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アルヴォ・ペルト高松宮殿下記念世界文化賞受賞!

2014年10月10日 (金)


アルヴォ・ペルト高松宮殿下記念世界文化賞受賞!

エストニアの作曲家、アルヴォ・ペルトが高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しました。心よりお祝いを申し上げます。
 ソ連政府との確執により1979年に国を出たペルトは、ECMレーベルの制作した数々のアルバムにより現代作曲家としては異例の世界的ヒットを記録、1995年にはアメリカ芸術文学アカデミー協会音楽賞を受賞し、2011年にはレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を受章、そして今回の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞と栄誉が続くペルトは、2010年には世界的作曲家となって祖国エストニアに帰国していました。

【アルヴォ・ペルト】
ペルトは1935年、人口百数十万人というバルトの小さな国エストニアに誕生。生まれた場所は13世紀にリヴォニア騎士団によって建設されたパイデという町です。当時のエストニアは独立宣言から17年を経たばかりの共和国でしたが、ペルトが5歳のときにはソ連軍の侵攻を受けて占領され、ソ連邦の一部に編入されてしまいます。
 ペルトはソ連支配下の社会体制の中でタリン音楽学校に学びますが、兵役によって中断、陸軍バンドでオーボエ演奏やサイドドラムを担当したのちに復学、1957年にはタリン音楽院に進んで作曲を勉強して頭角を現し、1961年、オラトリオ『世界の歩み』により、モスクワで開催された全ソ連青少年作曲コンクールで優勝しています。
 ペルトはまた、在学中からエストニア放送のレコーディング・エンジニアの仕事もおこない、1968年に作曲家として独立するまでその職務をこなしてもいました。彼の初期の作風は、ソ連作曲家のショスタコーヴィチやプロコフィエフだけでなく、バルトークからシェーンベルクの十二音技法まで消化した近現代的で前衛的な要素も加味されたもので、放送局勤務という海外情報の入りやすい条件もあったのか、在学中にすでにセリーなど西側の技法に基づく作品まで発表して物議を醸しています。
 しかし、1967年に初めて東方正教会の単旋聖歌を聴いて以来、ペルトはそうしたスタイルによる自身の活動に限界を感じるようになり、それらとは正反対の聖歌やグレゴリオ聖歌、中世、ルネサンス、バロックの宗教声楽曲などを研究すると同時に、宗教を探究し、ロシア正教会に深く関わるなどして、西洋音楽の原点回帰を目指し、独自の美を追求するようになります。
 作曲家として独立した1968年に発表された『クレド(信仰告白)』はペルトの新たな姿勢をコラージュ的に如実に示したものといえ、ネーメ・ヤルヴィによっておこなわれた初演は、表向き信仰を禁じていた当局の逆鱗に触れ、10年間の演奏禁止を宣告されてしまいます。
 そうしたこともあって、ペルトはソ連当局と芸術上の問題で対立しますが、1977年には先にソ連を出ていたクレーメルが、『タブラ・ラサ』をとりあげるなど国外でも注目を集めるようになり、1979年にはペルトも家族と共に国を出ることになります。
 ペルトはまずウィーンに移住して市民権を獲得、1982年からはベルリンを拠点に活動を展開すようになり、やがて、その音楽がECMレーベルを主催するマンフレート・アイヒャーの目にとまったことが、ペルトの名前が一躍有名になるきっかけとなりました。
 元ベルリン・フィルのコントラバス奏者で、その後ジャズのベーシストに転向、ほどなくECMレーベルを興したアイヒャーは、美しい音楽に関して凄い嗅覚の持ち主。
 ペルトの作品を気に入った彼は、1977年のクレーメルによる『タブラ・ラサ』のライヴ録音を中核とし、キース・ジャレット、デニス・ラッセル・デイヴィス、そしてベルリン・フィルの12人のチェリストたちによるレコーディングを集めて、アルバム「タブラ・ラサ」として1984年に発売、その独自の美しさを持った音楽はまたたく間に多くの人に知られることとなり、世界的なヒットを記録することとなります。
 その後もECMでは積極的なアルバム制作をおこない、以下のようなタイトルをリリースしています。
 1984「タブラ・ラサ」
 1987「アルボス」
 1988「ヨハネ受難曲」
 1991「ミゼレーレ」
 1993「テ・デウム」
 1996「リタニ」
 1997「アリーナ」
 1998「カノン・ポカヤネン」
 2002「オリエント&オクシデント」
 2005「ラメンターテ」
 2009「イン・プリンチピオ」
 2012「アダムの嘆き」
 2013「交響曲第4番」
ECMのアルバムがきっかけとなって知名度が高まったペルトは、他社からのリリースも相次ぐようになり、安定した人気を持つ稀有な現代作曲家として揺るぎない地位を確立しています。その音楽を彩った基本スタイルは、1970年代の後半に確立された「ティンティナブリ(鐘鳴らし)様式」という簡素な和声を用いた瞑想的で神秘的なもので、以来、ペルトの音楽の代名詞ともいうべき技法となっています。(HMV)

【高松宮殿下記念世界文化賞】
1988年に日本美術協会によって創設。58年に渡って日本美術協会の総裁を務められた高松宮殿下の「世界の文化・芸術の普及・向上に広く寄与したい」とのご遺志と、日本美術協会創立100周年を記念して創設された全世界の芸術家を対象にした顕彰制度で、「私たち全人類の財産である芸術の創造者たちに感謝と敬意を捧げ、永遠に讃える」ことを基本理念に、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇/映像の各部門で優れた業績を上げた芸術家に毎年授与されています。
 受賞者の選考にあたっては、6人の国際顧問が各々の地域で委員会を設けて候補者の推薦にあたり、これを受けて日本国内の選考委員会で候補者を絞り、日本美術協会理事会で受賞者の最終決定をおこなっています。
 
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