【インタビュー】FOLLOW THE CIPHER

2018年06月28日 (木) 20:00

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 現在世界最高峰のメタル国であるスウェーデンから、またまた新星が登場。フォロー・ザ・サイファーは新星ではあるものの、リーダーでギタリストのケン・シェングストロムが、あのサバトンの作曲サポートをしているという猛者。名曲「カロルス・レックス」の作曲にも、彼は携わっている。そんなフォロー・ザ・サイファーのデビュー・アルバム『フォロー・ザ・サイファー』がここ日本でもリリースになるということで、ケンとヨナス・アスプリンド(ベース)に話を聞いてみた。

川嶋未来(以下、川嶋):あなたの音楽的キャリアについて教えてください。サバトンの曲作りに参加していたとのことですが、ヘヴィ・メタルの世界で作曲を手伝うというのはわりと珍しいことですよね。どのようにして、サバトンの手伝いをすることになったのでしょう。

ケン:ずいぶんと前に、俺とヨアキム(ブロデーン)は、インターネットを通じて知り合ったんだ。ファランに引っ越そうと思っていたところ、ヨアキムから一緒に住もうという申し出があったんだ。サバトンはサウンド・エンジニアを必要としていて、「君のミックスはなかなか良いね、こっちに来て俺たちのエンジニアをやらないか?」って言われて。それで1年ほど一緒に住んでいた。サバトンとの出会いはこんな感じだったのだけど、正直サウンド・エンジニアとしての仕事は退屈でね。そんなときヨアキムから、一緒に曲を書かないかという申し出を受けたんだよ。ヨアキムと俺は、とてもメロディの好みが似ていたから、一緒に曲作りをするのは容易なことだったんだ。

川嶋:それ以前にも作曲経験はあったのでしょうか。

ケン:もちろんあったよ。俺が曲を作るようになったのは、いつからだろう、もう17年くらいは作曲をしているよ。メタルは常に俺の興味の一部だったから、ヨアキムと曲を作る以前から、メタルの作曲もしていたのさ。

川嶋:バンドをやっていたことはあったのですか。

ケン:いくつかやっていたけれど、どれもアマチュアの、あまりシリアスなものではなかった。ただ楽しむためだけにやっていのさ。バンドは4つくらいやってたかな。

川嶋:サバトンに正式に加入しないかという誘いはなかったのですか。

ケン:それはなかった。俺自身も加入する気はなかったし、俺はサバトンのメンバーとしてはふさわしくないよ。ヨアキムと一緒にスタジオに入るという自分のポジションについてとても満足していたし、それで十分だったよ。

川嶋:今後もサバトンとのコラボレーションは続けるのですか。

ケン:そう願うよ。『カロルス・レックス』以来ずっと彼らのアルバムに参加しているからね。もし彼らがまた俺を必要とするなら、俺は喜んで手伝うよ。

川嶋:自分のバンドであるフォロー・ザ・サイファーを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょう。

ケン:初めは俺のソロ・プロジェクトのつもりだったんだ。自分自身の音楽を作りたいと思っていたからね。一切誰とも妥協することなく、俺のやりたいことをやりたかった。それで曲をいくつか書いて、シンガーのオーディションをやったんだ。5−6人試したのだけど、最後に来たのがリンダ(トニ・グラーン)だった。彼女がスタジオにいたのはたったの15分くらい。すぐに彼女が適任だとわかったので、「もし君が望むならお願いしたいのだけど」って伝えた。彼女のパフォーマンスには本当に感銘を受けたんだ。その後曲を書き進めるにつれて、バンド形態にするのも良いんじゃないかと思い始めた。それでフォロー・ザ・サイファーというバンドを結成することにしたんだよ。

川嶋:なるほど。その他のメンバーはどうやって選んだのですか。そもそも女性ヴォーカルで、こういう音楽性で、というようなコンセプトが先にあったのでしょうか。

ケン:いや、コンセプトのようなものは一切なかった。もちろん音楽は俺の頭の中にあったけれど、アルバムの曲作りも時とともに展開していく感じだったからね。アルバム作りの中盤で、もう1人ソングライター(ヴィクター・カールソン)が加わったんだ。だから最初に書いた「ウィンターフォール」は80年代っぽい雰囲気があるのに対し、ヴィクターが書いた「プレイ・ウィズ・ファイアー」などは、全く違った感じだろう?これはアルバムを作りながらコンセプトも発展していったからなんだ。次に作るアルバムでは、俺たちがやりたいことがより明確になっていると思うよ。質問はそれだけだっけ。忘れちゃったよ(笑)

川嶋:フォロー・ザ・サイファーというバンド名はとても面白いですが、どうしてこの名前にしたのですか。「サイファー」という単語には複数の意味がありますが、どのような意図があるのでしょう。

ケン:2003年頃に、今このバンドでやっているものに近い音楽を作っていたんだ。メタルとかエレクトロニクスみたいな感じのやつ。で、そのプロジェクトのデータをセーヴするのに、ファイル名を決める必要があった。その時ふと思いついた名前が「フォロー・ザ・サイファー」だったのさ。14年に自分のバンドを始めた時に、いくつかの曲のパートが03年に書いた曲に近いものがあったし、ノスタルジックな意味も込めて、その「フォロー・ザ・サイファー」をバンド名にするのが良いのではと思いついた。だから具体的に意味があるという訳ではないんだよ。フォロー・ザ・サイファーは新しく始められたバンドで、どんな未来が待っているかはわからないという意味でも、このバンド名はあっているだろう?フォロー・ザ・サイファー、すなわち暗号やミステリーみたいな感じさ。シンプルだろ。

川嶋:アルバムのオープニングは「エンター・ザ・サイファー」という曲ですし、「サイファー」という単語へのこだわりが見られます。

ケン:あの曲はヴィクターが書いたのだけど、俺たちの曲のコンテクストでサイファーという言葉を使うと、ミステリアスな雰囲気が出るからね。

川嶋:デビュー・アルバム『フォロー・ザ・サイファー』がここ日本でも発売になります。この作品について、どのような内容なのか教えてもらえますか。

ケン:ヨナス、この件は君が説明する?

ヨナス:そうだね。俺たちは、他のバンドとは違った突出した作品を作りたかった。アルバムを作るのに3年かけたんだよ。

ケン:「ウィンターフォール」も入れたら4年だね。

ヨナス:ハードなものからソフトなものまでバラエティに富んでいる作品なので、これだというサウンドを得るのは容易ではなかったけれど、うまいバランスになったと思う。とてもハードな曲もあれば、おばあちゃんでも楽しめるようなメロディも入っている。メタル・ファンも楽しめるし、80歳のおばあちゃんでも楽しめる作品だよ。少なくとも俺はそう思ってるんだけど。

ケン:そうだね、俺も賛成だよ。非常に幅広い人たちに気に入ってもらえる作品を作るというのが、1つのポイントだったからね。もちろん俺たち自身も気に入る作品でなくては意味がないけれど。俺たちも気に入って、さらに多くの人も楽しめるというWin-Winな作品に仕上がっていると思うよ。

ヨナス:それにこの作品は、大作の映画みたいでもある。サイファイ映画の良いサウンドトラックになりそうだろ。このアルバムを聴いていると、頭の中に映像が浮かぶよ。

川嶋:ヨアキム・ブロデーン(サバトン)、 ニルス・パトリック・ヨハンソン(アストラル・ドアーズ、元シヴィル・ウォー)、オレ・エクマン(ディールズ・デス)、ジョニー・リンドクヴィスト(ノクターナル・ライツ)、ロニー・ヘムリン(タッド・モローズ、スティールアタック)というスウェディッシュ・メタル界の重鎮たちが参加しているとのことです。「エンター・ザ・サイファー」などで聞かれる男性ヴォーカルは、この中のゲストによるものなのでしょうか。

ケン:いや、ゲストが参加してくれたのは、「スターライト」だけだよ。それ以外の男性ヴォーカルは、俺たちのギタリスト、ヴィクター・カールソンによるものさ。

川嶋:このアルバムでは、どのようなアーティストから影響を受けているのでしょう。

ケン:俺は非常にたくさんの音楽を聴くけれども、自分の曲を作るときは、「このバンドみたいなものを書こう」というようなことは考えないんだ。もちろん俺の書く曲は、いろいろなアーティストから影響を受けてはいるけどね。一番影響を受けたアーティストということであれば、ハンス・ジマーだ。ハリウッド映画のサウンドトラックを色々手がけているアーティストさ。彼の作品、映画のクライマックスの作り方が大好きなんだ。そういう意味で、彼は俺のインスピレーションの大きな源さ。俺は幅広い音楽を聴いてきているけれど、メタルというのは常に中心にあった。メタルはずっと大好きなんだ。とにかく俺は様々な音楽聴くんだよ。エレクトロニックなものも聴くし、クラシックも聴く。それぞれの音楽にみんな素晴らしいパートがあるので、それらを取り入れて新しい音楽を作ることができるのさ。

川嶋:クラシックはどのあたりを聴かれるのですか。

ケン:ベートーヴェンが大好きなんだ。「月光ソナタ」をよく聴いて育ったよ。

川嶋:歌詞の内容はどのようなものですか。「エンター・ザ・サイファー」はSF的ですし、一方で「マイ・ソルジャー」などは失恋の歌のようです。ずいぶんとバラエティに富んでいるようですが。

ケン:それらの2曲は、どちらもヴィクターが1人で書いたんだよ。彼はあまり歌詞の内容については語っていなかったので、よくわからない部分もあるんだけど。

ヨナス:「マイ・ソルジャー」は、失恋と戦場の戦士を重ね合わせているんだと思うよ。「エンター・ザ・サイファー」は、不思議の国のアリス的な内容さ。ケン、間違ってたら訂正してくれ。

ケン:それであっていると思うよ。歌詞については、各自が自分なりの解釈をする余地を残したから、ヴィクターと俺とでは、アルバムのコンセプトについても俺、ヴィクター、それぞれのものがあるけれど、基本的なテーマは、戦争などによって世界が破局を迎えたあとという、実際にありうる未来についてさ。それにSFのタッチも加えている。

川嶋:アルバムのアートワークも、やはり破局後の世界を表現しているのでしょうか。

ケン:あのアートワークは、サバトンのクリス・ローランドの手によるものなんだ。彼にはまず、俺がPhotoshopで作ったイメージを送った。俺はとにかくPhotoshopが苦手で、おそらく史上最悪のPhotoshopの使い手なんだけど(笑)。とにかくアイデアを伝えるためにね。彼はそれを元に、とても素晴らしい作品を作り上げてくれたよ。スカイプで15時間くらい話し合って、ブックレットも含めて素晴らしいものになったと思うよ。とても仕上がりに満足している。

ヨナス:本当に素晴らしいね。

ケン:見てもらえばわかるとおり、もちろんこのアートワークは、さっき話したポスト・アポカリプス的世界とも繋がりがある。戦士が、すべてを破壊し尽くす戦場から立ち去っているところさ。

川嶋:フォロー・ザ・サイファーは、コスチュームも凝っていますよね。

ケン:これについてはヨナスがいろいろと頑張ってくれたので、君が答えてくれ。

ヨナス:俺やカール(レフグレン)などが加入したとき、ケンは音楽に集中していたので、俺はどんなことでバンドに貢献できるだろうと考えてみたんだ。それで、衣装についていろいろ考えたんだ。俺たちが音楽として表現しているものは、『マッドマックス』や『ターミネーター』みたいな俺のお気に入りの映画に近いと思った。それで、これらの映画のスチームパンク的なシーンからインスピレーションを受けたんだよ。メタルの世界では、スチームパンク的なものを取り入れているバンドというのは見当たらなかったしね。それでメンバー各自、ステージ上のキャラクターを作り出した。ステージ上がれば、俺は確かにヨナスではあるけれども、同時に海賊でもあるのさ。キャプテンは赤い髪(注:ヴォーカルのリンダ)でね。こうする方が、ステージで心地よいのさ。ただのTシャツやジーンズで演奏をするよりもね。

ケン:ただ音楽だけでなく、ヴィジュアル的なものも大切にしたいんだ。

ヨナス:その通りだよ。ヴィジュアルというのはとても大切で、歌詞とも強い繋がりがあることがわかってもらえると思う。例えば「ア・マインズ・エスケープ」の歌詞をみてもらえば、漫画的な要素があることに気づいてもらえるだろう。コミックに出てくるようなキャラクターが主人公なのさ。


川嶋:ヘヴィ・メタルとの出会いはどのようなものだったのですか。

ケン:ヘヴィ・メタルとの出会いか。それは難しいな。初めて聞いたハードな音楽は、確かMetallicaだったと思う。それからIron Maidenだね。最初にギターで弾いてみようと思った曲は、「Trooper」だった。Helloweenにも目を開かされたね。それからIn Flamesの『Clayman』は、俺の作曲方法の転換点となった作品だよ。

ヨナス:俺はW.A.S.P.の「I Wanna Be Somebody」だった。初めて買ったEPだよ。「I Wanna Beat Somebody」という曲だと思って買ったんだけど、「I Wanna Be Somebody」だった(笑)。

川嶋:それはいつ頃のことですか。

ヨナス:84年くらいじゃないかな。

川嶋:失礼ですが、今おいくつなのでしょう。

ヨナス:俺は41歳なんだよ。バンド内で最年長さ(笑)。

ケン:ちなみに俺は33歳だよ。

ヨナス:俺は80年代の作品が大好きなんだ。80年代に育ったのはとても良かったよ。ヨーテボリからデス・メタル・バンドがたくさん出てくるのも体験できたし。At the Gatesとかね。色々なスタイルをブレンドできるというのも、フォロー・ザ・サイファーの強みだ。俺の好きな80年代とモダンなスタイルを混ぜたりね。俺たちみんながそれぞれ好きなものを混ぜて1つにするのさ。

川嶋:お気に入りのメタルのアルバム3枚を教えてください。

ケン:これも難しいな。1枚は、Helloweenの『Better Than Raw』だね。多くの人が初期の作品の方を好んでいることは知っているけれど、俺にとってこの作品にはマジックがあるんだ。おそらくこれが初めて聴いたHelloweenのアルバムだからだろうけど。このアルバムに入っている曲はすべて好きだよ。あと2枚か。ちょっと考える時間が必要だな(笑)。In Flamesの『Clayman』。あとちょっと思いつかないのでヨナスよろしく。

ヨナス:良いバンドはたくさんいるからね。King Diamondの『Abigail』。素晴らしいコンセプト・アルバムだ。King Diamondのいずれかのアルバムは、俺のトップ3に入れざるを得ないよ。あとはやっぱりHelloweenだね。どのアルバムにするかは難しいけど、やっぱり『Keeper of the Seven Keys』かな。俺もケンと同じく、アンディ時代のアルバムも好きなんだよね。『Better than Raw』や『The Dark Ride』とか。

ケン:あれは素晴らしいアルバムだよ。

ヨナス:あとはMotley Crueの『Shout at the Devil』。俺にとって音楽をやる出発点となったアルバムだからね。

川嶋:今回あなたたちのアルバムのアルバムが日本でリリースになるわけですが、日本についての印象はいかがでしょう。日本のファンへのメッセージもお願いします。

ケン:正直言って、日本に関する知識というのはほとんどないけれど、日本にはずっと行ってみたいと思っているんだ。だから俺たちのアルバムが日本でリリースされるというのはとてつもなく嬉しいよ。そしてぜひ日本でプレイできるチャンスがあればって願っているんだ。

ヨナス:俺もだよ。実は俺が以前やっていたバンドの作品も日本でリリースされたことはあるのだけれど、こういうレベルではなかったからね。ぜひ日本に行ってプレイしたいね。音楽を提供する上において、ライヴというのは非常に重要なものだから。俺は漫画とか、日本の文化にとても興味があるし。


 フォロー・ザ・サイファーは、いきなりニュークリア・ブラスト・レコードからデビューという快挙を成し遂げている。もちろんサバトンの関係者だというアドヴァンテージはあっただろう。だがもちろんそれだけではない。とても新人バンドとは思えない完成度をこのバンドは誇っている。楽曲のクオリティ、演奏テクニック、そして世界観の構築に至るまで、一切の隙がないのだ。さすがスウェーデンのバンドである。

 彼らはサバトンの関連バンドであるが、世界観的には親分とは一線を画していると言えるだろう。テクニック、パワーともに申し分のない女性ヴォーカリスト、リンダを擁し、ポスト・アポカリプスの世界を描くフォロー・ザ・サイファーだが、インタビュー中の発言どおり、アルバムはとにかく親しみやすい内容になっている。言うなれば、「ナイトウィッシュのシンフォニックさ+大合唱必至のサバトンのわかりやすさ=フォロー・ザ・サイファー」という感じだ。リンダのパワフルな歌唱には、ときおりバトル・ビーストを彷彿させる部分もあり、まさにニュークリア・ブラスト・レコードの集大成的なバンドになっていると言える。『フォロー・ザ・サイファー』は、シンフォニック好き、ゴシック好きなメタル・ファンからメロディック・メタル、正統派メタルのファンに至るまで、それこそ子供からお年寄りまで親しめるアルバム。フォロー・ザ・サイファー・ヴァージョンの「カロルス・レックス」も収録されているので、ぜひサバトン・バージョンとも聴き比べてみてほしい。

取材・文 川嶋未来


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