自在な書法と強烈な表現力に脱帽!
エトヴェシュの描く、現代という時代
『ハレルヤ』は我々が生きているこの時代の肖像であるとエトヴェシュは言っています。破壊的なオーケストラのアタックに始まり、声楽が言葉を叩きつけ、のっけから強烈な緊張感。ナレーションも切迫したもので、言葉の持つ力が表現の核となっています。そこへグレゴリオ聖歌、モンテヴェルディ、シャイン、バッハ、ヘンデル、そしてムソルグスキーやゴスペル・ミュージックなどからの様々な引用が差し込まれ、宗教曲やオペラのような世界も出現し、複数の意識が同時進行するように進んでいきます。エトヴェシュ本人の指揮が複雑な作品を見事に音響化、50分の大作を一気に聴かせます。
『名も無き犠牲者へ』は純粋器楽オーケストラの作品でありながら、こちらも言葉と同様に強く訴えかける力を持った音楽で、やはり現代の世界を描いたものと言えます。3つの楽章からなり、それぞれ救済を求める人々が旅を続けていくようなイメージ。繊細なソロのパッセージがふんだんに使われ、各楽器の扱いの巧さ、色彩の作り方の巧さに舌を巻きます。パッパーノの細やかな指揮が素晴らしく、作品の綾を精妙に表現しています。(輸入元情報)
【収録情報】
エトヴェシュ:
● ハレルヤ - オラトリウム・バルブルム〜メゾ・ソプラノ、テノール、ナレーター、合唱と管弦楽のための(2015)
イリス・フェルミリオン(メゾ・ソプラノ/天使)
トピ・レーティプー(テノール/預言者)
マティアス・ブラント(ナレーター)
ケルン放送合唱団、ロベルト・ブランク(合唱指揮)
ケルンWDR交響楽団
ペーテル・エトヴェシュ(指揮)
録音時期:2017年4月28,29日
録音場所:ケルン
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
● 名も無き犠牲者へ〜管弦楽のための(2016)
ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
録音時期:2017年10月14日
録音場所:ローマ、アウディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカ、サラ・サンタ・チェチーリア
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)