【インタビュー】SINSAENUM / Frederic Leclercq

2018年07月06日 (金) 21:00

|

HMV&BOOKS online - ヘヴィーメタル



 ドラゴンフォースのフレデリク・ルクレールと、元スリップノット、現ヴィミックのジョーイ・ジョーディソンを中心に結成されたスーパースター・エクストリーム・メタル・バンド、シンセイナム。16年に『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』でアルバム・デビュー。そして昨年の『アッシュズ』EPに続き、今回早くもセカンド・アルバム『リパルション・フォー・ヒューマニティ』がお目見えとなった。バンドの中心人物であるフレデリクに、いろいろと話を聞いてみた。

フレッド:オハヨウ。わざわざ早起きしてくれてありがとう。(注:日本は朝5時)

川嶋未来(以下、川嶋):いえ、大丈夫ですよ。ではインタビューを始めましょうか。

フレッド:ハイ(日本語で)

川嶋:セカンド・アルバム『リパルション・フォー・ヒューマニティ』がリリースになりますが、デビュー作や昨年の『アッシュズ』EPと比べて、どのような内容なのでしょう。

フレデリク:今回のアルバムには『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』、『アッシュズ』両方の要素が入ってると思う。90年代のデス・メタルのヴァイブ、複雑なリフ、クレイジーなソロ。守備範囲を広げた部分もあるよ。「ファイナル・リゾルヴ」、「スウォーン・トゥ・ヘル」、「セイクリッド・マーター」のようなミッド・テンポの曲も増えたし、タイトル曲や「ライズ・オブ・ザ・ライト・ベアラー」、「ニュイ・ノアール」などは速くて怒りに満ちている。「アイ・スタンド・アローン」や「マニフェステイション・オブ・イグノーランス」や「フォーセイクン」なんかは冒険的なスローな曲だしね。「フォーセイクン」は、オーケストレイテッドされていて、ある意味『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』のコンセプトの集大成的な部分があると思うよ。ストーリー・テリング的というか。音質に関しては、典型的なデス・メタル・サウンドは避けたかったんだ。ああいうのではなくて、Panteraに近い、クリアで、鋭くて、アグレッシヴなパンチのあるサウンドが欲しかった。今回のアルバムの音質は、新曲のスタイルにとても合っていると思う。

川嶋:Panteraのようなサウンドというのは、デス・メタル・バンドとしては面白いチョイスですよね。Morbid AngelでもCannibal Corpseでもなく、Panteraを選んだのはなぜなのでしょう。

フレッド:最近のデス・メタルのサウンドとは違うものが欲しかったんだ。Pro Toolsでがっちり修正して、低音が強調されたサウンドが主流だけど、俺はそれとは違う、アグレッシヴでこのスタイルでは普通ではないサウンドが欲しかったんだ。音楽だけでなく、音質もね。ちょうどそのときパンテラのムードだったというのもある。俺にとって『The Great Southern Trendkill』は最高のアルバムの1つで、あれはとてもアグレッシヴだろ?リフとヴォーカルが見事にレイヤーをなしていて、考えれば考えるほど、パンテラの音質にデス・メタルのヴァイブをあわせたものにしようという風に思うようになった。『アッシュズ』の音質もとても気に入っていたけれど、さらにそれを一歩進めて、パンテラの『The Great Southern Trendkill』みたいな音にしてみようと思った。もちろんリスクはあったけどね。とてもうまくいったと思うよ。まだ誰も「パンテラみたいだね」とは言ってくれてないけど、もしそう言ってくれる人がいたら、まさにそれが狙いだったということさ。Morbid AngelやCannibal Corpse、Decide風ではなくてね。

川嶋:今回は、ジョーイ・ジョーディソンがフランスに来てレコーディングしたんですよね。

フレッド:そうなんだよ。ジョーイと話して、彼がフランスに来てレコーディングするのがベストだという結論になった。そうすれば、色々と意見を交換しながら作業できるからね。これまではインターネットを通じたファイル交換だったから、ファイルを送ってしまうとその後の変更というのはなかなか簡単にできなかった。顔を見て、同じ部屋でいろいろと試してみる方が良いと思ったのさ。それでジョーイとステファン(ビュリエ)と俺で家を借りて、一緒に曲を覚えて、アイデアを出し合って、これはいいね、これはボツ、みたいな感じでやったんだ。

川嶋:他のメンバーも集結したのでしょうか。

フレッド:ドラムのレコーディングには、ジョーイとステファンと俺が立ち会った。その後ハイモットとショーンが来て、ヴォーカルのレコーディングや写真、ビデオ撮影をやった。実はアルバムを録り終える前に、ビデオ撮影をやったんだよ。つまりはじめ3人でやっていて、そこにあとから2人が加わったんだ。残念ながらアッティラは来られなかったけどね。

川嶋:今回のアルバムには、アッティラはどの程度参加をしているのでしょう。

フレッド:多分彼は今ボリビアにいると思う。Mayhemでボリビアに行ってるみたいなんだ。『アッシュズ』のレコーディングを始めたときに、彼はパリに来たんだ。それでニュー・アルバムやツアーについてのプランを話し合ったのだけど、アッティラはMayhem、SUNN O)))、Tormentorなどでとても忙しいので、コミットできないと。で、「バンドを抜けるということ?」と聞いてみたら「いやいや、そんなつもりはまったくない」と。俺たちとしてもアッティラが必要だから、とりあえず今回のアルバムとツアーには不参加ということで合意したんだ。もちろん多少時間はとれるかもしれない、ただ全面的にコミットできるかは約束できないので、とりあえず俺のことはあてにしないでくれと。なので曲も、アッティラが歌うことは想定せずに書き進めた。結局彼も少し時間をとれたようで、歌詞を3曲と、バッキング・ヴォーカルも3曲という形で参加してくれたのだけど。ツアーについても、今のところ彼は参加しないということになっているけれど、昨日話したところだと、何回かのショウには参加できるかもしれない。というわけで、アッティラは、もちろんまだシンセイナムのメンバーだよ。


川嶋:今回のアルバムで、シンセイナムのスタイルは完成したと思いますか。

フレッド:うーん、それはファンがどう思うかだよ。ファースト・アルバムについては、オールド・スクールなデス・メタルの箱を開ける感じで作った。俺が子供の頃好きだったデス・メタルのサウンドを再現する感じで。『Blessed are The sick』(Morbid Angel)と『Testimony of the Ancients』(Pestilence)の、新たなるハイブリッド・バージョンのような、すべてを公式通りに作ったアルバムだった。今は、ジョーイがドラムを叩き、ショーンがヴォーカルをやり、アッティラがいて、ということを頭に置いて、エクストリーム・ミュージックを書いている。シンセイナムのサウンドを見つけたのかどうかはわからないな。そこはファンに判断してもらいたいよ。俺は今回何か故意に変えたということはなく、いつも通りギターをかき鳴らして曲を書いただけだからね。

川嶋:アルバムのタイトル、「人間への嫌悪」というのはどのような意味が込められているのでしょう。

フレデリク:まさにタイトルそのままだよ。俺はますます人が嫌いになってきてるんだ。実を言うと、俺はミュージシャンとしての人生を送るにあたって、ずっと自分自身に問いかけ続けているんだ。ミュージシャンとしてやっていくには、人々に祝福される必要があるわけだけど、そこには二面性があるわけさ。俺はライヴをやってファンと交流をしたりするのは大好きだ。俺はとても社交的な人間だからね。だけど一方で、今の社会、スノーフレイクスとか、何でもジャッジしようとしたり、ポリティカリー・コレクトがどうのとか、そういう下らないことにこだわるやつらにウンザリしている自分もいる。自分でもよくわからないんだよ。自分の二面性にとらわれてしまっている感じで。まあとにかくタイトルは、憎しみと怒りについてさ。

川嶋:例えばSNSなどで、個人的に腹の立つことなどがあったのですか。

フレッド:いや、個人的なことは何もないよ。ただ毎日朝起きて、SNSを見ると、俺はミュージシャンをやっているからSNSを使う必要があるからね、色々と気に入らないことが目に入ってくる。これは何もインターネットに限ったことではない。テレビのニュースを見てもそうだし、外を歩いていても、人々の振る舞いが気に入らなかったりもする。俺は正直なところ、人間というものをあまり信用していないんだ。もちろん親しい人々のことは好きだし、人に危害を加えるつもりもまったくない。だけど、やはりどうしても人間というものが好きになれないんだ。動物の方がよっぽどマシだし面白いよ(笑)。確かに俺は社交的な面も持っているけれど、同時に、年を重ねるごとに人間が嫌いであるという気持ちが強くなっている。もちろん俺が他人より優れているなんていうことではないよ。俺も同じように最低な人間だからね。

川嶋:先ほど「スノーフレイク」という表現を使われていましたが。

フレッド:とにかくあらゆることに気分を害する新世代のやつらのことだよ。すべてのことにポリティカリー・コレクトであることを求め、「あれを言ってはだめ、これを言ってはだめ」みたいなさ。あまりに簡単に気分を害するというのが、新世代のやつらの気に入らない点の一つさ。別に俺にとって実害があるわけではないのだけどね。「何でそんなことを言うんだ?何でそんなことを信じるんだ?」って。もちろんこういう奴らが世の中のマジョリティではないのだろうけど、こういう新世代のやつらは、俺にとってはとても奇妙なんだよね。俺も君と同じように古い世代だからさ。

川嶋:メタルの世界でも、ANTIFAがブラック・メタルのライヴをキャンセルに追い込んだりなんていう事件が頻発してますよね。

フレッド:もちろん俺はファシストではないよ。だけど、例えばフランスにはデュドネというコメディアンがいて、彼は黒人やユダヤ人についてのジョークをやっていた。だけどボタンを押し間違えたんだろうね、人々が怒って「オー・マイ・ゴッド!ユダヤ人をジョークのネタにするなんて許せない!ホロコーストを忘れたのか!」ってさ。そういうネタが許せないのなら、ただ無視をすればいいと思うんだ。ANTIFAについても同じ。気に入らないバンドのコンサートがあるなら、行かなければいい。無視すればいいんだ。ところが「俺には正しいものを守る義務がある!」なんて思いこんで、ライヴを中止させようなんて行動してしまうやつらがいる。しかし、こういうことには本当にイラつかされるけど、決して今回のアルバムで、人々にアドバイスをしようなんて思っているわけではないよ。人に意見を押し付けるなんていう行為こそを糾弾したいのだからね。単に「そういうのって最低だ」って言っているだけだ。人にああしろ、こうしろというのは大嫌いなんだよ。

川嶋:一方で、タイトル曲を除くと、他の曲の歌詞はいつも通り、暴力的でイーヴルなものですよね。例えば「ファイナル・リゾルヴ」は何について歌っているのでしょう。

フレッド:この曲の歌詞は、ジョーイとショーンと一緒に書いたんだ。歌詞は、俺の案をもとに完成されたのだけど、まあ正直言って、あんまり深い意味はない。いつもたいてい歌詞の案を書いて、「何の意味もないな。何かもうちょっと意味を持たせないと。でも語呂はいいな」なんていう調子なんだ。確かこれを書いたときは、何かテロ事件があったんだと思う。ちょっと待って、歌詞を覚えていないので、間違ったことを言う前にチェックさせて。そうそう、これはもともと「クラッシュ」というタイトルだったんだよ。なんとなくこの歌詞のヴィジョンがあって、「敵を破壊しろ」みたいな怒りに満ちた内容だったのだけど、他の2人とは特に意味については話し合わなかったな...。何と言うか、方向性としては「Army of Chaos」みたいな、「他のやつらに対峙して俺たちみんなで立ち上がる」というような、アンセムみたいな感じの曲だよ。

川嶋:「Rise of Dwelling of Rotten」なんていうフレーズも出てきますが、どういう意味なんでしょう。

フレッド:Dwelling of Rotten、これはジョーイが考えたんだよ。Dwellingってどういう意味だっけ?腐った、不愉快な人々が住んでいる場所、みたいなことだろうね。俺たちみたいなクズが住んでいる場所さ。ジョーイが「『Rise of the Dwelling of the Rotten』を2回し!」って言ってたのを覚えてるよ。歌詞の内容については俺がすべての責任を負っているわけじゃないんだ(笑)。ジョーイと一緒に歌詞を書くのはとても面白いよ。彼はSlipknotとかで、とても有名な曲の歌詞も手掛けているからね。彼が歌詞を書くプロセスを見るのは興味深かった。意味だけでなく、言葉のサウンドにも注意を払っていてね。まあこれを日本語に訳すという作業は大変だろうね(笑)。

川嶋:「スウォーン・トゥ・ヘル」、「ライズ・オブ・ザ・ライト・ベアラー」、「アイ・スタンド・アローン」あたりはとてもイーヴルで、サタニックな感触もありますが。

フレッド:「ライズ・オブ・ザ・ライト・ベアラー」と「スウォーン・トゥ・ヘル」はとサタニックだね。「アイ・スタンド・アローン」は連続殺人鬼についてだよ。自分を神のメッセンジャーだと思っている男で、神の名のもとに人を殺していく。まあ俺は神もサタンも信じていないのだけど。ただそのイメージとかコンセプトは好きなんだよ。俺はホラー映画が大好きだし。悪魔を呼び出したりとかのイメージがね。だけどサタンの存在を信じていたり、崇拝していたりということはない。

川嶋:「マニフェステーション・オブ・イグノーランス」は反キリスト的内容ですか。

フレッド:そうだね。キリスト教に限らず、あらゆる神に対するアンチだよ。神を信じた結果、テロを起こしたりとかさ。この曲は、反宗教ソングだ。

川嶋:「セイクリッド・マーター」は、やはり映画に基づいているのでしょうか。

フレッド:そう、これは「マーターズ」というフランス映画に基づいている。この映画見た?

川嶋:見ました。

フレッド:最高にクールな映画だよね。ヴァイオレントで。この歌詞は、一番最後に書いたから、さすがにネタが切れてきていて、それでアイアン・メイデンも映画についての歌詞を書いているから、俺もやってみようと思ったんだ。それで、俺が好きな残酷な映画って何だろうと考えて、「マーターズ」を選んだ。苦痛を通じて死を目撃し、殉教者になるというコンセプトがとても気に入っている。

川嶋:「マイ・スワン・ソング」も面白い内容ですよね。

フレッド:この曲の歌詞は、ハイモットが書いたんだ。だから細かいところはわからないけど、とりあえず今歌詞を読み直してみる。確かこれはハイモットが書いたものに一切手を加えず、そのまま使ったんだ。だから特に意味も聞いていないんだよね。これはとても詩的な内容だよね。まあ俺たちはフランス人だからさ。俺の解釈としては、これは自殺についてで、それを詩的に「スワン・ソング」として表しているのだと思う。この曲は、歌詞が先にあったんだよ。だからこれを読んで、曲をつけたんだ。この曲は、アルバムの中で一番ブラック・メタル的だろう?非常に歌詞に合っていると思うよ。

川嶋:この曲は長くて構成も面白いですよね。ブレイクがあって。

フレッド:これは最後に書いた曲なんだよ。その時点ですでに十分に曲数はあったのだけど、まだアルバムにするには何かが足りないと感じていたんだ。それでDarkthroneのような、同じリフがしつこく繰り返されるような曲が欲しいと思った。テクニカルではないスタイルの。さっきも言ったとおり、今回のアルバムでは「デス・メタルとういのはこうではなくてはいけない」というような、1つのフォーマットに捕らわれるのではなく、さまざまなスタイルの曲を入れたかったからね。それでこの曲を11月の終わりから12月の初めにかけて書いたのさ。レコーディングは1月の予定だったから、さすがにそこから曲を増やすのは遅すぎるかと思ったのだけど、メイン・リフをステファンに聴かせたら、「これはいいよ、作業を続けてくれ」って。結果、非常にブラック・メタルで、同じリフが続いて、ブラストビートのパートは寒々しいものになった。曲の初めと途中のブレイクに風の音が入ってるだろう?あれは実は曲中ずっと鳴っているんだよ。このアイデアは、ファースト・アルバムのときもやりたかったんだ。これはMorbid Angelの「Abominations」(『Blessed Are the Sick』収録)から得たアイデアさ。あの曲は、最初と最後に風の音が入ってるよね。こういう寒々しくて、風がずっと吹いているというような曲をやりたいと思っていたんだ。結果、歌詞にもぴったりの曲に仕上がったと思う。

川嶋:「ニュイ・ノアール」はなぜフランス語のタイトルにしたのでしょう。

フレッド:「ニュイ・ノアール」というのは、もともと本のタイトルなんだよ。ホラーの。ファースト・アルバムのタイトルも、『L'echo des Suppliciés』という本からとったのだけど。ファースト・アルバムでは、ドイツ語のタイトルも使った。なんとなく賢そうな感じがするからね(笑)。今回日本語のタイトルをつけるというアイデアもあったんだ。だけど「ダサイ」って言われそうだからやめた(笑)。「ニュイ・ノアール」の歌詞も、ジョーイとショーンと3人で書いたんだ。俺が読んだ同名のタイトルの本を元にしてね。この本は連続殺人鬼の日記みたいになっているのだけど、おそらくフランス語以外では出版されていないんじゃないかな。主人公がマスターベーションをし、自らの身体を切りつけ、精液と血を混ぜて悪魔を召喚しようとしたりと、とにかく陰惨な内容なんだ。だから、それに比べたらこの曲の歌詞は、ずいぶんとクリーンなものになっているよ。この本は、多分俺がこれまで読んだ本の中で、一番酷い内容だ。とにかくめちゃくちゃなんだよ。この曲は、そんな本へのトリビュートさ。フランス語をそのまま使ったというのは、英語以外の言語を使うと、人々の気を引けるだろ。「何でフランス語なんだろう?」なんてみんな考えてくれるけど、実は深い意味は全然なかったりもするのだけど。

川嶋:「インセクツ」は何についてなのでしょう。普通に虫についてなのでしょうか。

フレッド:これもハイモットが書いたんだ。彼がもともと「Insect(昆虫)」と「Sectarian(偏狭な)」の言葉遊びみたいにして書き始めた。ちょうどこの歌詞を受け取ったときに、俺はたまたま虫についての本を読んだところだったんだ。ベッドにねっころがって、YouTubeで「沼地の虫の音、5時間」みたいなやつを聴きながら、虫の本を読んでいたんだ。それで変態について学んだり、「exoskeleton(外骨格)」なんていう言葉を知ったりした。虫のことなんて殆ど知らなかったからね。とても興味深かった。それで彼の書いた歌詞をもとに、虫の科学的側面を加えたんだ。オーストラリアの学者が危険な動物をレポートする番組があるだろ。あれみたいな感じで。

川嶋:ラストを飾る「フォーセイクン」は、壮大でラヴクラフトっぽい世界観を持っていますね。

フレッド:そうだね。これは地獄のケイオティックな風景だよ。これはアッティラと一緒に書いたんだ。やりとりしてね。仮タイトルは「ヘル」だった。孤独に暮らしているやつがいて、「ここが俺が家と呼ぶところ、俺が一人で住むところ、しかし決して一人ぼっちではない」なんてつぶやいていて、まわりに悪魔たちが飛び回っているイメージだから、ラヴクラフトだね。恐ろしくて別次元の世界が出て来るようなやつ。見捨てられたやつが、別の次元に住むことを強要されて、太陽を、クソのような世界を呪っているんだ。この曲はとても長くてエピックで、オーケストレーションが施されていて、曲の最後には長いギター・ソロが入っている。これはアルバムの最後に、中指を立てているような感じなんだ。アルバムは長い不気味でヴァイオレントで不快な音楽が続いて、だけど最後に突然心地よいソロが展開される。ほっとするというか、グッドバイみたいな感じでね。これでお話はおしまい、ということだよ。

川嶋:アルバム・ジャケットは何を表現しているのですか。

フレッド:人が笑っているところさ。最初、アートワークのイメージはあったのだけど、誰に頼むか迷っていたんだ。そしたらジョーイがトラヴィス・スミスが良いんじゃないかって。それで彼のアートワークはNevermoreやDeathで良く知っていたから、ぜひ彼に頼もうということになった。とにかく非常に俺たちらしいアートワークが欲しかったんだよ。典型的な、シンメトリカルな顔などではないものが良かった。で、トラヴィスにメールを送る前に、彼のウェブサイトを見ていたら、イーヴルな笑い顔のサムネイルがあって、まさにこれこそ俺が求めていたものだと思ったんだ。それで「このアートワークを使わせてくれないか?」って彼に伝えて、プロジェクトが始まったのさ。この顔は、まさに人間への嫌悪を表して、何かとても悪いことが起ころうとしている前兆としての笑いなのさ。アルバムの始まりかたも、そんな感じだろう?それ以外のパートも、他の曲の歌詞に基づいている。トラヴィスが歌詞を読んで、解釈したものが描かれている。俺がトラヴィスに伝えたのは、イーヴルな笑い顔ということだけで、あとは彼自身の解釈だよ。「アイ・スタンド・アローン」の連続殺人鬼の被害者の頭とか、「インセクツ」からインスパイアされた蜘蛛とか、どれも曲の歌詞に関係しているものさ。

川嶋:今回ロゴに血がついていて、とても90年代っぽいですが、これは意識してやったのでしょうか。

フレッド:ロゴに血がついているのは、最初のEPでもやったんだよ。特に90年代にしようという意図はなかった。ロゴはフィリップというやつが描いてくれたもので、今回彼はその血がついてるバージョンを使った。もともとの意図としては、この血つきのロゴは、シンセイナムの二面性を表しているんだ。ロゴの上側はクリーンでシャープで、だけど下にいくにしたがって、だんだんと腐敗して血が出ていて、という風にね。とてもクールなデス・メタルのロゴだろ?(笑)

川嶋:シンセイナムの初ツアーが決定していますが、一緒にツアーするバンドなどは決まっているのでしょうか。

フレッド:まだバンドを探しているところなんだ。1つ候補がいたのだけど、条件が合わなくてね。東京では君たちと一緒にやることが決まっているけど、ヨーロッパの方はまだなんだ。

川嶋:ステージセットなども考えているのですか。

フレッド:音楽がそうシアトリカルなわけではないからね。アッティラもいないし。バックドロップなどは用意するつもりだけど、逆十字とか火なんかはやらないよ。今回のアルバムでは音楽も激しいし、音楽にすべてを語らせたいと思っている。メンバー全員プロフェッショナルなミュージシャンだからね。


川嶋:最近はどんな音楽を聴いているのでしょう。

フレッド:ここのところしばらくはシンセイナムを聴いていたよ(笑)。聴かなくちゃいけなかったから。もうこれ以上聴きたくないけど。最近買ったのは、古いやつだよ、Possessedとか。iTunesでね。

川嶋:Possessedはどのアルバムですか。

フレッド:『Seven Churches』。あとはAutopsyやNecrophagiaとか。

川嶋:(Necrophagiaの)Killjoyは死んじゃいましたからね。

フレッド:そうみたいだね。彼とは親しかったんだろう?死因は何だったの?

川嶋:心臓麻痺のようです。太り過ぎてましたから。

フレッド:ステファンが色々とデス・メタルについて教えてくれてね。「え、Autopsyのファースト聴いてないのか?」とかって。あとは去年でたジャミロクワイの新しいのとか、アラン・ホールズワースとか。それからミッシェル・ペトルチアーニ。何年か前に亡くなったジャズ・ミュージシャンなのだけど、とても小さくて、先天的に骨がもろいせいで、演奏中に骨が折れてしまうということもあった。彼の作品をいくつか買ったよ。基本的にずっと同じものばかり聴いてるね。

川嶋:では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

フレッド:シンセイナムや俺がやっている音楽を、いつもサポートしてくれてありがとう。いつも同じことばっかり言っているけれど、日本は一番お気に入りの国さ。シンセイナムで日本に行ってプレイするのを、とても楽しみにしているよ。日本盤には特別にボーナストラック「シンバイオシス」を入れたのだけど、気に入ってくれるとうれしいな。日本に行くまでは、Twitterで頑張って日本語でメッセ―ジを送るよ。俺の日本語はいまだに「ウンチ」であることはみんな知ってると思うけど(笑)。


 フレデリク、ジョーイに加え、Loudblastのステファン、元Daathのショーン、Sethのハイモット、そしてMayhem、SUNN O)))のアッティラという、まさにスーパースターが集結したシンセイナムゆえ、その活動はスローペースにならざるをえないかと思われた。だが、16年のデビュー以来、3年連続で新作をリリース。そしてこの9月からは、ついにツアーを開始するというのだから、そのバイタリティには驚かされる。今回の『リパルション・フォー・ヒューマニティ』においては、アッティラは多忙のためにあまり参加はできなかったようだが、そこでアッティラを待つのではなく、活動を続けて行くところにシンセイナムの本気度が現れていると言えるだろう。

 そしてヨーロッパ・ツアー後、シンセイナムは、そのままここ日本にもやってくるのだ!一体どんなステージを見せてくれるのだろう。フレデリクというと、日本のアニメやゲームが大好きで、とても社交的なイメージの強い人物である。だが、誰しも心に闇は抱えているもの。フレデリクも例外ではない。ドラゴンフォースのステージとは対照的な、「人間嫌い」という裏の顔を拝むことができるのだろうか。11月が楽しみである。

取材・文 川嶋未来


シンセイナム 1夜限定 初来日公演 (スペシャル・ゲスト:Sigh)
公演日:11月6日(火)
会場:渋谷クラブクアトロ
開場:18:00 / 開演19:00


国内盤

Repulsion For Humanity

CD

Repulsion For Humanity

Sinsaenum

価格(税込) : ¥2,700

発売日: 2018年08月10日

輸入盤

Repulsion For Humanity

CD輸入盤

Repulsion For Humanity

Sinsaenum

価格(税込) : ¥2,689

会員価格(税込) : ¥2,474

まとめ買い価格(税込) : ¥2,017

発売日: 2018年08月10日

国内盤 2017年発表のEP

Ashes

CD輸入盤

Ashes

Sinsaenum

価格(税込) : ¥1,620

会員価格(税込) : ¥1,409

発売日: 2017年11月10日

限定盤完売

国内盤 2016年発表の1stアルバム

Echoes Of The Tortured

CD

Echoes Of The Tortured

Sinsaenum

価格(税込) : ¥2,700

会員価格(税込) : ¥2,484

まとめ買い価格(税込) : ¥2,295

発売日: 2016年07月29日

%%message%%

最新ニュース・情報を受け取る


Sinsaenumに関連するニュース

HMV&BOOKS online最新ニュース

最新ニュース一覧を見る