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マグマ 最新アルバム『Kartehl 〜団結の力〜』完成 ― ジミー・トップ (b)、シモン・グベール (key)、ティエリー・エリエス (key) 加入後の新体制による待望のスタジオ作
2022年09月02日 (金) 19:30
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クリスチャン・ヴァンデ率いるフランスの偉大なるプログレッシヴロックバンド、マグマ 新体制による最新スタジオアルバム『Kartehl』
前作『Zess』発表後の2019年末にマグマは大型改編を行ない、新たにジミー・トップ (b)、シモン・グベール (key)、ティエリー・エリエス (key) 、女性コーラス陣のシルヴィ・フィジケラ、サンドリーヌ・デステファニス、ローラ・グアッラートが加入。92年のライヴアルバム『Les Voix De Magma』やクリスチャン・ヴァンデのソロを拡張した様な ”声” を重視した編成に変更されました。
すでに現体制によるライブ盤が2021年にAKTレーベルより『Eskahl 2020』としてオフィシャルリリース済ですが (正確には2021年にサンドリーヌ・デステファニスがキャロリーヌ・インジェインへと交代済)、コロナウイルスによるライブ休止期間を経て本作の制作が開始され、本作収録曲のうち「Hakehn Deis」「Irena Balladina」「Walomehndem Warrei」が 2021年秋のフランス国内ツアーで演奏されるなど順調に制作は進行され、遂に待望のスタジオ作『Kartehl』が完成しました。
タイトルの ”Kartehl” は英語でいうところの”cartel (カルテル)”=「企業連合」のコバイア表記と推測され、その名が示唆する通りマグマ名義のスタジオアルバムとしては『Merci』以来およそ38年ぶりにクリスチャン以外の人間のペンによる楽曲が収録される (シングルではフィリップ・ブソネによる「Floe Essi」の実績が有り) など、各メンバーが団結してプレイのみならず作曲・アレンジの面でも多大な貢献を果たした作品となりました。

© Christophe Abramowitz
その作曲者内訳を見ていくと、「Do Rin Ili Uss (夢の影響)」はエルベ・アクノン作、「Walomehndem Warrei (宇宙... 何故?)」はティエリー・エリエス作、「Wii Melehn Tu (他方)」はシモン・グベール作、残りの3曲はクリスチャン・ヴァンデ作となっております。
「Do Rin Ili Uss」はエルベがリーダー/作曲を務めたアカペラグループ、エイラル・ノミの延長線上にある作風と云え、5拍子系リズムの上で主旋律のボーカルとコーラスが複雑に絡み合いながらあくまで自然体な流れの上で調を柔軟に変化させてゆく、Zeuhlサウンドに近代和声、スピリチュアルジャズを溶け込ませた傑作。
「Walomehndem Warrei」は「Kohntarkosz」を思わせる3拍子系統のリズムを軸に怪しげなコーラス隊が躍動する、マグマのパブリックイメージをそのまま表現したと言ってもいいダークでミスティックな1曲。どちらかというと本家そのものというよりマグマのフォロワー勢に近い作風ながら、自由自在に強拍と弱拍を変化させるクリスチャンのドラミングを筆頭に、やはりマグマ以外には成し得ない演奏・アレンジの妙が効いています。
「Wii Melehn Tu」はブルース〜ハードロックな味付けから始まり意表を突かされますが、クリスチャンの歌も交え徐々に高みに昇る様なゴスペルソングへと変貌してゆく意欲的な作品。
一方でクリスチャンのペンによる3つの新曲ですが、実際にはいずれの楽曲も本作のための完全な書き下ろしではなく、70年代に作曲されていながらも長年の間放置されていた楽曲を再び取り上げて現編成用にリアレンジしたものとなります。
今回それを証明するかの様にマグマのスタジオ作としては珍しくボーナストラックとして、長年精神的な面でバンドを支え続けるも2015年に逝去したルネ・ガルベ、そしてクリスチャンの2名によって 78年に録音された「Hakehn Deis (神々を呼び覚まし)」「Dehnde (祈り)」のデモバージョンを収録。
Teaser MAGMA 2022 ※参考動画
3曲いずれも今回が公式初登場となりますが、77年初頭に数回だけライブにて披露された「Irena Balladina (イレーナのバラッド)」、ルネ・ガルベの幻のアルバム『Heart Music』にも曲の一節が採用されたという「Dehnde (祈り)」については、マニアの方々なら聴き覚えがあるかもしれません。前記したデモ音源からも聴ける通り、3曲いずれも『Attahk』『Concert Bobino 1981』『Merci』収録曲などと同じく70年代後半にはすでに形ができていた楽曲となり、作風としてもファンク/ソウル/モータウンサウンドの要素が加味された前記をアルバム群を想起させるものとなっています。
特に「Hakehn Deis」に関しては、そのアッパーでありながらもどこかしら哀感や郷愁を感じさせる曲調がオファリング移行直前である 82〜83年のマグマを強く思わせ、96年の復活以降のスタジオ作やライヴではまず聴かれなかったタイプの楽曲ということもあり非常に新鮮な響きを持っている1曲です。
暗く悲観的な未来を暗示したというマグマの一連の作品の中でも非常に重たい曲背景を持った『Zess』から一転して、非常に楽観的な視点を持った作品が集まったという本作。前記した通り ”声” を重視した編成という事でヴォーカル/コーラスについつい耳がいきがちですが、空間的な幅を持たせつつ沈み込むベースや鋭いプレイで効果的なフレーズを挿入するギターなど器楽面でも充実した内容。
従来でも一番フレキシブルな編成によってバンドの可能性をさらに広げた傑作です。
収録曲
マグマの関連商品情報
マグマ 2020年のツアーを収録した最新ライヴアルバム『Eskahl 2020 Bordeaux -Toulouse -Perpignan』
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マグマ 1974年英マーキークラブ ライヴ音源
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