のアイデアも披露しています。序曲の部分ではそれぞれの役柄に扮した歌手たちの操り人形が登場するのですが、そこに指揮者グシュルバウアー人形に続いて自らの人形も登場させるなど工夫が凝らされています。
【収録情報】
● J.シュトラウス2世:喜歌劇『こうもり』全曲
ベルント・ヴァイクル(Br:アイゼンシュタイン)
ルチア・ポップ(S:ロザリンデ)
エディタ・グルベローヴァ(S:アデーレ)
ブリギッテ・ファスベンダー(M:オルロフスキー公爵)
ヴァルター・ベリー(Br:ファルケ)
ヨゼフ・ホッパーヴィーザー(T:アルフレート)
エーリヒ・クンツ(Br:フランク)、他
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
テオドール・グシュルバウアー(指揮)
演出&映像編集:オットー・シェンク
収録時期:1980年12月31日
収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:169分
画面:カラー、4:3
音声:リニアPCMステレオ
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
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モーツァルト:『魔笛』全曲
ランカトーレ、レッシュマン、ベチャワ、サルミネン
イヴァン・フィッシャー&パリ・オペラ座管弦楽団
【収録情報】
● モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
ピョートル・ベチャワ(タミーノ)
ドロテア・レッシュマン(パミーナ)
デトレフ・ロート(パパゲーノ)
デジーレ・ランカトーレ(夜の女王)
マッティ・サルミネン(ザラストロ)
ヴォルフガング・シェーネ(弁者)、他
パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団
イヴァン・フィッシャー(指揮)
演出:ベンノ・ベッソン
装置・衣裳ジャン=マルク・ステーレ
収録時間:158分
画面:カラー、16:9
音声:リニアPCMステレオ、DD 5.1
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
Region All
ベートーヴェン:『フィデリオ』全曲
カウフマン、ニールンド、ポルガール、ムフ、グロイスベック
アーノンクール&チューリヒ歌劇場管弦楽団、フリム演出
2004年チューリヒ歌劇場における公演を収録。アーノンクールの『フィデリオ』といえば、今回の公演のちょうど10年前にレコーディングされたCDが大きな話題を呼んだものでしが、この舞台上演も、テンポ、音色、ハーモニー、あらゆる局面をドラマに照らしてとことん追求した驚くべき『フィデリオ』と評判も上々。演出は、ザルツブルク音楽祭の演劇監督としても知られるユルゲン・フリム。新進とヴェテラン混成のキャストにも注目で、フロレスタン役の新鋭カウフマンは「おそらくこの半世紀にドイツが生んだ最高のテノール」という批評も出たほどの大評判だったとのことです。
【収録情報】
● ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲
ドン・フェルナンド:ギュンター・グロイスベック
ドン・ピツァロ:アルフレート・ムフ
フロレスタン:ヨナス・カウフマン
レオノーレ:カミラ・ニールンド
ロッコ:ラズロー・ポルガール、他
チューリヒ歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:ニコラウス・アーノンクール
演出:ユルゲン・フリム
収録:2004年2月15日、チューリヒ歌劇場
収録時間:134分
画面:カラー、16:9
音声:リニアPCM48kHz/16bitステレオ、ドルビーデジタル5.1ch、DTS5.1ch
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
Region All
ヴェルディ:『アイーダ』全曲
キアーラ、パヴァロッティ、ディミトローヴァ、ギャウロフ、ポンス
マゼール&ミラノ・スカラ座、ロンコーニ演出
エジプトを舞台とした壮大なオペラ『アイーダ』は、1871年にカイロで初演後、世界中で人気となり、現代でもヴェルディ屈指の名作として人々に愛され続けています。
この1985年のスカラ座ライヴは、当時大評判となった上演で、日本でもNHKで放映され人々の心を熱くさせたものです。輝く美声が魅力のパヴァロッティのラダメス、強靭な声を持つキアーラのアイーダとディミトローヴァのアムネリスなどキャストも万全。マゼールによる大きくうねる音楽も魅力的です。ロンコーニの細かいところにも手が届くような演出も素晴らしく、一度は見ておきたい伝説の『アイーダ』です。(Arthaus Musik)
【収録情報】
● ヴェルディ:歌劇『アイーダ』全曲
アイーダ/
マリア・キアーラ(ソプラノ)
ラダメス/
ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
アムネリス/
ゲーナ・ディミトローヴァ(メゾ・ソプラノ)
アモナズロ/フアン・ポンス(バリトン)
ランフィス/
ニコライ・ギャウロフ(バス)
エジプト王/パータ・ブルチュラーゼ(バス)、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ロリン・マゼール(指揮)
演出:ルカ・ロンコーニ
収録時期:1985年12月
収録場所:ミラノ、スカラ座(ライヴ)
収録時間:153分
画面:カラー、4:3
音声:PCMステレオ
字幕:英、独、仏、西、蘭
マスネ:『ウェルテル』全曲
アルバレス、ガランチャ、エレード
フィリップ・ジョルダン&ベルリン・ドイツ交響楽団、セルバン演出
【収録情報】
● マスネ:歌劇『ウェルテル』全曲
マルセロ・アルバレス(T:ウェルテル)
エリーナ・ガランチャ(Ms:シャルロット)
アドリアン・エレード(Br:アルベール)
イレアーナ・トンカ(ソフィー)
アルフレード・シュラメク(Br:法務官)
ペーター・イェロジッツ(シュミット)
マルクス・ペルツ(ヨハン)、他
ウィ−ン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
フィリップ・ジョルダン(指揮)
演出:アンドレイ・セルバン
収録時期:2005年2月25、28日
収録場所:ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
収録時間:144分
本編画面:カラー、16:9
本編音声:LPCMステレオ/Dolby5.0/DTS5.0
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
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ロッシーニ:『セヴィリャの理髪師』全曲
ディドナート、イェニス、サッカ、シグムンドソン
ブルーノ・カンパネッラ&パリ・オペラ座管弦楽団、セロー演出
【収録情報】
● ロッシーニ:歌劇『セヴィリャの理髪師』全曲
アルマヴィーヴァ伯爵:ロベルト・サッカ
バルトロ:カルロス・ショーソン
ロジーナ:ジョイス・ディドナート
フィガロ:ダリボール・イェニス
バジーリオ:クリスティン・シグムンドソン
フィオレッロ:ニコラス・ガレット
ベルタ:ジャンネット・フィッシャー
パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団
ブルーノ・カンパネッラ(指揮)
コリーヌ・セロー演出
収録時期:2002年4月
収録場所:パリ・オペラ座(バスティーユ)ライヴ
収録時間:152分
画面:16:9、カラー
音声:LPCM Stereo
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
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ワーグナー:『タンホイザー』全曲
ギャンビル、ニールンド、トレケル
フィリップ・ジョルダン&ベルリン・ドイツ交響楽団、レーンホフ演出
「ゼンタイ(全身タイツ)」によるコミカルでエロティックなヴェーヌスベルクに注目。ヴェーヌスの愛欲に溺れた主人公タンホイザーと、彼を愛する純潔なる乙女エリーザベト、彼女をひっそりと見守るタンホイザーの親友ヴォルフラム。中世のミンネゼンガー(愛を歌う者)たちの歌合戦を軸に、聖と俗の重なり合った世界における彼らの綾なす心を描き出すワーグナーの力作。
序曲に続くヴェーヌスベルクの場面では、白の全身タイツ、いわゆる「ゼンタイ」姿の豊満な女性たちがコミカルでエロティックな演技を披露して印象的。
タンホイザーを演じる実力派ギャンビルの演技は心憎いばかりに軟弱で、こちらも芸達者トレーケル扮するヴォルフラムの気高さと見事なまでに相反。
名演出家レーンホフによるシンプルかつ練られた演出は、ユーモラスでありながらも、人間の心理のひだをくまなく掬い上げた納得の行くもの。パリ(ウィーン)版による演奏。
【収録情報】
● ワーグナー:歌劇『タンホイザー』全曲
タンホイザー:ロバート・ギャンビル(T)
エリーザベト:カミッラ・ニールンド(S)
ヴェーヌス:ヴァルトラウト・マイヤー(S)
ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:ローマン・トレケル(Br)
領主ヘルマン:スティーヴン・ミリング(B)
ヴァルター:マルセル・レイヤン(T)、他
ウィーン・フィルハーモニア合唱団
ベルリン・ドイツ交響楽団
フィリップ・ジョルダン(指揮)
演出:ニコラウス レーンホフ
装置:ライムンド・バウアー
照明:ドゥアン・シューラー
収録時期:2008年
収録場所:バーデン=バーデン祝祭劇場(ライヴ)
収録時間:263分
画面:カラー、16:9
音声:PCMステレオ2.0、ドルビー・デジタル5.1サラウンド
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
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プッチーニ:『トスカ』全曲
チェドリンス、アルバレス、ライモンディ
ダニエル・オーレン&アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団、デ・アナ演出
【収録情報】
● プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
フィオレンツァ・チェドリンス(トスカ)
マルセロ・アルバレス(カヴァラドッシ)
ルッジェーロ・ライモンディ(スカルピア)、他
アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団&合唱団
(指揮)
演出:フーゴ・デ・アナ
収録時間:119分
画面:カラー、16:9
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
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R.シュトラウス:『エレクトラ』全曲
マルトン、ファスべンダー、キング、グルントヘーバー、ステューダー
クラウディオ・アバド&ウィーン国立歌劇場、クプファー演出
エヴァ・マルトンのエレクトラ役、ファスベンダーのクリテムネストラ役、ステューダーのクリソテミス役、グルントヘーバーのオレスト役と、主役陣の豪華なことと、アバド指揮するウィーン国立歌劇場管弦楽団の熱演により、たいへん充実した舞台となっています。クプファーの演出は、作品のドロドロした性格を率直に刺激的に描いたもので、見ごたえ十分。ブーイングも盛大です。
【収録情報】
● R.シュトラウス:『エレクトラ』全曲
エヴァ・マルトン(エレクトラ)
ブリギッテ・ファスベンダー(クリテムネストラ)
シェリル・ステューダー(クリソテミス)
ジェームス・キング(エギスト)
フランツ・グルントヘーバー(オレスト)
ウィーン国立歌劇場合唱団(ヘルムート・フロシャウアー:合唱指揮)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
クラウディオ・アバド(指揮)
演出:ハリー・クプファー
装置:ハンス・シャーファーノッホ
衣装・ラインハルト・ハインリヒ
照明:ロベルト・シュタングル
撮影監督:ブライアン・ラージ
収録時間:109分
画面:カラー、4:3
音声:リニアPCMステレオ、ドルビー・ステレオ
字幕:英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語
NTSC
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