東欧ブラックメタルの魅力とは?

2019年03月19日 (火) 21:30

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Sayuki & Furia / Besatt
Profile
岡田早由 Sayuki Okada (Metal Mania Sayuki)
平成生まれ。高校時代にKing Diamondに出会い、さらにエクストリームな音楽を求めるうちにブラックメタルを聴くようになる。2014年にポーランドにFuriaのライブを観に行ったのをきっかけに、以後、ポーランドを拠点に活動を始める。ディストロサイト『Dekalog 11』を運営しており、東欧諸国のエクストリームバンドの音源やマーチの販売のみならず、バンドへのインタビューを行っている。Dekalog 11の由来は、ポーランドの著名な映画監督クシシュトフ・キエシロフスキの作品『Dekalog』から来ている。

2014年の秋、当時夢中になっていたブラックメタルバンドFuriaのライブを観るため、わたしは彼らの母国ポーランドに渡った。縁あって、それからはずっと日本とポーランドを行き来している。

Furia

ポーランドのブラックメタルは、北欧や西欧などとも違う独特の雰囲気を帯びている。特に、わたしがイチ押しするFuriaはポーランド南部の炭鉱で栄える都市カトヴィツェ出身なのだが、彼らの曲はどこか灰色の煤けた工業地帯を思い起こさせるのだ。悲しげでいながら、モダンさをも感じさせるメロディーも美しい。初めてFuriaを聴いた時、まだポーランド語も理解しなかったわたしは、ポーランド語のミステリアスな響きにも魅了された。

Sayuki & I.Z.V.E.R.G.(BURSHTYN / ex-DUB BUK)

現地でブラックメタルバンドのライブに赴き、実際にバンドのメンバーやファンと交流するたびに、わたしはどんどんポーランドのブラックメタルに夢中になった。そして、ポーランド中のブラックメタルを聴いているうちに、音楽面以外の点にも興味を持つようになる。そもそも、ブラックメタルだからと言ってすべてのバンドがサタンや悪魔崇拝について歌っているわけではない、というのはその昔から知ってはいたが、ポーランドに来てからは、なおさらありとあらゆるブラックメタルに興味を示し始めた。何度も地図上から国が消えるという不遇の歴史を背負いながらもたくましく蘇った自国へのプライド、今となってはカトリック大国となってしまったポーランドが、キリスト教に蝕まれる前に祖先が信仰していたペイガニズム(土着宗教)への回帰、そんなテーマを意識させるようなバンドがポーランドには多いことに気付いたのだ。

もっと多くの人にポーランドのブラックメタルの魅力を知ってもらいたいと感じ、2017年の初頭にディストロを始めた。最初はポーランドのブラックメタルのみを取り扱っていたが、次第に範囲を広げ、その他東欧諸国のバンドも取り扱うようになる。

その活動に注目してくれていたのが、マニアックな本を次々と出版しているパブリブの編集長である濱崎氏だ。2017年の春、濱崎氏から本の執筆依頼を受けた。「東欧エリアのブラックメタルに関する本を書きませんか?」とのことだった。もちろんわたしは舞い上がった。文章を書くのは好きだった上、自分の本を出すのは小学生からの夢、さらには自分の好きなブラックメタルに関する本を出せるなんて!濱崎氏からのメールを読み直し、数分間冷静に考え、「本当にわたしに務まるのか?」と自問したが、すぐに「書きます!」と返信を送っていた。

ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーのヴィシェグラード四か国を取り扱った『東欧ブラックメタル1』(その頃は2冊目を出す予定は無かったので、実際には1と記載されているわけではないのだが……)を、2017年の12月に出版された。


そして、思いのほか好評だった1に続き、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国、バルカン半島を取り扱った『東欧ブラックメタルガイドブック2』を2019年の1月に出版する運びとなった。


この本を執筆するにあたり、これまで知らなかったバンドともたくさんめぐり逢い、新たに知ったことも山ほどあった。また、先述した通り、ブラックメタルは悪魔崇拝のためだけの音楽ではない。その国の風土や歴史、情勢を反映したバンドもいるため、それを踏まえて聴くとさらに楽しめることもある。2冊の本を書き終え、東欧のブラックメタルの魅力にどんどん憑りつかれている自分がいた。

そして今回は、ブラックメタル黎明期からこの世界に身を置き、世界中で人気を誇る日本のブラックメタルバンドSighの川嶋未来氏と対談を行った。主に『東欧ブラックメタルガイドブック2』に出てくるバンドを紹介した。本のブラックメタルをよく知る人も、そうでない人も、ぜひご覧いただきたい対談になっている。




この動画を観て、少しでも東欧のブラックメタルに興味を示していただけたのなら幸いだ。『東欧ブラックメタルガイドブック』は1と2が出ているが、どちらから読んでも楽しめる作品になっている。東欧諸国のバンドのディスクレビューのみならず、東欧のメタル事情や、東欧に住んでいたからこそ手に入る情報も満載だ。この本が、皆様の楽しいメタルライフの一助になることを願っている。

岡田早由


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東欧ブラックメタルガイドブック 世界過激音楽

東欧ブラックメタルガイドブック 世界過激音楽

岡田早由

価格(税込) : ¥2,376

発行年月: 2017年12月

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