【インタビュー】 布袋寅泰 『Still Dreamin’』

2022年02月01日 (火) 09:00

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布袋寅泰が20枚目となるオリジナルアルバム『Still Dreamin’』を自身の60歳のバースデーである2月1日にリリースした。アーティスト活動40周年を記念した映画『Still Dreamin’-布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム-』の主題歌も収録された本作には、昨年のパラリンピック閉会式でのパフォーマンスという貴重な経験や、今なお続くコロナ禍を生きる上での思いが大いに反映されたという。アニバーサリーに放つ渾身の一作について布袋に聞いた。

布袋: 昨年、ツアーが決まっていたので(移住先の)ロンドンにも当分帰らない。人との交流も閉ざされた時間の中、自分の原点に戻ってみようと故郷の群馬県高崎で小さなスタジオを借りて曲作りすると4日で10曲もの曲が書けた。イントロからエンディングまでほとんど一筆書きでした。その後、ツアー中にじっくりとリリックを練りました。コロナ禍でツアーが出来なかった2年間、部屋で録音も編集もセッティングも全て一人でやる時間の繰り返しだったけど、俺が表現したいのはそんな小さい世界じゃない。特にパラリンピック閉会式のパフォーマンス後は、より大きく、深く、晴れやかで自分にピュアな音楽を作りたくなった。リスナーが朝から聴けて元気になってもらえるような音楽を作りたいという思いがほとばしってきた。朝から聴いてもらえるようなアルバムを作ろうなんて40年間考えもしなかった。初めてのモチベーションでしたね。

そのほとばしる思いと勢いを携えて、レコーディングは主に近年ツアーを共にしているミュージシャンを集めて東京のスタジオで行った。

布袋: バンドと「せえの」で丸々アルバム一枚を録るのは『GUITARYTHM W』(1994年)以来。ドラマー、ベーシストはほぼ同年代で、僕が愛するロック黄金期のサウンドの基礎を共有している者同士。つまり僕が納得の行く形でコンダクトできるオーケストラがそこにあるという状況。原点回帰というよりも、むしろ自分の身体に流れているロックのDNAを極めて現代的なサウンドで表現することが出来た。2021年のコロナ禍に、しかも東京でレコーディングが出来たというのも象徴的だった。そうした全てのリアルが反映されています。

アルバムの一曲目を飾る「Still Dreamin’」は映画『Still Dreamin’-布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム-』の主題歌だ。

布袋: 自分のドキュメンタリーなんて照れ臭くて初めはあまり乗り気じゃなかった。でも自分の人生を初めて客観的な視点で観てみたら「俺の人生ってこんなに面白かったんだな」って(笑)。ドキュメンタリー部分にはギミック無しのリアルな布袋寅泰が映し出されているし、現在の僕がある種のストーリーテラーや狂言回しとして登場するフィクションの演出パートもある。僕の物語はまだまだ「Still」。僕のファンだけではなく、多くの人にこの曲と映画が届いて、苦難に遭った時や自分を見失いかけた時に、「夢は叶えるものじゃない。追い続けるためにあるんだ」と感じてもらえたらと願います。

「THE FIRST TAKE」でもプレイされたmicca作詞の「コキア」はフォギーでハートウォーミングな一曲だ。

布袋: miccaさんのちょっとフォギーで、それでいて透明感があって、やがて光が射すような心に残る言葉選びが素晴らしい。励まし合いながら共に歩いてきた恋人や仲間、家族やパートナーといった大切な存在に対して、ただの「ありがとう」じゃなくて「もう一歩先に行くよ」と語りかけている。ゴールのために歩くんじゃない。もしかしたらもうゴールなんて通り過ぎているかもしれない。でもその一歩一歩を優しく歩むのはこんなにも幸せなことなんだという思いを歌っている。言わば「Still Dreamin’」と双子みたいな関係性にある曲です。

さらに「POISON」、「スリル」、「バンビーナ」といったヒット曲を共に生み出してきた森雪之丞も「オペラ」、「Rock & Soul Music」、「世界はまだ夢を見ている」の作詞に参加している。

布袋: 森さんの持つ言葉の煌めきや深みは作詞家というよりも詩人。僕は森さんには「布袋寅泰を描いてくれ」とはオーダーしない。拙いながらも近年自作の歌詞が増えてきた理由でもあるけど、やっぱり自分の思いは自分自身じゃなきゃ書けないから。互いにわがままを言い合ったり、歌詞が着地するまでにすごいラリーを繰り広げることもあるけれど、僕が作詞家・森雪之丞の使い方が一番上手い音楽家だと意気込めば、森さんは僕より一枚上手に「いやいや布袋君、その上があるよ?」と言う感じでドキッとする言葉を返してくれる。ずっと刺激的なコミュニケーションです。

『Still Dreamin’』は困難な時代のなか、未だ“夢を見続ける”という道の途上にいる自身の生き様を高らかに歌う強くポジティブな一作となった。

布袋: 大人になんてなりたくなかったけど、大人のロックはずっとやりたかった。今はそれが出来る。片意地はらずにね。60歳を迎えた自分自身の生き様として自然に出てきた言葉が「Still Dreamin’」だった。この歳で「等身大」という言葉を使うのも気が引けるけど、このアルバムには本当に淀みなくリアルな布袋寅泰がいる。「あれもやれこれもやれ」みたいなメッセージなんて今は必要ないと思う。そうじゃなくて常に自分自身が人生の分かれ道をチョイスしていくためのきっかけにしてもらえたらうれしいですね。あとは皆さんのイマジネーションに委ねます。もう大人のミュージシャンだからさ(笑)。そして僕の物語は「Still」。まだまだ続きます。

取材・文/内田正樹
HMV the music & movie master ISSUE346 より一部転載

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