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【連載】 森は生きている 「コラム」 最終回 「影響」(10)-影響-

2015年1月30日 (金)

森は生きている
連載「コラム」

アルバム発売の週末からスタートした、『【連載】 森は生きている 「コラム」』 !毎週金曜夕方更新を目安に増村和彦(Dr.etc.)が、「影響」をテーマに類まれな文才を発揮した当企画。彼の持つ価値観の一端を垣間見れるような濃厚な内容に、担当者も毎度、驚きと発見の連続でした。更新を重ねた当企画も10回目にあたる今回で最終回。どうぞ最後までじっくりお楽しみください。

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最終回 「影響」(10)-影響-

 友達の話をする。恐らく最も直接的な影響を受けた人物の話。
 中学2年でドラムを始めた頃はまだよかった。周りが好きなもの、謂わばウケるものをやって文化祭なんかに出て目立ってれば楽しかった。音楽よりよっぽど部活動のほうが大事だった。高校1年の時だったか、大分市に遊びに行った時、佐伯市ではめったにお目にかかれない「ドラム・マガジン」なるものを、あるビルの本屋で発見したところからよくなかった。それは創刊20周年特集3号続きの3号目で、時代ごとに名ドラマーの紹介と代表作品が丁寧に掲載されていた。すぐさま親のクレジット・カードを借りて、その1・2号とその先1年の定期購読を申し込んだ。(ちなみにこの時人生で初めてクレジット・カードを使った。その号の懸賞で、チャド・スミスが実際に使ったというスティックが当たったが、今どこにいったかは不明である。)それを元に少しづつ音楽を覚えていき、特にツェッペリンにはまっていく中、友達も少しづつ減っていったことは、容易に想像していただけるだろう。そんな時友人Yに出会った。元々の知り合いではあったが、お互い音楽が好きだったことは、自分が音楽が好きになってから知った。

 初めてYの家に行った時のことは鮮明に覚えている。部屋の配置、放課後の西日、Yの兄が残した安物のドラム・セット、壁に貼られたギターのコード表のコピー、乱雑に並んだ大量のCD、レイ・チャールズが亡くなったことをYの母が伝えに部屋に来たこと。そこで、村八分も、ヴェルヴェットも、ストーンズも初めて聴いた。最高に新鮮で、最高にエキサイティングな時間だったと記憶する。いくつかCDをかりて帰って、家で村八分の『三田祭'72』を聴いていると、Yの家で聴いてる時はそこまでピンとこなかったのに、何か引っかかって離さないものに気づき、変だと思ってスピーカーの前に行ったら事件が起きた。何が起きたかはこの「無人島アルバム企画」など何度も書いたのでここでは割愛する。

 初めて触れた時に衝撃をくらうものと、だんだんわかるものがあることは言うまでもない話であろう。初体験時の個人的ダービー作品は『風街ろまん』。何故かYでない友人に、何故か『ゆでめん』と『HAPPY END』を借りて聴いていた時点では断然の村八分派だったが、Yに諭され、それを買って帰って初めて聴いた時は踊った。胸は躍って張り裂けそうになり、実際に小さな部屋で踊った。『music from the big pink』は半々。高校の終わりにYに聴かされた時には「tears of rage」のサビのタンバリンが印象的な部分と共にやけに映像が残っていた。東京に来て1人で聴いた時は泣けた。『Begin』は衝撃だった。東京に来たばかりの我が家で、Yが、「すごいの見つけた」と持ってきて聴かされた時は何かすごく新しいものを見た気がした。『Pet Sounds』はだんだんわかった。「wouldn't it be nice」以外は最初はわからなかった。今は無人島アルバム3枚選べと言われたら選ぶ。

 Yとは、音楽含め、恋愛のこと以外はあらゆる話をした。文学のこと、他人のこと、ドッペルゲンガーや幽体離脱の話、競馬の話。文学にもやはり最初からわかるものとそうでないものとあって、Y君オススメの太宰治の『グッド・バイ』は、最初から衝撃だった。同じ太宰の『令嬢アユ』や、泉鏡花『外科室』、里見ク『椿』などは2回目が味わい深い種の作品であるように思う。そういえば、高校生の頃『イージー・ライダー』を観た時は全然わからなかったが、『ウッド・ストック』は最高だった。今はそれぞれ好きな作品である。

 Yに、この間帰省時に会った時、「最近なんか面白いものあった?」と聞かれた時に、「最近は稲垣足穂にはまってた。」と答えると、彼は「足穂はまだ俺はいいわ」と言ってビールをかっこんでいた。

 『グッド・ナイト』が発売された頃から、毎週〆切と公開を繰り返して来たこのコラムも今回で終わりです。みなさまありがとうございました。それでは、また、いつか。

(完)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)





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【連載】 森は生きている 「コラム」 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

第一回 : 「影響」(1)-序- | 第二回 : 「影響」(2)-幼少期のこと- | 第三回 : 「影響」(3)-リズムのこと- | 第四回 : 「影響」(4)-リズムのこと(2)- | 第五回 「影響」(5)-リズムと言葉- | 第六回 「影響」(6)-リズムと言葉(2)- | 第七回 「影響」(7)-新年のご挨拶- | 第八回 「影響」(8)-影響の交換- | 第九回 「影響」(9)-佐伯のこと- | 最終回 「影響」(10)-影響-


『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]

『グッド・ナイト』 森は生きている 予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック〜アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング〜ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌( ブルース) のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。

【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R

[収録内容]
1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。

『グッド・ナイト』収録楽曲

  • 01. プレリュード
  • 02. 影の問答
  • 03. 磨硝子
  • 04. 風の仕業
  • 05. 痕跡地図
  • 06. 気まぐれな朝
  • 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
  • 08. 青磁色の空
  • 09. グッド・ナイト

森は生きている プロフィール

岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc)
柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。
2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。
カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。

http://www.moriwaikiteiru.com/


無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧はコチラから!

無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を11月19日に発表する。アルバムの発売を祝し発売日に向け連載された『無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】』

第一弾 : 増村和彦 | 第二弾 : 谷口雄 | 第三弾 : 大久保淳也 / 五野上欽也 | 第四弾 : 竹川悟史 | 第五弾 : 岡田拓郎

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価格(税込) : ¥2,640
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発売日:2014年11月19日
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