【インタビュー】ENFORCER / Olof Wikstrand

2019年04月26日 (金) 22:00

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スウェーデンきってのメタル・マニア、オロフ・ヴィクストランド率いるエンフォーサー。5枚目となるニュー・アルバム『ゼニス』がリリースになるということで、オロフに色々と語ってもらった。

川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『ゼニス』がリリースになります。個人的には以前に比べ、曲調がバラエティに富んでいるように感じました。どのような意図をもって作られたアルバムと言えるのでしょう。

オロフ:君の言った通り、確かに『ゼニス』はとても俺たちらしいアルバムである一方、過去の俺たちではない部分も持った作品になっている。ビッグなサウンドのアルバムを作りたいというのがあったんだ。ヘヴィメタルいう「ジャンル」の作品というのではなく、音楽を作りたかった。いろんなバラエティのある曲が入ったアルバムをね。意図という意味では、これが一番強かったよ。

川嶋:なぜそのような変化を求めたのですか。

オロフ:焼き直しで自分たちをコピーしたくはないからね。もうこれで5枚目のアルバムだから、何かを思いついても、過去にすでにやったことということも少なくない。過去にやったことをまたコピーするというのは面白くないから、もうちょっとバラエティというものにフォーカスしたかったのさ。違った種類の曲をね。結局、ヘヴィメタルをプレイするということは、ルールを破ることだからさ。予測可能なものをプレイするだけではなくてね。

川嶋:新ギタリストとしてジョナサン・ノルドウォールが加入していますが、彼は『ゼニス』には参加しているのですか。

オロフ:いや、参加していない。彼はレコーディングが終了した後にバンドに入ったからね。

川嶋:前作から4年のブランクがあいています。リリース日の決定にも時間がかかっていたように思うのですが、これは何故なのでしょう。

オロフ:一番大きな理由はツアーさ。前作『From Beyond』のツアーは2年続いて、220回ものショウをやったんだ。だからその後、ニュー・アルバムのコンセプトなどをきちんと考えるためのブレイクも必要だった。ただダラダラと新しい作品を作りたくはなかったから。アルバムを仕上げるのにも、とても時間がかかったよ。俺たちはディテールにまでこだわるタイプで、すべてが完璧になるように仕上げたから。曲作りからレコーディング終了まで、1年半かかったんだ。さらに、アルバム自体は去年の9月に出来ていたのだけど、すべてのビジネスパートナーに都合が良いリリース日を決めるので、また半年必要になってしまった。

川嶋:アルバム・タイトル『ゼニス』(=天頂、頂点)には、どのような意味が込められているのでしょう。

オロフ:アルバムには同じタイトルの曲(「ゼニス・オブ・ザ・ブラック・サン」が入っているのだけど、それは壮大なストーリーになっていて、有史以前の人類が日常の中でカリスマ的なものを見つけるというもの。そこから神や宗教、迷信といった概念が生まれて行くという話さ。割と複雑なストーリーなんだけど。

川嶋:ジャケットも、そのストーリーに沿ったものなのですね。

オロフ:そうだよ。

川嶋:他の曲の歌詞は、どのような内容なのですか。

オロフ:曲によって全然違う内容を扱ってるよ。例えば「ダイ・フォー・ザ・デヴィル」は、必ずしも悪魔崇拝のことではなく、ここでの「デヴィル」というのは、俺たちの周りの規則やトレンドに背くことのメタファーなんだ。日常の中で、さらに大きな存在に気づき、デヴィルは違った現実、違ったものの見方のメタファーとなるのさ。さっきも言った通り、タイトル曲はストーリーになっている。「サーチング・フォー・ユー」は、狩る側と狩られる側というシチュエーションについて。「リグレッツ」は、何かを、もしくは誰かを恋しく思うこと、惜しむことについて。何が起きているかはよく分からないけど、とてもエモーショナルな曲さ。「ジ・エンド・オブ・ア・ユニヴァース」は宇宙論や現代科学にインスパイアされている。宇宙、宇宙の果てとか。「セイル・オン」は何かを置き去りにするというメランコリックな内容さ。新しいゴールに向かってね。「ワン・サウザンド・イヤーズ・オブ・ダークネス」は『地獄の門』という映画からインスパイアされてるんだ。

川嶋:ルチオ・フルチですね。

オロフ:そうだよ。あと何があったっけ。

川嶋:「サンダー・アンド・ヘル」とか。

オロフ:あれはロックンロール・アンセムさ。スピード・メタル・アンセムと言っても良いかも。ロックンロールの素晴らしさにひれ伏せって(笑)。

川嶋:その「サンダー・アンド・ヘル」や、「ダイ・フォー・ザ・デヴィル」などは非常に80年代的なタイトルですよね。これは故意に80年代らしさを狙っているのですか。

オロフ:それはないよ。だけど、80年代がメタルにとって最高の時代だったことは否定できないからね。80年代のメタルは最もインパクトがあっただろ。ヘヴィメタルらしいタイトルをつければ、それが自然と80年代風になるということさ。

川嶋:そもそもメタルにハマったきっかけは何だったのですか。

オロフ:どうだろう。俺が子供の頃は、それが自然だったんだよ。多くの子供たちがメタルを聴いていたからね。メタリカやガンズ・アンド・ローゼズ、ニルヴァーナとか。92年〜93年の頃は、幼稚園の子でもヘヴィな音楽を聴いていたのさ。俺は年上の従兄の影響で、こういう音楽を聴き始めた。アイアン・メイデン、メタリカ、ガンズ・アンド・ローゼズやキッスとか。90年代の始めの頃、俺はとても良い環境にいたんだよ。

川嶋:その後、最初はソロ・プロジェクトとしてエンフォーサーを始めたとのことですが、きっかけは何だったのでしょう。

オロフ:当時俺は20個くらいバンドをやっていたんだ。で、その中の1つのブラック・メタル・バンドで、Venomの「Black Metal」のカバーをやったんだけど、古いブラック・メタルはこんなにもエネルギーに溢れているのかと驚いてね。拳を振り上げたくなるようなエネルギーがさ。こんなエネルギーいっぱいの曲を書いてみたいと思ったんだよ。それから1年後くらいに、今度はスラッシュ・メタル・バンドの方で、Exciterのカバーをやった。確か「Violence and Force」だったと思う。それでまた同じように感じてね。ロウなエネルギーに溢れてるだろ。その後、01年くらいだったかな、ずっとこういうバンドをやりたいという構想があったんだけど、ある日いくつかのタイトルといくつかのリフが頭に浮かんだんだ。それで「ファック、とりあえず2曲作って、どうなるか見てみよう」って、嘘のバンドの経歴と写真を作って、MySpaceにあげたんだ。そしたらわずか6ヶ月の間に30万回もの再生があってさ。バンドとしてやってみることにしたのさ。それまでやっていたどのバンドよりも上手くいったからね。このバンドならイケると思ったんだ。

川嶋:そもそものコンセプトはVenomとExciterだったのですね。

オロフ:本当の初期はそうだね。「Mistress from Hell」、「Evil Attacker」の2曲をやったときは、ExciterとVenomしか頭になかった。それ以降は、あらゆるスタイルのヘヴィメタルやスピード・メタルをコンセプトに取り入れていったけど。それから様々な違ったタイプの音楽をどんどんと取り入れていったんだよ。コンセプト、スタイルを発展させるためにね。

川嶋:メタリカやガンズはとてもビッグなバンドですが、その後VenomやExciterのようなマニアックなバンドへと突き進んでいったきっかけは何だったのですか。

オロフ:俺のホームタウンは、とても環境が良かったんだよ。10代の頃、誰が一番クールで本物のメタルか、誰が一番マイナーなメタル・バンドを知っているか、みたいな競争があってさ。とてもクリエイティヴな環境だったんだ。競争みたいな感じで、お互いをインスパイアしあってね。より深く掘って、友達が誰も聴いたことがないようなバンドを見つけてさ。それがきっかけだったんだ。常に一番クールに、一番のギタリストに、一番サタニックに、あらゆる方向に一番エクストリームにって。

川嶋:90年代終わりくらいのことでしょうか。

オロフ:そうだね、90年代終わりから00年代初めにかけてだよ。

川嶋:スウェーデンというと90年代はデス・メタルが優勢だったように思うのですが、そちら方面には行かなかったのですか。

オロフ:俺は86年生まれだから、デス・メタルの全盛期は知らないんだよ。スウェーデンのシーンというものを俺が認識したころは、デス・メタルは多少終わった感があって、むしろブラック・メタル全盛だったんだ。95年〜97年くらい。俺が最初にやったバンドの1つでは、Mayhemのカバーもやっていたし、デモをDissectionのジョンに捧げていた。刑務所にいたジョンに、そのデモを送ったりもしたよ。98年〜99年ころ、ブラック・メタルが世界、まあ少なくともスカンディナヴィアを支配していた時代さ(笑)。


川嶋:エンフォーサーというバンド名は、どのようにして決めたのですか。

オロフ:当時、82年のメタル・バンドみたいな名前が欲しかったんだよ。それで(イギリスの)Avengerの「エンフォーサー」という曲を聴いて、これだって思った。ホッケー・ロゴにもしたし(笑)。

川嶋:お好きなヴォーカリスト、あるいは影響を受けたヴォーカリストというと誰でしょう。

オロフ:俺が一番好きなヴォーカリストということであれば、おそらくSortilegeのZouilleだね。俺は彼みたいには歌わないし、歌えないけど。彼は間違いなくベストなシンガーだよ。

川嶋:確かにSortilegeは素晴らしいですし、Zouilleも優れたシンガーですが、彼の名が一番に挙がるというのも珍しいですね。

オロフ:そうだけど、彼は本当に素晴らしいよ。彼の歌が持つフィーリングやニュアンスは最高だよ。(フランス語の)歌詞の内容が理解できなくても、とてもソウルフルに感じられるし。もちろんスコーピオンズのクラウス・マイネやジョーイ・テンペストなんかも好きだよ。

川嶋:では、お好きなギタリストは誰ですか。

オロフ:実を言うと、好きなギタリストというのはあまりいないんだ。ギタリストの多くは、ギターを使ってただマスターベーションをしているだけだよ。プレイにばかり集中しすぎて、音楽を忘れてるよ。俺はスピードやテクニックではなく、曲に感動させられるタイプだから。とは言いつつ、イングヴェイ・マルムスティーンは大好きだよ。彼は確かにテクニックも優れているけれど、決して速弾きだけに腐心しているのではなく、とても注意深くセンシティヴにプレイするだろ。最初の何枚かのアルバムでは、ディストーションもほとんどかけられていなくて、そのトーンには魂が感じられる。それに彼は、ロックのペンタトニック主体のスタイルから、もっとクラシック的なものへとギター・スタイルを発展させた。俺はクラシックが大好きなんだよ。最近はヘヴィメタルよりもクラシックの方をたくさん聴いているくらいさ。ネオ・クラシカル的アプローチがとても気に入っている。ほかにも、エリック・ジョンソンやアル・ディメオラみたいなフュージョン・ギタリストも好きだよ。

川嶋:エンフォーサーにもクラシックの要素はあるのでしょうか。

オロフ:もちろんあるよ。さっきも言ったように、俺たちはヘヴィメタルのアルバムではなく、音楽を作りたいわけだから。1つのジャンルしか聴かないなんて馬鹿げてるよ。何かを試してみる前に、自らに制限を課してしまうなんてね。素晴らしいバンドはそんなことはしない。だけど、残念ながら、最近はそういうバンドが多いよね。自分を制限することから、素晴らしいものは生まれないよ。

川嶋:もちろんその通りだと思いますが、エンフォーサーというと、ヘヴィメタルという印象がとても強いですよね。

オロフ:そうだね、確かにエンフォーサーはヘヴィメタルというイメージは強いと思うし、故意にそうしてる部分もある。俺たちがメタルらしくない格好をしたら、ファンは戸惑うだろうし。この間インスタグラムに白いカウボーイ・ブーツをはいて写真をアップしたら、「こんなのメタルじゃない!」、「こんなのはヘアメタルだ!」、「お前らはクソだ!」って炎上しちゃって(笑)。勘弁してほしいよ(笑)。本当にメタル・シーンのやつらは頑固で時代錯誤でさ。正気とは思えないよ。

川嶋:エンフォーサーの音楽にはヘアメタルからの影響も感じられますが。

オロフ:正直、俺は「ヘアメタル」という言葉は好きじゃない。音楽を形容する言葉じゃないし、メロディックなハードロックに対する蔑称だよ。「ヘアメタル」も「グラム・メタル」も、ジャーナリストがあるタイプのバンド群の蔑称として考え出したのさ。だから「ヘアメタル」という言葉は好きではないけど、メロディックなヘヴィメタルやハードロックは大好きだよ。

川嶋:具体的には、ヘヴィメタル以外のどんなジャンルからの影響を受けているのでしょう。

オロフ:どんな音楽でも持ち込むことはできるよ。ニュー・アルバムではクラシックからの影響がわかると思う。ハーモニーやソロのパターン、メロディとか。ギター・ソロにはフュージョンのヴァイブも感じられるんじゃないかな。メロディック・ハードロック、ハードロック、ロック、メタル、スピード・メタル、ブラック・メタル、スラッシュ・メタル、ロックンロール。さまざまな要素が入っているよ。

川嶋:お好きなクラシックの作曲家は誰ですか。

オロフ:あらゆる時代のものを聴くよ。ヴィヴァルディという答えは月並みかもしれないけど、例えば『四季』なんかは、完璧な音楽作品だよね。規則に従いつつも、新しい規則を作りだしていて。ほかにもいろいろ聴くよ。最近はドビュッシーをよく聴いているし、マーラーも大好きさ。

川嶋:スウェーデンのメタル・シーンについてはどのように思われますか。

オロフ:そんなものは存在しないよ。

川嶋:そうなんですか?日本から見ていると、スウェーデンはメタル大国という気がしてしまうのですが。

オロフ:俺はそう思わないな。いくつか素晴らしいバンドがいて、あとは大量のパロディがいるだけさ。

川嶋:(笑)

オロフ:本気で言ってるんだよ。それにそういうパロディ・バンドがやっているのは音楽ですらなく、コメディか何かにでも入れるべきものさ。

川嶋:あなたのおすすめのスウェーデンのバンドとなると、どのあたりでしょう。

オロフ:Ghostは好きだよ。あとはTribulation、Horisont、Helvetets Port。RAMもわりと好き。Portraitもいいね。In Solitudeも良かったけど、解散してしまった。10年くらい前は、こういったバンドと一緒に多くのライヴをやっていたんだけどね。その後、多くの新しいバンドが出てきたけど、あまり好きなバンドはいないな。どんどんつまらなく、パロディになっていってしまっているよ。クリエイティヴィティや面白いアイデアが減っていってね。ほとんどのバンドは音楽を忘れ、ただそのジャンルをプレイすることばかり考えているからさ。

川嶋:お気に入りのメタルのアルバムを3枚教えてください。

オロフ:そうだな、第3位はメタリカの『Ride the Lightning』。第2位はジューダス・プリーストの『Sad Wings of Destiny』。1位はКредоの『Платим за всё』 (Credoの『Paying for Everything』)。ロシアのメタル・バンドだよ。

川嶋:あなたはスウェーデン・メタル・マニアとしても知られていますが、あまり有名ではないけれど、聴くべきスウェディッシュ・メタル・バンドを教えてもらえますか。

オロフ:もちろん俺よりも詳しいやつらはいるけどね。そうだな、Jonah Quizzは大好きだよ。Candlemassのファーストで歌っていたJohanがいたバンドさ。あとは、Madison。ヨーロッパに似ている部分もあるけど、もっとヘヴィメタル寄りだよ。Goran Edmanは本当に素晴らしいシンガーさ。彼はイングウェイ・マルムスティーンのアルバムでの何枚かでも歌っている。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

オロフ:メッセージはとてもシンプルさ。ぜひまた日本にいって、みんなに会いたいね!

取材・文 川嶋未来



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