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【連載コラム】Akira Kosemura 『細い糸に縋るように』 第64回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2015年10月6日 (火)

profile

[小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA]

1985年生まれ、東京出身の作曲家・音楽プロデューサー。
2007年「It's On Everything」でデビュー。同年、音楽レーベル「SCHOLE」を共同設立。
これまでに五枚のオリジナルアルバムを発表、いずれの作品も国内外において高い評価を獲得。
2012年にコンテンポラリーバレエ公演「MANON」(演出/振付:キミホ・ハルバート)の音楽、2014年に映画「最後の命」(監督:松本准平、主演:柳楽優弥)の音楽を担当。
やなぎなぎの楽曲プロデュースや、全日空「ANA LOUNGE」の音楽監修、イケアのテレビCMをはじめとした数々の広告音楽を手掛け、NIKON ASIA、KINFOLK、RADO Switzerlandなど国際企業とのコラボレーションも多数。
これまでに米国最重要音楽メディア「Pitchfork」、豪州最大規模の新聞紙「THE AGE」にてその才能を賞賛されるなど、日本国内に留まらない世界的な活躍が期待される音楽家の一人である。




こんにちは。
いつ振りでしょうか。半年振りくらいかな。連載コラムと言いながら、すっかりご無沙汰してしまいました。

しかしですね、それには一応、理由がありまして・・・。

今年の六月に、なんと待望の第一子が生まれました。
男の子で、名前は奏(Sou)と言います。とても元気でやんちゃな、笑顔が愛らしい赤ん坊と日々、暮らしています。
いまようやく生後百日が過ぎたところで、赤ちゃんとの生活にもだいぶ慣れてきたのですが、最初の一ヶ月はかなり大変で、子育てというのはなんてパワーのいる仕事なのだと面食らいました。世のお父さんお母さんがいかに頑張っているのかを知り、自分もそれに負けないように頑張らなくてはと思ったのですが、大変は大変でも、我が子というのは他の何にも代え難い、特別な愛情が芽生えるもので、不思議と頑張れてしまうものなんですね。
そんなわけで、コラムを書く暇もないくらい、仕事と子育てに集中していたのですが、最近は心も身体も少し落ち着いてきたので、そうなってくると、あまり休んでいるのも悪いなぁという罪悪感が芽生え始めたので、いそいそとこのコラムを書き始めたわけです。
それにしても、子煩悩なのかなぁ、気がついたら自分のSNSが息子の写真ばかりになっていて、なんでしょうね、不思議なものです。子供、割と苦手なほうだったんだけどなぁ。あえてここには貼らないので、我が息子の愛らしい写真を見たい方はぜひ、僕のSNSをチェックしてみてください(笑)


(作画:妻)

さて、近況ですが、なにを話そうかなぁ。
更新が滞っていた間にあったことというと、六月頃にTVCMに出演させて頂く機会があって、それはなかなか貴重な体験でした。
普段は裏方なので、絵コンテを見ながら作曲し、提案されている方向性と擦り合わせていく、というのが専らの仕事なので、撮影の現場に出向くということはまずないのですが、今回は出演依頼ということで、初めてCM撮影の現場にお邪魔することが出来ました。CMの性質上、すごく大きなクレーンが何個もあったり、照明機材も凄かったり、用意されているセットがとにかく大掛かりで驚きましたが、なかなか経験できることではないので、ありがたいなぁと思いながら、楽しんできました。

CM音楽では、au KDDIの三太郎シリーズの音楽を担当させて頂きまして、金太郎が鬼退治にいくという設定の、男同士の友情を描いたコマーシャルなのですが、友情にまつわるイメージの音楽というのはいままであまり書いたことがなかったので新鮮な気持ちで取り組めました。なによりコマーシャルの内容がとても素敵だったので、作曲するのが楽しかったなぁ。
どちらも僕のウェブサイトに載っているので、気になった方はぜひ観てみてください。


そんなこんなで、突然ですが、実は来月、新しい作品がリリースされます。
詳しい内容は10月15日解禁となる予定なのでまだ秘密ですが、今年の頭に企画が立ち上がり、それから様々な作業を経て、今週、最後の録音作業も終わり、いよいよ発売に向けたカウントダウンが始まります。
今年の多くをこの作品に費やしてきて、いまもまだ細かい作業が進行中ですが、間違いなく素晴らしい作品になると確信しています。
僕が私生活で感じ得たプライベートな部分と、作曲家として挑戦したいと思っていたパブリックな部分とを織り交ぜて、作品として昇華することが出来たと思います。ぜひ、ご期待ください。


それではまた、そのうちに。



  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/





Akira Kosemura 最新作

Akira Kosemura 『Tiny Musical』  [2015年07月27日 発売]

小瀬村晶 2ndソロアルバム「Tiny Musical」(2008年発表)がデジタル・リマスター盤としてリイシュー。 オリジナル盤のリリース以降、ファンから熱望され続けてきた名曲「Light Dance」のオフィシャル・スコアを初収録、待望のスペシャル・エディションとして帰ってきました。
数あるソロ作品のなかでも、ファンの間で名盤として親しまれてきた本作は、小瀬村晶、22歳の頃に制作されたソロ作品。“自分だけの小さなミュージカル”をテーマに、フィールド・ワークによって集音した様々な環境音(非楽器音)や、ピアノを始めとしたアコースティック楽器、シンセサイザーによる音色など、あらゆる音を素材として等価に扱い、音で遊ぶことによって生まれた箱庭的エレクトロニカ・サウンドは、インストゥルメンタル作品として異例のセールスを記録し、一躍、彼のキャリアを押し上げる代表作となりました。
作家としての活動を予感させるものであり、また、“日常に捧げる新しい音楽の形”を提唱し、立ち上げたレーベルである「SCHOLE」の初期を象徴する作品として、以降のリリース作品に大きな影響を与えています。

※ 初回出荷分のみ未発表曲「promise with you (piano version) 」ダウンロードクーポン付き
※ デジタル・リマスター盤
※「Light Dance」オフィシャル・スコア封入盤
※ 吉村健氏によるライナーノーツを封入



Akira Kosemura 今月のオススメ

Akisai 『Images』  [2015年10月10日 発売]

音響と映像によるパフォーマンスを見せる2人組ユニット、akisaiのセカンドアルバム「images」をリリース。今作は音楽(CD)と映像(DVD)を同時封入した2枚組となっています。
前作のギターやピアノ、シンセサイザーを中心にした楽曲構成のスタイルを引き継ぎながらも、トランペットやフルートといった管楽器の比重を増やした意欲作。幅広い音楽的バックボーンを持つ鈴木(音楽担当)が多種の楽器を用いる事により表現力豊かな作品に仕上がり、「akisaiの音楽」の基盤を築いた事を感じさせるだけでなく、今後の展開を期待させる作品となっています。
DVDには、akisaiの追求する世界観の中で重なり絡み合うヴィジュアル的要素とサウンド的要素が創り上げる抽象的イメージを、別視点から再構築する事をコンセプトとした31分に及ぶ映像作品「re:qualia」を収録。今作「images」より「bless」、「mistygray」、前作「colors」より「theory」の3楽曲を元に構成され、それぞれの楽曲の持つサウンドイメージを中家(映像担当)が感覚的にヴィジュアルイメージとして昇華し、1つの不可視な糸として観る者の深層にある感覚に対して結びつき、感覚相互のつながりによる新たな共有概念を生み出す可能性を模索しています。imagesというタイトル通り、音楽と映像による対話を常に試みてきた軌跡によって生まれた作品は、聞く者の想像力を豊かに刺激します。
前作に引き続き、A&Rを小瀬村晶、マスタリングエンジニアを井口寛、写真・アートワークを菊地慎が担当。



次回へ続く…。






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