ビョーク本人登場 「Bjork Digital」スペシャルトークショー

2016年06月30日 (木) 19:20

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6月29日(水)より日本科学未来館で始まっているビョークの実験的なVR(バーチャル・リアリティ)音楽体験展示プロジェクト、「Bjork Digital」。この画期的な展示会に先立ち、ビョーク本人と今回のプロジェクトに関わっている制作チーム、「Dentsu Lab Tokyo」のコラボによるプレイベント「Making of Bjork Digital」が6月28日(火)に展示会会場と同じ日本科学未来館の3Fのジオ・ステージ前で開催された。

この日、ビョークが観客の前で披露したのは、『ヴァルニキュラ』の収録曲「クイックサンド」。世界同時配信されたパフォーマンスと、公開収録となった計2度の歌唱。その貴重な現場にいた一個人の感想としては、ビョークのヴォーカルの力強さと、その小さな身体から放出される異様なまでのオーラを、こんなに間近で見ることが出来ただけで感慨深いものがあったわけだが、会場の観客はストリーミング配信の映像をタイムリーに見ることが出来なかったため、最新テクノロジーの演出効果を肌感覚で体験することができなかったことが唯一、残念ではあった。しかし、トークショー前に設けられた休憩時間に、21時まで限定でYouTubeに上がっていたアーカイブ映像を見てぶったまげることとなる。ステージ背後にある巨大な映写型地球儀、ジオ・コスモスとビョーク自身がお互いにサウンドとリンクしながら、様々な色の光の模様を浮かび上がらせ、まるで宇宙にある未知の物体のようでもあり、体内の細胞や脳波をナノテクノロジーで可視化したようでもある、壮絶な映像がそこには映し出されていた。あのパフォーマンスがこうなるとは...。

世界初となった360度VR映像でライブストリーミング配信の試みの模様はこちらの オフィシャル・レポート を参照してください。

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30分程度の休憩をはさみ、ファンには嬉しいスペシャル・トークショーへ。日本科学未来館の内田まほろ氏を司会に、ビョーク本人、そして今回のパフォーマンスの制作を担当した3人、今回のプロジェクトのクリエイティブ・ディレクターを務めた菅野薫氏(Dentsu Lab Tokyo)、テクニカルおよびAR映像のディレクション、ライティングデザインを担当した真鍋大度氏(ライゾマティクスリサーチ)、VRの映像とジオ・コスモスに出ている映像を手掛け、この日の収録した映像の演出も担当する映像ディレクターのTAKCOM氏(P.I.C.S. management)が登壇した。

こちらではそのトークショーのQ&Aを書き起こしてみた。ビョークがVRの作品を作ってみようと思ったきっかけや、このコラボレーションに至った経緯やエピソード等、興味深い話をたっぷり聞くことができた。また、今回の来日に際して行われた各メディアによる読み応えのあるビョークのインタビュー記事とも被る部分もあり、合わせて読むと、「Bjork Digital」、そして『ヴァルニキュラ』への理解がよりいっそう深まるのではないだろうか。

▼来日中のビョークが語る本音「今の時代の変化を歓迎しているの」(CINRA.NET)
http://www.cinra.net/interview/201606-bjork
▼音楽の発明家、Bjorkインタビュー:「VRはライブすら超えるかもしれない」(ギズモード・ジャパン)
http://www.gizmodo.jp/2016/06/bjork.html
▼ビョーク来日「音楽への接し方、変わってきた」(朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6W6Q7GJ6WUCVL02G.html

2016年6月28日(火)Making of Bjork Digital -スペシャル・トークショー

登壇者
ビョーク、菅野薫(Dentsu Lab Tokyo)、真鍋大度(ライゾマティクスリサーチ)、TAKCOM(P.I.C.S. management)、ファシリテーター: 内田まほろ(日本科学未来館)

ビョークが衣装着替えのため、4人が先に登壇。内田まほろ氏が今回のプロジェクトのメンバーを紹介。そして、 菅野氏が改めてこの日の前半部分のライブパフォーマンスについて説明した。

菅野:会場の皆さんはいきなりあのパフォーマンスを見させられて、何のことかさっぱりわからなかったと思うのですが、先ほどご覧になってもらったパフォーマンスは、大きく3つの側面を持っております。一つは今日この場にいらっしゃった方だけが体験することができた、肉眼でとらえた彼女のパフォーマンス。もう一つは、先ほどアーカイブを見られたかと思いますが、YouTubeを介してリアルタイムで世界中にストリーミング配信された360度VR映像。それは肉眼でとらえることは出来ないのですが、360度のAR映像と事前にレンダリングされたVR映像が付加されて、実際に起こっていることとバーチャルで起こっていることが複合されたり乗り替わったりするという映像です。三つ目の側面は今日のパフォーマンスは記録されて、そのデータと映像を活用して、これから世界中に展示するアーカイブ、ミュージック・ビデオとして残されるということです。 ライブであり、生中継施策であり、公開収録という側面もある、新しい体験を作るための実験のようなものです。 ライブを見に来たというよりも、ビョークと一緒に最新の実験をするのを皆さんに立ち会っていただいた、体験していただいたということです。

この後、キュートなお団子ヘアにピンクと黒の衣装に着替えたビョークが会場に登場し、大きな拍手が巻き起こる。上階で立ち見をしている観客にも「ハロー」と声をかけ、「ありがとうございます。ここに来られてうれしいです」と、あの歌声と同じ声で喜びを表した。そして、さっそく本格的なQ&Aがスタートする。

『ヴァルニキュラ』は「ギリシャ悲劇」のような作品だから、VRで実験的なアプローチをしたら面白いのではないかと思ったの


内田:Digital Bjorkを行う理由と、最新アルバム『ヴァルニキュラ』で、なぜVRをテーマに新たに制作をしたのか教えてください。

ビョーク:簡単に説明するには、まず前作『バイオフィリア』の話をさせてください。 今回のアルバム『ヴァルニキュラ』は『バイオフィリア』とは正反対の性格を持った作品だからです。 『バイオフィリア』の時は孤島に行って曲作りを行ったのだけど、最近のテクノロジー、タッチスクリーンを使ったりアプリを使って曲を作ったわ。曲が出来上がると同時に自然の要素や音楽的理論を取り込んで進化していった作品なの。 今回の『ヴァルニキュラ』は全く正反対で、まず先に曲が出来上がったわ。 その出来上がった曲、作品には物語性があるの。そして、私の作品としては初めて、楽曲が時系列を辿った一つの物語が存在している。それはいわゆる従来の作品の構成であるし、時系列を追う「ギリシャ悲劇」のような作品だから、VRで実験的なアプローチをしたら面白いのではないかと思ったの。私はもともと、まだ知られていないテクノロジーを使って何かをやることが好きだけど、ただ使うだけではないの。使う以上はしっかりそこに背骨がなくてはいけないと思っているの。この『ヴァルニキュラ』は強い物語性という点で一つしっかりした芯があるので、(最新テクノロジーの)VRがぴったり合うのではないかってね。

内田:VRを一番最初に使ったきっかけを教えてください。そしてその可能性も。

ビョーク:2年前、NYのMoMA(ニューヨーク近代美術館)で回顧展を開く前に、映像を作ってくれないかという依頼があって、「ブラック・レイク」を作ることになったの。(映像作家の)アンドリュー・トーマス・ホワンに相談して、最初は360度で撮りたいね、という話をしていたのだけど、MoMAの展示部屋には大きいスクリーンが2つあったから、それを使ってビデオを撮ることに変えたのよ。2つのスクリーンそれぞれ違う映像が流れていて、その間を人々が行き来する、大きい部屋ではないので閉塞感がある、そういった作品ね。MoMAと、シドニーのエキシビションでもスクリーニングしたわ。

「ストーンミルカー」撮影でVRの面白さに目覚めて、アンドリューともっと他にも撮影しようって


この曲は、日本の北の狭い谷間にある温泉で書いたの。その閉塞感が凄くMoMAにぴったりなんじゃないかってね。アンドリューと1年かけて、MoMAに合わせるために20回もやり直しをしたわ。この作業ですっかり疲れてしまって、辟易していたときに2人でアイスランドに行ったの。その時、たまたま360度撮れるカメラがあって、アンドリューが「明日これで「ストーンミルカー」のビデオを撮りに行っちゃわない?君の一番好きなビーチに行ってさ!」と提案してきたのよ。カメラクルーも用意できたから、8時間後にはそのビーチに行ってたわ。しかも、たまたま私の誕生日だったから、とても上機嫌で撮影することが出来たの。この曲はポップ・ソングで、グルグルと回る感覚のある曲だったから、360度でやったら面白いかもってね。この撮影でVRの面白さに目覚めて、アンドリューともっと他にも撮影しようという話になって、「ファミリー」も撮ったのよ。まだ半分しか完成してないけどね。 こうやって一つ一つVRの作品を作るごとに新しい試みを重ねていて、段階的に進化しているわ。多分、今日やったこと(パフォーマンス)は、今までで一番、大胆な試みだったんじゃないかしら。

内田:「ストーンミルカー」のお話をされているとき笑顔ですね。その時、本当にゴキゲンだったというのがわかりますね。

ビョーク:撮影の後の打ち上げは盛り上がったわ(笑)。

内田:今日披露した360度VRライブストリーミング作品が生まれてきたプロセスを教えていただけますか?

ビョーク:Dentsu Lab Tokyoとのコラボのきっかけは、ジェシー・カンダ監督の「マウス・マントラ」のビデオで彼らが技術面でサポートしてくれたことね。あのビデオの後も、お互いに何か出来ないかと熱意を持って話をしていたところ、Dentsu Lab Tokyoからライブストリーミング、なおかつVR360度で、しかもお客さんの前でやってみないかと提案されたの。楽曲を「クイックサンド」に決めたのは、曲が短いというのと、焦燥感、かきたてられる感情を表現している曲ということで、このパフォーマンスに合うと思ったの。この曲のリズムはストロボのような間隔だし、ライブストリーミングするとオンラインで見ている人たちにもこの感情が強く伝わるのではないかと感じたの。

また、このプロジェクトにはもう一人、重要なコラボレーターがいて、ネリ・オックスマン教授がいるわ。今回装着した3Dプリンターで制作したヘッドピース、つまりマスクね。これは3Dプリンターで60時間かけてプリントをして制作したものなのよ。そもそも私が他人とコラボレーションするときは、お互いのアイデアをじっくり練って、1年くらいかけて形にしていくの。双方で提供して受け入れる寛大さを持って、そして均等な関係で物事を進めて行くことが大事ね。それはネリ・オックスマンもそうだし、Dentsu Lab Tokyoとのコラボレーションでも強く感じたわ。

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オフィシャル・レポはこちら

Making of Bjork Digital -公開収録&トーク

ビョーク 世界初360度VRライブストリーミングでパフォーマンス

来日中のビョークが360度VRライブストリーミングにて前代未聞パフォーマンス、超貴重なトークショーを行った。本日6月29日より日本科学未来館にてVR展示会スタート。

HMV&BOOKS online-洋楽|2016年06月29日 (水) 12:30


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