【インタビュー】ミュージカル「アップル・ツリー」演出 城田 優

2016年03月22日 (火) 21:00

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ミュージカル「エリザベート」のトート役に代表されるような、イケメン&カッコいいスマートな役柄はもちろん、絶賛公演中の地球ゴージャスプロデュース公演「The Love Bugs」でのイケメンなのにどこか抜けているファニーな役柄までこなし、新境地も見せる城田優。 役者として幅広い表情で魅せる城田優が、今度は“演出”に挑戦するという。

初演出作品として選ばれたのは、ミュージカル「アップル・ツリー」。
3幕構成のブロードウェイ・ミュージカルだ。
オーディションを行い、歌唱力、演技力のあるメンバーを選出、ワークショップを経てキャストを決定…と、今まさに“演出家”としての活動は始まったばかり。インタビューを行った時点ではまだ配役が発表されておらず、この直後に開催するワークショップで、全配役を決定・発表するというフレッシュなタイミングだった。
そんな忙しい最中、“演出家” 城田優としてインタビューに応えていただいた。

物語を作ったりアイディアを考えたり。
とにかく“物を作る”ことが好きなんです。



―以前より演出を志していたということですが、具体的にはいつ頃から、何がキッカケでそう思われるようになったのでしょう。

城田 演出を志すというほどの大それたものではなく、漠然とした思いを持っていた程度です。小さい頃からおもちゃを使って物語を作ったり、ゼロから何かを生み出すとか、1を2にしたり4にしたりとか、とにかく“物を作る”ことが好きなんです。加えて、ここ5年ほどでミュージカルに挑戦する機会が増えてきましたし、主演を務めた際に相手役が新人の方になるなどのいろいろな偶然が重なってきたりして、その都度、演出家の方が言っていることを噛み砕いて伝えたり、教えたり、芝居を見てあげることも増えてきたんです。そこで楽しさに気付いたというか、自分だったらどうしてみたいかなと思うようになっていきました。あまりマジメじゃなくて申し訳ないんですが(笑)、今回、運と縁でやらせていただくことになった感じです。

―徐々にご自身の中で演出への興味が芽生えていった感じなんですね。

城田 そうですね。俳優のお仕事をさせていただく中で徐々に、という感じです。いつか演出をやりたいと思ってはいましたが、そのために勉強をしているとかもないですし知識も何もない状態なので、まさかこんなに早く機会をいただけるとは思ってもみなかったです。ある意味チャレンジとしてやらせてもらえると受け止めています。

ー小さい頃から物語を作っていたということですが。

城田 もちろん友達とも遊んでいましたが、基本的に一人で人形などを使って物語を作るのが一番好きでした。中学くらいまでやっていたんですが、周囲がもうそういうことをしていないと知ってから急に恥ずかしくなってやめちゃいました。それに気付かなかったら、恐らく高校生になっても「お前はそっちへ行け!俺はこっちに行く!」とか言いながら遊んでいたと思います(笑)。

―これまでに、物語を書いてみようと思われたことは?

城田 そうですね…僕が出演しているような舞台やドラマの脚本のようなものはありませんが、僕の場合は、曲作りがそれにあたるかもしれません。歌詞は僕にとって物語なんです。物語を作ったりアイディアを考えるのが好きなので、プロットレベルのものであればたくさんあるんですが、小説のように書かれているものはありませんね。音楽もトラックだけなら変なものも含めると100以上は持っています。でも温めているとかでは全然なくて、ただ好きだから作っているだけなんですよね。自分で聴いて、はい、おしまい、という感じなので、世に出すことはないと思います。誰にでも出来るレベルのことしかしていないです。

―ええっ、とんでもないです。誰しもが出来ることではないと思います。

城田 そんなことないと思いますよ。僕はパソコンで曲を作るんですが、やり方を教わってないので方法自体間違えているかもしれないですし、えらい遠回りしながらめっちゃ一所懸命にやっているだけかもしれませんから(笑)。でも、ただ純粋に楽しいんです。“作品のために”とか“バランスを考えて”というようなことはできないので、作品としての価値はないと思いますが。

ー才能やセンスがなければ、逆に我流こそ難しいと思います。

城田 そうかもしれませんね。最低ラインのセンスはあるのかもしれないです(笑)。

「アップル・ツリー」には生きる上で大事にしたいものが詰め込まれている。



ー“初演出”は、かなりのプレッシャーなのでは?と想像しています。

城田 いや、本当にそうです(笑)。ドキドキしますし、昨日も夜一人で「大丈夫かなあ」と思っていました。僕は、台本を擦り切れるまで読むというよりは、インスピレーションに頼るタイプなんです。一回読んだときに受けたイメージを具現化していくだけで、その後回数を重ねて読むのは、セリフを覚えるためだけなんですね。考えているうちに、それは演出においても同じかなと思ったんです。不安は感じますが、演出家に立場がシフトしたとしても、今までの自分のやり方で一回やってみたらいいんじゃないか、という結論に達したんです。そもそも小さく細かく読み込んで、書き込んで…というのは、僕には備わってないんですよね(笑)。

ーやり方が変わると、ある意味“城田さんの演出”ではなくなってしまうかもしれませんしね。

城田 そうだと思います。誰かの真似をしたり、「普通はこうだよ」といわれる“普通”に属した時点で“スペシャル”ではなくなるので、僕はとりあえず“スペシャル”でやってみようかなって(笑)。だから今キャストの皆さんに質問をされても「え?なに?どこのページ?…持ち帰ってもいいですか?」と全然回答できないかもしれないです(笑)。

ー「アップル・ツリー」を選んだのは、城田さんご本人ですか?

城田 最終的に決定したのは僕ですが、皆で選んだというのが一番正しいかなと思います。僕はエンターテイメントにおいて、シンプルなもの、誰もが共感したりできるわかりやすいものが好きなんです。「アップル・ツリー」は3幕構成でオムニバスになっているのも面白いなと思いました。この作品の中には、僕が生きる上で凄く大事にしたいものはもちろん、誰もが大事だと思っているようなこと、誰もが持っている感情とかが詰め込まれていて、誰しもが感動できるお話になっていると思うんです。子どもでも涙を流せたり、どうなるんだろうとドキドキしたり。そういうことを踏まえて、いくつか並んでいる候補の中からこの作品を選びました。

ー今回は、演出家として、今後ステップアップしていくためのトライアル公演のように受け止めているのでしょうか。

城田 自分の今までの経験全てをフルに活かして、この「アップル・ツリー」という作品に取り組んだときに、どんな化学反応が起こるか、そして何より出来上がった舞台を観た人がどう感じるかが一番大事だと思うんです。とりあえず自分の頭の中にあるアイディアを全部出して作って、皆に渡して、演じてもらって、観てくれるお客様がどう思ったかで、僕は次に進むかどうかを考えると思います。

ーとても冷静ですね。

城田 やりたいだけではエゴになってしまうし、それなら誰もが認めるアイディアを持っている人がやるべきだと思うんです。僕は、まだ自分がどうなのかがわからないんですよね、だからとりあえず一回やってみて、僕がどう思ったかよりも、人がどう思ったかを仰いで、その上で自分がどうか判断するべきだと思うんです。現時点ではとても楽しんでいますが、これから自分の環境がどうなるか本当に未知数なので、次を含め、そこからの話になると思います。それがプロフェッショナルというものだろうと思っています。

「“城田優の初演出”というのは二度とないので、ぜひ観に来てください」(城田)



ー第三者の意見を重んじる感じとか、ご自身を相当客観的に見ていらっしゃいますね。

城田 本気でやっているとは言え、こう見えて基本的にネガティブ思考なものなので(笑)。見た目には自信満々で、傲慢とかわがままとか思われがちなんですが、凄くネガティブ思考で、人にどう思われるかを常に考えています。ちゃんと自分の想いを伝えたいがために言葉数も増えがちで、だんだん「そうじゃない、こうだ」とやっているうちにぐちゃぐちゃになってしまいますし(笑)。小さい頃から自信がないまま生きてきているので、「いや、もう、とにかく観てください!」みたいなことは言えないんですよね(笑)。だから演じる時には、誰にも負けないくらいに回数を繰り返してセリフを練習して、セリフがどんな状況でも飛ばないくらいに叩き込んだり、絶対に間違えないくらいに歌い込んだりします。昔から土台を固めて踏んで踏んで踏みまくっていくタイプです。

ープロ根性ですね。常に全力投球なのがお話を伺っていると分かります。

城田 そうですね。でもそれ以上に怖いからなんです。失敗したくないし、その一回が評価につながることもあると思いますから。お金を払って観に来てくれるお客様に、今自分が出来うる最高のエンターテイメントを届けなくてはいけない、という想いもありますしね。でも、今回地球ゴージャスさんの舞台に参加させていただいて、若干変わった部分もあるんです。これまで、舞台の時には普段と違うギアを入れて臨んでいたんですが、ギアをニュートラルに入れて緩めておくのも楽しいなと思い始めてきました。アドリブとかの柔らかさ、笑いをとることや臨機応変さのようなものはこれまでになかったので、そういう意味では、“新境地”とおっしゃっていただけるのは本当にそうだと思います。自分で加減をしたり、アドリブを考えて入れてみたりすることが日常的に起こっているので、とても目新しいですし、そんなにカチカチにならなくてもできるんだと、新しいやり方、取り組み方を教わっている感じです。

ー役者としても新たな面が磨かれてますます成長しているんですね。これから挑む“演出家”としての一面もとても楽しみになりました。最後に舞台を楽しみにしている皆さんに意気込みをお願いします。

城田 この作品は、誰が観ても面白いし、メッセージが伝わる物語だと思います。そのシンプルな物語に、僕がどんな魔法をかけられるか、どんなベールをまとわせることができるかが見どころかなと思います。“城田優の初演出”というのは二度とないので、ぜひ観に来ていただきたいです。僕は出演しませんが、恐らく劇場で観ているかと思います(笑)。今、僕の頭の中で出来上がっている想像よりも、はるかにステキなものが舞台でお観せ出来ると思っておりますので、ぜひ劇場までいらしてください。

公演概要


ミュージカル「アップル・ツリー」

2016年5月28日(土)〜6月7日(火)
赤坂RED/THEATER

出演:岸祐二 上野哲也 小山侑紀
   杉浦奎介 関谷春子 豊原江理佳
   和田清香

脚本:ジェリー・ボック&シェルダン・ハーニック
   ジェローム・クーパースミス
作詞:シェルダン・ハーニック
作曲:ジェリー・ボック
日本語脚本:青井陽治

演出:城田優
音楽監督:西野誠
振付:ENDo

舞台美術:中根聡子
照明:高見和義
音響:山本浩一
衣裳:牧野iwao純子
ヘアメイク:馮啓孝
舞台監督:幸光順平

宣伝美術:山下浩介

宣伝:櫻井麻綾
制作:馬場順子、伊藤哲哉
制作助手:加藤美秋
制作デスク:西川陽子

プロデューサー:渡辺ミキ

公式HP:https://appletree.themedia.jp/

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