スフィアン・スティーヴンス 5年半ぶりのニューアルバム『The Ascension』病めるアメリカと崩壊しつつある世界への告発。青々として声明的なポップアルバムが完成

2020年09月07日 (月)　16:30

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スフィアン・スティーヴンス 5年半ぶりのニューアルバム『The Ascension』完成　リードシングルはアメリカのカルチャーが持つ病に対する抗議の歌「America」

現代最高峰の天才シンガーソングライター、スフィアン・スティーヴンス通算8枚目となる待望のニューアルバム『The Ascension』を自らが主宰するAsthmatic Kitty Recordsよりリリースする。

前作『Carrie & Lowell』は全米・全英でトップ10ヒットを記録し、The GuardianやPitchforkのほか、各サイトで年間ランキングの上位に選出。2018年には映画「Call Me By Your Name」の主題歌「Mystery of Love」がアカデミー賞の歌曲賞にノミネートされ、大きな注目を集めた。また今年4月に発表された、義父でもあるAsthmatic Kittyの共同設立者でもあるローウェル・ブラムスとのコラボレーションアルバム『Aporia』も、その味わい深いアンビエントなエレクトロニックトラックが各方面で話題を呼んだスフィアン。単独名義のフルアルバムとしては実に5年半ぶりとなる。

シングル「America」、そしてアルバム『The Ascension』は、私たちの周りで崩壊しつつある世界への告発と、そこから抜け出すためのロードマップだ。「個人的な変革の要求であり、僕たちの周りのシステムと一緒にプレイすることの拒否である」。スフィアンは本作の根幹を成すテーマについてそう語る。

特にリードシングルの「America」は今の時代にふさわしいと感じられる曲かもしれないが、実は6年前に書かれたものであり、元々は『Carrie & Lowell』の制作時に作られたという (カップリングの「My Rajneesh」も同じセッションからのトラック)。

America [Official Audio]

My Rajneesh [Official Audio]

Video Game [Official Video]

「最初にこの曲を書いた時、僕は驚いてしまった･･･なんだか意地の悪い曲で、『Carrie & Lowell』の他の曲から遠く離れてしまっていると感じたんだ。だから一旦この曲を棚上げした。でも数年後にデモを掘り下げたとき、この曲の素晴らしさに衝撃を受けた。もはやそれを却下しておくことができなくなったんだよ。当時の自分は気付くことができなかったとしても、この曲は予言的で真実である何かを示していた。その時、僕は次にやらなければならないことへの明確な道を見ることができたんだ」。

こうしてスフィアンは「America」を再レコーディング。その後の2年間はこの曲をアルバムのコンセプトのテンプレートとし、『The Ascension』の残りの曲を書き、ドラムマシンとシンセを使って、その素材のほとんど全てを自らの手でコンピューターに記録した。

「このアルバムに対する僕の目的はシンプルだった。自分の周りの世界を問いただす。信憑性に欠けるものに対しては質問する。全てのデタラメを根絶する。解決に参加するか、そこから退出する。自分らしく、事を複雑にせず、進み続ける」とスフィアンは続ける。

その結果ここに誕生した『The Ascension』。我々全員が”恐ろしい交差点”にいることを教えてくれる「青々として声明的なポップアルバム」なのだ。