【インタビュー】BEAST IN BLACK / Anton Kabanen

2019年02月08日 (金) 20:00

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セカンド・アルバム『フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ』をリリースするフィンランドのビースト・イン・ブラック。ギタリストであり、リーダーのアントン・カバネンに、いろいろと話を聞いてみた。

川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ』がリリースになります。デビュー作と比べ、どのような点が異なっている、あるいは進化していると言えますか。

アントン:さらに80年代的になったという人もいるけど、俺としては音楽的には大きな違いはないと思う。聴いてもらえれば、すぐにビースト・イン・ブラックだとわかる作品さ。デビュー・アルバムとの一番の違いは、やっぱり製作の過程じゃないかな。とにかくスケジュールがタイトでね。去年のサマー・フェスティヴァルのシーズンは、毎週末フェスに出ていたから、アルバムはその間の平日に作業する必要があった。俺はプロデュースもやったから、その間ずっとスタジオにいなくちゃいけなかったんだ。あと、今回初めて歌詞の共作をやってみた。ヘルシンキに住んでいるイタリア人の友人とね。彼も『ベルセルク』などの漫画やアニメが大好きなんだ。とても助かったよ。同じ特別な対象に真剣な興味を持つ相手との共作は、良い経験だった。うまくいったと思うよ。アルバムのリリースがとても楽しみさ。

川嶋:「地獄より愛を込めて」というタイトルにしたのはなぜですか。

アントン:このタイトルは、誰もが個人的な内容として受け止められるものだと思う。例えば、とても愛しているもの、とても愛している人、情熱を感じられる対象に対しては、代償を払うこともいとわないだろう?夢や情熱のためには地獄もいとわないということさ。

川嶋:つまり、あなたにとっての音楽や、ビースト・イン・ブラックということでしょうか。

アントン:うーん、1つの内容には限定したくないんだ。誰もがそれぞれの意味を見出せるようなタイトルが好きだからね。確かに俺にとっての音楽というのも、このタイトルに当てはまるだろう。このアルバム自体も地獄のような状況をくぐって、そして愛と献身をもって作られたわけだし。さっきも言った通り、とても厳しいスケジュールは非常にストレスで、まさに地獄だったからね。11月の頭にはナイトウィッシュのサポートでツアーに出たのだけど、アルバムのマスターがやっと完成したのは、そのわずか数日前のことだった。とにかく物凄い労働量、ストレスだったよ。愛と献身で作り上げた作品さ。メンバーみんな誇りに思っている。まあ、このタイトルはそういう意味にもとれるけど、あくまで1つの例でしかないよ。みんながそれぞれの解釈をしてくれればいいのさ。


川嶋:歌詞のテーマはどのようなものですか。『ベルセルク』や『北斗の拳』を題材にしているとのことですが、例えば「スウィート・トゥルー・ライズ」などは失恋ソングのようでもあります。

アントン:おおまかに分けて、俺たちの歌詞は2種類ある。だいたいアルバムの半分が、もう少し厳密に言うと、今回は5曲が『ベルセルク』についてで、もう1曲が『北斗の拳』について。『北斗の拳』も、素晴らしい80年代の漫画だよね。オープニング・トラックの「クライ・アウト・フォー・ア・ヒーロー」が、『北斗の拳』についてさ。そして残りの半分が、個人的な経験について。個人的な感情や宣言とか。個人的な内容については、歌詞を読んだ人が好きに解釈してもらえるように書いているよ。俺の人生についてとか、個人的な内容については、過度にオープンにしたいとは思っていないのだけど、読めば共感してもらえると思う。多くの人に起こりうる内容を扱っているからね。『ノー・サレンダー』などは宣言ともいえる内容で、精神的な強さが必要であるときに、「諦めないぞ」という、とてもストレートな内容だよ。「スウィート・トゥルー・ライズ」も個人的な内容で、おそらくみんなが共感できるものだと思うよ。ぜひ読んでみてほしい。この曲の歌詞は、非常に80年代的であるとも思う。音楽同様ね。PVも、そんな感じのものにしたんだ。

川嶋:『ベルセルク』にハマったきっかけは、どのようなものだったのですか。『ベルセルク』はフィンランドでも人気があるのでしょうか。

アントン:子供の頃に、友達が教えてくれたんだ。06年のことだったと思う。DVDを貸してくれてね、第1話を見たとたんにハマってしまい、一気に25話全部を見てしまった。それで続きが気になって仕方がなくて。終わり方がクリフハンガーだったからさ。我慢できなくて、続きを漫画で読んだ。それ以来ずっと『ベルセルク』のファンなんだよ。登場人物たちも素晴らしいし、話の展開も素晴らしい。絵も美しい。主人公の視点で見た世界が魅力的で、とても共感できる。悪魔や魔法みたいな超自然的要素を除けば、非常に人間的なものが核になっているんだ。自分自身とは何なのか、人生の意味、なぜ世の中はこんなに苦痛に満ちているのか、自分の人生はどうなっていくのか、誰を愛し誰を憎むのか、復讐に人生をかけるべきなのか、夢を実現するために生きるのか、とかね。多くの人が直面する、とても現実的な内容ばかりさ。だからこそ『ベルセルク』は素晴らしいんだ。ただ暴力的な悪魔を退治する漫画ではなくてね。最も魅力的な部分は、そういう人間的なところだよ。人間のダークな面について触れることもいとわないし。人間が持つ善も悪も、最も善いもの、最も邪悪なもの、そしてその間にあるものすべてが表現されている。だからこそ登場人物に共感できて、曲を書くときのインスピレーションも得ることができるのさ。

川嶋:フィンランドのテレビでも放映されているのでしょうか。

アントン:いや、テレビではやっていないよ。たまたま友達がDVDを貸してくれただけさ。その後DVDのボックスセットも買った。英語の吹き替えも入っているからね。

川嶋:では、『北斗の拳』はどのようにして出会ったのですか。

アントン:これは少々面白い話で、ヘルシンキに引っ越してきて1年後くらいだったかな、街をぶらついていたら、古本や中古ビデオを外に並べて売っているお店を見つけたんだ。俺はVHSのビデオが大好きなので、覗いてみたら、ものすごく安い値段でいろいろ売られていてさ。1本50セントとかだったから、そこにあったVHSをまとめて全部買ったんだよ。いろいろなアニメや映画が混じっていて、その中の何本かが『北斗の拳』だった。その時は『北斗の拳』は知らなかったのだけど、見てみたら「何なんだこれは!」という感じでさ。08年頃だったと思う。『ベルセルク』にハマった数年後だったはず。『北斗の拳』についての曲は、過去にも書いたことがあったのだけど、アルバムに採用したのは今回が初めてなんだ。とてもパワフルなアニメだよね。

川嶋:アートワークにはどのような意味が込められているのですか。

アントン:実は、初めはこういうカバーにするつもりではなかったんだ。だけど、オリジナルのアイデアがうまくいかなくてね。それで、(アーティストである)ロマンが以前描いたスケッチがいくつかあったから、その中から1枚選んで、これを『フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ』というタイトルにフィットするように描き直して欲しいとお願いしたんだ。彼がどこからインスピレーションを受けたのかは正直わからないのだけど、12年来の友達で、彼はビースト・イン・ブラックをテーマにした絵を描くのが好きなんだよ。彼とはとても仲が良いから、いろいろと話し合うことも多い。できあがったアートワークは、100%ビースト・イン・ブラックというもので、デビュー作とは違う新しいものになったと思うよ。ビースト・イン・ブラックの世界観にピッタリさ。彼も俺もボリス・ヴァレホ、ルイス・ロヨ、フランク・フラゼッタ、ケン・ケリーのようなアーティストの大ファンだからね。こういうアーティストの作品を思い起こさせるものが欲しかったというのもあったし、とてもうまくいったと思う。バンドのメンバーもみんな気に入っているし、評判も良いよ。

川嶋:新ドラマ―、アッテ・パロカンガスが加入して初のアルバムとなりますが。

アントン:彼は素晴らしい人間で、とてもつきあいやすいし、プロフェッショナルでもある。彼がバンドに加わったときは、彼こそがふさわしいドラマーだと思ったよ。加わる以前から、彼しかいないと思っていたのだけど、「バンドに正式に加入しないか」と聞いたら、わずか1秒で「イエス」と答えてくれたんだ。彼はステージでもエンターテイナーだし。ただドラムを叩くだけではなく、ショウをクレイジーに演出する術を知っている。常にとても楽しんでドラムを叩くんだ。彼こそがビースト・イン・ブラックのドラマーにふさわしいよ。まさに100%のビーストさ。

川嶋:今回モーターヘッドに加え、『ロッキーIV』のサウンドトラックに使用されていたロバート・テッパーの「ノー・イージー・ウェイ・アウト」のカバーもやりましたよね。

アントン:このカバーをやろうという話は、2年くらい前からしていたんだ。バンドのメンバーみんながこの曲が好きなのだけど、特にカスペリは『ロッキー4』のサントラの大ファンでね。俺も、これは最高のサウンドトラックの1つだと思うよ。もちろん世界中に素晴らしい曲というのはたくさんあるけど、この曲についてはメンバー全員のお気に入りということで、これを選んだのさ。モーターヘッドの方は、ベースのアイデアだった。俺は8歳のころからこの曲を知っていたから、プレイするのは簡単だったよ。モーターヘッドのカバーをビースト・イン・ブラックがやるというのは、少々意外だろ?パワー・メタル的なヴォーカリストがレミーを歌うわけだからね。ヤンはとてもうまくやったと思うよ。興味深く聴いてもらえると思う。


川嶋:ビースト・イン・ブラックは、間違いなくヘヴィメタル・バンドである一方、80年代のポップスであるとか、特にシンセサイザーのアレンジに他のジャンルからの影響を大きく感じさせます。一体どのようなアーティストからインスピレーションを受けているのでしょう。

アントン:メタルに関して言えば、インスピレーションを受けているのは、主にジューダス・プリースト、マノウォー、ブラック・サバス、トニー・マーティン時代のね、W.A.S.P.、アクセプトあたりだね。カスペリもジューダス・プリーストが大好きで、AC/DCに続いて彼の2番目にお気に入りのバンドなんだ。他のジャンルについては、基本的には良い音楽からはどんなスタイルであれ、インスピレーションを受けるよ。ジャンルを制限することはしたくないから。80年代のシンセポップ、80年代のポップス、イタロ・ディスコ、アコースティックな音楽、クラシック、サウンドトラック。古いゲーム音楽からもインスピレーションを受けることがある。任天堂やセガのゲームのサウンドトラックは素晴らしかっただろ。大好きだった。それから90年代初頭から中盤にかけてのパソコンのゲームのサントラも。曲さえ良ければ、どんなものからもインスピレーションを受けるよ。

川嶋:そもそも音楽との出会いはどのようなものだったのですか。

アントン:リスナーとしては、とても小さいころ、それこそ3歳とか4歳のころに、アニメの音楽をとても気に入っていた記憶がある。父がVHSのビデオを2-3本買ってくれたんだ。1つが『魔界伝説ヒーマンの闘い』で、そのオープニング・テーマが大好きだった。それから『忍者タートルズ』の音楽もとても気に入っていたな。6歳か7歳のころ、祖父がギターをくれたんだ。それで父が簡単なコードをいくつか教えてくれてね。俺は左利きの構えをしたら、父がそれは持ち方が反対だと言うので、右利きのスタイルでプレイしていた。実際俺は左利きなのだけど、子供のころから右利きと同じ弾き方をしているんだ。Em、C、G、D、Amみたいな簡単なコードを覚えてプレイしていたよ。パワーコードも覚えてね。小学校にあがると、ピアノやキーボード、エレキベース、エレキギター、ドラムやいろいろなパーカッションが揃っていた。おかげで色々な楽器になじむことができたよ。放課後先生に「音楽室で楽器を触ってもいいか」ってお願いしてね。楽器の弾ける友達と一緒にプレイしたりもした。小学校を終えると、初めて自分のエレキギターを手にしたんだ。13歳の誕生日プレゼントだったと思う。この時点では、凄く真面目に練習に取り組むようになっていた。毎日きちんと練習をして、ギターが情熱を傾ける対象になっていたんだ。同時に曲を書くことについても学んだ。自分のオリジナルのリフを弾いて、持っていた基本的な機材で録音してみたり。

川嶋:ではメタルとの出会いはどのようなものだったのでしょう。

アントン:確か8歳のときのクリスマス・プレゼントだったと思う。いや、その2年くらい前に、すでにディープ・パープルの『Slaves and Masters』は聴いていて、こんな音楽は聴いたことがないとびっくりしていたな。それで8歳のクリスマスに、父がハードロックのコンピレーションをくれたんだよ。ゲイリー・ムーア、ブラック・サバス、モーターヘッド、スージー・クアトロ、ウォレントなどが入っているやつ。それがとても気に入ってね。特に『Ace of Spades』には子供ながらに興奮したよ。初めて血がたぎったものさ。こんなにパワフルな音楽があるとはね。その後、父がハードロックのアルバムをいろいろと買ってくれて、ジューダス・プリーストとか、アリス・クーパーとか。同じころエレキギターも手にしたのだけど、当時一番好きになったのは、チルドレン・オブ・ボドムだった。アルバムを3枚出していてね。『Follow the Reaper』が最新作だった。俺は『Hatebreeder』と『Follow the Reaper』が大好きだったよ。それから、インターネットを通じてたくさんのバンドを見つけていったのさ。ジューダス・プリーストの他のアルバムやマノウォーとかね。それでこういったバンドのアルバムを買って、一気にハマっていったんだ。14歳か15歳のころさ。

川嶋:お父様がハードロックやヘヴィメタルをお好きだったのですね。

アントン:いや、父はまったくヘヴィメタル・ファンではないんだ。ポップスやロックは好きみたいだけど。おそらく俺がハードロックやメタルが好きであることに気づいていたんだと思う。どうして父が気付いたのかまでは思い出せないのだけど。もしかしたら俺が自分で言ったのかもしれない。いずれにせよ、父のおかげで素晴らしいバンドを知ることができたし、今こうやって自分の好きなことをやっていられるのだからね。

川嶋:ヘヴィメタルに限らず、あなたは80年代の文化にとても興味を惹かれているようです。80年代のどういった部分に魅力を感じるのですか。

アントン:80年代のものは特徴的だろう?見た目であるとか、音楽であるとか、80年代らしい特徴がある。音楽に関して言えば、80年代こそが最も素晴らしいものが生まれた時代だと思う。もちろん80年代という区切り自体ただの数字でしかないのだけど、どういうわけかこの十年間に新しい音が生まれ、新しいヴィジュアル的なものが生み出された。俺は80年代の持つテイストが好きなんだよ。逆にそれが嫌いな人もいるだろう。俺はたまたまそれが気に入っているというだけさ。直観というものを大事にするべきだと思うんだ。俺が音楽を聴いて、「これはいいな」と思う場合は、たいてい80年代がベースになっている。アニメに関しても、やはり80年代、あるいは90年代初頭のものが好きだ。最近のCGが多用されたアニメが好きな人からしたら、80年代のアニメは雑で洗練されていないように見えるかもしれないけど、俺はそれが好きなんだよ。好みの問題だろうけど。

川嶋:バンド名をビースト・イン・ブラックにしたのはなぜですか。

アントン:理由は2つある。まず、バトル・ビーストを抜けたあと、バンドのイメージやエッセンスの一部として、「ビースト」という言葉はキープしたかったんだ。「ビースト」というのを思いついたのは俺だという誇りもあるしね。「ビースト」についてのストーリーも書いているのだけど、まだこれは発表していない。完璧に仕上がるまでは出したくないからね。それからもう1つ、バンド名で、俺が『ベルセルク』の大ファンであることを示したいというのがあった。『ベルセルク』には「黒い剣士」(Black Swordsman)というキャラが出てきて、彼は「闇の獣」(Beast of Darkness)を抱えている。それで、"Black Swordsman"と"Beast of Darkness"を合体させて、Beast in Blackとしたんだ。

川嶋:お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

アントン:難しい質問だね。メタルだと、まずジューダス・プリーストの『Painkiller』。もう1枚メタルから選ぶとしたら、バラエティを持たせるという意味で、ブラックモアズ・ナイトの『Ghost of a Rose』。それから、『タイタニック』のサウンドトラック。

川嶋:では最後にニュー・アルバムを心待ちにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

アントン:まず、このインタビューをチェックしてくれているみんな、どうもありがとう。ビースト・イン・ブラックのニュースをチェックし続けてくれ。ニュー・アルバムは2月8日に出るから、買って聴いてみてほしい。気に入ってくれるといいな。もうすぐまた日本に行けるかもしれないから、ぜひ見に来てほしい。ファースト・アルバムも聴き続けてくれ。

取材・文 川嶋未来



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