特集:佐野元春

2005年10月5日 (水)

Back To The Street!!佐野元春デビュー25周年の今年、最後の最後にBig News.

常に時代とリンクする姿勢を失わず、新たな表現を模索し続けているアーティスト佐野元春。2005年は、彼のデビュー25周年目の年でもある。

自身のアーティストとしての歴史と双子と言っても過言ではない古巣エピックレーベルを離れ、自らのレーベル"Daisy Music"からリリースした最新アルバム『The Sun』

シンプルかつ深々とグルーヴするサウンドと、佐野自身から本当にごく自然に溢れ出た言葉が編み出したトラックの数々は、今の時代に生きる人々に飾らないメッセージを有効に問いかけていた。

決して通ってきた道を戻ることなく、純粋なクリエイティビティと鋭く張ったアンテナを携え、現状に浸らずに創造を絶やさない姿勢は、25年経った今も変わらず。

最近ではインターネットを中心とした新しいメディアの可能性を示唆した活動や、音楽メディアの在り方などにも言及し、「ミスターアウトサイド」の視線も忘れない。

そんな彼のアニバーサリーイヤーを締めくくるニュースが飛び込んできた。


初期8作を紙ジャケ&リマスタリングで限定生産

今回リリースされるのは、1980年にリリースしたデビューアルバム『Back To The Street』から、1989年の『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』までの計8タイトル。

そのうちの1枚『No Damage』はベストアルバム、また『HEARTLAND』はライブアルバムであるが、佐野自身が制作に深く関わっており、アレンジの違いなどもあるので、実質オリジナルと同等の価値がある。

時代が目まぐるしく変わり、佐野元春自身もそれにリンクするかのように音楽的なトライアルを最も大胆に試みた80年代。

ヒップホップの興隆や、デジタル機材の出現など、佐野元春を刺激した出来事も多々あった。

そんな中で、ビート詩人に影響を受け、ロックミュージックに日本語のクールなリリックを乗せシャウトした佐野元春

決してキャッチーなシングル曲やミリオンヒットを連発しているわけではないのに、佐野元春は多くのファンやミュージシャンに支持を受けている。

それは、表現に対する真摯な姿勢と試み、そしてそれを結実させ佐野元春にしか生み出せない楽曲を作り上げているから。

アーティストにとって至極当然の事かもしれないが、20年以上にも渡ってそれを第一線で実践できるアーティストは数少ない。

かつて某音楽評論家が佐野元春を評した「佐野元春が音楽シーンでちゃんとやれてる事は奇蹟みたいなもの」と言う言葉。

もちろん悪い意味ではなく、純粋なクリエイティビティをモチベーションにしているアーティストが正当な評価を受けている事の素晴らしさを評したもの。

そんな"奇蹟のアーティスト"佐野元春が力強く泳ぎきった80年代の貴重な時間が、紙ジャケットとリマスタリングという相応しいパッケージに包まれてリリースされる。


リイシュー8タイトル

佐野元春
佐野元春/Back To The Street
本作は、記念すべき佐野のデビューアルバム。広告関係の仕事などを経て、24歳の時にリリースされた。後に語っているように、まさに試行錯誤という言葉がぴったりで、とにかく全てが初めての制作現場、佐野が期待感やクリエイティビティと同時に葛藤や反発も抱えていたであろうことが想像できるようなフレッシュで危うい魅力に溢れた作品。 代表曲のひとつとなる「アンジェリーナ」を始めとした、時代と世代とそこに暮らすものが抱える「気持ち」とを「都市生活」という具象を通して、的確に、なおかつクールに描写するテクニックが駆使された楽曲は当時は新しすぎて、すぐさま広く受け入れられたとはいい難かったが、佐野元春のデビューアルバムとしてかくあるべき作品。

Day After Tomorrow
佐野元春/Heart Beat
2ndアルバムとなる本作。前作のデビューアルバムでは、商業的な成功こそ得られなかったが、関係者や評論家筋からは一定の評価を受けた。この2ndアルバムでは、はやくもプロデュースを自分自身の手で行い、前作に続き盟友伊藤銀次との共作なども多数行った。後に重要な楽曲となる作品も多数収められており「ガラスのジェネレーション」や「彼女」「悲しきRadio」「君をさがしている」など、後年までライブで演奏され続けている曲の原型がここにある。

佐野元春
佐野元春/SOMEDAY
佐野元春といえばたいていの人が思い浮かべる「Someday」。ただし、それは後々テレビドラマで使用されリヴァイヴァル的なヒットをしたから。このアルバムがリリースされた当初は、商業的にシングルヒットが出たということはなかった。しかし、間違いなく佐野のキャリア初期における最高傑作であり、レコーディングにおいて佐野自身が名実共にイニシアチブをとっていたという事実も重要な意味を持つ。佐野の評価を絶対的なものにし、アーティストとしての存在感をはっきりと認識させた名盤。
「Sugartime」「Happy Man」「Down Town Boy」に至る流れなどは、奇跡的なまでの整合性を持っているし、間違いなく日本語ロックのクラシックといえる「Rock'n Roll Night」の8分を超える長尺にも、緊張感が途切れることなく、心を奪われてしまう力に満ちている。指揮をとった佐野はもちろん、起用した周りのスタッフ、、特にエンジニアの吉野金次の存在も大きい。実はこの作品のリリースと同じ時期に、佐野は大滝詠一の「ナイアガラトライアングルVol2」に杉真理と共に参加しており、多大なるレコーディングのノウハウを持っていた大滝詠一から受けた影響も大きいといわれる。

佐野元春
佐野元春/No Damage
佐野4枚目となるアルバム。実際にはオリジナルではなく、いわゆるベストアルバムなのだが、アルバムとしての統一性をもたせる為に、再録音やパートの追加など、細かく手が加えられている。そういう意味で、オリジナルアルバムと同じくらい重要な作品。さらに、このアルバムで佐野元春は初のアルバムチャート1位を記録。まさに名盤「Someday」までの流れを結実させた、佐野を語る上では欠かせないアルバムといえる。
ちなみに、このアルバムを発表した直後、佐野は単身ニューヨークへと向かうことに。帰国後発表されたサウンドのラディカルな変化を鑑みると、このベストアルバムでデビューから3年に渡る佐野の第1期は終了したといえる。

佐野元春
佐野元春/Visitors
アメリカ・NYから帰国後、佐野の新作を待ち望んでいたファンに突きつけられた問題作。当時、当然「Someday」や「ガラスのジェネレーション」のようなロックンロール/ポップスサウンドを求めていたファンにとっては、あまりにも受け止めがたい作品であった。ニューヨークに滞在中にインスパイアされたカルチャー、特にヒップホップ〜言葉をビートにのせる〜という手法に衝撃を受けた佐野は、試行錯誤の後それを日本語に変換してやってのけ、出来上がった楽曲は当然ロックンロールというより「ファンク」という印象が強い。
当時の日本のアーティストで、ヒップホップカルチャーを目撃した人間は少なく、しかも佐野のようなある程度評価の高まったアーティストが、海の向こうの街角で興隆し始めたにすぎないマイノリティなカルチャーを日本語に変換し、メジャーアルバムとして発表したとなると、理解者が少ないのは当然だった。
ただ、佐野元春というアーティストの才覚と先見性を確固たるものにしたアルバムには間違いなく、その後の表現の幅の広がりをみれば、このような形の作品が佐野自身から吐き出されたことは自然の成り行きであった。そこに気付かされたリスナーや関係者による一定の評価もきちんと得た作品。さらに、「言葉をビートに乗せる」というラップの手法を、いち早く日本語で試みた事は、多大なる評価に値する。
特に、ライブでも演奏され続けた「Complication Shakedown」や「Come Shining」などの曲は、イマジネーション溢れる言葉遊びと、時に叩き付け、時にはリズムの上を飛び跳ねるような特徴的なボーカルスタイルで、その後の日本語の(広義の意味での)ポップミュージックにおける「リズム」と「言葉」の関係性に、革新的な思考をもたらした。

佐野元春
佐野元春/Cafe Bohemia
佐野元春6枚目のアルバム。ボヘミアン達が集う1920年代のパリのカフェライフをバックグラウンドに据え、渡英して作り上げられた10曲は、前作「Visitors」で繰り広げられた革新的なプロダクションもベースにありながら、佐野が本来持っていたソウルミュージックやリズムアンドブルースの気質を感じさせる密度の濃い作品となった。前作から2年半という長いスパンも、そのあたりの距離感を掴むための準備期間だったといいえるのでは?
その証というべきか、このアルバムにはシングルが5曲収められており、特に「Young Bloods」と「Christman Time In Blue」は佐野の代表曲に数えられる。また、この後長いつきあいとなるバンド「The Heart Land」がアーティスト表記に佐野と並列にクレジットされている事からも解るように、自らの足場を固め、様々な表現を提示していく姿勢を強めていった。音楽活動に付随する形で、雑誌「This」の再開や、カセットブックという特殊形態でのポエトリーリーディング作品の発表などを活発に行っていたのもこの頃。
サウンド的にはUKの空気感を滲ませるソウルフルな手触りになっているが、歌詞の面では社会から距離を置いてもどかしく自問自答をするような、内省的なフィーリングも見受けられる。「Indivisualist」のような曲と「99Blues」のような曲が並んで収録されているところにも、それが感じられる。

佐野元春
佐野元春/HEARTLAND
前作「Cafe Bohemia」で、佐野と共に並列にアーティスト表記にクレジットされたバックバンド「The Heart Land」の名を冠した初のライヴアルバム。渋谷公会堂と横浜スタジアムでの録音で構成されており、共に歩んできたバンドへの感謝の意思表明ともいえるライブの様子が収められている。
拍手やMCなどは控えめな収録となっているし、収録曲のアレンジもオリジナルバージョンと大幅に違うものなどが収められており、単なるライヴ盤というよりも、1つの過程の記録盤といえるような内容。10代の心の機微を歌った代表曲「ガラスのジェネレーション」がスロウなアレンジで歌われているのは、歌われる内容と自身の現状とのギャップを感じていたからかもしれないが、それは逆に佐野の楽曲に対する真摯な姿勢を表している。

佐野元春
佐野元春/ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
80年代最後のアルバムとなる8枚目。このアルバムはイギリスに単身渡り現地のミュージシャンと共に制作された。日本語の曲がずらりと並ぶが、リリックの面では、かなり革新的なレヴェルになっており、デビューから試み続けていた日本語詞の探求が完全に佐野自身のものとなった事を感じさせる。
内容的にも肩の力が抜け、もはや「佐野元春語」としかいいようのないクールな切り口と言葉選びで、ロック/ポップといったスタイルこそ様々あれど、それらをグイと引き寄せるアーティストパワーそのものの方に深く感動してしまうような、中期の佐野元春を代表する傑作に仕上がっている。


遂に新作レコーディング楽曲も!

上記の通りリイシューの発売が発表されたばかりの佐野元春。さらに、新作レコーディング作品のリリースもアナウンスされた。

『星の下 路の上』と名づけられた新作は、もちろん"Daisy Music"からのリリース。3曲入りとなる今作は「佐野元春の新しいステップ」を感じさせる楽曲になっているとのこと。

今のところ、レコーディングには深沼元昭(プレイグス,mellowhead)、高桑圭(Great3)、小松茂(ノーナリーヴス)の3人が参加しているらしい。さらに片寄明人(Great3)もアドバイザーとして参加している模様。

また、某音楽ダウンロードサービスのみでの発表となっていた音源2タイトル『The Sun Studio Edition』『The Sun Live At NHK Hall』もパッケージ商品で発売が決定。

『The Sun Studio Edition』は、最新アルバム『The Sun』に収録されている3曲「最後の1ピース」「恵みの雨」「観覧車の夜」のコンプリートバージョンと名づけられた楽曲が収録されたアイテム

また、アメリカ同時多発テロ事件から数日後に、ウェブサイトからの無料ダウンロードという形で期間限定発表されていた楽曲「光」の完成版も収録されている。

一方『The Sun Live At NHK Hall』の方は、その名の通り「The Sun」ツアーの最終公演であるNHKホール(2005.2.20)でのライブの模様を収録したもの。

脂の乗り切ったHobo King Bandの演奏とともに、オーディエンスのレスポンスを受けた佐野元春の「マジック」が聞こえてくるアイテム。

2タイトルともファンからのパッケージ化の声を受けての発売となった。また、シングルを含めた3タイトルともに12月7日の同時発売となっている。


佐野元春、最新情報!

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