『惑星』（Ultimate Edition）

冨田勲／惑星 Ultimate Edition
『惑星』リメイク＋新曲追加！

冨田勲の代表作でもある『惑星』が、現代のサウンド環境にふさわしいクオリティで新たにリミックスされ、さらに作品中央部分に冨田作曲「小惑星イトカワと小惑星探査機はやぶさ」というタイトルの作品を挿入した形で再構成された「Ultimate Edition」の登場。
　ホルストの原曲をシンセサイザーで大胆にアレンジして聴かせる冨田勲の音楽は発売当初から話題を呼び、世界各国でベストセラーとなりました。
　ホルスト原曲の占星術的・神秘主義的な音楽から、SF的・アニメーション的な音楽への大胆な転換を図ったともいうべき冨田の『惑星』は、アナログ・シンセサイザーの名機「モーグ�V」とメロトロンなどという電子楽器や機器によってつくりあげられた作品で、その再現には発売当初からサラウンド環境が理想的とされ、実際、LPもCD4という分離の良い４チャンネル方式で発売されてもいました。
　とはいうものの、アナログ時代のサラウンド普及率がきわめて低かったこともあり、４チャンネル音声そのものが話題になることはあまりなく、ほどなくCD時代に入り、フォーマットそのものが２チャンネルになってしまったことから、この作品がマルチチャンネル音声作品であったことについては忘れられてしまいがちでした。
　しかし2003年、高音質マルチチャンネル再生が可能なフォーマットとして、当時オーディオマニアに注目されていたDVD AUDIOのため、冨田勲は新たにリミックスをおこないます。これはオーディオ好きを中心に高い評価を得ましたが、DVD AUDIOの普及率そのものが非常に低かったこともあり、音楽ファンのあいだではあまり大きな話題にはなりませんでした。
　そしてそれから8年が経過し、SACDプレーヤーの普及率がかなり向上、マルチチャンネル再生環境への関心も高まる中、登場するのがこのアルバムです。
　今回、リミックスと並ぶ注目ポイントとなるのが「小惑星イトカワと小惑星探査機はやぶさ」の追加収録ですが、これは日本の宇宙航空技術の父とも呼ばれる糸川英夫博士の宇宙にかける純粋な夢と希望に思いを馳せる、博士に対する静かなレクィエムのような面もある音楽ということで、昨年、小惑星イトカワの微粒子を持ち帰った小惑星探査機はやぶさからインスパイアされた作品です。
　なお、ジャケットには、東京大学大学院教授川口洋一郎氏によるコンピュータ・グラフィックス作品「宇宙探査機多重構造魚」が使用されており、この『惑星』が新たに再創造されたものであることを視覚的にも印象づけています。（ＨＭＶ）

【収録情報】
1. 火星
2. 金星
3. 水星
4. 小惑星イトカワと小惑星探査機はやぶさ（新曲）
5. 木星・土星
6. 天王星・海王星

　冨田勲（シンセサイザー、メロトロン、他）

　SACD Hybrid
　CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 4.0 SURROUND