【コラム】In a SCAR / Junichi Nakamura 第2回

2017年02月10日 (金) 21:15

|

HMV&BOOKS online - ヘヴィーメタル


【コラム】『Arde Conmigo』

日本の皆さんこんにちは。スペインからの逆輸入J-Metalバンドと言えば私、In a SCAR の Junichi です。昨年末にリリースしたアルバム『En este momento』も大好評で日本の皆さんからたくさんの感想を頂き感謝感激しております。そんな私にローチケHMVのメタル担当氏からのお勧めでスペイン情報をお伝えするコラムをやらせて頂く事になりました。宜しくお願い致します。

今日はまずこの写真を見て下さい。ロックンロールメタル、髭、リッケンバッカー、ジャックダニエルと言えば…これだ!ウノ、ドス、トレス!(スペイン語でワン、ツー、スリー)


そう、皆さんご存知、モーターヘッ…あら…。何か違和感を感じます。昔、ロッテのビックリマンチョコだと思って駄菓子やでガチャガチャしたらロッチだった…そんなせつない思いに駆られます。そう、彼らはモーターヘッド (Motorhead)ではありません!モーターヒッツ (Motorhits)と言う本家モーターヘッドのトリビュートバンドなのです。前回のコラムでもスペインのバンド事情を書かせて頂きましたが、スペイン人、特に私の住んでいるバルセロナがあるカタルーニャ県は閉鎖的で新しい音楽を受け入れません。メタルも然り80年、90年代のバンドが何より人気があります。その為にホワイトスネイク、ジューダス等のカヴァーバンドが多数存在します。例えば Whitesnake のカヴァーなら Whitesnaked 等一字変えたり、BON JOVI のカヴァーなら Bounce 等アルバムタイトルをバンド名にしたり。お客さんもお金を払って新しいバンドを見るよりは好きなバンドのカヴァーを見る傾向にあります。因って当然オリジナルのバンドの何倍も動員がありカヴァーバンドの活動だけで家族を養える程の収入を得ている知り合いもいます。カヴァーバンドで有名になることが唯一スペインで音楽で飯を食う手段との言葉も耳にしました。しかし本家の名を語ってロックしようなんざロッチにも劣る!と思う前に百聞は一見にしかず、彼らに会うことにしました。

早速連絡先を探すとリーダーがチャミー(Xammy)と言う人でレミーやないんかい!と突っ込もうと思いましたが関東人の私はスルーしました。意外にもすぐに返事が来て(スペインは通常3日後返信)さらに次の日にバルセロナの隣の市、バダロナと言う所でライブがあると言うのです。パスも出してくれると言われ意外とロッチ優しいなと思いました。普通のオリジナルのバンドのチケット代はせいぜい5ユーロとかその程度ですが彼らは12ユーロ、さらにワンマンライヴでホールも300人規模です。それだけでもオリジナルのバンドよりカヴァーの方がウケるのがわかりますね。

当日、電車に揺られ30分、駅からさらに徒歩30分。21時にサウンドチェックが終わる(本番は23時、24時に終わって朝までパーティーがスペイン流)と言われていましたが、私、もう5年もスペイン暮らしをしております。21時集合なら21時半に着くのが粋ってもんよ、と言うわけで30分遅刻したにも関わらずさらに30分待たされました。やはり本場の遅刻は違う。自分の修行の足りなさを実感しました。そしていよいよチャミー登場!しかしここでも私はロッチの罠に嵌ってしまいました。チャミー=レミーが好き=ベースだと言う固定観念…チャミー、ドラムでした(笑)そしてヴォーカル、ベース担当の人と握手をするなり「久しぶり!元気だった?」と言うわけです。こ、これは良くある「えーっと、誰だったっけかなぁ」のパターン!ここで「うん」と言ってもし罠だったら嘘つきだと思われるし、かと言って知らないって言っても失礼だし…と言う葛藤を0.4秒で終え、得意の彫刻の様な仏頂面で知りません、と言うなり「○○の友達だろ?」と追い討ち。まず○○君を知らんし!よくよく聞いたら彼と○○君は以前他のモーターヘッドのカヴァーをしてたそうです。だから○○君知らんし!


そんな事気にしていても仕方無いので彼らとの自然な会話の中から色々聞き出してみました。まず何故にモーターヘッドのカヴァーなのか?その答えはシンプルでメンバー全員がレミーの音楽、人柄、考え方を尊敬しているとの事でした。チャミーはドラムだけどレミーを尊敬しているって事ですね。罠じゃなくて安心しました。ライヴは2010年の結成以来毎週末、つまり年に50回以上しているそうです。この数はスペインのバンドでは多分1番多くやっているのではないかと思います。他のオリジナルのバンドなんて年に5回もしませんからね。また、他のモーターヘッドのカヴァーバンドとの違いは完コピ、そして情熱だそうです。レミーになり切るポイントは付け髭と帽子、そしてロックンロールへの情熱。後はとにかく自分たちもお客さんも偉大なレミーの音楽で楽しみレミーの音とスピリッツを継承したいとも語ってました。


最後に我 In a SCAR の1stアルバム『En este momento』をプレゼントしました。話しているうちにロッチと一緒にして申し訳なかったと思うようになりました。彼らはコミカルなデフォルメも一切無しに尊敬の一念で音、姿格好も同じにしている気がしたからです。付け髭、楽器云々の話をしていた彼らを見た時、ふと18歳くらいの時に原宿の竹下通りで好きなバンドのメンバーと同じ黒い服を買ったり好きなギタリストが使ってるエフェクターを買ったりしてた自分と重なりました。それに手段はどうであれこの音楽的に悪環境の国でワンマンライヴでホールを埋めるのは驚きもあります。ただ違いは自分が継承だけで満足しなかったと言う話です。もしそれだけで満足してたらこの『En este momento』と言うCDを作ることも無かったと思います。何かをそのまま継承するのはとても大切なことだとも思いますし継承するだけで無く形を変えて伝えていく(進化と呼べるかもしれない)事も大切に思います。自分は後者。メロデスも好き、90年代のV系も好き。ただそれをそのまま継承するにはエゴが強い人間で自分の要素も入れたくなる、継承するだけの仕事は他の人に任せたいです。そのエゴの上でもし作ったものが受け入れてもらえるならこんな幸せな事は無い、そんな気持ちでこれからもギターを弾き曲を作っていけたらと思います。

Junichi / In a SCAR


デビューアルバム

En este momento

CD

En este momento

In A Scar

(3)

価格(税込) : ¥2,700

会員価格(税込) : ¥2,484

まとめ買い価格(税込) : ¥2,295

発売日: 2016年12月28日

【コラム】In a SCAR / Junichi Nakamura

【コラム】In a SCAR / Junichi Nakamura

スペインからの逆輸入J-METALバンド In a SCAR を率いる日本人ギタリスト Junichi氏によるコラム。※スペイン語によるコメント動画を追加しました。

HMV&BOOKS online-ヘヴィーメタル|2017年01月30日 (月) 19:30

スペインから J-METALバンドが逆輸入デビュー

スペインから J-METALバンドが逆輸入デビュー

4年前、単身スペインに旅立った日本人ギタリストがスペイン人メンバーと共に結成したバンド、In a SCAR が逆輸入デビュー。

HMV&BOOKS online-ヘヴィーメタル|2016年10月27日 (木) 17:30

%%message%%

最新ニュース・情報を受け取る


In A Scarに関連するニュース

HMV&BOOKS online最新ニュース

最新ニュース一覧を見る