ABBATH セカンドアルバム『Outstrider』!

2019年04月19日 (金) 13:00

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個性が強すぎる人物が跋扈するブラック・メタル界でも、ひときわ強烈なキャラを誇るアバスが、セカンド・アルバム『アウトストライダー』をリリース。イモータル時代から1つのスタイルにこだわらないアバスだが、今回はNWOBHM、ヴェノム、バソリーといった80年代初期へのオマージュ。バソリーのカバー「ペイス・ティル・デス」も収録。

 殺人、放火、悪魔崇拝。恐ろしいイメージがつきまとうブラック・メタルであるが、そんな暗黒世界にも愛されキャラは存在する。アバスだ。91年、デモナスとともにイモータルを結成したアバスは、92年に『Diabolical Fullmoon Mysticism』でアルバム・デビュー。翌93年、当時レーベルメイトであったカナダのBlasphemy、ギリシャのRotting Christらとともに敢行したFuck Christ Tourは、世界初の大規模ブラック・メタル・ツアーとし て伝説になっている。そんなイモータルは、「The Call of the Wintermoon」のPVがきっかけで、「一般の」人々からも注目を浴びることとなる。というのも、コープスペイントをしたアバスらが森の中を走り回るこのPV、本人たちの意志に反して、あまりに微笑ましかったからだ。もちろん、面白いことをしようという意図などあったはずはない。当時、恐ろしい悪魔崇拝集団として、ノルウェーの全国民がブラック・メタルに注目していた。そしてイモータルにも、朝のワイドショー(!)への出演依頼が来たのだ。「無料でPV撮影してあげるから」という条件に首を縦に振ったイモータルであったが、出来上がったPVを見てびっくり。完全に「面白PV」になってしまっていたからだ。だが、世の中わからないもの。図らずも、これがきっかけでイモータル人気は沸騰していくことになる。ギタリストのデモナスが重度の腱鞘炎にかかったため、『At the Heart of Winter』(99年)、『Damned in Black』(00年)、『Sons of Northern Darkness』(02年)の3枚では、ギター、ベース、ヴォーカルを担当という八面六臂の活躍を見せたアバス。中でも5枚目となる『At the Heart of Winter』は、イモータルの最高傑作との呼び声が高い名盤だ。だが、そんなアーティストとしての絶頂期であったはずの03年、イモータルは突如解散を宣言。ファンを驚かせた。結局は4年活動休止をしただけで、07年に復活。09年にはニュー ・アルバム『All Shall Perish』を発表し、万事順調かと思わせた矢先、今度は何と、メンバー間で法的な争いが勃発してしまう。「イモータル」というバンド名は自分一人のものと主張するアバスと、メンバー全員で共有のものとするデモナスらとで対立。15年、結局アバスがイモータルを脱退。残ったデモナスとホルグがイモータルの名を継ぐことになった。一方のアバスは自らの名を冠した新バンドを結成。驚いたことに、Loud Park 2015で来日まで果たした。アルバム発表前にである。デビュー作『アバス』は、翌16年、フランスのシーズン・オブ・ミストからリリースされた。

 そんなアバスのセカンド・アルバム『アウトストライダー』がリリースとなる。個性が強すぎる人物というのは、端から見ている分には楽しい一方、一緒に何かをするというのは容易ではなかったりするもの。おそらくは、アバスもそんなタイプなのであろうことは、イモータルの他のメンバーとの軋轢を見れば想像がつく。そして個人名義になった今も、アバスはアバスなようで、アルバム2枚目にして、すでにアバス以外のメンバーが総入れ替え状態。(ライヴのヘルプを含めれば、もうすでに10人を優に超えるミュージシャンが、「元アバス」という肩書を持っている!)キング・オブ・ヘルも、マスクをかぶっていたドラマーもいない。だが、アバスがいれば、アバスはアバスなのもまた事実。ファースト・アルバムではブラス・アレンジなども導入し、わりと幅広い音楽性を見せていたアバスだが、今回はそういった多様性を封印。実にブラック・メタル然とした、それも80年代初頭のオールドスクール中のオールドスクール的アプローチを見せている。NWOBHMやヴェノム、初期バソリーを露骨に彷彿させる部分も少なくない。バソリーのカバー、「ペイス・ティル・デス」が収録されていることからも、故意にその路線を狙っていることは明らか。80年代への回帰としてのブラック・メタルという、90年代初頭のスカンディナヴィアのシーンに通底していたコンセプトを再確認させる内容になっている。デモナスとホルグによるイモータルも、昨年優れたニュー・アルバムをリリース。そしてアバスの方も、こんな素晴らしい作品を作ってくれるとなると、本来は悲しむべきバンドの分裂劇にもポジティヴな側面があると思わずにはいられない。


【メンバー】
アバス(ヴォーカル)
オレ・アンドレ・ファースタッド (ギター)
ミア・ウォラス (ベース)
ユクリ・スビレトー (ドラムス)

【CD収録予定曲】
01. カーム・イン・アイア (オブ・ハリケーン)
02. ブリッジ・オブ・スパズムス
03. ジ・アーティフェックス
04. ハーヴェスト・パイア
05. ランド・オブ・ケム
06. アウトストライダー
07. サイスワインダー
08. ヘカテ
09. ペイス・ティル・デス (バソリー カバー)

(レーベルインフォメーションより)

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