【インタビュー:前編】 tha BOSS [THA BLUE HERB] 『IN THE NAME OF HIPHOP』

2015年10月13日 (火) 18:00

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THA BLUE HERBのMC: tha BOSSが、その18年のキャリアにおいて初めてのソロ・アルバムをリリースする。『IN THE NAME OF HIPHOP』というド直球なタイトルが示す通り、貫かれる統一したメッセージはヒップホップ。参加アーティストもそれぞれのヒップホップ観を持った濃い面々が集結している。日本語ラップシーンの中で孤高の存在、異端であり続けたtha BOSSのヒップホップを改めて見せつけ、また所謂ヒップホップシーンど真ん中までかっさらってしまうような作品。また、THA BLUE HERBよりもパーソナルな部分にまで踏み込んだ表現もこの作品の特徴だ。
今回、ソロ・アルバムを完成させたtha BOSSにインタビューさせて頂いた。
インタビュー・文:松井剛


--- 昨年暮れにリリースした般若さんとのコラボシングルから、tha BOSS という名義で活動されていますが、ソロ名義をILL-BOSSTINOではなくtha BOSSとした事に理由はありますか?

ずっとILL-BOSSTINOでやってきたんですけど、今までとは違う新しいプロジェクトを始めるにあたって、別の呼び名にでもしてみようかなという感じですね。

--- すごくシンプルな呼び名で、むき出しのBOSSさんそのもの、というような印象も受けたのですが。

そうですね。それも無意識にあったかもしれないです。

--- 今回ソロアルバムの前に、客演集『BORDERS』もリリースされますが、客演の時とソロでは意識的にも違うものでしょうか?

そうですね。客演の場合は、僕が外に出て行って曲を創るので。今回に関しては、僕がみんなを招いたっていう事で、そこがまず決定的に違いますよね。

ソロアルバムだからこそ出来る事


--- THA BLUE HERBでは、自分以外のラッパー、O.N.O以外のビートメイカーを招かないですよね。それ以外にも、決まり事のようなものはあったのでしょうか?例えば言葉遣いであったり。THA BLUE HERBでのラップよりも、もう少しラフな言葉遣いもみられるように感じたのですが。

意識はしてなかったですね。言葉遣いに関しては、僕の美意識なのでルールだてたものは一切ないです。トラックであったり、曲の中の何かしらがそういうラフさを引き出したのかもしれないですね。

--- テーマ的にはいかがですか?今回のソロ作にはTHA BLUE HERBでは歌われなかったテーマの楽曲もあるように思いますが。

基本的にTHA BLUE HERBには既に人格があるんですよね。1997年に誕生して、今年で18歳を迎えるTHA BLUE HERBという人格の中で起こる事を歌っていこうっていうのが自然とある。今回はソロアルバムなので、例えば俺の幼少期の話にも踏み込んで書けましたね。THA BLUE HERBではそこは書かない。なぜならTHA BLUE HERBは俺とO.N.Oで一つだから。

--- THA BLUE HERBでの制作と比較して、ある意味制限を解除した状態での制作だったと思うのですが、そのやり易さ、あるいは難しさなどはありましたか?

まぁ、そうは言っても、惚れた腫れたのラブソングを歌うわけじゃないですからね。結局自分の中のヒップホップ観の中でやってるから、ペンから言葉を導くっていう意味ではTHA BLUE HERBの制作とそれ程違いは感じなかったですね。

『TOTAL』で極めてしまった一つの頂点


--- 今回ソロとして動き出す「きっかけ」のようなものはあったのでしょうか?

自分的にはTHA BLUE HERBの『TOTAL』で「現状のやり方で出来る頂点を極めた」っていうのがあるんです。あれを作り終えた時点で「これを超えるものを作るのはそう簡単ではないな」っていう風に我ながらに思ったんですよ。そういう精神状態に至ったので、逆に言うと「ソロをやるタイミングは今しかないな」とも思ったんです。 18年間ラップ稼業をやってきて、その中で「いつか一緒に曲を作ろう」っていう仲間ともたくさん知り合った。それはこれからも増えていくと思うんです。僕も今44歳で、もうすぐ40代後半になっていく。そういう意味では、この段階で1枚作ってみたいって思ったんですよね。

--- アルバム参加アーティストはどのように選んだのでしょうか?

基本的にこの18年間で出会った友達っていうのがメイン。それとは別に僕の周りにいるスタッフと一緒に話していて名前が挙がった人で、一緒にやりたいなって思った人にお願いしました。

--- 最終的にこの参加アーティストを選んだ基準というのは。

基本的にヒップホップだよね。一つの縛りとしては。もう一つは、会った事のある人。会話を交わしてお互いの事を知っているっていう人から声をかけたっていうのはあります。

--- 声はかけたけど参加できなかったアーティストっていうのは?

たくさんいます。

--- レコーディング自体はどのように進んでいったのでしょう?

都内のスタジオで、みんなに足を運んでもらってっていうやり方が8割くらい。後は僕がその人の地元に足を運んで録ったり、札幌でも録りましたね。

--- データのやり取りではなく、実際に同じレコーディング・スタジオに入って録ってるんですね。

そうですね。中にはレコーディングで会えなかった人もいるけど、基本的に面通しでオファーしてるし、連絡は密に取り合って制作してましたね。

--- 実際のやり取り的には、どのように?

ビートメイカーに関しては、俺のリリックがあがっている事が殆どだったので、そのリリックとビートに関する要望を投げて、それに対して返してもらう感じが多かったですね。

--- ラッパーの場合はいかがですか?

それも同じような感じですね。ラッパーに関しては、ビートも既にあがった状態でお願いしてる。ただお互いヴァースを入れて終わりっていう風にはしたくなかったので、お互い言葉を合わせるような作業は繰り返したし、そこにはすごく気を使いましたね。

同フォーマットの中でクオリティーの高いものを作る


--- THA BLUE HERBって問答無用でヒップホップなんだけど、オリジナリティーが強すぎて、日本語ラップシーンの中では孤高の存在というか。シーンの流れと別軸で語られる事が多かったと思うんです。それが今回のソロでは、所謂ヒップホップシーンど真ん中に切り込む作品という印象を受けたのですが。

確かにそこは凄い意識したと思う。俺らはTHA BLUE HERBを王道だと思ってやってるけど、やっぱり大きな流れでいうと異端ですよね。今回これだけたくさんの参加アーティストと一緒にやるのであれば、何か一つ統一したメッセージが欲しいと思ったんです。そうなるとどう考えてもキーワードはヒップホップ。人と違う事をやって目立つっていうより、みんなと同じフォーマットでクオリティーの高いものを作りたいっていう意識が今回はすごい強かったのかもしれないです。

--- 日本語ラップシーンのど真ん中もかっさらっちゃうよ、みたいな意識もあるのでしょうか?

まぁ、そうですね。

アグレッシブに攻める冒頭〜そして招かれるラッパー


--- アルバム冒頭3曲目までは客演なしで、相当ギラギラした感じですしね。

初動は自分の力だけでやりたかったっていうのはあります。自分一人の力で止まっていた物を動かすっていうか。

--- 4曲目からいよいよラッパーの客演が入ってくるわけですが、相手とのやりとりを楽しんでいるように感じました。

そうだね。楽しんだね。特にBUPPON、YUKSTA-ILLとの「HELL'S BELLS」に関しては、短いヴァースをどんどん繋いでいくので、僕が書いたリリックをBUPPONに投げて、BUPPONがYUKSTA-ILLに投げて、それが自分に帰ってくるっていうリレーみたいな作業が楽しかったですね。田我流に関しては、通常の2倍くらいの長いヴァースをお互い乗り超えるっていう意味では簡単な仕事ではなかったので、そういう面白さがあった。6曲目みたいに、昔から札幌にいるヤツと、これまで見て来た札幌のシーンを歌うっていうのも、これまでには無かったので面白かったですね。三者三様というか、4人とも違って楽しかったです。

--- ELIASは、北海道のラッパーなんですよね。

ELIASは、札幌はもちろんアンダーグラウンドヒップホップでは常識な名前なんだけど、これからもっと大きなフィールドに広がる余地のある人だと俺は思ってたんで。純粋に彼の存在を知って欲しいと思うし、そういう機会になればいいと思います。フックアップとは違いますね。


インタビュー:後編に続く
アルバム後編、B.I.G. JOE、YOU THE ROCK★、そしてDJ KRUSHとの共演

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tha BOSS [THA BLUE HERB]

価格(税込) : ¥4,320

会員価格(税込) : ¥3,974

発売日: 2015年10月14日



<収録曲>


1. HELL-O MY NAME IS… Beats by Olive Oil
2. I PAY BACK Beats by HIMUKI
3. BLOODY INK Beats by DJ KAZZ-K
4. HELL'S BELLS feat. BUPPON, YUKSTA-ILL Beats by YOUNG-G
5. WORD...LIVE feat. 田我流 Beats by Southpaw Chop
6. S.A.P.P.O.R.A.W. feat. ELIAS Beats by NAGMATIC
7. REMEMBER IN LAST DECEMBER Beats by INGENIOUS DJ MAKINO
8. MATCHSTICK SPIT Beats by PENTAXX.B.F
9. SEE EVIL, HEAR EVIL, SPEAK NO EVIL Beats by PUNPEE
10. NOW IS NOT THE TIME Beats by INGENIOUS DJ MAKINO
11. WE WERE, WE ARE feat. B.I.G. JOE Beats by LIL'J
12. 44 YEARS OLD feat. YOU THE ROCK★ Beats by DJ YAS
13. LIVING IN THE FUTURE Beats by DJ KRUSH
14. ABOVE THE WALL Beats by DJ KAZZ-K
15. ...RELEASED ALL Beats by grooveman Spot

Mixed by TSUTCHIE for SYNC TWICE at Baaaaad Mobile

THA BLUE HERB ライブ情報


12月30日 東京@LIQUIDROOM
12月26日 京都@Octave
12月25日 広島@4.14
12月23日 沖縄@Output
12月22日 福岡@DRUM Be-1
12月18日 金沢@AZ
12月17日 大阪@CLUB QUATTRO
12月13日 札幌@Bessie Hall
12月12日 北見@UNDERSTAND
12月8日 名古屋@CLUB QUATTRO
12月5日 福島@CLUB NEO
12月4日 仙台@LIVE HOUSE enn 2nd



ソロアルバムと地続きの客演集

発売中

tha BOSS(THA BLUE HERB)ソロアルバム前に客演集

MIXは盟友: DJ HIKARU。様々な境目"BORDERS"を打ち壊して自由であろうとしてきた1人の旅人と、その友人達との交歓の記録。この交歓は、ソロアルバムと地続きになっているようだ。

HMV&BOOKS online-邦楽・K-POP|2015年07月31日 (金) 19:00

tha BOSS[THA BLUE HERB]も参加

10月28日発売

DJ KRUSH 約11年振りオリジナルアルバム『Butterfly Effect』完成

全世界のヘッズ待望。DJ KRUSH 約11年振りオリジナルアルバムがアナログとCDで発売される。ソロアルバムも待たれるtha BOSS[THA BLUE HERB]も参加。

HMV&BOOKS online-邦楽・K-POP|2015年08月20日 (木) 19:00

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THA BLUE HERB インタビュー

去る2月18日、都内某所で行われた、THA BLUE HERB の MC:ILL-BOSSTINO のインタビュー。新作DVDでも垣間見えるBOSSさんの"素"。ロングインタビューと併せてご覧下さい!

HMV&BOOKS online-ジャパニーズポップス|2009年03月06日 (金) 11:00

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