Why RENT? 〜RENTの凄さ〜
2009年7月31日 (金)
1996年1月24日、一人の偉大なクリエイターがNYの自宅アパートで突然倒れ、35歳の若さで帰らぬ人となった。 彼こそ「RENT」の生みの親、ジョナサン・ラーソンその人である。 文字通り命を削るかのように7年もの間没頭して完成させた「RENT」のプレビュー公演前日の悲劇だった。 翌25日、オフ・ブロードウェイの劇場「ニューヨーク・シアター・ワークショップ」で「RENT」プレビュー公演は予定通り開幕。弔意を示すため派手な照明や衣装は使用せずキャスト全員が座った状態で歌のみを披露するはずだったが、一幕終盤のナンバー「La Vie Boheme」で気持ちを抑えられなくなったマーク役のアンソニー・ラップが突如、テーブルに上がって歌い始めた。 それを機にみんなが立ち上がって踊り、歌い、泣き、「RENT」というギフトを遺してくれたジョナサンに心からの感謝を捧げたのだった。 こうして悲しみと希望を同時に孕みながら、ミュージカル「RENT」は誕生したのである。 この特別な作品がブロードウェイに旋風を巻き起こすまで、あまり時間はかからなかった。 同年4月29日には「ネダーランダー劇場」に移り、早くもオン・ブロードウェイに進出。 トニー賞(ミュージカル部門)の最優秀作品賞を含む主要4部門、ピューリッツァー賞、オビー賞など数々の栄冠に輝き、その年の話題を独占した。 またこれまで25ヶ国以上で上演され、“RENTヘッド“と呼ばれる熱狂的ファンが世界中に存在している。 “RENTヘッド“を多数擁する日本では、来日公演はもちろん日本人キャストによる日本版も上演され、マークを山本耕史や森山未來、ロジャーを宇都宮隆やKらが演じた。 誕生から約10年後の2005年にはクリス・コロンバス監督により映画化。 今回来日するマーク役アンソニー・ラップ、ロジャー役アダム・パスカルを含むオリジナル・キャストの多くが再集結したファンにとっては夢のような映画であると同時に、世界の隅々まで「RENT」スピリッツを伝えるのに大きな役割を果たした。 なおブロードウェイでは惜しまれながら、昨年9月7日にクローズ。 12年以上にも及ぶロングランは、ブロードウェイ史上7番目の記録を誇っている。 誕生から13年あまり。 「RENT」という作品の輝きは色あせるどころか、不景気にあえぐこの行き詰った現代において、よりいっそうの輝きを放つ。 貧困や病気に苦しみながらも「NO DAY BUT TODAY」と“今を生きること”の尊さを高らかに歌い、夢だけは失うまいとする登場人物たち。 作品を代表する名曲「Seasons of Love」でも“1年=525600分”の一刻一刻をひたむきに生きようというメッセージを、優しいメロディに乗せてストレートに投げかける。 この思いを発信したジョナサンはこの世にいないが、だからこそ「RENT」の核を為すスピリッツは不変だ。 ジョナサンの悲劇は奇跡に変容し、「RENT」が上演される限り、メッセージのバトンはいつまでも受け継がれてゆくのである。 (text by Ritsu Takeda) | RENTの凄さ | RENTについて・公演情報 | HMV渋谷でインストアイベント決定! | HMV独占インタビュー |
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