夏物語 文春文庫

川上未映子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167917333
ISBN 10 : 4167917335
フォーマット
出版社
発行年月
2021年08月
日本
追加情報
:
656p;16

内容詳細

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。

【著者紹介】
川上未映子 : 大阪府生まれ。2007年、『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補に。同年、第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞、短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年『マリーの愛の証明』でGranta Best of Young Japanese Novelists、『あこがれ』で第1回渡辺淳一文学賞。2019年、『夏物語』で第73回毎日出版文化賞文学・芸術部門受賞、米TIME誌が選ぶ2020年ベスト小説10冊、米New York Timesが選ぶ今年の100冊、米国図書館協会が選ぶ2021年ベストフィクションの11冊などにも選ばれ、世界40か国以上で翻訳される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • まこみや さん

    会友文緒さんとhautanさんに感謝します。お二人が川上未映子ベストとする所以、納得です。魅力@擬態語と大阪弁の持つ語りの音楽性がまるで舞踏のように文章にリズム感を生む。A情景・心象描写における斬新さは作者の詩人としての特質を示すに足る。Bテーマの展開と人物設定における物語作者としての老練さを窺わせる。テーマは「生まれる/生まれない」だろう。吉野弘の詩「I was born」の一節をちらりと思い浮かべた。一部も二部も観覧車が互いの心を繋ぐ契機となる構成は心憎いばかりで、最後の二章のシーンは舌を捲いた。

  • ケイ さん

    あれ?『乳と卵』だった?と錯覚して表紙を見直す。はたして、京橋の紀伊国屋書店でここが舞台の小説だとのポップをみたのを思い出す。結局『乳と卵』ではなかったが、それが形をかえただけではないか?豊胸や、初潮、乳首の色とか、人工授精。どれもそんなに真剣に考えたことも悩んだこともないから、何故それほど囚われてしまうのかと気になった。子供が欲しいからとこういうことをする感覚は、ペットを持つのとどのくらいの感覚の違いがあるのだろう。女性しか産めないのは、天然の性差別だな。

  • あきら さん

    何気ないけど、それ分かるっていうような表現がものすごくうまい。思考を含めた細かな動作をきわめて分かりやすく表現されていて、物語の中に入り込めました。 クリスマスも出てくるけど、夏っぽさをすごく感じる小説でした。

  • 優希 さん

    不思議な空気をまといつつも淡々としているという印象を受けました。心理的にも情景的にも深みがありますね。キラキラした物語ではないけれど、心に何かが灯るような感覚になりました。いつも感じているようなことが改めて思い返されます。共感することも多く、宝物のような景色を見せてくれました。

  • dr2006 さん

    夏が全然終わらないので、爽快を求めてこの夏物語を読んだ⒲これが「物語」だとタイトルにしなければノンフィクションではと疑ってしまう程の赤裸々さに引き込まる。やるせない生活に疲労しながら、生殖倫理と心のエゴとの葛藤を描いていく展開は正直言って痛々しい。だが、主人公夏子の生殖への違和感が作者の鋭敏なフィルターを通して見事に言語化されている。会話文と改行が少なくて652Pという圧巻にも関わらず、読者が趣旨を見失わないのは、恋愛が主題の予定調和に終わらなかったせいだろう。様々な受賞も納得。とても良かった!

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