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【連載】 森は生きている 「コラム」 第九回 「影響」(9)-佐伯のこと-

2015年1月23日 (金)

森は生きている
連載「コラム」

森は生きている、メンバー全員登場の「無人島〜俺の10枚」が、めでたく完結し、今度はなんとコラムの新連載。アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

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第九回 「影響」(9)-佐伯のこと-

 2015年1月15日、日本で最も影響力があるとされる文学賞「芥川賞」第152回の選考会が開かれ、小野正嗣氏の『九年前の祈り』が選出された。この方とは、実は同郷、高校も同じなのである。非常にタイムリーな話題でもあるし、育った環境に影響を受けないものはいないといった点コラムの趣旨からも外れないというわけで、少し地元の話をこの場を借りてしてみたいと思う。

 大分県佐伯市にゆかりある文化人と言えば、まず国木田独歩の名前が挙がる。独歩は千葉で生まれ、父の仕事の関係で東京や中国地方を転々として育ったが、矢野龍渓(佐伯出身)の斡旋もあり、1892年から1894年の2年間佐伯に教師として赴任している。2年いただけで、まるで地元出身の偉人みたいな扱いをしているのかと言われそうな気もするが、平成の大合併後、九州最大の面積を誇りながら人口が8万人にも満たない田舎町の分母に免じて許して欲しい。『源叔父』や『春の鳥』では、佐伯が舞台とされ、自然の美しさと、田舎でのストレスが非常に歪な形で混ざり合った作品になっているのでオススメしたい。

 独歩や、『九年前の祈り』を読んで改めて思ったが、佐伯には人を気にしない、全然こだわらない自然があるように思う。「そんなとこで何しよるん、浸るなら勝手にどうぞ、こっちはこうやって見えてます」てな具合。実家の部屋にいると、ときおり聴こえる環境音が音楽のように聴こえるのではなくて、それが自分の中で鳴ってる音や普段意識しない部屋の音に気付くきっかけになったりする。それ自体に主張がないわけではないのだが、主体を移されるといった感じだろうか。(かなり個人的な感想だと、即興演奏家の杉本拓の『Taku Sugimoto And Radu Malfatti』にも同じことを感じた。)

 「影響」という視点から独歩を覗くなら、田山花袋のことが浮かぶ。『東京の三十年』は「影響」と「ゴシップ」の宝庫である。硯友社との歪な関係、当時の海外文学の目新しさ、自然主義のこと、そして独歩との関係。自然主義文学の連中は、麻布にある竜土軒というフランス料理屋で会合していたらしく、(お店は今もあって、ランチョンマットに彼らのサインが印刷されているらしいが、未だ行く機会を得ず。)そこでのざっくばらんな話を読むと、変に偉人を美化しなくなるのでよい。みんな普通。

「岩野(泡鳴)君と蒲原(有明)君との笑声は、少なくとも会での異彩であったに相違なかった。二人は大抵やって来ていた。「我々竜土会からも、フランスあたりに行くものがありそうなもんだな。その時は、うんと盛んな送別会をしようじゃないか。」こんなことを国木田君は言った。それほど我々は外国の文学に憧れていた」

なんて素敵ではないか。他にも、独歩の死際のことや(死とはその人間の価値をあらわす一つの重要なものであろう。自然主義はじめ錚々たる人物が集まっていたことが記載されてある。)、『KとT』では文学を志す二人の青春が描かれてあったりして興味深い。

 最後に、僕の師匠を紹介したい。30年以上佐伯の音楽を引っ張り続け尚現役、個人的には高校生の頃、音楽を聴きに彼が当時やっていたカフェに通い、そこで初めてアフリカの太鼓に触れ、初めて大滝詠一を聴いた。金田さん。
うん、いい曲...(笑)



(続く)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)


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【連載】 森は生きている 「コラム」 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

第一回 : 「影響」(1)-序- | 第二回 : 「影響」(2)-幼少期のこと- | 第三回 : 「影響」(3)-リズムのこと- | 第四回 : 「影響」(4)-リズムのこと(2)- | 第五回 「影響」(5)-リズムと言葉- | 第六回 「影響」(6)-リズムと言葉(2)- | 第七回 「影響」(7)-新年のご挨拶- | 第八回 「影響」(8)-影響の交換- | 第九回 「影響」(9)-佐伯のこと-


『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]

『グッド・ナイト』 森は生きている 予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック〜アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング〜ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌( ブルース) のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。

【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R

[収録内容]
1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。

『グッド・ナイト』収録楽曲

  • 01. プレリュード
  • 02. 影の問答
  • 03. 磨硝子
  • 04. 風の仕業
  • 05. 痕跡地図
  • 06. 気まぐれな朝
  • 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
  • 08. 青磁色の空
  • 09. グッド・ナイト

森は生きている プロフィール

岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc)
柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。
2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。
カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。

http://www.moriwaikiteiru.com/


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無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧 
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第一弾 : 増村和彦 | 第二弾 : 谷口雄 | 第三弾 : 大久保淳也 / 五野上欽也 | 第四弾 : 竹川悟史 | 第五弾 : 岡田拓郎

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