【インタビュー】Myles Kennedy

2018年03月27日 (火) 19:45

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 ALTER BRIDGEやスラッシュのソロ・プロジェクトのシンガーとして活動しているマイルス・ケネディが初のソロ・アルバム『YEAR OF THE TIGER(イヤー・オブ・ザ・タイガー)』を完成させた。ブルースやアメリカのルーツ・ミュージックをベースにしたアコースティカルな楽曲を中心にしつつ、メロディアスなロックやハード・ロック・ナンバーなども収録したこの作品は、父親を亡くした幼少期をテーマにしたコンセプト・アルバムのスタイルとなっているという。マイルスのエモーショナルな歌声も聴きどころとなったこの作品についてマイルスに話を訊いた。

――素晴らしいソロ・アルバム『YEAR OF THE TIGER』が完成しましたが、そもそも2009年にソロ・プロジェクトをスタートさせると発表していましたよね。今回のアルバム『YEAR OF THE TIGER』は2009年に作り始めたものと同じものですか?

マイルス・ケネディ(以下M):いや、違うものだ。そのアルバムは2016年に完成させたんだけど、全体を客観的に聴いてみて、自分が作りたいと思っていたアルバムではないと判断したんだ。それで、一旦全部を反故にして、一から作り直したんだよ。今回の『YEAR OF THE TIGER』は、幼い頃に父を亡くしたことがコンセプトのアルバムなんだけど、最初に作ったアルバムは、色々なアイディアの集まりという感じで、様々なストーリーを語っていた。必ずしも一貫したテーマがあったわけではなかったんだ。今回の方が遙かに焦点が絞れた作品になっているよ。

――その2009年以降は結果的に、スラッシュのプロジェクトに関わることとなり、ALTER BRIDGEと両方でプレイすることになりました、両方で活動したことで、ミュージシャンとしてどういったプラスがありましたか?

M:とても忙しくなったよ(笑)。でも、それは良いことだ。どちらのバンドもタイプが違うしね。スラッシュはブルース・ベースな音楽をやっているし、ALTER BRIDGEはプログレッシヴなヴァイブがあって、メタル色も少し強めだ。だから、どちらのバンドも違う面を鍛えてくれる。パフォーマーとしてもソングライターとしても成長させてくれたと思う。とても忙しくなり、いつも音楽を作って、いつもツアーをやっているようになった。そういう風に何かをとことんやるというのは、良いことだからね。進化させてくれる。アーティストとしての俺もより明確になったと思う。

――スラッシュとALTER BRIDGEの両方で曲作りを行なっていた時に、ソロ用の曲を書くこともありましたか?

M:この7年ぐらいの間は、スラッシュと沢山ツアーをして、ALTER BRIDGEで沢山ツアーをしていて、曲作りもどちらかのプロジェクトに焦点を定めてやっていたから、自分のソロ活動のために再び書き始めたのは、最初に作ったソロ・アルバムをお蔵入りにすると決めた後だったんだ。そして、去年の始めに少し休みを取った後、本格的に自分の曲を書き始めたんだ。

――『YEAR OF THE TIGER』は、ブルース、フォークなどをベースにしたアコースティカルな楽曲がメインになっていますが、アコースティカルな音楽ではあなた自身はどういったアーティストから影響を受けているのですか?

M:凄く大きな存在だったのは、ジミー・ペイジだったと思う。特に彼の変則チューニングへのアプローチには影響を受けているよ。それから、フィンガー・スタイルではミシシッピ・ジョン・ハートと、それから、もっとモダンなタイプではクリス・ウィートリーだと言えると思う。この2人は『YEAR OF THE TIGER』で俺が使っているテクニックの大きな影響源になっている。こういった人たちがアコースティック・プレイヤーとしての俺にとって、凄く重要な存在だよ。

――シンガーとしてはどういったアプローチで臨みましたか?

M:このアルバムでやりたかったのは、低めの声域で歌うことだった。スラッシュでもALTER BRIDGEでも、エレクトリック・ギターがたっぷり入っているから、そういったものに埋もれないように、俺は高い声で歌うことが多いんだ。でも、今回は低めの声域で歌うことで、曲と歌詞が違った形で伝わり、違う形で聴いてもらえる。それも、アコースティック・ギターでレコーディングをしたことの素晴らしさだったよ。ヴォーカルに沢山のスペースを残すことが出来たからね。


――インストゥルメンタル・プレイヤーとしてはいかがですか?

M:このアルバムで凄く重要だったことの1つが、総てが完璧すぎるものにしない、ということだった。それが、ProToolsやコンピュータを使うのではなく、大半を2インチのテープにレコーディングすることにした理由でもあったと思う。コンピュータは完璧過ぎるものに出来るからね。それが人間らしさを奪ってしまうこともある。音楽の素晴らしさの1つは、人間の不完全さだよ。俺が大好きなアルバムには、どれも、速すぎたり遅すぎたりする部分があるし、ちょっとしたミスが入っていたりして、それがそのアルバムには魂が込められていることを教えてくれるんだ。だから、完璧でないものも大事にするというのが、凄く重要なことの1つだった。

――アルバムにはコンセプトがあるということですが、いくつか曲をピックアップして簡単に紹介していただきたいのですが、まず「Years Of The Tiger」はいかがですか?

M:「Years Of The Tiger」は、基本的には、このアルバム全体の過程を描いたものになっている。この旅を母の視点から見ていて、父が亡くなった後、俺達が踏み出そうとしている旅の始まりの“ときの声”のようになっているんだ。

――「The Great Beyond」は?

M:歌詞は父が亡くなった夜の記録になっているから、凄くへヴィなテーマで、歌詞を書くのもチャレンジになったよ。

――サビのハイ・トーン・ヴォイスのインパクトがありますが、これは歌詞が決まってからメロディが決まったのですか? それともメロディに合う言葉を見つけたのですか?

M:歌詞をメロディに合わせて書いたよ。俺の頭の中に聞こえていたのはジェフ・バックリーだった。彼は初期の俺に凄く影響を与えたくれたよ。メロディを書いている時には、あるフレーズや、母音の集まりが一緒に自然に出て来ることがあるんだ。具体的なフレーズは忘れてしまったけど、歌詞の内容がはっきりしてからは、ストーリーの進み方にぴったり合ったというか、あの夜、父があの夜俺達がいる場所から離れて、遙か遠くに行ってしまったというストーリーをシュールリアルな表現で語るものになったんだ。だから俺には完璧に辻褄の合うものになったんだよ。

――「Blind Faith」はいかがですか?

M:父への手紙のようなものになっていて、彼に「自分がやっていることが本当に判っていたのか? 気付いていたのか?」と質問しているものなんだ。というのも、彼はある宗教を信仰していたから、病気になっても医者にはかからなかったんだ。父はその病気で死んでしまうなんて思ってもいなかったと思うんだよ。だから、あなたは本当に自分がやっていることを理解しているのか、という質問を投げかけているんだ。

――「Devil On The Wall」は?

M:この曲では、時間がかなり先に進んで、僕は大人になっているんだ。そして、不安や色々な問題を乗り越え、子供時代の状況に終止符を打とうとしているんだよ。これと「Hunted By Design」という曲は、同じテーマを扱っている。

――この曲はロカビリー風のリズムが特徴の曲ですが、何故、こういったアレンジにしたのですか?

M:俺のこれまでのキャリアで、ロカビリー風のことを試みたこともなかったと思うけど、ずっと敬意を抱き、素晴らしいと思ってきたジャンルだったんだ。だから、やり甲斐のあるチャレンジだったよ。とてもアメリカらしい曲になっているし、このアルバムにはカントリーのようなヴァイブがある曲も入っているから、そういう音楽的なテーマとよく合っていると思う。特に中盤のギター・ソロは、ブライアン・セッツァーへの敬意を表したものにもなっているんだ。彼のこともギター・プレイヤーとして物凄く尊敬している。それから、ビッグなリズム・ギター・パートの多くは、エルヴィス・プレスリーのアルバムを沢山聴いてきたから、同じようなフィーリングを出したいと思っていたんだ。そういう意味でも、楽しかったよ。アルバムの曲の多くは音楽の響きはかなりダークだけれど、これはどちらかというとアップビートだし、アップテンポだからね。それがこのアルバムに必要だったんだと思う。

――最後の「One Fine Day」は?

M:最も前向きな曲だ。俺達は辛い経験をしてきたけど、変化はすぐに訪れる、近い将来にとても良いことが沢山起こるから、それをじっと待っていろ、と言っているんだ。だから、本当に前向きな雰囲気で終わるんだよ。このストーリーにはハッピー・エンディングが待っているんだ。

――3月からソロ・ツアーが始まりますが、どういったものになりそうですか?バンドのメンバーは?

M: 3月と5月にやるソロは俺1人の完全なソロ・ツアーだよ。アコースティック・ギターを持って、『YEAR OF THE TIGER』からの曲を基本に、これまでの25年のキャリアから選んだ曲を演奏するよ。それから、夏にやるツアーはバンドを組んで、ほぼ全曲が『YEAR OF THE TIGER』の曲というものなる予定だ。

――その他の今年の予定は?

M:今のところ、ソロの活動以外は何も決まっていないよ。多分ALTER BRIDGEの次のアルバムの曲を書き始めて、2019年に6枚目のアルバムをリリース出来たらと考えているよ。

取材・文 Jun Kawai



日本盤 ボーナストラック収録

Year Of The Tiger

CD

Year Of The Tiger

Myles Kennedy

価格(税込) : ¥2,750

会員価格(税込) : ¥2,530

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発売日: 2018年03月09日

輸入盤

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発売日: 2018年03月09日

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