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クレンペラー&ウィーン・フィルBOX

2005年6月10日 (金)

CD1からCD7には、1968年ウィーン芸術週間での5公演を収録!
(すべてムジークフェラインでのステレオ・ライヴ録音)

CD8には1958年のドイツ・レクィエムを収録!
(状態の良いモノラル・ライヴ録音)

吉田秀和氏の名著『世界の指揮者』の中に有名な一節があります。「...これはすごかった。あとにもさきにも、あんなに大きな拡がりをもった《第五》をきいたことはないといってよい...」
 ここで触れられている『運命』はじめ、激しくしかも高貴な美しさが深い感動を呼び起こす『コリオラン』、空前絶後のスケールに目も眩むばかりのベートーヴェンの交響曲第4番、壮大に開始され情熱的に締めくくられる圧倒的な『ジュピター』、終楽章コーダのとんでもなく深い呼吸と巨大さに思わずのけぞるブルックナーの交響曲第5番などなど、とにかく凄いとしか言いようのない演奏内容と大ヴォリュームで、1968年初夏の5週間、「ウィーン芸術週間」の特別な記録をムジークフェラインザールでの良質な録音で味わえる素晴らしいセットの登場です。

 オットー・クレンペラーの唯一の音楽財産の継承人で、人生すべてを父に捧げ、彼を偉大なる芸術家たらしめた功労者として知られる、娘ロッテ・クレンペラー。彼女は死の前年「父の録音は、今後EMIとテスタメント以外からはリリースさせない」との声明を発表。これは、いかにテスタメント社が絶大な信頼を得ていたかの証明でもあります。
 実際、彼女の死後も信頼を裏切ることなく最良のかたちでのリリースを重ね、遂に、今回のボックス・セットのリリースへと実を結ぶこととなります。

 クレンペラーのウィーン・フィル・デビューは1933年。この記念すべきコンサートに、クレンペラーは切り札「ブルックナーの第8番」を提案します。ところが、リハーサル終了間近になって、同市のトーンキューンストラー協会管から「同じ週にブルックナーの8番を演奏することをすでにアナウンスしてしまっているので、プログラムを変更して欲しい。」との要請が届きます。クレンペラーはブルックナーの他の交響曲ならどれでもできると申し入れ、ウィーン・フィル側は第5番を指定。そしてなんと、クレンペラーはスコア無しでリハーサルをこなし、このコンサートを大成功に導いたのです。アメリカ人評論家B.H.ハギンは「この第5番のコンサートと、この年の夏のザルツブルクでの第8番、そして、9月の世界聖餐会議における特別コンサート(9番)で、クレンペラーは、フルトヴェングラーでもワルターでもなく、彼自身が最も偉大で印象深いブルックナー指揮者であることを証明してみせた。」と評しています。当時のファゴット奏者でトスカニーニの信頼も篤かったフーゴー・ブルクハウザー(クラウスとは対立していましたが)は、「クレンペラーは、ワインガルトナーやシュトラウスとともに失われてしまった感覚を思い出させてくれた。宗教的で祈りにも似た音楽家としての感覚。彼の慣習に捕らわれない左手の動きはまるで魔術師のようだった。」と回想します。

 クレンペラーは1947年にウィーンに戻ってきますが、その後このオーケストラと共演するまでには、11年の歳月が流れます。その11年後の再会が、ボーナス・ディスクにあるブラームスの『ドイツ・レクィエム』でした。
 「我々はこの曲を何十回と聴いている。シューリヒト、フルトヴェングラー、カラヤン・・・。なのに、昨日ムジークフェラインにいた誰しもが、ブラームスの『ドイツ・レクィエム』を初めて聴いたかのような錯覚に捕らわれた!」これが翌日のウィーン・エクスプレスに掲載された評でした。

 5年後の1963年6月、クレンペラーは再びウィーンを訪れ、得意のレパートリーでもあるマーラーの交響曲第2番『復活』を指揮して大評判となります(ちなみにこのときはウィーン響にも客演しており『エロイカ』と『コリオラン』ほかを演奏しています)。

 次にクレンペラーがウィーンを訪れたのは1968年のこと。この年は、プラハの春、キング牧師暗殺、ロバート・ケネディ暗殺など、世界的に政治的暗雲が立ち込めた年でもありました。
 この年の2月から3月にかけて、クレンペラーはロンドンで『さまよえるオランダ人』の録音と演奏会形式上演をおこない、続いてマーラーの交響曲第9番をコンサートで取り上げます。さらにジャクリーヌ・デュプレとのR.シュトラウスの『ドン・キホーテ』のレコーディングにとりかかりますが、残念ながらこれは途中でキャンセルしてしまいます(ボールトが引き継いで完成)。

 5月にはいよいよウィーンへ。過去に輝かしい実績を残してきたクレンペラーとウィーン・フィルでしたが、83歳という老齢の指揮者との仕事が容易なものであったわけではありません。さすがのウィーン・フィル団員ですら「異常なまでの緊張感と超絶した即興演奏能力を要求された。」と当時を振り返ります。
 「特に、マーラーの9番!」コンサート・マスターであったワルター・ウェラーも、この交響曲最大の難所をまかされたホルンのローラント・ベルガーも口を揃えます。ホールの3列目でこのコンサートを実際鑑賞した、スワロフスキー、アバドそしてメータは終演後「ウィーン・フィルはマーラーの9番を体で理解してしまった!」と舌を巻いたとか。また、『ドン・ファン』のリハーサル時、フルートのウェルナー・トリップがソロ・パッセージの部分をもう一度練習するか確認したところ、クレンペラーは「わたしは、あなたがたがこのパッセージを完璧に演奏するであろう確証をすでに得ている。ありがとう、諸君!これで終わりだ。」といってリハーサルを打ち切る場面も。(この言葉がどれほどの緊張感を生んだか想像してみてください!)
 この一連のコンサートの中で、当初のプログラムからの変更は3箇所。3番目のコンサートでは、ハイドンの交響曲第101番の代わりに、クレンペラー編曲の『ラモーのガヴォット』が演奏され、そして、4番目のコンサートでは、暗殺されたロバート・ケネディを追悼してモーツァルトの『フリーメイソンの為の葬送音楽』(残念ながらオフィシャルなテープが存在しません)がマーラーの9番の前に演奏されました。そして最終日、シューベルトとシュトラウスの後にはもっと伝統的なものがふさわしいと、指揮者とオーケストラの同意があり、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』の代わりに、『マイスタージンガー』の初演100周年を記念して、ワーグナーの3曲が演奏されることになったのです。


【1968年5月19日】
・J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 BWV.1046(Disc.6)
・モーツァルト:セレナード第12番 K.388/384a『ナハトムジーク』(Disc.1)
・モーツァルト:交響曲第41番 K.551『ジュピター』(Disc.1)

【1968年5月26日】
・ベートーヴェン:序曲『コリオラン』Op.62(Disc.2)
・ベートーヴェン:交響曲第4番 Op.60(Disc.2)
・ベートーヴェン:交響曲第5番 Op.67『運命』(Disc.3)

【1968年6月2日】
・ラモー(クレンペラー編曲):ガヴォットと6つの変奏(Disc.3)
・ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(Disc.4)

【1968年6月9日】
・マーラー:交響曲第9番ニ長調(Disc.5&6)

【1968年6月16日】
・シューベルト:交響曲第8番 D.759『未完成』(Disc.2)
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』Op.20(Disc.7)
・ワーグナー:ジークフリート牧歌(Disc.7)
・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』〜第1幕前奏曲(Disc.7)
・ワーグナー:『マイスタージンガー』〜第1幕前奏曲(Disc.7)

Disc.8
【1958年6月15日(モノラル)】
・ブラームス:ドイツ・レクィエム
 ヴィルマ・リップ(S)
 エバーハルト・ヴェヒター(Br)
 ウィーン楽友協会合唱団

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)


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発売日:2005年07月28日

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