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ヴァント、最後の演奏会〜ブルックナー《ロマンティック》、他

2006年2月13日 (月)

ヴァント、最後の演奏会〜ブルックナー《ロマンティック》、他
許光俊 (著書『世界最高のクラシック』より抜粋掲載)

 ...頭の部分をちょっと聴いて、まず「あれ?」と不審に思う。あのヴァントならではの精密感がない。やはり老齢ゆえ、くたびれてしまったのか。

 その代わり、明るい。不思議に明るい。この演奏の聴きどころは、第1楽章の後半以降から始まる。音楽がだんだんミステリアスになってくる。もう、かつてのヴァントのように、考え抜いた音を厳格に配置するといった強い音楽ではない。音は、考え抜いてそこに置かれるのではなく、飄々と鳴っている。

 第二楽章は、驚くべき静寂さを持ち、まるで静かな和室で墨絵を鑑賞しているかのようだ。あらゆる音に愛情が込もっている。オーケストラがひとつの楽器として演奏している。誰も、どの楽器も突出しない。沈黙の深さにも打たれる。これこそ、生命の最後の最後でなければ演奏できない音楽だ。こんな音楽を聴いていると、時間が止まってしまう。
 第四楽章のコーダも感動的だ。力がすっかり抜けている。力みはまたくない。金管楽器がよけいな表情もなく演出もなくゆっくり上昇するだけで、なぜこれほどまでに澄み切った、切々とした音楽になるのか。

 この部分はチェリビダッケで聴くと一歩一歩踏みしめるように登っていくという感じがする。でも、このヴァントの演奏では軽やかに、まるで雲が上昇するかのように奏される。チェリビダッケの演奏が、まるで世界中が動き出すかというほど強烈ゆえ、私はこの部分を他の演奏家で聴いて満足することがほとんどなかった。が、ヴァントの演奏を会場で聴いたときには、思いもかけない軽やかな、空気のような音楽に驚くと同時に深い感銘を与えられた。こんなやり方があったんだと思った。

 ヴァントがこんな風に演奏したことは、今までなかった。ハンブルクでこの演奏が行われる少し前、彼はミュンヘンでも同じ曲を演奏したが、まったくこんなではなかった。本当に最後の音楽という感じがした。しばらくして彼の訃報に触れたとき、その印象が正しかったことがわかった。

 このとき、前半にはシューベルトの交響曲第五番も演奏された。シューベルトはヴァントのお得意の作曲家だった。この第五番も、最晩年とはいえ軽快なテンポで、しかし急ぎすぎず、各部分の意味を明らかにしながら進んでいく。第二楽章など、まさにたそがれの美しさと言うほかない。幽玄という言葉がふさわしい。

 このブルックナーとシューベルト、大芸術家の白鳥の歌といって、まったく過言ではないだろう...(きょみつとし 慶応大学助教授、音楽評論家 『世界最高のクラシック』より抜粋掲載) )

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ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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