無人島 〜俺の10枚〜 【グソクムズ:たなかえいぞを(Vo/Gt) 編】

2021年12月22日 (水) 18:00

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風街を愛する若者たちが作り上げた“ネオ風街”。
ファーストにして希代の名盤たる風格を湛えた傑作「グソクムズ」を発売する彼らが選ぶ10枚とは?メンバー4名による連載編・今週はたなかえいぞを(Vo/Gt)の10枚。


無人島 〜俺の10枚〜 【グソクムズ:たなかえいぞを(Vo/Gt) 編】

Paul Williams 『Life Goes On』

僕は1年に一度 柴田恭平さんを欲する時期があります。
例えば、皆さんでいう海外ドラマやアニメの一気見、キャンプや釣り、と似たような感じですかね。

あぶ刑事では物足りなくなった僕は、柴田恭兵さんの80~90年代のCMを漁っていました。(当時の日本のトレンディーな感じが非常に好き。)
すると、ある80年代のCMのBGMがとても良く、30秒見ただけでとても感動してしまったのです。

その時に出会ったのが、Paul Williamsの『I Won’t Last Day Without You』
元々カーペンターズの『愛は夢の中に』で知っていたので最初はカバーかと思ったのですが、
実はPaul Williamsが作詞をした曲みたいですね。
アレンジも歌声も僕にはドンピシャだったので、調べていくうちに『Life Goes On』というアルバムまでたどり着きました。
このアルバムに入っている曲は、メロディーがとても綺麗で優しいです。
Paul Williamsの少し情けない声と、歌を消さないバランスの取れた演奏が非常に心地良い。

無人島にはあまり行きたくないけど、是非ついてきて欲しいアルバムの1つです。

▼オススメ楽曲
Out in the Country
I Won’t Last Day Without You
That Lucky Old Sun

Jimmy Cliff 『THE HARDER THEY COME』

このアルバムを聞いた時、僕はまだ多分高校生ぐらいでした。
当時の僕はジャマイカといえばレゲエ、レゲエといえばボブマーリーといった知識しかなく、ジミークリフの存在すら知らなかったのですが、友達のオススメで聞いてみたら、とても良くて、、ボブマーリーよりも古いのだけれど、僕の中には新たしい風が吹いたような感じがして、衝撃的でした。
僕のイメージだと、ボブマーリーはロックよりだけど、ジミークリフはちょっとソウルやR&Bっぽい気がして、DNA的にはジミークリフの方が自然に揺れちゃいますかね。

ちなみにこのアルバムはジミークリフのアルバムというよりかは、ジミークリフが出演した映画『THE HARDER THEY COME』のサウンドトラックです。
なので、ジミークリフ以外のアーティストの曲も多々入ってます。笑

7曲目にJohnny Too Bad という曲があるんですけど、「おぉ、ジャマイカの人って面白いな、、」って思った記憶があります。

▼オススメ楽曲
You Can Get It If Really Want
Johnny Too Bad
The Harder They Come



Neil Young 『Harvest』

シゲチーのスタンドで同じみ、Neil YoungのHarvest 。
このアルバムは19歳の時に出会いました。
ギターの加藤くんの地元のレコード屋で初めてレコードを買ったのですが、その中の一枚にはいっています。
このアルバムを聴いて、初めて70代に圧倒されたというか、他の70年代の音楽もちゃんと聴いてみようって思いました。
ニールヤングを聞かなかったら、バッファロースプリングフィールドやザ・バンドもちゃんと聴かなかったでしょうし、いわゆるはっぴいえんどのルーツ的音楽も知らないまま大人になってたかもしれませんね。
このアルバムに入っている曲は、本当に全部良いんですよ。
ニールヤングの独特のハイトーンボイスも、アコースティックギターの弦に右手を叩きつけるような弾き方も、全部真似してみました。
まぁうまくはいかなかったんですけどね、、笑
髪の毛はちゃんと伸ばしてました。笑

記憶にあるエピソードといえば、実家でアコースティックギターを弾いていたら、父親に「最近音楽はどうだ、曲は作っているのか」と聞かれたので、Heart of Gold を弾いたら「ニールヤングじゃないか!」と怒られました。
「親父ニールヤング知ってるんだ」って思った10代の話です。


▼オススメ楽曲
Old Man
Alabama
The Needle and the Damage Done



Marvin Gaye 『Let’s Get It On』

一曲目の出だしから完璧ですね。
ブラックミュージックに興味がある人はぜひこのアルバムを聞いてほしいです。
ギターのフレーズとかキメがいちいちカッコ良くて、でもそんなにくどくない、みたいな。
あとは何といったって、彼の歌声がとても素晴らしいです。
正直歌詞は英語だから何言ってるかわからないのに、なぜか意味が伝わってくるような、そんな感じがします。
心にガツンとくるんですよね。格闘技で言うとハードパンチャー。
このアルバムを通して一番強烈だったのが、3曲目のIf I Should Die Tonight という曲の1:01 ~ 1:12の箇所。
その10秒ぐらいの流れの中、1:08のところで裏声で上がるんですよ。
そこが個人的には1発KOでしたね。
多分あのメロディーライン、曲のアレンジ、歌声、気持ちの込め方?的なのが理由だと思うんですけど、日本人でできる人はいないと思います。
他の曲も素晴らしいのでぜひぜひ聴いてほしいです。

▼オススメ楽曲
Let’s Get It On
If I Should Die Tonight
Keep Gettin’ lt On



Tom Waits 『Closing Time』

20歳の誕生日の2週間前に当時付き合っていた恋人に振られました。
あんなことやこんな事をプラン立てしていたのに、19歳のえいぞを少年にはかなりのダメージ。
結局誕生日は友達と遊んだんですけど、最後に寄ったお店はお客さんが全然いないシーシャバー。
友達にOl'55を聴かされてちょっと泣きそうになりました。
当時の僕は丁度ジャケットのトムウェイツみたいな感じですかね笑笑

いやぁ、音楽って色んなシチュエーションによって、感じ方とかが違うと思うんですけど、とにかくとても感動しました。
イントロからアウトロまでの4分間で、僕を一気に大人にさせてくれたような、そんな感じがしましたね。

人は音楽と共に成長していくのかもしれませんね。
ちなみにトムウェイツが好きなのは3枚目までです。

▼オススメ楽曲
Ol’ 55
I Hope That I Don’t Fall in Love with You
Grapefruit Moon



The Band 『Music From Big Pink』

高校を卒業した時ぐらいに吉祥寺のバウスシアターという老舗の映画館が閉館しました。
他ではやっていないような映画を上映していたり、ミュージシャンがライブをしたり、根強いファンが多い映画館でしたね。
僕は数える程度しか行ったことはなかったんですけど、周りには結構いってる友人とかもいて、閉館する時はみんなけっこう通い詰めてました。

バウスシアターが閉館する最後の期間に「THE LAST BAUS」っていうイベント?をやっていたんですけど、まさにThe Band が解散するときのラストライブが「THE LAST WALTZ」っていうタイトルで、完全にパロディーなんです。笑
まぁ「THE LAST WALTZ」はドキュメンタリー映画にもなっているので、バウスシアターでも良く上映していたのですが、「THE LAST BAUS」の影響もあり、僕たちの中では、より一層The Bandにフォーカスがあたったって感じですかね。
The Band って格好良い!!ロックってこれなんだ!!って思った記憶があります。

最初に聞いたのはやはりTHE LAST WALTZの『The Weight』
いろいろなアーティストが参加していて、映像としてもとても楽しめるのですが、やはり原曲を聞きたいなと思い、Music From Big Pinkというアルバムにたどり着きました。

▼オススメ楽曲
The Weight
We Can Talk
Chest Fever



高田渡 『ごあいさつ』

やはり、高田渡さんは外せませんね。

地元が一緒という事もあり、非常に影響は受けたかもしれません。
知ったきっかけは、国分寺の超山田堂というレコード屋さんの店主に教えてもらいました。
グソクムズを結成した当時は、ギターの加藤くんとよく遊びに行っていた気がします。
当初は二人でアコースティックデュオをやっていたので、MTRでデモ音源を作っては持っていき、聴いてもらっていました。笑
その頃には何となく“フォーク”みたいなものが出来上がっていて、もっとこういう音楽を聴いた方が良くなるよ、といった感じでオススメの音楽の話をいつもしていました。
その中の一つに高田渡さんが入っていたんですよね。
僕は地元が一緒なのに全然存在を知らなくて、今となっては音楽始めたばかりの10代の頃に知れてよかったなって思います。

とにかく、とても親近感の湧く声質。
聴いていて落ち着くメロディー、大それたことは決して言わない等身大の歌詞。
あくまでも生活の中で感じたことや思ったことを音に乗せて歌う、というスタイルは高田渡さんの影響が圧倒的に僕は強いかなと思います。

『ごあいさつ 』は僕が聴いた日本人フォークのアルバムの中では一番だと思っています。

▼オススメ楽曲
年輪・歯車
鮪に鰯
夕焼け



坂本慎太郎 『幻との付き合い方』

ゆらゆら帝国が解散してからのこの音楽性。
バンドの時からチラチラと垣間見れていた坂本さんのマイルドな部分が、前面に出ていると思います。
初めて聴いた時は衝撃でした。
アンダーグランドな何かを綺麗な音楽で表現する違和感が、とてつもなくマッチしているのです。
とても不思議なことを歌っているように感じますが、実はそんなことはなくて、
みんなが一度は思ったことがあることや、薄々気づいていたことを歌っている、と僕は思うんですよね。
そういうところが、聴いていてたまに泣きそうになったりする理由なのかなって思いました。

楽しい時に聴けば楽しい音楽に感じるし、落ち込んでいる時に聴けばなんか励まされているようにも感じます。
僕にとってはそんなアルバムですかね。
そんなわけで、僕が無人島にいっても精神を安定させるのに必要な1枚かな思います。

▼オススメ楽曲
幽霊の気分で
思い出が消えていく
何かが違う



スチャダラパー 『5th WHEEL 2 the COACH』

ずっと60~70年代の音楽を中心に聴いていた人間にとっては、ヒップホップってすごく入りづらいジャンルだと思うんですよね。
ブルース、ロックンロール、ソウル、R&B、ファンク、大体の黒人音楽はすんなり入っていけるんです。
ただ、基本的にロックで耳が慣れてしまうと、若干頑固になってしまいがちというか、、
決して悪いことではないと思うんですけど、当時の僕は自分の中の“カッコ良い”に固執してしまっていました。
それでずっとヒップホップの良さが分からなくて、ぜんぜん聴かなかったんです。

個人的な見解ですけど、ヒップホップを聴けない人たちって、“メロディーがない”“悪そう”とかそういう理由が多いと思います。
まぁ、ヒップホップは元々ギャングとかそっちのカルチャーなので、“悪そう”なのは当たり前なんですけどね。笑

とまぁ、そんな訳で全然ラップの良さが分からず、自分とは違う世界だと思って聴いていなかったヒップホップですが、聴くきっかけになったのはスチャダラパーのこのアルバムです。
まったく“悪そう”ではない人たち。笑
しかも1曲目を聴いた時に『あ、聴ける、カッコ良い!』って思いました。何ででしょうね。
思わず笑ってしまう曲とかもあったりして、ヒップホップってこんなにユーモア溢れる音楽で良いんだな、音楽ってメロディーが全てじゃないんだな、って気付かされました。

実はこのアルバム、1995年4月にリリースされたものなので、僕が生まれる前に発表された音楽なんです。
ただ、僕の凝り固まった考えをほぐしてくれたのは、僕が生まれる前に作られたこのアルバムでした。

▼オススメ楽曲
南極物語
サマージャム’95
5th WHEEL 2 the COACH

エレファントカシマシ 『ライフ』

小学生の時から存在を知っていて、本格的に聴くようになったのは高校生からです。

いつも宮本さんの歌を聞くたびに、こんな上手くパワフルに歌えたら気持ち良いんだろうなって思います。
エレカシは色々なアルバムを聴いてきましたが、全曲を通して一番感動したのは、このアルバム『ライフ』です。
『生活』っていうアルバムがあるのに、『ライフ』っていうタイトルにするところがまた良いですよね。笑
アルバムの中身は正直いって本当に全て良い曲です。
80~90年代の尖った感じはあまりなく、ただ、日々の生活を送っている男の話に、カッコ良くポップな音をのせています。

そこが良いんですよね。
普段道を歩いている時なんかに聞くのがぴったりだな、なんて僕は思います。
まぁ!エレカシにダラダラと御託は不要!
聴いたことのない人は聴いてみてください!

やっぱりエレファントカシマシは最高だなぁ!

▼オススメ楽曲
全曲
通して
聴いて頂きたいです。

無人島 〜俺の10枚〜 とは

音楽好きには、超定番の企画「無人島 〜俺の10枚〜」。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別だ。

「無人島 〜俺の10枚〜」過去のアーカイブはこちら


東京・吉祥寺の新星“グソクムズ”、待望のファーストアルバム 『グソクムズ』商品詳細情報

2021年12月15日発売


東京・吉祥寺の新星“グソクムズ”、待望のファーストアルバムが遂に完成!風街を愛する若者たちが作り上げた“ネオ風街”。吹き抜けた気分を奏でる自然体のヤングソウルはいつの時代も変わらない響きで日々を彩る。ファーストにして希代の名盤たる風格を湛えた傑作が誕生。令和の邦楽シーンを担うバンド“グソクムズ”を見逃すな!

シンプルでキャッチーなサウンド、洗練されたメロディ、そして粋なハーモニー。簡潔で適切で雄弁、随所に切れの良いプレイを聴かせる必要最小限の楽器の演奏で、あくまでも「歌」そのものが引き立つような音作り。はっぴいえんどや高田渡、シュガーベイブなどからの影響を絶妙に咀嚼・消化、風のやさしさと街のしたたかさをブレンドした、親しみやすくも滋味深いロックを鳴らす。

滑らかで豊潤な温もりを感じさせるテンダー・ヴォイスから流れ出るように伝わり来るのは豊かな叙情がうかがえる情景描写。それほど気負うわけでもなく、日常的な生活の断片を歌ったような語り口に溢れた歌詞の親しみやすさが魅力。適度にナチュラルに、ある意味では本能的に鳴らした音が時として楽曲に深い彫りと陰影を与えソウルフルに響かせています。メンバー全員がソングライターという筆の冴え、 吹き抜けた気分を奏でるメロディアスな名曲が並ぶ傑作の誕生です。




収録曲

  • 01.街に溶けて
  • 02.すべからく通り雨
  • 03.迎えのタクシー
  • 04.駆け出したら夢の中
  • 05.そんなもんさ
  • 06.夢が覚めたなら
  • 07.濡らした靴にイカす通り
  • 08.グッドナイト
  • 09.朝陽に染まる
  • 10.泡沫の音 (ボーナストラック)

グソクムズ

CD

グソクムズ

グソクムズ

価格(税込) : ¥2,420

まとめ買い価格(税込) : ¥2,057

発売日: 2021年12月15日

グソクムズ 【初回完全限定生産】(2ndプレス/アナログレコード)

LPレコード

グソクムズ 【初回完全限定生産】(2ndプレス/アナログレコード)

グソクムズ

価格(税込) : ¥3,520

発売日: 2021年12月15日

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グソクムズ

東京・吉祥寺を中心に活動する4人組バンド。メンバーは、たなかえいぞを(Vo, Gt)、加藤祐樹(Gt)、堀部?..

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