【インタビュー】BATTLE BEAST / ノーラ・ロウヒモ

2019年05月04日 (土) 21:00

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すでに3度の来日経験を持つフィンランドのバトル・ビースト。ニュー・アルバム『ノー・モア・ハリウッド・エンディングス』がリリースになるということで、ヴォーカリストのノーラ・ロウヒモに話を聞いてみた。

ノーラ:ちょうどコーヒーを飲んでいたところ。ツアーに備えてリハーサル・スタジオにいるの。ではインタビューを始めましょう。

川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『ノー・モア・ハリウッド・エンディングス』がリリースになります。前作と比べて、どのような点が進歩していると言えるでしょう。

ノーラ:そうね、まず、音楽的にいくつかの点で進歩していると思う。例えば、今回は何曲かで本物のストリング・セクションを使ったりもしたし、全体的にもっとオーケストラルでビッグなサウンドにしたというのがあるわ。このあたりが、過去のアルバムとは一番違うところね。

川嶋:バトル・ビーストは間違いなくヘヴィメタル・バンドではある一方、曲調が非常にバラエティに富んでいますよね。やはりバラエティがバトル・ビーストの強みだと考えていますか。

ノーラ:その通りね。違った種類、ジャンルの音楽を混ぜ合わせて、多様性のあるヘヴィメタルを聴かせるのが、バトル・ビーストのブランドと言えるわ。唯一無二の音楽よ。

川嶋:ヘヴィメタルにせよ、ポップ寄りのアレンジメントにせよ、常に80年代の色を感じるのですが、これは意識的なものでしょうか。

ノーラ:そうね、私たちはみんな80年代の音楽が大好きなの。だから、80年代というのはバトル・ビーストにとって大きな影響源よ。

川嶋:まだみなさんお若いにもかかわらず、80年代の音楽から影響を受けている理由は何なのでしょう。

ノーラ:私たちはみんな80年代後半の生まれだし、あとは両親からの影響というのもあるわ。私の場合、小さいころから父がAC/DCやレッド・ツェッペリンなんかを聴かせてくれたの。それで自分が十代になると、アイアン・メイデンやガンズ・アンド・ローゼズなんかを聴くようになって。バンドのほかのメンバーも、同じような感じだと思う。十代のころに聴いた音楽が、その後の基礎になるものでしょう。私たちの場合も、若いころに聴いた音楽から大きな影響を受けているのだと思うわ(笑)。だから80年代の音楽が大好きなの。

川嶋:80年代の音楽は、例えば90年代や00年代の音楽と比べて、どのような点が違うと思いますか。

ノーラ:うーん、80年代にはとても良いバンドが多いと思うの。音楽の作り方も素晴らしいし。今みたいにテクノロジーも発達していなかったから、ミュージシャンたちは本当に良い曲、本当に良いメロディを完璧に演奏しなければならなかった。AutoTuneなんかも使わずにね。凄いことだと思うの。私たちの今回のアルバムも、ドラムのチューニングにもとても時間をかけたりとかもしたわ。私たちのミュージシャンとしての力を見せたかったから。

川嶋:AutoTuneの使用には反対ですか。

ノーラ:いえ、そんなことはないわ。使い方によっては、とても便利だし。私たちは、あくまでAutoTuneはツールというか、味として使うだけにとどめている。これがメインになってしまうのではなくてね。アルバムをプロデュースもしたキーボードのヤンネは、「君の歌はほとんどAutoTuneなんて必要ないよ」って言っていたし(笑)。ライヴでアルバムと同じように歌えるということは重要よ。もちろんライヴとアルバムが違うということも大切だけれど、私が目指しているのは、ライヴはアルバムよりさらに凄いということ(笑)。

川嶋:フィンランドのアーティストに話を聞いてみると、80年代の音楽から影響を受けたという発言がよく出てきます。これは何故なのでしょう。確かにフィンランドはヘヴィメタル大国だと思うのですが、例えば日本で80年代に興味を持つ若者に出会うことはあまりありません。

ノーラ:そうなの?日本の若者はどんな音楽を聴いているの?

川嶋:やはり今どきのポップスが主流だと思います。

ノーラ:80年代の音楽が受け継がれているのがフィンランド特有のものなのかはよくわからないけれど、もちろんフィンランドでもチャートに入る音楽の多くは、現代的なポップ・ミュージックよ。だから私たちもポップスからの影響も取り入れて、若いオーディエンスにもアピールするように努めているの。私たちが影響を受けているのはヘヴィメタルやロックだけではないわ。私たちはさまざまな音楽を聴くから。例えば、私にとってのアイドルの1人は、マイケル・ジャクソンだし、ほかにもたくさんポップ・アーティストが大好きなの。あらゆる音楽からを取り込んでみて、どれがバトル・ビーストに合うかを試しているのよ。

川嶋:マイケル・ジャクソンも80年代の印象が強いですが(笑)。

ノーラ:(爆笑)。確かにそうだけど、彼は2000年代に入ってからも人気があったでしょ。確かにキャリアの始まりは70年代や80年代だけれど。

川嶋:今回あなたの歌い方が多様化していると感じました。また、さらにパワーアップしているようにも思ったのですが、何らかのヴォーカル・トレーニングなどを行っているのでしょうか。

ノーラ:いえ、シンガーとして私は、もともとさまざまなジャンルの歌を歌ってきているから。子供のころは、ポップスやバラードを歌っていたし、ブルースやジャズ、ソウルなどを歌っていたこともある。ヘヴィメタルを歌ったのは、実はバトル・ビーストが初めてなの。もちろんそれ以前にもヘヴィメタルは聴いていたし、ヘヴィメタルやロックのシンガーにもアイドルはいたけれど。歌い方は、やっぱり音楽に合っているべきだから、その曲が必要とする歌い方をするようにしているのよ。今回のアルバムでは、ヴォーカリストとしての違った面を見せているけれど、とても音楽にフィットしていると思う。

川嶋:喉を傷めずにあれだけのスクリームを出すコツはあるのでしょうか。

ノーラ:一番大切なのは、きちんとケアをするということ。良く眠って、喉をきちんと休ませることが大切。それから、もちろんきちんとしたテクニックを習得すること。無理やりやるのではなくね。無理やりスクリームするのではなく、正しいグッド・スクリーム(笑)をすること。呼気圧迫なんかをしたら、声が出なくなってしまうわ。スクリームに限らず、どんな歌い方でも、無理やりではなく自然に歌えるようにするのが大切。高い音程を歌うときに、声帯にどんなプレッシャーをかけるとダメージがあるのかを知ることよ。テクニカルなことではあるけれど、同時に自分自身の体に聞いてみることも大事(笑)。私は16歳のころ、クラシックのレッスンは1年受けていて、そのあとジャズとポップスを5年間やったわ。だけど、そのジャズ/ポップスの先生に、「ごめん、私はロックは教えられない」って言われてしまって(笑)。なので、多くは独学なの。私の場合、子供のころから人の歌い方のマネをするのが得意だった。歌い方を聴けば、どうやってその声を出しているのかがわかるの。最近はプライヴェート・レッスンで、生徒に歌も教えているのよ。ワークショップもやって、私みたい歌いたいと思っている人たち(笑)にレッスンをしているの。人を楽しませることが私の人生のミッションだと思っているけれど、同時に自分自身の声、力強い声を見つけるお手伝いもしたいと思ってる。ロックやヘヴィメタルの遺産を受け継いでもらうためにね。

川嶋:ニュー・アルバムのタイトル、『ノー・モア・ハリウッド・エンディングス』は一風変わったものですよね。どのような意味が込められているのですか。

ノーラ:タイトルは、簡単に言うと、「みんな自分たちの人生の物語において、自分なりのエンディングを書くことができる。それは、ハリウッド映画みたいなロマンティックなエンディングである必要はなく、自分の好きなようにしていい」ということ。

川嶋:なるほど。それを随分とインパクトがあるタイトルで表現したのですね。

ノーラ:どうもありがとう。これをタイトルにしたのも、そういう理由からよ。ヘヴィメタルらしくない、普通とは違ったタイトルだし。

川嶋:確かにヘヴィメタルのアルバムで「ハリウッド」という単語はあまり使いませんよね。

ノーラ:(爆笑)そうなのよ。このタイトルから、会話や疑問も生まれるでしょう。「これはどういう意味なんだろう?」って。人によって解釈も自由にできるし。

川嶋:このタイトルを見ると、どのような内容なのか、歌詞を読みたくなると思います。

ノーラ:その通りよ。

川嶋:歌詞はあなたの手によるものですか。

ノーラ:今回は一曲も書いてない。デモ・セッションやレコーディング・セッションの間、私なりのインプットはしたけれども。今回はヤンネ、ヨーナ、エーロが曲を書いたの。私はすでに6枚目のアルバムについてのアイデアや曲を考え始めているけど(笑)。

川嶋:歌詞も一切書いていないのですか。

ノーラ:歌詞も書いてないわ。

川嶋:他人が書いた歌詞というのは歌いづらくはないですか。

ノーラ:そういうことはないわ。もちろん歌詞の内容へのつながりをすぐに感じるのを難しく感じることもあるけれど、その背景などを詳しく聞けば、共感することはできる。だから歌詞の内容を知る必要があるの。新しいアルバムでは、さまざまな人生におけるストーリーや問題を扱っている。誰かを失うこと、憎しみ、希望、ノスタルジー、自信をつけることとかのような、誰もが直面しうる人生の出来事について。一方でファンタジーや歴史についての曲もあるけれど。

川嶋:アートワークにはどのような意味が込められているのでしょう。

ノーラ:そうね、まずバンドとして新しいバトル・ビーストのロゴを見せびらかしたいというのがあった。ケリー・ワーグナーというアメリカの女性に描いてもらったのよ。Jan "Örkki" Yrlundによるアートワークは、ハリウッド映画のポスターみたいでしょ(笑)。なのにタイトルは『ノー・モア・ハリウッド・エンディングス』なわけだから、面白いコントラストだと思って。

川嶋:バトル・ビーストは、アルバム・デビュー以来、一貫して2年に1枚のリリース・ペースを守っていますよね。これは意識的なものですか。

ノーラ:そうね、確かにデビュー・アルバム以来、それが1つのパターンになっているわ。だいたい1年ツアーをして、次の年にニュー・アルバムを作るという感じになっているから。これが自然のプロセスで、ツアーをしている間が曲を書く期間にもなっているし。確かにペースは速いわね。でも一方で、曲を書いたりツアーをしたりという自然のリズムになっているというのは良いことだと思う。

川嶋:来日を心待ちにしているファンも多いですが。

ノーラ:日本は大好きだから、今年か来年にはぜひ行きたいと思っているわ。日本にはこれまでに3回行ったけれど、文化も食べ物も人々も大好きよ。日本に行くと、魔法のようなものを感じるの。ヨーロッパとは全く違う世界だから(笑)。なるべく早く日本に行けるよう、うまくスケジュールが調整できることを祈ってるわ。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

ノーラ:バトル・ビーストをサポートしてくれてどうも有難う。なるべく早く日本に行くわ。ぜひ、新しいアルバムを買ってね。そしてライヴを観に来て、一緒にロックしましょう。

取材・文 川嶋未来



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