【対談】aCae × Akira Kosemura ジャパニーズ・ポップス・インタビューへ戻る

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2009年11月19日 (木)

interview

aCaeのCDをツアー中のホテルで聴いた。深夜。
その瞬間、すべてがほどけてしまった。
月あかりのなか、喜びも悲しみも、宙に漂った。
繊細な、でも強い音楽。

曽我部恵一


11/20に曽我部恵一主宰のROSE RECORDSから1stアルバム『THEME I (シーム・ワン)』をリリースするソロアーティスト・aCae(アカエ)。「英国的な感受性をそなえた稀有な日本人アーティスト」と海外のメディアでも高い評価を受ける彼が、HMV ONLINEに初登場です。 今回の対談、aCaeさんのお相手をしていただくのは、当HPでのコラム『細い糸に縋るように』の連載でもお馴染みの、schole records主宰・Akira Kosemuraさん。 エレクトロニカ的ではあるが異なる作風、でも「日常」を感じさせる同じ空気感を醸している、そんなお二人がお互いの作品を聴き何を感じたのか。 それではご覧下さい。


テーマで言うと今回のは“朝から夜になっていく”っていう感じで



HMV お二人とも初対面なんですか?

Kosemura & aCae そうですね。

HMV 今までお互いの作品を聴かれたことは…?

Kosemura ありましたよね、ヤマハの。

aCae 昔、ヤマハのサイトだけで販売していたコンピにたまたま二人とも収録されてましたね。

HMV それはいつごろなんですか?

Kosemura 2年以上前ですね。

HMV schole始める前ですか?

Kosemura いえ、もう始めていて『Afterglow』(※Akira Kosemuraのアルバム)に収録されている曲が入っていました。

HMV どうでした?聴いてみて。

Kosemura すごく良かったです。今朝も聴いて来ました。

aCae ありがとうございます(笑)。

Kosemura 僕最近、自転車を買って。自転車乗る時によくaCaeさんのアルバム聴いてますね。すごく入ってくるんですよ。

aCae ああ、僕も好きです自転車。

HMV 逆にaCaeさんはどうでした?

aCae いやもう素晴らしいです。アルバムの1曲目でしたよね?コンピに入っていたのって。

Kosemura そうでしたね。


【 と、ここでaCaeさんのアルバム『 THEME I (シーム・ワン) 』を再生 】



Kosemura 僕、特に3曲目が好きです。あと4か5曲目、パーカッションが…

aCae ああ、4曲目ですかね。

Kosemura その曲がすごく良くて。3曲目は爽やかな印象があるんですよね。なんだか少し映画を思わせるような。
こう、“青春のなごり”が残っていて(笑)。

aCae (笑)。

Kosemura 2曲目はけっこう面白い音が鳴ってますよね。

aCae そうですね。2曲目は(作った時期が)古い曲ですね。

Kosemura 機材はアナログですか?

aCae 機材は…いや、デジタルとアナログ両方ですね。

Kosemura ドラムマシンは使ってます?

aCae (PCの)中でサンプラーを使ってはいるんですけど、生音のサンプルとか。

Kosemura なんだか、エレクトロニクスを使っている部分があったかいですよね。

aCae あっ、そうですかね。

Kosemura 僕、全然ハードウェア(機材)使ってなくて…

aCae そうなんですか?

Kosemura ええ。僕ほとんどソフトウェアなんで、出ないんですよね、そういう感じが。

aCae でも小瀬村さんもあったかいピアノの音とかありますよ。

Kosemura 生音とエレクトロニクスと両方ミックスしている時に、なかなか馴染まなかったりとか。

aCae ああ、そういう時ありますね。一回外に出したりはするんですけどね。アナログの方に出して、また戻してって感じで。

Kosemura このアルバムって音の雰囲気が全部統一されてるんですけど、これは録音後に調整しているんですか?それとも録音の段階で?

aCae いや、もう全然気にせずやっちゃってますね。たぶん機材とかも変わっちゃったりしてますし。

Kosemura じゃあ結構長い時間掛けて作っていたんですか?

aCae そうですね、ほぼ2007年ぐらいから作ったヤツで。2曲目だけはもっと古いんですけど。
質感はあまり気にせず録ってったっていう。

Kosemura それなのにすごい統一感がありますよね。僕は割と時期によって撮りたい音が変わったりするので。
アルバムの制作が一段落して、それがリリースされる頃には違う音を撮っていたりとか。

aCae ああ、でもそれは僕も違うことやりたいなーっていう風になってきてますね。



HMV 今度はどういうことをやってみたいですか?

aCae 今度はもうちょっと生というか、ストレートなことをやりたいなと。“ギターと歌”をメインで。 ちょっと色々散らかっちゃった所もあるかもしれないんで(笑)今作は。

HMV 曲のタイトルはどういう意図で付けてるんですか?
(※このaCaeさんのアルバム『THEME I』は、曲のタイトル全てに「〜について」と付く)

aCae そうですね…、このアルバムの中のどれかだと思うんですけど、最初に「〜について」っていう風に作った時に、なんかこう“焦点があった”というか…、“作った曲”と“言いたかったこと”の焦点があった感じがして、全部コレにしてみようかなっていう(笑)。

Kosemura コレは(アルバムタイトルが)『1』なんですよね?

aCae そうですね。行く行くはまた『2』を作りたいなとは思っているんですけど、ええ。
コレは3部作みたいな感じで。結構曲が莫大に溜まっていて(笑)、それを3つぐらいのカタチにまとめたいなぁと。

HMV じゃあ、それぞれのテーマがあって3部作みたいな?

aCae そうですね。

Kosemura じゃあ次は「〜について」ではないかもしれない?

aCae もしかすると違うかもしれないですね。テーマで言うと今回のは“朝から夜になっていく”っていう感じで。
(収録曲のタイトルを見ながら)「朝」から始まって、「夢」見て「昨日」っていう。

HMV ああーなるほど!

aCae また次回とかその次っていうのは、全体のテーマは変えていきたいなとは思っているんですけど。



profile



aCae (大碕正徳 Masanori Oosaki)

高知県出身。ロックバンド「embodys」で活動後、2004年よりソロ活動「aCae」を始動。 Alternative/Jazz/Acid fork/Classic/音響をこよなく愛し、暖かく柔らかな歌声と隙間の多いその楽曲は、ドイツ・イギリスなどヨーロッパにおいても高い評価を得る。 2004年クリスマス、ROSE RECORDSコンピ『私たちの音楽vol.1』への参加を機に注目を浴び始め、2005年にはドイツ映画の音楽制作を担当。 イギリスのメディアでは「英国的な感受性をそなえた希有な日本人アーティスト、彼のセンスと歌声はトム・ヨークのそれに似ている」と紹介される。 その後しばらく活動を休止していたが、2007年活動再開。 同年のシングル曲「BlackBird」は、デビッド・ボウイの主宰する世界的音楽配信サイト「Music Recommenders」 から、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、ベルリンなど世界40ヶ国に配信される。 また、同じく同年のシングル曲「蝶」は、エレクトロニカ風の作品を集めたCINRA labelとYAMAHA musicの提携コンピレーションに、唯一歌ものとして収録され話題をよぶ。 本作品は、CD&DVD の2枚組でリリースされ、DVDでは本年アカデミー賞を受賞した「つみきのいえ」の作画やケツメイシの映像作品などで知られるアニメーター・森川耕平氏とコラボレーションしている。 また、aCaeとしての活動の他に、映画音楽制作/映画出演/イラストレーター/デザイナーなどの活動も行う。

profile



小瀬村晶 Akira Kosemura
[producer / composer / schole records A&R]

1985年生まれ、東京都在住。国内外の音楽レーベルから作品を発表する傍ら、CM音楽の制作、映画やダンス公演への楽曲提供、アーティストのプロデュース、WEBサイトのサウンドデザインなど、様々な分野にて活動を展開。 schole recordsを主宰し、多くのアーティストを輩出、複合メディア「Clarity x Leaf disc」制作ディレクターを努める。2008年、最新作「Tiny Musical」を発表。また、ヨコヤマアヤノ(舞踊)、千葉祐吾(映像)と共にライブパフォーマンスを展開。