【インタビュー】MANTAR

2018年08月15日 (水) 20:00

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 ドイツが誇るドヘヴィ・モンスター・デュオ、マンターが、サード・アルバム『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』をリリース。ギター/ヴォーカル担当のハンノに、いろいろと話を聞いてみた。ドイツのバンドと書いたが、実はハンノはアメリカに引っ越していて、現在はフロリダ在住なのだ。

川嶋未来(以下、川嶋):今日はフロリダですか。

ハンノ:いや、今はドイツにいるんだ。ヨーロッパのフェスティバルの時期だから、ドイツにいる方が便利だからね。

川嶋:実は明日からドイツに行くんですよ。ベルリンのブラック・メタル・フェスで。

ハンノ:もしかしてUnder the Black Sun?

川嶋:そうです。

ハンノ:森の中でやるやつだよね?いいね。以前も出たことある?

川嶋:あります。

ハンノ:凄くTrueでCultなフェスだよね。普通のヘヴィ・メタル・ファン向けじゃない、110%ブラック・メタル・ファンのためのフェスだ。あのフェスは、思想的に問題があるバンドも出演させるから良く思わない人間もいるようだけど、ブラック・メタルってそういうものだからね。ブラック・メタルというのは一切の制限がない音楽さ。ドイツ人が色々なことにこだわりすぎなんだ。彼らが君たちを招いて、君たちが楽しんだのなら、それがすべてだよ。それにしても久しぶりだね。日本でプレイしたのは去年の9月だったけど、エリンチともまた日本に行きたいって話してたところなんだ。本当に楽しかったからね。Nuclear Blastやツアー・ブッカーにもお願いしてるんだ。日本に行けたのは、俺にとって最大の冒険だったし、最高に楽しい経験になったよ。

川嶋:ニュー・アルバム『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』がリリースになりますが、過去の2枚と比べてどんな作品になっていると言えますか。

ハンノ:個人的に、自分たちのやるべきこと、そして他のバンドが俺たちよりも何が優れているのかを見つけるのに、4−5年、アルバム3枚が必要だったと思う。今回は、ソングライティングに重点をおいたんだ。曲はよりキャッチーで、メロディもより強力で、カッコ良いものになってると思う。そしてこの作品は、ジャンルがどうのこうのではなく、ただ「ヘヴィなマンターのレコード」と呼べる初めての作品になったと思う。シンプルにマンターの音楽。例えば18歳のファンに「これは実に良いスウェディッシュ・デス・メタルのレコードだ」みたいなことは言われたくない。君たちの音楽を聴いたファンに、「この作品は最高だよ。実にSighらしい作品だ」と言われることこそベストだろう?マンターも同じさ。今回の作品は、非常に攻撃的でかっこよくて、曲作りのクオリティも上がっていると思う。

川嶋:今回は美しいイントロでアルバムがスタートしますが、これは過去になかった試みですよね。

ハンノ:俺はエリンチよりずっとブラック・メタルが好きでよく聴くのだけど、一体何が起こるのかがわからないようなムードで始まるアルバムが好きなんだ。今回のアルバムは、2分弱のアコギのイントロで始まる。アコースティックの楽器を使ったのは初めてなんだ。フルートを入れようというアイデアもあったのだけど、時間が足りなくてできなかった。このイントロで、アルバムを聴く人々をゆっくりと未知の世界で引きずりこむことに成功していると思う。イントロのタイトルを「ザ・ノウイング」にしたのもそういうわけさ。この後何が起こるかはわからない。だけど、おそらく顔面にパンチを叩き込まれるようなサウンドが出てくるのは間違いない。俺は良いイントロが入っているアルバムが好きだからね。それで試してみたのだけど、とてもうまく行ったと思うよ。

川嶋:フルートも演奏するんですか?

ハンノ:いや、演奏したことない。実はアコースティック・ギターも演奏したことがなかったんだ(笑)。俺はフルートのサウンドが好きなんだよ。ネオ・フォークなんかも良く聴くし。古い北欧の楽器を使うブラック・メタルも好きだしね。そういう雰囲気が欲しかったのだけど、時間がなかったので、アコースティック・ギターにリバーブとか、色々なエフェクトを足した。Borisがやるような、ドローン・サウンドスケープっぽい感じで。このアコースティック・ギターのパターンは、アルバムの後半に再び現れるんだよ。「ミッドガルド・サーペント」という曲で。

川嶋:今回もやはりベースは使っていないのですか。

ハンノ:使ってない。基本的には前回と同じように、ギターにオクターバーをかましてAmpegで鳴らして、それをマイクで録っているんだ。ただし今回はベース・パートとギター・パートを別々に録音したから、より本物のベースっぽいサウンドになっていると思うけど、ベースは自体は使っていない。

川嶋:それぞれの曲で、何本くらいギターを重ねているのでしょう。

ハンノ:以前の2枚では、ほとんどギターは重ねなかった。ステージでやるのと同じように録音したんだ。マイクをアンプの前に立ててプレイする、ただそれだけだった。だけど今回は、サウンドをもうちょっと厚くするために、多少「プロデュース」をしてみようと思ったんだ。なので一部のパートでは、ギターを重ねている。だけど、すべて同じギター、同じアンプを使っているよ。できるだけリアルな音にしたかったからね。結局これらの曲を、ステージで演奏するわけだろう?プロダクションに溺れてしまっては意味がないし、それはファンをバカにすることだからね。

川嶋:確かに今回は、以前よりもギターが厚いですよね。

ハンノ:今回のアルバムは、Torcheのジョナサンがエンジニアをやってくれたんだ。Torcheは、Baronessなんかと同じく、割とポップなアプローチをしているバンドだ。それで彼はギターを色々重ねるというようなアイデアを持っていたのだけど、俺はなるべくシンプルにしておきたかった。彼は本物のベースを使ってはどうかと提案もして来たんだけどね。俺たちにはベースプレイヤーはいないわけで、なのに俺がアルバムでベースを弾いたんでは意味がないよ。

川嶋:レコーディングはどのようにやったのですか。普段あなたはフロリダ、エリンチはドイツにいるわけですが。

ハンノ:レコーディングは一緒にやっているよ。2人で同時に演奏する方が、オーガニックな仕上がりになるからね。だけどギターだけがきちんと弾けてないというような場合は、あとからギターだけを録り直すんだ。今回は、エリンチがフロリダに来てレコーディングした。スタジオを借りてね。去年はさすがにツアーをしすぎたので、俺としてもレコーディングでまた何週間も家を空けたくなかったというのもあった。エリンチがやって来て、2日間でドラムを録りおえて、その後俺がギターのオーバーダブをやったのさ。

川嶋:エンジニアにジョナサンを起用した理由は何だったのですか。

ハンノ:彼とはフランスのHellfestで会ったんだ。彼は以前ゲインズビルに住んでたということで、話をしたんだよ。俺が今住んでいるのがゲインズビルだから。それで彼がレコーディング機材を持っていて、レコーディングもやれるということで、それは良いということになった。俺たちはレコーディングを手伝ってくれる人間を探していたから。プロデューサーではなくてね。機材を貸してくれて、エンジニアをやってくれる人間。実際のところ、マイクやプリアンプ、ミキシング卓などを一式持っている知り合いは、ジョナサンしかいなかったということなんだ。俺はアメリカにはまだ知り合いがたくさんいないから。もちろんKurt Ballou(注:Convergeのギタリスト)みたいな有名なプロデューサーにもコンタクトはしてみた。だけど残念ながらスケジュールが合わなかったんだ。それに、彼にプロデュースしてもらうと、他の彼の作品と同じような音になってしまうのではという懸念もあったし。決して彼を貶めるわけではないけど、モダンでスラッジーでクールなサウンドにはしたくなかったんだ。ジョナサンは良い仕事をしてくれたと思うよ。

川嶋:今回のアルバムのタイトル『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』とはどういう意味なのでしょう。

ハンノ:このタイトルは、今俺たちが生きている時代についてだ。ファースト・アルバムが『Death by Burning』で、セカンドが『オード・トゥ・ザ・フレイム』だろ。だから今回は、火に関するタイトルをつけるのはやめようと思っていたんだ。で、今回のタイトルを思いついて、「これはパーフェクトだ、これしかない」と決めたあとで、気づいてみると今回も火に関連することだったのさ。タイトルの意味するところは多少シニカルで、人々の心を操作するなんて本当に簡単なことだということ。君がどの程度政治に興味を持っているかはわからないけど、ニュースくらいは見るだろう?現在のドイツ、あるいはヨーロッパでどんなことが起こっているかは知っていると思う。ヨーロッパだけでなく、アメリカにおいても右翼の台頭が顕著になっている。人々、特に若い奴らは、過去からまったく学ぼうとしていないということさ。彼らは再び、強くて信用ができるリーダーを求めていて、自分たちの頭で考えようとしていない。自分たちの未来、生活を偽の預言者、不気味なリーダーに託そうとしているんだ。人々は過去2000年、過去500年、過去80年に起こったことから何も学んでいないんだよ。『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』というのは、人々の頭の中、心に火をつけるということ。人々を操作すること、コントロールすること。別に俺は左翼がどうの、右翼がどうの言っているわけではない。特定の宗教の話をしているわけでもない。宗教というものがいかに危険なものになりうるかという話をしたいわけじゃない。人々が自らの頭で考えることをやめ、リーダーを盲信することで世界がどれほど危険でクレイジーになりうるかという話さ。これがアルバムのタイトル、そして収録されている曲のタイトルの意味するところだよ。例えば「エイジ・オブ・ジ・アブサード」とかね。俺たちは不気味で危険で暗い時代に生きているんだ。なぜドイツやヨーロッパでは、人々の心に火をつけるあの種のタイプのやつらを信用する人間がたくさんいるのか。これは俺からのシニカルなステートメントだ。俺はジャッジはしない。ジャッジをする必要はないんだ。俺たちはそういう種類のポリティカルなバンドではないからね。俺の書いた歌詞のように人々を振る舞わせようなんて思ってはいない。人々が自ら火の中へと飛び込んでいく様をみたいという病的な興味さ。世代が変わっても人々は何も学ばないんだからね。

川嶋:これでアルバム3枚連続で火に関するタイトルということになりますが、火の何にそんなに魅かれるのですか。

ハンノ:火というのは、俺にとってとても興味深く、強力な要素なんだ。火というのは、他の要素の存在を許さない。ソドムを焼き尽くした火は、すべてを灰に変えた。哲学的な言い方をすると、火というのはすべてを無に帰し、再生させることができる唯一の要素だ。火のあとには灰が残り、灰から蘇る。新しい木が生えてくる。火はこの世の疫病すら焼き尽くすことができる。火は恐ろしいというよりも、俺にとってはとても魅力的なものなんだ。すべてのものを無にできる、唯一の要素だからね。

川嶋:マンターは基本的に歌詞を公表していないですよね。

ハンノ:してない。

川嶋:それは何故なのでしょう。

ハンノ:俺の歌詞がどう思われているかを気にしているなんて思われたくない。俺が歌詞を書くときは、それは自分のためであって、それを読んだ人間に引用されたり、俺の歌詞通りに行動するなんていうことをして欲しくないし。これはまさにアルバムのタイトルに反することだよ。俺は人々に、自分の頭で考えてもらいたいんだ。「ハンノはスマートなことを言ってるな。ハンノはポリティカルなことをいってるな。ハンノは危険なことを言ってるな」なんて思われたくないんだ。俺は他人の意見になんて全く興味がない。人々には自分の頭で考えて欲しいし、他人を信用せず、他人に自分をコントロールさせるべきではないんだ。左翼でも右翼でも宗教グループでも、自分が自分のボスであるべきだ。精神的にも肉体的にもね。もし歌詞を公開したら、きっと人々は俺の考えていることを読もうとしたり、俺たちのアートを分析しようとするだろう。そんなことはして欲しくない。もちろん特定の曲について質問されれば、それについて答えることはするし、座って議論もする。そういうのは俺にとっても興味深いことだからね。だけど歌詞は公開しないよ。世界を変えるために歌詞を書いているわけじゃない。俺はただレポートをするだけ。ジャッジはしない。『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』は、世界で何が起こっているかを、ただレポートするだけさ。俺はジャッジもしないし、解決法も提示しない。それは俺のミッションじゃないからね。そういうものを求めるならU2を聴けばいいのさ。あるいはKreatorとかさ。ディスってるわけじゃないよ。

川嶋:「エターナル・リターン」という曲が入っていますが、これはニーチェですか。

マンター:そう。あの歌詞のコンセプトは、ニーチェからインスパイアされたものさ。

川嶋:アルバム・ジャケットは何なのでしょう。

ハンノ:これは巨大な金属板のレリーフなんだ。5メートル四方くらいの。日本はメートル法なんだっけ?

川嶋:そうです。

ハンノ:それは良かった。この5メートル四方の巨大な作品は、俺のホームタウンであるブレーメンにあるものなんだ。エリンチともブレーメンで出会ったのだけど、この作品にはずっと魅かれていて、いつかアルバムのアートワークか何かに使いたいと思っていたんだ。他に使われているのを見たことがなかったからね。それでこれについてリサーチをしてみたら、非常にダークなバックグラウンドがあることがわかった。これはブレーメンの歴史的一部を成していて、金属製で立体になっているハンドメイドの作品。タイトルは"Lichtbringer"、つまり「光をもたらすもの」という意味。実にブラック・メタル的だろ。この作品の歴史的背景って聞いたことがある?

川嶋:いえ、ありません。

ハンノ:この作品の背景にあるものは、とてもクレイジーなんだよ。これは80年前、1936年に作られたのだけど、巨大な剣を持った男が3つの頭を持つドラゴンと闘っているという構図は、第三帝国の権力を象徴する意図を持っていたんだ。邪悪なものとの闘いで、3つの頭を持つドラゴンが邪悪なものを表している。しかしヒトラーはこの作品が気に入らなかったらしく、これを作ったアーティストは党を追われ、国を離れなくてはいけなかった。しかし、さらに興味深いことに、まあこれが『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』というタイトルにも込めた意味なのだけど、第二次世界大戦が終わると、人々はこの作品は、大天使ミカエルが邪悪な力と闘っている作品であるかのように振る舞いはじめたんだ。誰もこれがナチを賛美するために作られたものだなんて言わなくなり、まるでナチなんてなかったかのように振る舞っているのさ。これは非常にドイツ的だよ。第二次大戦後、ドイツ人はまるでナチなんてなかったかのように振る舞っている。これがアルバムのタイトルが言わんとしていることであり、このアートワークほど、アルバムの意図をはっきりと示すものはないよ。歴史の意味というのは、時とともに変わるんだ。タイトルの「Modern」という単語はシニカルな意味を持っている。だって今起こっていることは、まったくもって「Modern」ではないからね。80年前と同じように、人々は簡単に頭に火をつけられ洗脳されてしまう。このアートワークはそういう意味が込められているんだ。それにこの作品は、とても美しいしね。もちろんこれをアートワークとして使用することについて「こんなことやってはダメだ。これはナチのために作られた作品だ!」なんて言うやつもいるかもしれない。だけどこの作品は、街中に普通に展示されているんだぜ?しかも、これが歴史的にどんな背景を持っているのか、一切の注釈もなくね。これはドイツに展示されている、最後のナチのシンボルだろうね。だからこそ俺はこれをアートワークとして使ってやるんだ。そうでなければ、人々はまるでナチなんて無かったかのように振る舞い続けるだろう。この作品の背景については、アルバムのブックレットの中で説明をしている。こういうものを使用する以上、やはりきちんとした説明を加えるべきだろうからね。

川嶋:マンターのジャケットの変遷は面白いですよね。デビュー作では芸術的な絵画で、ところがセカンド・アルバムはただタイトルのみというシンプルなものでした。

ハンノ:ファースト・アルバムのアートワークに使ったAron Wiesenfeldの作品を見たときに、これしかないと思ったんだ。一目惚れしてね。この作品はあまりに素晴らしいので、ロゴやアルバム・タイトルすら入れるべきですらないと思ったんだ。デビュー作なのに、バンド名すらジャケットに入れないのは傲慢かもしれないけど。ところが、ファンもこのアートワークをとても気に入って、「マンターはアーティスティックだ」なんて言い出したもんだから、それが気に入らなくて、セカンドではただタイトルだけにしてやったのさ。銀色でタイトルを入れて、古い中世の本みたいな感じで。こんなものは誰も予想していなかっただろうから。美しく芸術的なものではなくてさ。となると今回の3枚目はどんなものになるか、誰も予想できなかっただろう。同じアーティストの絵を使うのか、それとも写真を使うのか。それで結局自分のホームタウンに展示されている作品ということもあり、これを選んだ。ブレーメンに来ることがあったら、ぜひこの作品は見て欲しい。とにかく壮大で美しい作品だからね。まるでBathoryのレコードみたいだよ。

川嶋:確かにヴァイキング期のBathoryっぽいですね。

ハンノ:そうなんだよ。俺は北欧神話も大好きなんだ。ドイツで北欧神話が好きだっていうのは注意が必要だけどね。すぐにナチに結び付けられてしまうから。下らないよ。俺は北欧神話が大好きで、Bathoryも大好きなんだ。Manowarも好きだよ。こういうこともあって俺は今アメリカに住んでるんだ。アメリカでは、政治と芸術の間にきちんと線が引かれている。芸術にはルールなんてないんだ。俺はもう36歳で、自分できちんとした決断もできる。芸術作品と、それを作った人間の人間性の違いというものを理解しているからね。Burzumなんかが良い例だろ。もし物凄くブラック・メタルが好きで、もしブラック・メタルが持つプリミティヴさ、ロウさが好きだったから、初期のBurzumを聴かないなんて不可能だ。彼がクズだからという理由だけでBurzumを聴かないなんていうことがあるとしたら、それはそいつがブラック・メタルという芸術を理解していないということだよ。もちろん人々が彼の持っている下らない思想を我慢できないというのも理解できるし、俺もあんなものを支持はしないよ。間違いなく彼はキ〇ガイだよ。しかし初期のBurzumの作品という、18歳の狂った惨めな天才が書いた暗くて不吉な作品は、聞いたものすべてを怒らせるパワーを持っている。あれはサタニックなものですらなく、トールキンや北欧神話を題材にしてるだろ。まじめな話、あれ以上のブラック・メタルなんてありえるだろうか?

川嶋:マンターの音楽を無理やりカテゴライズするとしたらどうなりますか。

ハンノ:その件については、Nuclear Blast UKの担当者と話したんだ。そしたらスラッジがどうのとか言い出したから、「勘弁してくれ、スラッジって最悪の音楽だよ」って。スラッジって何なんだよ?ただ遅い曲を演奏することか?俺に言わせれば、自分たちのことをスラッジと呼ぶのは、自分たちのキャラクターが一切ない、自らの過去について何も知らない証でしかないんだよ。Black SabbathのTシャツを着て、遅い曲を演奏するのがスラッジなんていうのは、クソみたいなバンドの戯言だよ。まあ俺のしょうもない意見でしかないけどね。結局「俺たちはブラック・メタルっぽい部分はあるけどブラック・メタル・バンドではない。ドゥームっぽい要素もあるけどドゥーム・メタル・バンドでもない。俺たちがやってるのはブラック・ドゥーム・パンクなんじゃないかな」ということになった。これは良い表現だと思うんだ。俺たちはクラストっぽい感じもあるし、ブラック・メタルやドゥーム・メタル的要素もある。だからブラック・ドゥーム・パンクという表現はわりと正確だと思う。


川嶋:マンターは2人組ですが、そのメリット、デメリットはどんなものでしょう。

ハンノ:民主主義というものが存在しないというのはクールだね。メンバーが3人、4人となると「このアイデアはどう思う?」なんていうことになるけど、2人だけならば、たとえば飯でも食いながら話をして、相手に何かを提案して、「ノー」と言われたらそれまでだから簡単なんだよ。フラストレーションが溜まることもあるけれど、意思決定をするのに時間がかからないからね。3人のうち2人が賛成なんていうことになると、残りの1人は頭に来るだろ。それから移動が楽。2人きりならば、アメリカでも南アフリカでも日本でも、簡単に行くことができる。5人のバンドとは訳が違うよ。しかしもちろんデメリットもある。2人きりというのは、長年連れ添った夫婦みたいなものだ。24時間ずっと一緒にいるからね。スタジオ、リハーサル、ツアー。当然喧嘩になることもある。4人のバンドなら、例えばギタリストにムカついたら、キーボーディストかドラマーと行動を共にすればいい。俺たちはそれができない。だけど一方で、2人きりなのだから、争いがあったのならすぐに解決することもできる。すぐに話し合えば良いのだから。それから機材運びが大変だというのはあるね。俺はたくさんのアンプを使うから。最近はクルーがいるからマシになっているけど、2人で大量のアンプを運ぶのは大変だった。まあ2人だと良いことも悪いこともあるよ。

川嶋:喧嘩をすることも多いのですか。

ハンノ:面白いことに、例えばキツい移動、クソみたいな飯、誰も見に来ないような酷い時間帯のフェス出演みたいなフラストレーションが溜まるようなシチュエーションだと、2人の仲は良いんだ。結託して一緒に問題と戦わなくてはいけないからね。ところが、それぞれがホテルの部屋を与えられたり、ギャラが良かったり、食事がたくさん出たりなんていうことになると、喧嘩が始まる。まだフェスを見に行きたくないな、ケータリングをもうちょっと楽しみたい、みたいな下らないことで口論が始まるんだよ。境遇が良いときこそ喧嘩になるのさ。

川嶋:昨年来日公演を行いましたが、日本はいかがでしたか。

ハンノ:最高だったよ。決まり文句を言うつもりはないのだけど、本当に人々は素晴らしくて礼儀正しかった。いろいろプレゼントももらったし。それに彼らは本当に音楽に興味を持っている感じだった。他の国ではみんなベロベロに酔っぱらってスラムダンスをしたりするんだ。だけど日本では、あとでヴィデオでも確認したんだけど、みんなきちんと俺たちの音楽を聴いてくれていた。俺がどんなエフェクターを使ってるかとか、エリンチがどうドラムを叩いているとかにも興味を持ってくれて。また日本に行くのが待ちきれないよ。レーベルがもっとプッシュしてくれて、ぜひまた日本に行って、次回は東京だけでなく、ほかの都市でもプレイしてみたい。俺はアジアの国には色々と行っていて、去年初めて日本に行ったんだけど、日本は例えば中国、タイ、マレーシアとも全然違う国だったよ。ロック・バンドにとって、日本でプレイするというのは夢の1つだしね。とにかく人々は親切で、ショウのあともたくさんのファンと握手をした。アメリカなんかと違って、みんな礼儀正しかったよ。

川嶋:最近のバンドで親近感を感じるバンドはいますか。

ハンノ:いくつかとても気に入っているバンドはいるよ。例えば、非常に有名な、やはり2人組のバンドなんだけど、スイスのBolzer。彼らとはとても仲が良いんだ。彼らは独自のアーティスティックなキャラクターを持っていて、彼らについては嫌いな部分がまったくない。彼らとはいろいろなことを一緒にやったし、なるべく頻繁に会うようにしている。一方、音楽的にはあまり好きではないけれど、人間的に大好きという奴らもいる。例えばイギリスのConanとかね。彼らともとても仲が良いんだ。リヴァプールのドゥーム・バンドだよ。あと、ドイツの若いデス・メタル・バンドでDeath Riteというのがいる。彼らは素晴らしいよ。いつも酔っぱらっていてめちゃくちゃなんだ。ただ、正直なことを言うと、俺は音楽雑誌を読んだり、ライヴを見に行ったり、レコードを集めたりはもはやしていないんだ。自分たちの音楽を作り、ツアーをすればするほど、新しいバンドに対する興味というのは失せていった。だけど、以前から好きだったバンドというのは、やはり今でも大好きだよ。AC/DCみたいなクラシック・ロック・バンドとかね。Thin Lizzyとか。一方で、ときには朝までYouTubeで、250回くらいしか再生されていない超プリミティヴで超ロウなブラック・メタルを探して聴いたりしてる。音も最悪なやつ。めちゃくちゃなフランスやベルギーのブラック・メタルが95年にリリースした、誰も聴いたことがないような作品とか。俺はそういうのが好きなんだよ。4チャンネルのレコーダーで録音したような、プリミティヴなやつ。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

ハンノ:もしマンターを聴いたことがなければ、ぜひ聴いてみてくれ。ダークでブラックで不気味なパワーが感じられる作品になってるからね。また日本に行く準備はできているから、いつでも連絡をくれ。


 マンターほど反骨心あふれるバンドというのも、そうそういないのではないか。インタビューからも、そんなハンノの姿勢が読み取れるだろう。ドヘヴィな音楽をやりながら、ベーシストを加入させず、自分たちのやっていることに介入されたくないからプロデューサーも立てない。ナチ関連のアートワークを使うというきわどいことをやりながら、「自分たちメッセージを持ったバンドではない」と、歌詞は公表しない。そんな極端な姿勢が、ブラック・ドゥーム・パンクとしか形容しようがない、他の何ものにも似ていない音楽スタイルによく表れていると言える。マンターの凄いところは、ここまで自分たちを貫きながら、かつNuclear Blastという最高峰のエクストリーム・メタル・レーベルに所属し、ヨーロッパの大型フェスの常連にもなっているという点だ。我を貫くだけならさして難しいことではない。その上で、それが広く認められ、支持されているというのは素晴らしいことだ。

 昨年来日公演も行ったマンター。たった2人から繰り出されるその音圧、轟音にノックアウトされた人も多かったことだろう。ぜひまた近い将来、ここ日本にもやって来てもらいたいところだ。

取材・文 川嶋未来


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