【インタビュー】アウル・シティー

2015年7月1日 (水)

初めてSEKAI NO OWARI を聴いた時、彼等の持つメロディの感覚っていうか、Fukaseの書く歌詞や特に歌メロが、すごく自然だなって感じたんだ

2009年のデビューシングル「ファイアー・フライズ」が全米No.1ヒットとなり一躍有名になった米ミネソタ州出身のSSW、アダム・ヤングによるソロ・プロジェクト、アウル・シティー。

“ドリーミー・エレクトロ・ポップ”とも言われる彼のメロディーとサウンドに魅せられるアーティストも多く、昨年はASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催する"NANO-MUGEN FESTIVAL"とSEKAI NO OWARIが主催する"TOKYO FANTASY"で来日するなど日本からのオファーも多い。

とりわけ々SEKAI NO OWARIはメンバーがアウル・シティーのファンであり、世界進出の一歩としてコラボレーションをアウル・シティー側にリクエストしたところ、彼らのオリジナルな世界観と活動に感銘を受け、「トーキョー／TOKYO」での共演が実現。アダムに彼らについて聞いてみた。

「初めてSEKAI NO OWARI を聴いた時、彼等の持つメロディの感覚っていうか、Fukaseの書く歌詞や特に歌メロが、すごく自然だなって感じたんだ。つまり僕自身の音楽へのアプローチと似ているっていうか。その時以来、日本のカルチャーや音楽、特にポップミュージックにおけるメロディ・ライティングには、僕がすごく共感できる何かがあるって思うようになったんだ。もしかすると、アメリカのポップミュージックよりも、日本の方に僕の曲の書き方は似ているんじゃないかって思う。自分でも想像以上に、親しみを感じるよ。クールだね。」

Owl City - Tokyo (Audio) ft. SEKAI NO OWARI

またアダムはこう付け加える。
「日本のアーティストの書くメロディは、実はすごく入り組んでいるんだ。少なくとも僕にはそう聴こえるな。同時にいろんなことが起きて、あっちこっちに飛んでいるように思えるんだけど、最後にはちゃんと意味が通るっていうか。アメリカのアーティストが書くメロディはもっとシンプルで、わかりやすいっていうか、時にはわかりやす過ぎって思えることもある。むしろFukaseの書く曲の複雑さは、僕が一番自然に書ける曲に似ていて、すごく好きだよ。SEKAI NO OWARIとのコラボによってそれが再認識できたことは、間違いなく、僕のニューアルバムに影響として表れていると思うよ。」

アロー・ブラックがいなかったら、今みたいに良い曲にはならなかったと思う

アウル・シティーの元々書いていた複雑で抽象的な曲作りと、最近のキャッチーでポップなメロディ傾向が見事にブレンドされた、通算4枚目となるスタジオ・アルバム『モバイル・オーケストラ』のポイントは「多様性」だという。

「過去には、トラックからトラックへ流れるように、ひとつのまとまりのある音楽として聴けるようなアルバムを制作しようとしたこともあった。でも、今回は色々な方向に向かう10個のウサギの穴みたいなものなんだ。こんなアプローチをしたのは初めてだよ。」

「日本やアジアを含め、ツアーで訪れた世界中の国々で僕自身が感じたり、見聞きしたことも、影響しているんじゃないかな。つまりは、あらゆるものが全部そこにはあって、そういう意味ではすごく多様性がある。でもそれを誇りに思っているよ。」

そんなアルバムの冒頭に入っているアロー・ブラックと共演した「ヴァージ」はそのヴォーカルパートも含め非常に印象的だ。

「アローがいなかったらどんな曲になっていただろうか?と想像するに、今みたいに良い曲にはならなかったと思う。彼のヴォーカルの存在感というか、声色は他の誰とも違うユニークなものだし、僕の声の正反対なんだ。彼の声は華があって装飾的だけど、僕の声はどちらかと言うと、真っ直ぐストレートな声だ。そんな2つの声が混ざりあうことでメリハリが生まれる。だから面白いんだと思うよ。」

Owl City - Verge ft. Aloe Blacc

またアダムの子供の頃の記憶を映し出したようなノスタルジックなポップチューン「アンビリーバブル」では90年代に活躍した兄弟グループ、ハンソンをフィーチャーしてる。アダムは彼らの大ファンだったそうだ。

「うん。僕は小学校4年か5年くらいの頃、ファースト・シングルが出て、人気が爆発し、しばらく好きだったよ。現在の彼等がやっている音楽も大好きだ。年々良くなっていると思う。それを考えると、彼等がアルバムに参加してくれたことは、2倍光栄なことだよ。4年生の僕には、こうやって彼等と仕事をしていることは想像も出来なかった。めちゃクール！」

またカントリーシンガーのジェイク・オーウェンと異色の共演となった「バック・ホーム」はアルバムの中でもお気に入りの1曲だという。

「何年も前からジェイクの大ファンだったんだ。だから彼の世界観に近い楽曲を無意識に書いてたんだね。これまで試したことのないタイプの曲だったから興奮したよ。それをジェイクに送って意見を求めたらすごく気に入ってくれて、喜んで歌いたいって言ってくれたんだ。大感激だったよ。」

そんな様々な出会いにより生まれたカラフルな『モバイル・オーケストラ』を引っさげ、 7月にはフジロックに出演するため再び日本に戻ってくる。

「フジロックはアップビートでエキサイティングでダイナミック、そしてパワフルなショーになればな、と思ってるよ。それと新旧のサウンドを織り込んだものにしたいよ。僕のキャリアのどの時期のファンだったとしても楽しめるように、初期、中期、最新の曲、とすべて網羅して、誰もが「あ、この曲知ってる」と思えるようにしたいな。まだセットリストは決めていないんだけど、もう少ししたら考え始めるよ。７月に戻ってくるのも楽しみだ。」

5月に行われたアウル・シティーの単独公演は全てソールドアウトになってしまい、見逃してしまったファンも多いのではないだろうか。今度のフジロックは、アダムが運転する「移動する箱の中のオーケストラ」という宇宙船に乗り込むまたとないチャンスだ。この機会、お見逃しなく。

インタビュワー：松永尚久
編集：ヒロ安藤

FUJI ROCK FESTIVAL 2015出演決定！
7月24日（金） http://www.fujirockfestival.com/

Owl City『Mobile Orchestra』（2015年07月10日発売）

音楽を持って僕らはどこへだって行けるんだ。
5月末に東名阪で開催される来日公演は全てソールドウトとなったアウル・シティーが、2012年発表『ザ・ミッドサマー・ステーション』以来となる通算4作目となるオリジナル・アルバムをリリース。リード・シングルはアロー・ブラック（アヴィーチーの大ヒット曲「ウェイク・ミー・アップ」のシンガーを務めたことでもあまりに有名）とのコラボ曲になる「ヴァージ」。"ドリーミー・エレクトロ・ポップ"とも形容される彼の音楽の魅力が存分に発揮された新たな名曲の誕生だ。そして昨年、日本の他、119の国と地域でリリースとなった「トーキョー feat. SEKAI NO OWARI」も収録される。