【インタビュー】SEPULTURA

2018年06月06日 (水) 20:30

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セパルトゥラの面々が日本に到着した当日のインタビューである。午前中に成田に着き、午後から取材、しかもこのインタビューはそのラスト。おそらくは彼らは疲労のピークを迎えているであろうし、昨年『マシン・メサイア』発表時にロング・インタビューも一度やっている(リンク)ということもあり、本インタビューはざっくばらんにメタル・トークをしようということになった。

川嶋未来(以下、川嶋):このインタビューは、あまりシリアスな内容ではなく、メタルの雑談などをしようかと考えています。

パウロ:それは良かった!サケでも飲もうか?

アンドレアス:アルコールはダメだよ!

川嶋:現在ツアーで各国を回られているところですが、順調ですか。

アンドレアス:とても素晴らしいよ。去年の1月にニュー・アルバムが出て、それからずっとツアーしているんだ。最初はヨーロッパを、KreatorとTestamentと一緒に回った。それからアメリカに行って、その後ブラジルでRock in Rioに出て、ヨーロッパのフェスに色々とまわって、あとインドネシア、タイも行った。ドバイも行ったよ。インドネシアは、俺たちにとって第二の故郷みたいな感じなんだ。素晴らしかったよ。92年に初めて行ったのだけど、ファンがたくさんいてね。リアクションも凄まじいんだ。インドネシアには前回14年か15年に行って、で今回は3箇所でやった。バンコクでプレイするのは初めてだったな。ここに来る前に、ニュージーランドで3回、オーストラリアで6回プレイした。そしてついに、17年ぶりに東京にやってきたわけさ。17年もかかって申し訳ない(笑)。レーベルやマネジメントが変わったりとかもあったし、日本は遠いからね。だけど『マシン・メサイア』が日本でもWard Recordsからリリースされ、こうやってショウも企画してくれて。今回が俺たちとって、日本での第2のスタートになることを願うよ。もっと頻繁に日本に来られるようにね。


川嶋:17年ぶりの日本ですが、この国にはどのような印象を持たれていますか。

デリック:どこから始めようか?(笑)

アンドレアス:サンパウロには、日本国外で最大の日本人街があるんだ。すごく小さい頃から、近所に日本人が住んでいたんだよ。彼らのパーティに行って、それまで見たこともないような奇妙なものを食べたりした。今ではすっかり大好きになっている食べ物だけど。生魚とかさ、子供の頃は「何なんだこれは!」みたいな感じだった。サンパウロでは、日本人向けのテレビ放送もやっていた。音楽番組とかね。あと野球場もあって、そこで日本人が練習をしていたな。だから俺は小さい頃から日本の文化に馴染んでいたのさ。

デリック:日本に来るたびにこの国に惹かれるのだけど、いつも時間が足りなくてね。もっと長く滞在したいな。文化的にも芸術的にも、ここで起こっていることは魅力的だ。この国の歴史であるとか、人々とか、あらゆる小さなことでも、すべてが信じられないくらい興味深いし素晴らしい。俺の友人たちももっと日本のことを知りたい、もっと色々経験したいと言っているよ。日本に来ると本当に気持ち良いし、常に新たなことを学べるんだ。

パウロ:2日しか日本にいられないというのは短すぎるよ。最初に来日した時からずっと、日本に来るのが楽しみなんだ。とてもユニークな国だよね。ハイテクノロジーと伝統が共存していて。

川嶋:明日は築地の魚市場に行かれる予定とのことですが。

パウロ:行こうと思ってはいる。

アンドレアス:俺はペルー大使館に行かなくちゃいけないんだ...。

パウロ:マリオ・カートにも乗ってみようか(笑)。今日見かけたんだよ。冗談だけど。

川嶋:あなたたちはこれまでに14枚ものアルバムをリリースしているわけですが、セットリストはどのように決めているのですか。なかなかすべてのファンを満足させるような選曲というのは難しいと思うのですが。

アンドレアス:今は、ニュー・アルバムに集中している。それが今やりたいことだからね。新曲をたくさんプレイしているけど、もちろん昔の曲もやるよ。どうしてもプレイしなくてはいけない曲があるからね。「Arise」、「Refuse / Resist」、「Roots Bloody Roots」とかは必ずプレイしている。俺たちがニュー・アルバムをリリースしたというのは素晴らしいことだよ。最近のメタル界では、素晴らしいアルバムを出してツアーでもその曲をプレイするという傾向がある。最近メタリカも新曲をたくさん演奏しているだろ?『デス・マグネティック』の時は、そんなことをしてなかったのに。メガデスもそうだし、いわゆるビッグ4が素晴らしいアルバムをリリースしてるよね。スレイヤーも、ショウの最初の2曲が新曲だった。スレイヤーがそんなことするのはいつ以来だろう。ちょっと記憶にないよ。これはとても大切なことさ。バンドは過去に生きて、いつも同じセットをやらなくてはいけないなんていうことはないのさ。もちろん俺たちは日本に来るのは久しぶりなので、日本向けにアレンジをする。ニュージーランドやオーストラリアはDeath Angelとのツアーだったから、セットも短かったけれど、日本向けには何曲か増やすつもりだよ。いずれにせよ『マシン・メサイア』がメインだけれどね。デリックが加入して20年だから、『Against』の曲をやるスペシャル・セクションもあるよ。ツアーのコンセプトによって、正しいセットリストを決めるようにしてるんだ。やるべき曲がたくさんありすぎるというのは、素晴らしい悩みではあるよ(笑)。

川嶋:なるほど。おっしゃることはもっともですし、よくわかります。しかし、ニュージーランドやオーストラリアのセットをチェックしてみたのですが、初期3枚のアルバムの曲は1曲もやっていないですよね。

アンドレアス:やってない。

川嶋:これはなぜなのですか。私のような年老いたファンは、どうしてもやはり。ちなみに私は48歳なのですけど...

デリック:(爆笑)

アンドレアス:昔の曲をやるときもあるよ。「Troops of Doom」もやるし、『Bestial Devastation』の「Necromancer」や、『Schizophrenia』の「Escape to the Void」をやることもある。ただこれらの曲は、いつもプレイする必要はない。コンセプト次第だよ。30周年ツアーの時は、ニュージーランドとオーストラリアには行ったんだけど、残念ながら日本には来られなかった。あの時は古い曲をたくさんやったんだ。長いことプレイしていなかった曲をね。だから初期の曲をプレイすることに反対というわけではない。今日もいろいろなアルバムからの曲をプレイするよ。「このアルバムの曲はやらない」みたいなことはない。それがファンへのリスペクトだと思うし、ファンがバンド側の争いに巻き込まれる必要はないからね。とにかく今回のツアーの主眼は『マシン・メサイア』のプロモートだし、新曲を聴きたいというファンもたくさんいる。彼らは熱心にアルバムを聴いてくれているからね。あのアルバムは、最初から最後まで通して聴くストーリーになっている作品だ。過去に寄生するだけでなく、現在も活動中のバンドであるということを示すのは大切なことさ。

川嶋:なるほど。ところで、ヘヴィ・メタルとの初遭遇というのはどのようなものだったのでしょう。

デリック:俺は友達の家の地下室でだった。彼はメタルの大ファンで、ドラムをプレイするのに夢中になってた。放課後みんなで彼の家に行ってね、彼のドラムや色々なアルバムを聴いたりしたよ。それが初めてのヘヴィ・メタルの体験さ。アルバムだけでなく、生で誰かがドラムを演奏するのも見られたからね。とても若かったし。

川嶋:それはいつ頃のことですか。

デリック:小学生だったから、80年代の初めだね。

川嶋:メタルがメインストリームだった頃ですね。

デリック:完全にメインストリームだったよ(笑)。凄かったね、どこもかしこもメタルで。俺はとても好みがうるさいので、不特定のバンドを聴くというより、決まったバンドのファンだったんだよ。ブラック・サバスのようなクラシックとか。その後いわゆるヘア・メタルが出てきたけれど、あれは少なくとも俺にとってはヘヴィ・メタルではなかった。それでメタルから離れて行ってしまった。もちろん完全にシャットアウトしてしまったというわけではなく、KISSなんかもとてもヘヴィで、俺も周りの友達もとても熱狂していたよ。今も大好きさ。

アンドレアス:俺もだいたい同じ頃で、Kiss、AC/DC、Judas Priestみたいなバンドのビデオをテレビで見ていた。それから学校の友達が素晴らしいコレクションを持っていてね。それでOzzy、Dio、Black Sabbathなんかを知った。彼は地下室にドラムを持っていたから、そこで俺も音楽をプレイするようになったんだ。楽器もあったから、バンドを「結成」したんだ。何も起こらなかったけど(笑)。アルバムを聴きながらチョコレートケーキを食べただけだったから(笑)。

デリック:(爆笑)

アンドレアス:でも素晴らしかったよ。初めて「War Pigs」を聴いた時のことを覚えている。あの沈黙。本当にヘヴィでさ。狂ってるよね。今でもあの曲が初めて聴いた人に与えるインパクトってすごいと思うよ。勢いも凄まじいし。その後Kissの大ファンになった。彼らは83年にブラジルに来たのだけど、それが初めて見たビッグ・ショウだった。あれで人生を変えられたよ。あのショウを見て、俺もポール・スタンレーになりたいと思ってさ。あるいはエース・フレーリー。ヴィニー・ヴィンセントにはなりたくなかったけど(笑)

デリック:ヴィニー・ヴィンセントにはなりたくない!(爆笑)

アンドレアス:それで学校の教科書にKissの落書きばかりしたり。俺が音楽を聴き始めた時期がたまたま良かったんだ。Queenがブラジルに来て、81年だったのだけどまだ小さかったから母親が見に行かせてくれなかった。83年にKissが来て、85年にはRock in Rioだろ。凄まじかったよ、Ozzy、AC/DC、Iron Maiden、ScorpionsにWhitesnake。素晴らしいバンド、しかも彼らのキャリアのピークだよ。Kissは『Creature of the Night』のツアーで、この後メイクをやめて、イメージを作り直していくことになるわけだけど。Queenも『The Game』のツアーだからね、やっぱりピークの頃だよね。

川嶋:バンドがパーフェクトな状態の頃ですよね。

アンドレアス:本当そうだよ。

川嶋:今とは違って。

アンドレアス:オー・マイ・ゴッド!

デリック:(爆笑)

アンドレアス:80年代初めというのは、ヘヴィ・メタルが俺たちの人生を変え始めた時代さ。

パウロ:俺も同じ頃さ。学校の友達を通じてQueenやKissを知った。『Destroyer』なんかを聴いていたよ。Queenの『Flash Gordon』とか。それから色々なアーティストを聴くようになって、今に至るというわけさ。


川嶋:では、初めてエクストリーム・メタルを聴いたのはいつのことでしたか。

アンドレアス:初めて『Kill ‘Em All』を聴いた時のことを覚えてるよ。でも気に入らなかった。ノイジーすぎてさ。

川嶋:そうなんですか?

アンドレアス:俺はトラディショナルなヘヴィ・メタルが好きだったからね。DioやOzzy、Def Leppard、Iron Maidenとか。『Kill 'Em All』は俺には耳障りすぎたんだよ。だけど『Ride the Lightning』を聴いて考えが変わった。あれは傑作だよ。「Fight Fire with Fire」と「Fade to Black」のバランスとかさ。

デリック:あれは鳥肌モノだね。

アンドレアス:(「Fade to Black」は)メタルは良い意味でソフトになれるということを証明した。それからSlayerのファースト、『Show No Mercy』とか、Venom、Hellhammerとか。最初に聴いたエクストリーム・メタルというと、やっぱりMetallicaとSlayerかな。『Kill 'Em All』は最初気に入らなかったけど、『Ride the Lightning』を聴いた後は、その良さもわかるようになったし。『Kill 'Em All』も傑作だよ。やっぱりクリフ・バートンだよね。

川嶋:Venomはどうでした?『Kill 'Em All』よりもさらに耳障りだったと思いますが。

アンドレアス:大好きだったよ。確かにVenomは酷かったけど。

デリック:(大爆笑)

アンドレアス:演奏は下手くそだったけど、でも素晴らしかった。『Welcome to Hell』や『Black Metal』とかね。Venomがブラジルに来たのは、84年?85年?

パウロ:85年じゃないかな。

アンドレアス:その時、ベロオリゾンテではセパルトゥラがオープニングをやったんだ。まだ俺は加入してなかったのだけど。俺はサンパウロの方で見たんだ。VenomとExciterという組み合わせで。Venomはギタリストが2人いてさ。

川嶋:だとしたら、それは86年ではないですか。

アンドレアス:そうだ、86年だ。

川嶋:マンタスが抜けた後ですよね。ギタリストが2人入って。

アンドレアス:そう、あの2人のポーザー。

(一同大爆笑)

アンドレアス:ポーザーだよ!Whitesnakeのギタリストみたいでさ!

川嶋:一人はのちにCarcassに加入するんですよね。

アンドレアス:彼らに個人的な敵意はないよ。俺たちはマンタスをリスペクトしてただけさ!

(一同大爆笑)

アンドレアス:ショウ自体は素晴らしかったよ。俺はVenomが大好きだからね。さっきあげた2枚のアルバムと『At War with Satan』。

パウロ:俺はあれは好きじゃなかったな。

アンドレアス:Exciterも大好きだったね。

パウロ:Voivodは?

デリック:Voivoood!VoivodやSlayerは大好きだよ。歌詞もとても魅力的だったし、音楽のもつパワーが素晴らしかった。それからやっぱり『Ride the Lightning』だね。俺は当時ハードコア・パンクを聴くのにすっかり慣れてしまっていたけど、AC/DCやJudas Priestのようなクリーンな音質と...

アンドレアス:2つは別のジャンルだったけど、Metallicaが1つにしたんだよね。

デリック:そう、「見てみろ、あのMisfitsのステッカー!」って。

アンドレアス:あとGBH。

デリック:そうそう。「こいつらはどうやってプレイしてるんだ?」っていう感じだった。Slayerはイメージなども含めてずば抜けてたよね。Celtic Frostも大好きだった。凄くシンプルなんだけど、とてもグルーヴがあって、あんなバンドは他にいなかった。彼らもイメージが最高だったよね。レコードの裏ジャケのメンバー写真を眺めて「イーヴルだなあ」って。

川嶋:あなたはハードコアとメタルに同時にハマっていたのですか。

デリック:両方好きだった。

アンドレアス:ラップもだろ?

デリック:ラップも大好きだよ。


川嶋:ハードコアはどのあたりがお好きなのですか。

デリック:ニューヨーク・ハードコアが大好きだった。だけど西海岸のも好きだったよ。メロディックなやつ。

川嶋:80年代のものですか?

デリック:そうだよ。7 Secondsも見たし、Descendents、Fugazi、Sick of It All、Cro-Mags、Bad Brains。当時Bad BrainsとCro-Magsのカップリングのショウを見たけど最高だったよ。とてもエネルギッシュで。オーディエンスもバライエティに富んでてね。

アンドレアス:しかもピークの頃だろ?

デリック:そう、最高潮の頃だよ。あんなものはもう見られないだろうね。

川嶋:それはいつ頃ですか?

デリック:86年とかじゃないかな。

川嶋:とするとCro-Magsがデビュー作『The Age of Quarrel』を出したあたり?

デリック:そう、その頃だよ。体を鍛え上げたメンバーが出てきて演奏するんだからね。あんなの見たことがなかった。

アンドレアス:あと、ヴェジタリアニズムとか。

デリック:そう、本!ライヴで本を売ってるんだからさ。「本売ってるよ!すごいな!」って。ヴェジタリアニズムとか、現実についての歌とかね。The Exploitedのデカいスカルのジャケットにサインをしてもらったことを覚えてるよ。

アンドレアス:彼らはメタルの歌詞を救ったよね。Dioの歌詞はファンタジックだったけど、Metallicaは、なんというか。

デリック:詩的だった。「Fade to Black」とか。

アンドレアス:「For Whom the Bell Tolls」とか。

デリック:ワオ、あれはレベルを一段引き上げたよ。

川嶋:86年というと、Bad Brainsは『I Against I』を出してますよね。

デリック:そう、まさにあの頃で、(ヴォーカルの)H.R.がまだ正気だった。

川嶋:H.R.が正気だったときなんてあるんですか?

デリック:いや、まあ俺もなかったと思うけど(笑)。あんなエネルギーに溢れたフロントマンは見たことがなかったよ。

アンドレアス:デリックはBad Brainsのオーディションを受けたことがあるんだよ。

川嶋:そうなんですか?

デリック:そうだよ。

アンドレアス:H.R.が抜けた時にね。俺はロンドンで、チャック・モズレーがヴォーカルのBad Brainsを見たことがあるよ。凄く良かった。チャック・モズレーは素晴らしかったよ。

川嶋:チャックのヴォーカルってBad Brainsのスタイルに合ってました?

アンドレアス:イアン・ギランのBlack Sabbathみたいなものだよ。

(一同爆笑)

アンドレアス:素晴らしかったよ。凄くユニークで、あれはもう2度と見られないからね。

川嶋:80年代のブラジルのシーンはどのようなものだったのでしょう。非常にエクストリームなバンドが多くいたように見受けられますが。

アンドレアス:特にベロオリゾンテではそうだったね。ベロオリゾンテが一番ヘヴィだった。サンパウロはもっとトラディショナルなヘヴィ・メタル寄りというか、メロディックなバンドが多かった。Korzusはスレイヤーみたいだったし。一方ベロオリゾンテは、Hellhammer、Celtic Frost、『Bestial Devastation』、Mutilator、Holocaustoなんていう感じですごくヘヴィだった。だけど一方ですごくシーンがうまくいっていて、俺がセパルトゥラに加入した頃は、非常にバンド達が団結していたんだよ。楽器を貸し借りしたり、ライヴの企画を助け合ったり。すごく良かったよ。そうしてるうちに、音楽的にもお互いに影響を与えたんだ。リハーサルはほとんどビッグ・パーティみたいだったし。みんなで集まってお互いの曲を聴いて。すごくエキサイティングだった。ノルウェーの連中が、ベロオリゾンテのシーンがなければ、ここの(ブラック・メタル)シーンもなかったって言ってたしね。とても重要なシーンだよ。Sarcofago、 Sepultura、Mutilator、Holocaustoとか。あの頃のレコードはレアで、今プレミアがついてるよね。とてもユニークなシーンだったし、ブラジルだけでなく、世界中のバンドに影響を与えてるからさ。

川嶋:あそこまでエクストリームになったのは何故なんでしょう。競争の末だったのか、それともハードコアから影響があったとか。

パウロ:わからないね。水のせいじゃないかな。

デリック:(爆笑)

アンドレアス:良い質問だと思うよ。環境もあったと思うけど、やっぱりみんなきちんと演奏ができなかったからというのもある。サンパウロのミュージシャンはみんなうまくてテクニカルだった。ベロオリゾンテの連中はそんなこと気にしてなくて、ギターを手にしてノイズをだすだけだったのさ。

パウロ:ギターをチューニングもせずに弾いてたなんていう話を聞いたことがあるよ(笑)

アンドレアス:そんなこと誰も気にしてなかったんだよ。ただ顔をペイントして、いろいろアクセサリーつけて。イゴールなんてナチスのヘルメット被ってさ。

(一同爆笑)

アンドレアス:もちろんただショックを与えるためにだよ。ベロオリゾンテというのは、ブラジルで最も宗教的な町の一つなんだ。バーと教会以外何もないんだよ(爆笑)。

川嶋:Holocaustoもスワスティカをつけてましたけど、初期のセパルトゥラもスワスティカTシャツ着たりしてましたよね。

アンドレアス:とにかく人々にショックを与えてやろうということばかり考えていたんだ。マックスとイゴールがバンド名を「セパルトゥラ」にしたのも同じ理由さ。彼らのおばあちゃんがびっくりしててさ。反宗教的なものをノイジーに、Hellhammerみたいに限られた演奏テクニックでやっていたんだ。Metallicaにはジェイムズ・ヘットフィールドとクリフ・バートンがいたからレベルが違っただろ。ベロオリゾンテのシーンは素晴らしかったと思うよ。少ない楽器をシェアして、みんなでノイズを出してたんだからね。彼らは演奏テクニックがなかったから、学校でもカバー・バンドをやれず、代わりにオリジナルの曲をやってのさ。一方俺の学校では、みんなカバーをやっていた。俺がセパルトゥラに加入したとき、ベロオリゾンテに行ってパウロの家に泊まったんだ。そこで練習をやっていたからね。それで俺は彼らとSlayerやKreatorの曲を演奏した。当時ベロオリゾンテにはカバーをやるという習慣がなかったんだ。俺が加入した最初のショウでは、Destructionの「Curse the Gods」をやったよ。テクニカルな曲だろ。俺のトラディショナルなヘヴィ・メタルのバックグラウンドと、彼らのロウなタイプのアティテュードが混ぜ合わされたんだ。Kreatorもそういうサウンドだったよね。『Schizophrenia』はその産物さ。「Inquisition Symphony」は、「俺たちだってちゃんと演奏できるんだぞ」と見せつけるための曲だった(笑)。『Schizophrenia』は、転換点となったアルバムだと思う。ゲートフォールドで歌詞やアルバム用の特別な写真がプリントされていて、非常に細部までこだわっていたし。Cogumelo Recordsのスタッフの協力もあって、非常にプロフェッショナルな作品に仕上がった。あのアルバムのおかげでRoadrunnerとの契約を得て、全てが始まったんだからね。あと、リオにはDorsal Atlanticaがいたよね。あそこはサンバの街だから、ロック好きには住みにくいところなんだ(笑)。ライヴをやれるところも少ないんだ。サンパウロやベロオリゾンテの方がアクティヴだったね。

川嶋:ハードコア・パンクは聴いていましたか?Olho Secoとか。

デリック:Olho Seco!

アンドレアス:いや、俺はパンクじゃなかったから好きじゃなかった。当時メタルとパンクはライバル関係にあって、本当に殺し合いをしていたんだ。スキンヘッドとかと揉めたり、とても危険だった。なのでパンクには偏見を持っていた。そのうちSex PistolsやThe Clash、Ramonesを知ってね。この3バンドのおかげでパンクを聴くようになった。それからマックスとイゴールがいろいろ教えてくれたんだ。Suicidal Tendencies、COC、GBHやフィンランドのハードコアRattusやTERVEET KADETとかね。最初は好きではなかったけど、ハードコアを聴くようになってからは影響も受けるようになった。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

パウロ:ベロオリゾンテの水は飲んじゃダメだよ。

(一同爆笑)

アンドレアス:ジャパン、戻ってこられて嬉しいよ。サポートしてくれてありがとう。次回はもっとすぐに戻ってくるよ。ありがとう。またすぐに日本に来て、もっと色々な曲を演奏して、もっと長いあいだ滞在したい。日本が好きだからね。

デリック:サンキュー。


 17年ぶりとなったセパルトゥラの来日公演。当然「マックスもイゴールもいないんでしょ?」という声は方々から聞こえた。だがそのステージは、そんなステレオタイプな批判など簡単に吹っ飛ばしてしまう凄まじいものであった。エロイ・カサグランデは本当に人間なのかと疑いたくなるようなドラミングを見せるし、他のメンバーのリズム感もちょっと普通ではない。やはりサンバの国で育ったブラジル人というのは優れたリズム感を持っているのだなと思いつつも、しかしそれだとExterminatorやNecrofagoみたいな酷いにもほどがあるようなバンドもブラジルには大量にいる説明がつかないなどと、どうでも良いことを考えたり。とにかくここまで圧倒されるステージというのは、そうそうお目にかかれるものではない。あのステージを見た方々なら、私が決して大げさに書いているわけではないことがおわかりだろう。

Exterminator

 インタビュー後、デリックに確認してみたが、彼がBad Brainsのオーディションを受けたのは、『Quickness』のリリース後とのこと。86年にBad Brainsは、歴史的名盤『I Against I』をリリース。アルバムは商業的にも評価的にも大成功であったが、翌87年にヴォーカリストのH.R.が脱退してしまう。バンドは次のアルバム『Quickness』(89年)をTaj Singletonをヴォーカルに迎え製作するが、マスタリング直前まで進んだ段階で、結局H.R.が復帰。ヴォーカルをすべて録り直した上でのリリースとなった。ところが、『Quickness』リリース翌年の90年、H.R.がまたバンドを抜けてしまう。デリックが彼らのオーディションを受けたのはこの時だ。で、結局このオーディションに合格したのが、マイク・パットン加入前のFaith No Moreで歌っていたチャック・モズレーだったのである。昨年亡くなってしまったチャックだが、彼がBad Brainsに在籍していたのは、90〜91年という短い期間。そんな珍しい編成のライヴをロンドンで見たと、インタビュー中アンドレアスが語っているのである。

 それから、アンドレアスがサンパウロで見たというギター2人体制のVenomのライヴも、非常にレアだ。86年4月まで、クロノス、マンタス、アバドンというオリジナル編成でアメリカ・ツアーを行っていたVenomだが、その後マンタスが脱退。代わりにジミー C.、マイク H.という2人が加入する。(マイク H.は、のちにCathedralやCarcassにも参加するマイク・ヒッキ―だ。)この4人体制で、86年12月ブラジル・ツアー、そして87年10月に日本にやって来ている。というか、これがこの体制でのツアーの全貌なのだ。この4人で『Calm Before the Storm』(87年)というアルバムを作っているが、そのステージを見られたのは、ブラジルと日本のファンだけなのである!記録を見てみると、サンパウロでのライヴが86年12月10日。Venom、Exciterのほかに、Vulcanoが出演している。ベロオリゾンテが12月5日で、こちらはVenom、Exciter、そしてSepulturaというラインナップだ。あまりにゴージャスすぎるランナップに眩暈がする。

 と、すっかり話が脱線してしまった感があるが、とにかくセパルトゥラのライヴは凄すぎたということに異論があるものはいないだろう。ぜひ次回は17年後ではなく、すぐまた来年にでもやって来てほしいものだ!

取材・文:川嶋未来 / SIGH


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