【インタビュー】ELUVEITIE

2019年05月06日 (月) 00:00

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 バグパイプやハーディ・ガーディなど、古楽器を全面フィーチュアしたスイスのフォーク・メタル・バンド、エルヴェイティがニュー・アルバム『アテグナトス』をリリース! '17年のアコースティック・アルバム『EVOCATION II〜PANTHEON』に続くこの新作は、所謂“メタル・アルバム”としては『ORIGINS』('14)以来、実に4年半余振りで、オリジナル・フルレンス作としては通算8枚目となる。古代ガリアやケルトの神話、伝承、伝説を下敷きにしたこのコンセプト・アルバムについて、シンガーにしてマルチ・インストゥルメンタリスト、メイン・コンポーザーでコンセプターでもあるクリゲル・グランツマンが大いに語ってくれた…!!

──ニュー・アルバム『アテグナトス』の曲作りはいつ頃から始めましたか?

クリゲル・グランツマン(以下CG):正確には憶えていないけど、『EVOCATION II』をリリースして、すぐに『アテグナトス』の曲作りに取り掛かったと思う。だから、もう1年以上前だな。アルバム全体の青写真が出来上がったのは、'18年の初頭だったよ。

──今回も作曲クレジットには、あなた以外のメンバーやコ・プロデューサーのトミー・フェッテルリの名前がありますが、曲作りやアレンジはどのようにして進めていったのですか?

CG:非常にオーガニックなプロセスだった。というのも、俺達はここ数年の間にバンドとして成長したからね。バンド内の雰囲気はとても家族的で、これまで以上にメンバーが一体となり、(アルバム制作に)取り組むようになったんだ。今作では曲作りにおいて、バンドのメンバー全員が、少なくとも何かしら貢献をしているよ。

──レーベル資料には、「新作はチューリッヒ芸術大学において制作された」とありますが、どういった状況だったのでしょう?

CG:確かに、大学でアルバム制作だなんて、何だかヘンだと思われるかもしれないな(笑)。でも…実のところ、そんなに妙な話ではないんだ。さっきも言ったように、俺達はバンドとして互いにより親密になったんで、『アテグナトス』の制作に取り掛かった際、一緒に集まって作業をしたいと思った。でも、メンバーは国中のあちこち違う場所に住んでいるし、国外に住んでいるメンバーもいる。そこで通常なら、それぞれが自宅などで作業を行ない、インターネット上でファイルを交換するといったやり方を採るんだろうが、俺達は一緒に曲作りに取り組むために、数ヵ月を共に過ごせる場所を探したのさ。

 そして、別荘を借りるとか、色々な選択肢を調べた結果、ギターのヨナス(・ヴォルフ)がチューリッヒ芸術大学で音楽やギターを教えていたことから、彼が大学のスケジュールをチェックし、空き部屋を幾つか見付け、俺達がしばらく使えるように手配してくれたんだよ。だから、大学でアルバムを制作した…とはいっても、別に大学の施設を使って何かやったというのではなく、みんなで集まるために、単に部屋を幾つか借りただけだったんだ。

──アルバム・タイトルとなっている“Ategnatos”とは、ガリア語で“再生”を意味するそうですが、そのコンセプトやテーマについて詳しく教えてください。

CG:このアルバムでは、何らかのストーリーが語られているワケではない。メインのテーマがひとつあるだけだ。例えば『ORIGINS』といった過去のアルバムで、俺達は既にケルト神話を扱ったことがあったけど、これら過去作では、基本的に歴史的かつ科学的なレヴェルで、古代ケルトの伝説や因果関係学的な物語を再現したり、甦らせたりしていた。しかし今回は、それらをもっとパーソナルな領域に持っていったのさ。いや勿論、だからといって歴史的じゃないということではないよ。『アテグナトス』で扱っていることは、全て科学的に発見され、歴史的に正しいが、その上で一層パーソナルだということだね。

 今回のアルバムでは、基本的に現代の日常生活の観点から、ケルト神話の古代の喩え話や寓話、元型などを熟考している。それにより、このアルバムは非常に強烈な経験となり、殆どスピリチュアルな旅のようなモノになったと思う。『アテグナトス』で熟考されているこれらの喩え話や寓話は、どれも同じひとつのテーマを共有しているんだ。そのテーマが“再生”や“復活”で、これはヒンドゥー教の“輪廻転生”のような考え方とはまた違う。それよりももっと寓話的な形で、ある特定の体験や、人生で経験する変容について表現しているんだよ。

 ケルトの思想に深く根差している大前提として、“生まれ変わる前には必ず死ななきゃならない”というのがある。そんなの当たり前だけど、興味深いことに、これら古代の喩え話では、死後どこへ向かうのか、しばしば自分で選択することが出来るんだ。つまり、死にたいか、それとも生まれ変わりたいか…ということは、本人の選択に委ねられているんだね。だから──結局のところ、その選択は“勇気があるかないか”という問いへと行き着く。逆に言えば、“恐れているかどうか”…だな。例えば、「崖から飛び降りる勇気があるか?」とか「死へ至る扉を通り抜ける勇気があるか?」というように。

 そうすることで、自分自身の側面の一部や、自分が築き上げた人生も死ぬことになる。だけど、その代わり生まれ変わってより強くなったり、何か他のことを学んだりするチャンスが得られるとしたら…。通常そのような経験は、たとえ隠喩的だったり、寓話的だったとしても、やはり死にまつわることだから、決して容易なことじゃない。このアルバムはそのような考えやコンセプトに基づいて作られているんだよ。

 このアルバムに用いられている古代の言葉の中には、2500年以上前に書かれたモノもある。それでも特筆すべき点は、現代社会においても、それらの言葉には未だに真実味や価値があるということ。我々現代人も、それらの言葉に耳を傾けることが重要なのだと思う。そういう意味では、『アテグナトス』には、ちょっと社会批判的な面もあると言えるんじゃないかな。最初からそれを意図していたワケじゃなく、結果的にそうなっただけなんだけどさ。

──『アテグナトス』のジャケットや「アテグナトス」のPVは、スイスにある“Vulva Cave”で撮影されたそうですね? “vulva”は女性器を指す言葉でもありますが、子供が生まれてくる場所という意味から、それも“再生”と関係がありますか?

CG:確かに“vulva”は女性器を指す言葉だ。でも、俺達が撮影したスイスの洞窟には、また別の正式な名称がある。というか、そもそも“Vulva Cave”というのは、入り口の形状が女性器に似ている洞窟の俗称で、そう呼ばれる洞窟は、恐らく世界中に幾つもあるんじゃないかな?

 アルバムの制作を始めるに当たって俺達は、アートワークにはそうした美しい自然の風景写真が必要だと思った。しかも、単に美しいというだけでなく、アルバムの歌詞の内容を表わすような景色や風景を、あちこち探し回ったんだ。その結果、スイスの中央に位置するこの“Vulva Cave”の写真を見付けたというワケさ。

 古代のヨーロッパにおいて、人々は聖なる光を求めて、この地を訪れたことがあったのだろう。そこで、命をもたらすとか、産まれるとか、そういった歌詞全体の内容を象徴するのに、まさにピッタリの美しい風景だと思い、この画像を使うことにしたんだよ。

──先ほども“元型(archetypes)”という言葉が出ましたが、これは何を意味するのでしょう?

CG:このアルバムで扱っている、古代のケルト神話のイメージだ。俺達が考察しているこの神話には、人類や人間の一般的な生活に関する非常に明白なイメージが幾つかあってね。“元型”とは、そういった強烈なイメージのことなんだよ。

──アルバムのジャケットやブックレット、また「アテグナトス」のPVから、絶壁を流れ落ちる滝やカラスも重要なモチーフだと感じました。それぞれ何かの隠喩でしょうか?

CG:その質問に関しては、イエスでもあり、ノーでもある。滝に関しては、どちらかというと、新たな人生や何か新しいモノを生み出すことを象徴する、美しいイメージとして用いているだけだ。一方カラスは、それとは正反対の役割を持っており、確かにケルト神話の中でとても重要なシンボルだと言える。ケルト神話においてカラスは、大抵の場合、死とつながりのある役割を担っているからね。神話のどの部分を見ているかにもよるけど、例えば、カラスは死者の魂を黄泉の国に導く役目を担っているんだ。

 ここで、改めて言っておきたい重要なことがある。ケルト人の考え方や神話においては、死は決して悪しきモノや暗いモノではない。ある意味、それとは殆ど真逆だとさえ言えるよ。ケルト人は、基本的に死を人生におけるひとつのセクションと見なしていた。つまり、旅の途上のバス停みたいなモノで、言わば停留所のひとつに過ぎないのさ(笑)。よって、それは悪しきモノでも暗いモノでもない。そういう意味でも、“Ategnatos(再生)”は、実際に人生を成長させるために必要なのだと言える。

 それは、自然を観察していても見られることだよ。例えば芋虫は、美しい蝶として翅を広げる前に、まずは繭の闇の中で死ぬ(=サナギになる)必要があるし、植物の種は、美しい植物として成長する前に、まずは土の中に落とされ、その闇の中で割れなければならない。人間も同じだ。胎児は日の光を見る前に、母親の子宮の闇の中に居なければならないからね。とすれば、死は生と手を取り合って進んでいるし、新しい命をもたらすために必要なモノだとも言えるんじゃないかな。

──『アテグナトス』の終盤に収められた「リバース」は、'17年にシングルとしてリリースされ、同年の来日公演でもプレイされました。これは『アテグナトス』の予告編的な楽曲だったのでしょうか? どうしてこの曲だけ、アルバム完成の2年も前に先行で世に出されたのですか?

CG:キミの言う通り、「リバース」は予告編的な意味で、先行でリリースしたんだよ。ただ、1stシングルとしてこの曲が発表されたのは'17年の10月だったけど、実を言うと、曲作りに取り掛かったのは4〜5年前ぐらいだった。つまり、「リバース」は元々、今回のアルバムとはあまり関係なかったということさ。当時は、“再生”をモチーフとした神話的なイメージを思い付いて書いただけだった。その後、『EVOCATION II』をリリースしたあとに、『アテグナトス』の構想が生まれたんだからね。

 最初のアコースティック・アルバムとして、『EVOCATION I: THE ARCANE DOMINION』をリリースしたのは、今から9年ぐらい前('09年)だった。その時点で、いずれ『EVOCATION II』を作ることになると分かってはいたものの、機が熟したと感じた時にやりたかったから、いつにするか決めることなく、そのままにしておいたんだ。その後、'14年に『ORIGINS』をレコーディングした際、次こそいよいよ“THE ARCANE DOMINION”の続編を作るぞ…と決め、'17年にようやく『EVOCATION II』がリリースされたワケだけど、その間、当然ながらメタル・アルバムはお休みしていただろ?

 いや、俺はアコースティック・アルバムを作るのも大好きだよ。だけど、長いことメタル曲を作っていなかったので、待ち切れなくなり、先行で「リバース」を出したのさ。だから、このシングルは一種の予告編ということになるね。

──『アテグナトス』に収められている「リバース」は、'17年のヴァージョンと同じですか? それとも今回、新たに録り直しましたか?

CG:ほぼ'17年のヴァージョンと同じだけど、何ヵ所か録り直した部分もあった。ライヴで何度もプレイしてみた結果、録り直した方がもっと良くなりそうなパートが幾つかあったんでね。あとミックスに関しても、イェンス・ボグレンがやり直している。

──『アテグナトス』収録各曲は、エルヴェイティならではのサウンドを守りながら、これまで以上にヴァラエティに富んでいると思いました。これは当初から意図していたのですか? それとも、特に方向性を決めずに曲を書いていったら、結果的にこうなっただけでしょうか?

CG:結果的にそうなっただけだよ。俺達の曲は非常にオーガニックな過程を経て発展していくからね。つまり、創作過程で主要な役割を果たすのは、常に直観と感情なんだ。だから結局のところ、あまり考え過ぎないようにして、自然の成り行きに任せている。キミも言うように、このアルバムはとてもヴァラエティに富んでいると思う。とはいえ、多様性というのは常にエルヴェイティの音楽の一部だった。俺達のアルバムにはいつも、凄くアグレッシヴな楽曲もあれば、女性ヴォーカル主体の殆どポップ・ミュージックのような楽曲も入っていたから。

 そうした曲想の違いは、歌詞の内容によるところが大きい。歌詞の内容を音楽に反映させるというのは、俺達にとって大事なことなんだ。よって曲作りの時、まず最初にやるのは、その曲の歌詞の内容を把握すること。音楽でも、歌詞と同じフィーリングや感情を表現したいからね。

──今回、ミックスを『SLANIA』('08)以来、久々にイェンス・ボグレンに依頼した理由は?

CG:この件については、アルバム制作に取り掛かってから話し合ったんだ。でも、特にこれといった理由はなかった。何となく、このアルバムのミックスにはイェンスが打って付けなんじゃないか…と思っただけさ。ただ勿論、今回のミックスを振り返り、改めて聴いてみたら、彼を選んだのは実に適切な判断だったと思う。彼の仕事ぶりには大いに満足しているし、それに、また彼と一緒に仕事をすることが出来て、良かったとも思っているしね。彼とスタジオ入りしたのは、まるでつい昨日のことのようで、とても10年振りだなんて思えなかったな。

──ヴォーカル・パートに関しては、ファビエンヌ(・エルニ)の活躍に目を見張りました。以前のエルヴェイティは、飽くまであなたというメインのヴォーカルがいて、何曲かアナ・マーフィーがリード・ヴォーカルを執る曲もある…という印象だったのですが、新作では、1曲の中であなたとファビエンヌがほぼ同等に歌う曲が多く、ツイン・ヴォーカル体制化が一気に進んでいますね?

CG:これも自然とそういう形になったんだ。さっきも言ったように、俺達がアルバムを制作していく過程は、いつも非常にオーガニックで直感的だからね。曲作りをしていた時、言わば自分と楽曲との間で、ちょっとした会話のようなモノが交わされ、自分だけで曲を形作ったというよりは、ある意味、楽曲自体が自ら進みたい方向を教えてくれたというような感じだった。

 俺は人間の声も楽器のひとつと捉えていてね。実のところ、他の楽器と何ら変わりがないと思っている。だから、創作過程で曲想を膨らましていくうちに、ヴォーカルも含め、どんな楽器をどのパートに用いたらイイのか、次第に明らかになっていくのさ。確かに、俺達のアルバムの中で、こんなにも女性ヴォーカルが多用されたのは他にないと思う。だけど、これは意図的ではなく、自然発生的にこういう形に発展していったんだよ。

──「ワーシップ」にラム・オブ・ゴッドのランディ・ブライを起用した経緯についても教えてください。

CG:これもアルバムの制作過程で、非常に自然発生的に生じたことのひとつだ。ある夜遅くに、スタジオのキッチンでヨナスと「ワーシップ」のイントロについて話し合っていた。というのも、この曲のイントロには、現代的な終末論的雰囲気が必要だと思ったんでね。そこで、やや長めのナレーションを入れ、かなりシネマティックにしてみたのさ。俺達はこれまで、アレキサンダー・モートンというスコットランドの俳優を長年起用していて、今回のアルバムでも、彼に「アテグナトス」のイントロを始め、数曲でナレーションをやってもらったんだけど、ヨナスも俺も、「ワーシップ」に関しては、彼のナレーションはあまりしっくりこないと思ってさ…。

 スコットランド訛りの強いアレキサンダーだと、強烈な終末論的雰囲気が出ないんだ。そこで、ヨナスとどうするか話し合い、アメリカ訛りの英語だとピッタリくるんじゃないかという結論に達した。何故そう思ったのかよく分からないけど、もしかしたら、このイントロが映画のようだったからかもしれない。そしてヨナスが、「ランディに頼んだらイイんじゃないか」と言ったんだ。俺達はラム・オブ・ゴッドと長年の付き合いだったし、ランディの声はまさに打って付けだと思ったよ。それで、ランディの留守電にメッセージを残したものの、その時点ではまだどうなるか分からなかった。彼はラム・オブ・ゴッドの活動で忙しいだろうからね。

 だけど偶然にも、彼等はヨーロッパをツアーしている最中で、数日後にはスイスのチューリッヒでショウがあるということだった。幸い、ランディは俺達のオファーを引き受けてくれたよ。しかも、俺達のスタジオは、ラム・オブ・ゴッドのショウが行なわれた会場から車で15分くらいのところにあってね。あれは凄くラッキーだったな!

──「トリノクション」のナレーションを元メンバーのメリ・タディチが担当しているのにもビックリしました。

CG:「トリノクション」は、ケルト文化、再生、自然の周期といったことに関わりがあるんだ。つまり、自然の周期によってあらゆる命が新たに目覚め始める…ということさ。それについてケルト語で書かれた碑文があるんで、それをこの曲に盛り込みたかった。ただその一節は、『SLANIA』のイントロ(「Samon」)でも用いられていて、その時のナレーションを担当したのがメリでね。だから、今回も彼女が再びこのナレーションを担当したらとてもイイんじゃないかと思い、彼女に電話してみたら、喜んで引き受けてくれたのさ。

──あと、弦楽四重奏の起用も素晴らしいです。これは誰のアイディアでしたか?

CG:ファビエンヌのおかげで実現したんだけど、これまた、スタジオで自然発生的に生じたことだったよ。実は、今回のアルバムをレコーディングするために、スタジオを予約しようとしたら、すでにスケジュールが埋まってて、4週間しか押さえられなくてさ。フルレンス・アルバムをレコーディングするのに、たった4週間しかないなんて、エルヴェイティにとってはかなり不十分だ。何しろ、様々なモノをレコーディングしなきゃならないんでね。例えば、『ORIGINS』をレコーディングした時は、ミックスも含め、スタジオでの作業に3ヵ月半くらい要した。だから、4週間なんてタイト過ぎる。

 そんなある日、俺はスタジオのキッチンで、オーケストレーションのアレンジに取り組んでいた。オーケストラの各々の楽器のラインを書いていたのさ。そしたら、ファビエンヌがキッチンに入ってきたんで、俺は彼女についつい愚痴をこぼし、時間が足りないことを嘆いたりしたんだよ。そしたら彼女が、「チューリッヒ大学に映画音楽の作曲を教えている友達がいるから、ちょっと手伝ってくれるよう頼んでみる」と言ってくれてね。それで、2日後にミリアム(・シュニードル)という女性がスタジオに来てくれて、快く俺を助けてくれたんだ。彼女はとても素晴らしい才能の持ち主で、優れた音楽家であるだけでなく、俺達ととても相性が良いことが分かった。というか、彼女はエルヴェイティの音楽が大好きだったんだよ。

 それで彼女と一緒に作業するようになったんだけど、ある時、彼女から電話があって、「明日は授業がお休みだから、何人か時間のある学生に課題を与えたらイイかもしれない」と言ってきてさ。つまり、学生を起用し、試験や宿題の代わりに、このアルバムのオーケストラ・パートをレコーディングしようというのさ!(笑) それって、俺達にとっても学生にとっても非常に良いと思い、そのアイディアは採用され、そうして弦楽四重奏のパートがレコーディングされたんだよ。

──「アンビラマス」に引用されているイアン・アレクサンダー・マー、「ブリース」に引用されているジュゼッペ・デ・マルツィ、「リバース」と「エクリプス」に引用されているフィリップ・キングについて、それぞれどんなミュージシャン/コンポーザーなのか教えてください。

CG:イアンは極めて才能あるアイリッシュ・ホイッスル奏者でね。彼のプロジェクトの曲をYouTubeで何曲か聴いたことがあって、とても気に入ったし、彼は(エルヴェイティの)バグパイプ奏者のマッテオ(・システィ)とかつて交流があったんで、ゲスト参加してもらうことになったんだ。「アンビラマス」のコーラスに入っているアイリッシュ・ホイッスルのパートは、彼が書いたんだよ。

 ジュゼッペに関しては、ちょっと長い経緯がある。『EVOCATION II:PANTHEON』に伴うヨーロッパ・ツアーを行なっていた際、ベルリン公演のあと、とある映画脚本家が俺達の楽屋に来たんだ。彼はエルヴェイティの音楽に心底惚れ込んだそうで、色々と話しているうちに、彼の次作の映画プロジェクトは、ケルト神話のテーマを扱っているということが分かったんだ。その映画は、かつてケルト人が住んでいたイタリア北部で撮影されることになっていた。つまり、アルプス地方だね。そして彼は、その映画にエルヴェイティの音楽を提供してくれないかと言うんだ。そのアイディアはとても素晴らしいように思えたし、映画のコンセプトも『アテグナトス』のコンセプトと凄くマッチしていた。そこで、提供することにした曲が「ブリース」だったのさ。

 その脚本家は、俺達が好きなように曲を書く自由を与えてくれたものの、映画の撮影現場であるイタリア北部アルプス地方の伝統的なメロディを盛り込んで欲しいとも言ってきてね。そんなワケで、その地方に住んでいるマッテオが中心となり、伝統的な曲を色々リサーチした結果、「ブリース」にその手のモノを2つ盛り込むことにした。ひとつは、コーラスで聴くことが出来るヨーデルのライン、そしてもうひとつは、曲のアウトロに入っている“Mountain Chral”だ。そして、このコーラルの原曲は、ジュゼッペ・デ・マルツィによって書かれたんだよ。

 あとは、フィリップ・キングだな。「リバース」のサビと「エクリプス」には、非常に古いアイルランドの伝統音楽が引用されている。いつ頃その原曲が書かれたのかは分からないけど、通常そのクレジットにはフィリップ・キングの名前を掲載することいなっていてね。何故なら、これらの原曲を初めてアレンジして譜面に起こしたのは彼だったからさ。

──では最後に今後のライヴ/ツアー予定を教えてください。再来日公演にも期待しています!

CG:勿論、日本にもまた行くつもりだよ。でも、今年はちょっと無理だと思う。今年の予定はもうほぼ埋まってしまっていてね…。来年のスケジュールについても、まだどうなるか分からないけど、出来ればロシアや日本をツアーしたいと思っているよ!!

取材・文 奥村裕司



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