HMVインタビュー:Hiroshi Watanabe

2007年1月15日 (月)

☆『Genesis』発売記念インタビュー!



今回の作品は、初となる本人名義でのフルアルバム。そして近年のHiroshi Watanabeによるプロジェクトの作品中で最もフロアライクな美しいダンスアルバムです。

Kaito名義の作品でも定評のある柔らかで叙情的かつ力強さを感じさせる感極まる美しいメロディーラインと、ダンサブルなテックハウスのビートが絡むm-1「Sui-Sei」、そして冒頭からの緊迫感を持たせた展開から徐々に開放され天にまで昇っていくようなm-3「Your Smile, Tears」、ドリーミーかつトランシーな表題曲m-4「Genesis」を始めとして、ストーリー性のある展開でそれぞれの楽曲がダンスミュージックとして機能しつつ、コンセプチュアルな作品としてまとまっています。

そのリリースタイミングでHiroshi Watanabeさんにいろいろとお話を伺うことが出来ました!




 


Interview with Hiroshi Watanabe


Hiroshi Watanabe名義として意外にも初のアルバムリリースとなったわけですが、今作がリリースへと至った経緯を教えていただけますか?

Hiroshi Watanabe(以下:H):そうですね、経緯は至ってごく自然な感じに進んできました。といいますのもご存知かも知れませんが<Klik Records>からはまず初めに僕の様々なレーベル から出ていた楽曲をまとめてだしてくれた『Tribute To The Most Imaginative Japanese Producer』があり、そしてその1年後にDJ Mix CD『Sounds Of Instruments: 01』を出し、そして今回その流れからアルバムという事です。<Klik Records>のこの流れによって改めて作品がプロジェクト名での区切りではなく、僕の本名をしっかりと打ち出した見せ方を出来た事は非常に僕にとって喜ばしい事でした。






<Klik Records>からの作品 左から 1.名義を問わないHiroshi Watanabeのベスト盤的作品 『Tribute To The Most Imaginative Japanese Producer』/2.Hiroshi WatanabeのMix CD作品 『Sounds Of Instruments: 01』/.そして今回リリースのアルバム 『Genesis』



<Klik Records>はギリシャのレーベルですが、どのようなレーベルなのでしょうか?

H:ギリシャにはその他細かなレーベルはありますが、<Klik Records>の立ち位置というものはここ数年でかなり重要に思います。僕は彼らと作業を初めて2年程ですが、その間にもレーベルが向かう方向、ポリシー、そしてその結果出されるリスナーからの支持、フォローというものが確実に時間と共に上がっている事を感じております。ギリシャのリスナーは非常に熱心でして音楽へのリスペクトというものはとても大きいです。そんな中で <Klik Records>の作り上げている信頼というものはレーベルのそれらの真面目さから自然に得られるものだと思いますね。


Hiroshi Watanabeさんと<Klik Records>との関係の始まりはどのようなきっかけだったのでしょうか?

H:レーベルオーナーそしてDJであるGeorgeが僕の作品を耳にし、2年前にリミックスのオファーを突然メールでして来てくれた事がきっかけです。


ギリシャのクラブミュージックシーンについて教えて頂けますか?Hiroshi Watanabeさん、その他日本のアーティストに対するギリシャでの反応はどのようなものなのでしょうか?

H:シーンはそれぞれのギリシャ主要都市では変わらず盛んです。そして夏はギリシャの気候とエーゲ海に囲まれたとても素敵な場所も沢山あるし、その他にも沢山の島がありビーチではパーティ尽くしになっております。"Synch Festival"という"Sonar"をモデルとした様なとても大きな規模のイベントも夏には行われます。以前はハウスシーンも盛んだったらしいですが、近年はプログレッシブ系、テクノ、ハウスがシーンの中心の様です。

ギリシャの人は日本という国に対してもとても興味を持ってくれていますし、テクノロジーという部分や文化、そして映画など様々なシーンにおいても関心度は高いですよ。余談ですけど、笑えたのが今現在、アテネにてゴールデンタイムに僕たちが随分と昔に見ていた”風雲たけし城”が放映されているという事です!全て吹き替えでタイトルは"TAKESHI CASTLE"!!!みんな好きらしく話題になってました。




Hiroshi Watanabe 
『Genesis』

1. Sui-Sei 
2. Illumination
3. Your Smile, Tears 
4. Genesis 
5. Omega
6. Sight
7. Grace 
8. Genesis (Beatless Version)

マークはご試聴いただけます!





ギリシャという国の街の雰囲気、そしてHiroahi Watanabeさんが訪れられた時の印象的な出来事がありましたら教えていただけますか?

H:気候はアテネに関しましてはほぼ東京と同じ感じですね。でも夏は梅雨みないな感じは無くとても気持ちがよいです!そして沢山の港町、観光の場所だけではなく、地元の人のプライベートな感じのビーチなどとても素敵です。海はもちろんの事、奇麗で見事です。そして食べ物の新鮮さには驚かされますよ。ギリシャのオーソドックスな料理は殆ど日本人にも合うと思いますし、ごく一般のレストランの事を”タベルナ”って言うんですね、日本語だとそのまま”ご飯を食べるな!”という意味だよ!っていうとみんなビックリします(笑)。でもこのタベルナで食べる食事がほんとどれもシンプルなんだけど美味しいんです。魚のフライやポテト、様々な野菜のボイルしたもの、どれにもほとんどレモンをそのまま搾って食べます。もちろんオリーブオイルはどの料理にも!

この2年間の間にもう4回もツアーを行いましたので嬉しくも時に色々な場所で声を掛けられますよ。警察官とかにも「ヘイ、ヒロシ!」って(爆笑)。ある意味、日本から来ているというものが彼らにとってはとてもミステリアスであり、エキゾティックな存在という事にもなるらしく、別のヨーロッパ各国から来るアーティストとは別ものにとらえているらしいです。


そして作品についてお聞きしたいのですが、『Genesis』の楽曲、そしてジャケットのアートワークから、希望に満ちあふれているものが湧き出てくるような感情にさせてくれる作品と感じたのですが、ご自身の中での今作のテーマとはどのように考えられていたのでしょうか?

H:僕の音楽の制作手順においてはいつもそうなんですけど、テーマというものはなく、音が全て出来上がった状態で「さあ、どうしよう!」って考えるのですね。ですので今作品も果たしてどんな雰囲気に仕上がるかというのは僕自身もとても興味津々でした!もちろんプロジェクト名のない、本名のアルバムですのでね、特にくくりもなく、自由にというのは始めから思っていました。

ちょうど1年前、2005年の暮れに向けてKaitoの2nd『Hundred Million Light Years』を制作し終えておりました。そしてその約10ヶ月後にこの『Genesis』を作った訳ですが、気持ちの流れという部分に置いてはやはり共通しておりまして、とても自分自身が前を向いているというか、あえて音をポジティブに持ってゆこうという想いは意識として確実にあります。僕はイノシシ年ですので、今年は年男です(笑)。猪突猛進な感じなのでしょうね。息子たちもどんどんと大きくなってきてますしね!色々な意味で人生の次のステップである自分自身の40歳に向けた意識が働いている事は確かだと思っていますよ!!!




☆Hiroshi Watanabe 作品 



左から 1.Kaitoの1st 『Special Life』/2.Kaito1stのインスト盤 『Special Love』/3.Kaitoの2nd 『Hundred Million Light Years』/4.Kaito2ndのインスト盤 『Hundred Million Love Years』




左から 1.Treadの4作目 『Tread 4』/2.Treadの5作目 『Tread 5』/3.自身のDVD作品のサウンドトラック作品Hiroshi Watanabe 『Tiny Balance』




『Genesis』は過去のどの作品と比べてもフロアライクな作品になっていると思います。そしてKaito名義からは想像できない空気を感じたのですが、そこは強く意識してのものでしょうか?

H:Kaitoと結果的に違うサウンドになっているという事について、一つ言えるのは全く枠が無くなった時、自分自身で欲しい音というものだけを瞬発的に探した結果だと思います。Kaitoというプロジェクトは僕にとってまた、とても繊細で作り上げる上でとても様々な事に配慮をしています。ぼくの中でそれぞれのプロジェクト名によっての枠がありますので今作品はそれらが無くなった時に何が出来上がるか?が楽しさだったと思っておりますよ。


Kaito名義などこれまでにHiroshi Watanabeさんが使用してきた名義と今回の本名名義では、制作時に置ける違いなど何かあったりするのでしょうか?

H:枠がないというのは絶対なのですが、違うのはただ時間、流れ、私生活、意識、それらごく日常の中で感じるものの違いだと思います。結局は音楽も無意識レベルにおいてはその人それぞれの人生の時々のスケッチという事も言えますよね。もちろん、それを意識的に行っている人は沢山いらっしゃいますが。僕の場合はそれらは以前までは無意識で作られておりまして自分自身では認識しておりませんでしたが、最近になってやっとそういう事なのか?と思い始めている感じがあります。要するに、体験、経験、感覚これら全て含め、自分自身で体感し、実際に通過してきているもの以上の事は出来ないのではないか?という事です。そういう意味においては、一番意識している部分はやり私生活でしょうか。


Hiroshi Watanabeさんの作品は、ジャケットや楽曲というパッケージ化されたCD作品において、"トータルで一つの作品"という意識を強く持たれている方だと思います。今後は音楽配信などによって作品の発表の場に変化が起きてくると思いますが、そういったことに対してのHiroshi Watanabeさんの見解はどのようなものですか?

H: 素直に二つの気持ちがあります。一つはとても便利でなにも言う事もなく、誰もがより素早くそして多くの人の手に渡らせる事の出来る手段を得れるという事。結果、僕は現在DJセットに殆どラップトップにNative InstrumentsのTraktorを使用しております。そういう意味では楽曲を集めるのにとても便利です。

そして今現在、僕はリスニング用としてダウンロード配信で音楽を得る事は無いです。リスニング用という事ですとやはり形であるものを購入します。二つ目の僕の気持ちはそこです。自分の作品をもしもリスニング用として、愛聴して下さるのであれば、やはり形のあるプロダクトとしてその人の手元に残しておいて欲しいと素直に思うのです。

ですので、作品のリリース形態、特にパッケージ、ジャケットなどはこだわりたいですし、中身の音楽だけではなく、全てがまとまって一つの作品という意識を持ってもらえる様にと常に考えております。カメラにおいても、音楽制作においても、音楽の配信においても、今はどれも2分化されていますよね、アナログなのかデジタルなのか?というのが主に、、、最終的にはもちろん、どんな手段であれ、人の心の中に残る絶対のものであれば良いのだと思っております。選ぶのはあくまでも消費者側ですからね。心に残る、大切に感じるものを目指していつまでも作り続けたいです。


音楽や写真以外で最近強く興味を持っているもの、凝っていることはありますか?

H:やりたい事は沢山ありますよ。真面目に、子どもという存在がとても大好きですし、非常に興味を抱きます。これは父親だからという事ではなくもっと大きな意味で。ですので幼稚園、保育園の先生というのも本気でやってみたいなんて思います。

子どもって、自分の子だけではなく、全ての子が本当に一人一人大きなものを実は背負っているんですよ、時代という、そして国という大きなものを。未来ですよね。彼らが無事に素敵な成長過程を踏んで大人に成って行ってもらわないとそれぞれの国の未来がない訳です。ましてや今は少子化という大問題もあり、決して無視してはならない深刻な問題ですよね。子どもはあまりに純粋で無邪気で素直でホヤホヤな存在ですからね。どうやって、その一人一人の子どもに関わる周りの大人が何をしてあげれば良いのか?教えてあげれば良いのか?伝えてあげれば良いのか?とても関心があります。

今現在は家族と共に父親というポジションを担いながら音楽、そして写真という素晴らしい活動が出来ている事を心から嬉しくそして感謝しております。僕を支えて下さっている沢山の人のお陰ですからね。


今後の活動について教えていただけますか?

H:猪突猛進(笑)、今までと変わらず、より多くの人の手に届く作品を作り続けてゆきたいとおもっております。日本国内の活動はより活発にしてゆきたいと感じていますね。Kaito、Tread、32Project、Hiroshi Watanabe、そして、写真活動、是非、楽しみにしていて下さいね。そうそう、『Tread 6』にいよいよ取り掛かる予定ですよ。もう6作目なんです!(笑)では今後もどうぞ宜しくお願い致します。


ありがとうございました!



協力:Ultra-Vybe,inc




☆関連リンク 

>2006年6月 Kaito 『Hundred Million Light Years』リリース時のインタビュー

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