M・フランシス&ラインラント=プファルツ州立フィル/マーラー版ベートーヴェン:交響曲第3、5、7、9番、他(3CD)

2024年06月03日 (月) 17:00 - HMV&BOOKS online - クラシック


マーラー版のベートーヴェンを網羅した画期的アルバムが登場!
引き締まった演奏にも注目


ウィーン・フィルの指揮者などを歴任したマーラーが、先輩作曲家たちの作品の演奏にあたりオーケストレーションに手を入れていたことは広く知られており、それぞれに録音も出ていますが、そのうちベートーヴェン作品をすべて演奏・収録したアルバムはありそうで無かった企画のひとつ。すぐれた作曲家の眼を持つ練達の指揮者マーラーの思考を系統的に追うのに好適なセットです。
 マーラー自身の交響曲は曲も編成も大規模なものですが、彼が過去の作品に行った変更は少し方向が違います。場所により弦楽器に管楽器を重ねる、弦の細かなフレーズを強調するために管のパートを省く、管の動きにオクターヴを付与する、といった楽器間のバランスを整えて効果的に響かせるためのものが多く、また細かな演奏指示も書き込まれており、指揮者マーラーがどのパートを重視したか分かるのが興味深いところです。また金管楽器の改良や用法の変遷に伴って、かつては音が出なかった旋律が足されたり、高すぎる音を下げるといった処理も行われています。
 しかしながら、ホルンは基本的に倍管となっており、『第九』はティンパニ2人を擁するマーラーらしい巨大編成へと変貌していることも事実。『英雄』葬送行進曲フーガのクライマックスや第4楽章コーダ前にティンパニが加筆されていたり、『第九』第1楽章で低弦にトロンボーンを重ねたり第4楽章でコントラファゴットのサポートにチューバが動員されたりといったところは、なかなか衝撃的でもあります。
 英国出身の指揮者マイケル・フランシスが2019年から首席指揮者を務める手兵オケを指揮してこれらを次々と浮き彫りにしてゆきます。基本となるテンポは速めで、オーケストラのサウンドは、溶け合った響きよりも細部のわかりやすい透明感を重視したもの。アクセントは強調され、フレーズを短めに切り上げるところなどピリオド奏法を取り込んでいるようですが、すべてはマーラーの意図をより明瞭に提示するために採用されたものと思われます。第九の演奏時間は64分と短めですが、第3楽章は清冽な響きでゆったりと奏で「アダージョ」の指定を守っていることを納得させます。速さやアクセントの強さ一辺倒ではなく、音楽に豊かな表情と流れがあり、勢いと推進力がある引き締まった演奏で、数多いベートーヴェン録音の中にあっても聴きごたえのあるものとなっています。(輸入元情報)

【収録情報】
ベートーヴェン:交響曲、管弦楽曲集(マーラーによるオーケストレーション版)


Disc1
1. 交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
2. 交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』

Disc2
3. 序曲『コリオラン』 ハ短調 Op.62
4. 交響曲第7番イ長調 Op.92
5. 弦楽四重奏曲第11番ヘ短調 Op.95『セリオーソ』
6. 『レオノーレ』序曲第2番 Op.72

Disc3
7. 『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
8. 交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』


【交響曲第9番のソリスト、コーラス】
 マルガリータ・ヴィルソーネ(ソプラノ)
 エヴリン・クラーエ(メゾ・ソプラノ)
 ミヒャエル・ミュラー=カステラン(テノール)
 デリック・バラード(バリトン)
 ブルノ・チェコ・フィルハーモニー合唱団

 ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団
 マイケル・フランシス
(指揮)

 録音時期:2021年10月8,9,18-22日(1,4)、2022年7月5-8日(2,3)、11月4,5日(8)、2023年11月6-8日(5)
 録音場所:Ludwigshafen, Philharmonie(1-7)、Ludwigshafen, Pfalzbau(8)
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション:1-7、ライヴ:8)


国内仕様盤

※国内仕様盤にはマーラー研究家、前島良雄氏による日本語解説が付属します。(輸入元情報)