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2015年4月25日 (土)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィルの2015/16年シーズン・プログラムが4月28日に発表
 ベルリン・フィルの来シーズンの予定が、4月28日に発表となります。詳細は、当日の日本時間21時頃からベルリン・フィルの公式ウェブサイトでご覧いただけます。

ベルリン・フィル公式ウェブサイト

ベルリン・ムジークフェスト2015のプログラム詳細が発表
 ベルリンの秋の音楽祭、今年のベルリン・ムジークフェストは、9月2日から20日まで開催されます。重点的テーマとなるのは、ニールセン、シェーンベルク、マーラー、「ペレアスとメリザンド」。
 ベルリン・フィルハーモニーを会場に、ベルリン・フィルをはじめとする6つのオーケストラのほか、ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ響、ネルソンス指揮ボストン響、メータ指揮イスラエル・フィル、ロト指揮SWR響、セナゴー指揮マーラー・チェンバー管、ドホナーニ指揮フィルハーモニア管、ボーダー指揮デンマーク国立管、ハーディング指揮スウェーデン放送響の豪華な顔ぶれが客演する予定です。

プログラムの詳細を見る

 最新のDCHアーカイブ映像

ムーティが6年ぶりにベルリン・フィルに登場
2015年4月17日

【演奏曲目】
シューベルト:イタリア様式による序曲ハ長調
モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》
R・シュトラウス:《イタリアより》

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ


 リッカルド・ムーティの演奏には、極端なルバートやダイナミックの強調、不適切に遅いテンポは見られません。彼は厳格な原典主義者、しかも完璧主義者として広く知られています。ムーティは最近、シカゴ交響楽団の首席指揮者のポストを2020年まで延長しましたが、モーツァルトのスペシャリストとしても著名でしょう。今回の演奏会では、《ハフナー交響曲》を演奏。この作品は、同名のセレナードと多くの共通点を持っています。
 イタリア人ムーティは、このプログラムでも、イタリアにちなんだ作品を取り上げています。シューベルトの「イタリア風序曲」とリヒャルト・シュトラウスの《イタリアより》です。作曲家自身の言葉によると、第3楽章〈ソレントの浜辺で〉では、「自然の甘美な響き、風に揺れる葉、鳥のさえずり、海の漣の音が聴き取れ」ます。終楽章は、「ナポリの活発な町の雰囲気」を表現していますが、ここではダンツァの《フニクリ・フニクラ》が引用されます。

ムーティの演奏会をDCHで聴く

ラトルの《ファウストのごう罰》
2015年4月11日

【演奏曲目】
ベルリオーズ:《ファウストのごう罰》

独唱:チャールズ・カストロノーヴォ(ファウスト)、ジョイス・ディドナート(マルグリート)
リュドヴィク・テジエ(メフィストフェレス)、フローリアン・ベッシュ(ブランデル)
ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルシー)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル

 ベルリオーズの《ファウストの劫罰》は、作曲家自身がテキストを書き、シェークスピア的な手法で登場人物の情熱と奇怪さに焦点を当てて完成させた大作です。「私はゲーテの原作の枠組みに忠実に従おうとは思わなかった」とベルリオーズが語ったように、ゲーテの原作にはない創作も盛り込まれ、ジャンルの上ではオペラと合唱交響曲の間を揺れ動く作品と呼べるでしょう。ベルリオーズの創作のファンタジーは、バイロン風のメランコリックな人物として描かれたファウストよりも少女マルグリートに向けられており、メフィストフェレスや悪魔たちが絡んでの劇的効果は比類がありません。
 後世に大きな影響を与えたベルリオーズの理論書『近代の楽器法と管弦楽法』(1843年)を著した直後に完成されたこの作品は、オーケストレーションの色彩の豊かさにおいて際立っています。通常はなおざりにされがちな金管楽器の低音域にメフィストフェレスの身の毛のよだつような不吉な音が与えられ、バレエ音楽における極めて優美な木管楽器の音楽も聴きものです。サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる今回の上演では、英タイムズ紙に「比較不可能な神の声」と評されたメゾソプラノのジョイス・ディドナート(マルグリート)、テノールのチャールズ・カストロノーヴァ(ファウスト)、リリックバリトンのリュドヴォク・テジエ(メフィストフェレス)らのソリストのほか、ベルリン放送合唱団を加えた理想的な布陣でお楽しみいただけます。

ラトルの《ファウストのごう罰》をDCHで聴く

無料中継!ブンデスユーゲント管がテツラフと共演
2015年4月12日

【演奏曲目】
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第4番

ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
ブンデスユーゲント管弦楽団
指揮:カール=ハインツ・シュテフェンス


 ドイツの若手音楽家で構成されるブンデスユーゲント管弦楽団が、ベルリン・フィルハーモニーに客演しました。今回指揮をするカール=ハインツ・シュテフェンスは、2007年までベルリン・フィルのソロ・クラリネット奏者を務めた後、指揮者に転向。2008年から13年までハレ歌劇場の音楽監督、2009年からはラインラント=プファルツ国立フィルの音楽監督を務め、2013年には古巣のベルリン・フィルに指揮者としてデビューを果たし、成功を収めています。
 今回のベルリン公演では、今シーズンベルリン・フィルの「アーティスト・イン・レジデンス」の任にあるクリスティアン・テツラフをソリストに迎え、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第4番が演奏されています。バルトークのヴァイオリン協奏曲は、1937年から38年にかけて同じハンガリー人のヴァイオリニストで、当時右派系の新聞からの中傷にさらされていたゾルターン・セーケイの依頼で書かれました。チャイコフスキーの第4交響曲は、作曲家の個人的な危機の頃に生まれたもので、運命的なファンファーレにより幕を開けます。

ブンデスユーゲント管の演奏会(無料映像)をDCHで聴く

 これからのDCH演奏会

ネルソンスのマーラー「第5」
2015年4月26日(日)日本時間午前2時

【演奏曲目】
HK・グルーバー:トランペット協奏曲《アリエル》
マーラー:交響曲第5番

トランペット:ハーカン・ハーデンベルガー
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:アンドリス・ネルソンス

 若手指揮者のアンドリス・ネルソンスがベルリン・フィルを指揮します。ネルソンスは、2010年のデビュー公演で成功を収めて以来、ベルリン・フィルとは定期的に共演を重ねてきました。前半の演目は、オーストリア人作曲家、HKグルーバーのトランペット協奏曲《エリアル》。1999年にロンドンで初演されたこの協奏曲は、グルーバーによると、空中からの2つの眺めを扱っています。エミリー・ディキンソンの「嵐の夜」という詩をモチーフにしたオーロラの下の想像上の風景に続き、「Gone Dancing」というタイトルを持つ後半では、別の惑星から臨むかのような眺めが描かれます。ジャズとダンス音楽の間を揺れ動くこのファンタジー豊かな作品のトランペットソロを、初演者でもあるハーカン・ハーデンベルガーが担います。
 コンサートの後半はマーラーの交響曲第5番。この作品が1904年にケルンで初演された当時、作曲家は「これは誰にも理解できない、呪われた作品だ」と不満を言葉にしましたが、今日ではマーラーの作品の中で特に頻繁に演奏される人気曲の一つです。中でも第4楽章のアダージェットは、ルキノ・ヴィスコンティ監督による映画『ベニスに死す』に使われたことで世界的に知られるようになりました。ネルソンスとベルリン・フィルがマーラーの交響曲を共演するのは今回が初。ネルソンスの才気あふれる解釈に期待がかかります。

ネルソンスの演奏会をDCHで聴く

ヤンソンスとF・P・ツィンマーマンの共演
2015年5月11日(月)日本時間午前3時

【演奏曲目】
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲

ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:マリス・ヤンソンス

 バルトークは「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」において、さまざまな音の色彩の関係性を密度の高いネットワークで結ぶことに成功しました。そこでは絶え間ない音の移行と唐突なコントラストが並列しています。楽器配置には空間のサウンド効果が意図されており、スコアによると、弦楽五部は指揮者の左右二手に分けて配置され、半円形の末端にコントラバス、そして舞台の真ん中に打楽器が置かれます。マリス・ヤンソンスが客演する今回の演奏会では、1937年に初演されたこのバルトークの代表作のほかに、ラヴェルのバレエ音楽《ダフニスとクロエ》から第2組曲が取り上げられます。ストラヴィンスキーはこの作品を「あらゆるフランス音楽の中で最美の一つ」と誉め称えました。
 2つの作品の間に並ぶのが、フランク・ペーター・ツィンマーマンがソロを務めるショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番。これはダヴィッド・オイストラフの還暦を祝って書かれた深い感情表現を持つ作品ですが、ショスタコーヴィチは彼の生年を1年間違って覚えていたため、1967年10月26日にモスクワで行なわれた初演の際、オイストラフはまだ59歳だったというエピソードが残っています。近現代を代表する作曲家の傑作を、名匠ヤンソンスの指揮でお聴きください。

ヤンソンスの演奏会をDCHで聴く

 アーティスト・インタビュー

クリスティアン・ゲルハーヘル
「私はブラームスについて、批判的なのです」
2015年1月24日

【演奏曲目】
ブラームス:ドイツ・レクイエム

ソプラノ:シュヴォーン・ステック
バリトン:クリスティアン・ゲルハーヘル
ベルリン放送合唱団(合唱指揮:ギース・レーンナールス)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン

 今年の1月にティーレマン指揮の演奏会でブラームス「ドイツ・レクイエム」を歌ったクリスティアン・ゲルハーヘルのインタビューをお届けします。
 ここで興味深いのは、ゲルハーヘルがかなり明確なブラームス批判を行っている点です。その主旨は、「ブラームスが人間嫌いである」というだけでなく、人間に対して「軽蔑」を感じていたということ。そして、彼が歌曲等の作曲にあたって優れた詩を避けた、ということです。ゲルハーヘルは、そうしたブラームスの姿勢に疑問を感じているわけですが、語調には真剣な思いが感じられます。
 「ドイツ人音楽家としてブラームスを批判すること」は、かなり勇気がいると思われますが、それをあえて行っているところが、信念を曲げない彼らしいと言えるでしょう。

クリスティアン・ゲルハーヘル
 私がこの曲があまり好きではないのは、次の理由からです。ドイツ・レクイエムだけでなく、ブラームスの声楽曲全般に当てはまることなのですが、彼の歌詞の扱い、付曲の仕方は、旋律的にも和声的にも、私がテキストだけを読んだ時の印象と、まったく違うことが多いのです。
 ふたつ例を挙げましょう。ひとつ目は、第3曲のバリトン・ソロ、〈ああ、人間は皆、どんなに無意味なものか〉です。このメロディーは、上から下に向って進行し、音量的にも少しクレッシェンドが付きます(歌う)。私はこのメロディー・ラインは、“軽蔑的な”感じがするのです。
 私は、ブラームスについて全体に批判的である、ということを白状しておきます。でも、歌い手として、ブラームスの生涯に興味があるので、色々と情報を集めたり、本を読んだりします。そこで私が彼の人柄から受ける印象は、ここでの音楽と完全に一致しています。つまり、“人間を軽蔑している”感じがする。これは、本来の歌詞の意図とは逆でしょう。聖書の言葉は、哀れな人間に対して同情しています。無為な日常を過ごしている人間への軽蔑ではなく、彼らの運命や状況への共感や理解こそが本来の意味なのです。しかしブラームスの音楽には、そうした要素がまったく聴かれません。
 もうひとつの例は、第6曲、ふたつ目のバリトン・ソロで(最後の審判ないし死の後の)魂の変容・浄化が語られるところです。この部分は、ドラマチックに盛り上がる、という音楽になっています。私は、ブラームスがなぜこのような音楽を付けたのかが理解できません。なぜ死後の魂の浄化が、これほどマエストーゾでなければならないのでしょう。天に昇って救われる、という感じではありません。
 このような作品に共感するのは難しいのですが、私としては“ブラームスを変えることはできない”としか言いようがありません。ドイツ・レクイエムで選ばれているテキストは、非常に独特で、彼自身の思い入れや宗教理解が反映されているでしょう。私としては、作品の声楽的な難しさを克服することに意を注ぎ、そこでよい結果を出そうと心がけています。この作品では、慰めや親密さが多くの部分でテーマとなっていますが、そうした叙情的なピアノの雰囲気は、バリトンのパート全体でも維持されていなければなりません。しかし同時に、声楽的にはずっと中低音域で広々とした声で歌わなければならない。私はこの曲をすでに長く歌っていますが、いつかは自分もそういう充実した中低音で歌えるだろうと思っていたのですが、そうならなかった…。
 もちろんこの曲は、あらゆるバリトンのメイン・レパートリーです。バリトンにも色々と種類があって、ヘルデンバリトン、バス・バリトンは低音が充実し、このような問題をあまり意識せずに済むかもしれなせん。もちろん彼らの場合は、リリックな部分が難しいかもしれませんんが…。いずれにしても、“誰に合ったレパートリーなのか”はともかく、ドイツ・レクイエムでは、“叙情的な基調”と“強い中低音”という相反する要素が同時に要求されます。それは、声楽的に非常に難しい問題なのです。
 (“人間への軽蔑”ということについて)もちろん第4、6、7曲等、後半のナンバーは、明るい感じがするだけでなく、人間を慰める意図が現れています。しかし最初の2曲には、それがまったくありません。ここでのオーケストレーションは、非常にバスを強調しています。いかめしく威圧的で、巨大な音響世界なのです。このレクイエムは、親密さを出そうと試みているわけですが、同時にそういう側面があることは、私にとってはどうにも疑問なのです。
 ブラームスの歌詞の選び方は、私の意見では、非常に問題があると思います。彼はとても教養のある人で、文学をよく知っていました。歌曲を作曲する際には、最高の詩を使うことも可能だったでしょう。しかし彼は、それをしなかった。私にはその理由が理解できません。理解できないだけでなく、彼がそれをしなかったことを許すことができないのです。ブラームスが、当時最大の芸術家のひとりであることは、疑う余地がありません。ドイツ・レクイエムの楽譜を見るだけで、彼の能力は明らかでしょう。もちろん彼も、時々ゲーテやハイネの詩に作曲しています。しかしそれにしても、作曲するのが難しかったり、特に重要な作品、というわけではない。ゲーテを最も多く作曲したシューベルトや、シューマン、ヴォルフは、重要な詩、優れた詩にトライしています。ブラームスは、凡庸なテキストをあえて選び、作曲したのです。

「ドイツ・レクイエム」の演奏会をDCHで観る

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ネルソンス&ボストン響がDGとライブ録音シリーズを発売
 アンドリス・ネルソンスとボストン響が、ドイツ・グラモフォンとコラボレーションし、ショスタコーヴィチの交響曲・管弦楽曲シリーズをライブ録音でリリースする。テーマは、スターリン時代のショスタコーヴィチ。交響曲第5番から第10番までと、《ハムレット》、《リア王》の映画音楽、その他の管弦楽作品が収録される。
 総計で5つのアルバムが計画されており、2015年夏から17年にかけてリリースされる予定である。最初のタイトルは、交響曲第10番と《ムツェンスクのマクベス夫人》よりパッサカリア。

ラジオ・フランスのふたつのオケが合併?
 フランスのメディアによると、ラジオ・フランス傘下のふたつのオーケストラ、フランス放送フィルとフランス国立管が、合併される可能性がある。フランスの国立会計監査院は、ラジオ・フランスにリストラを促しているが、その一環で放送局はオーケストラの構造改革も考えに入れているという。これはフランス・インテル、フランス・インフォ、フランス・クルテュールといった編成局全般の改革の一部であるため、抜本的な変化が予想される。
 ラジオ・フランス総裁のマチュー・ガレは、昨年秋にすでにオーケストラ・マネージメントの合併を提案していたという。その際には、合併は楽団員のストライキにより回避されている。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2015年5月15日(金)発行を予定しています。

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