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【インタビュー】 シネマ 『サイエンス フィクション マン』

2014年7月18日 (金)

松尾清憲、一色進を中心としたブリティッシュ・ポップ・マエストロ集団として長らく伝説的に語られ、2006年に奇跡の再結成を果たしたバンド、シネマ。2007年にリリースされた26年ぶりのセカンド・アルバム『シネマ・リターンズ』は、バンドの新たな幕開けを告げるに十分な作品であった。
ところがその後、メンバーの移動が相次ぎ、バンドとしてのマイナーチェンジを重ねていくこととなった。その変動劇をライブで目にするごとに、正直言って不安を覚えたのもまた事実だ。シネマはどこに向かおうとしているのだろうか、と。
だがファンのそんな不安を横目に、シネマは現在のメンバーが揃ったことで遂に蘇生を果たした。結果的には松尾と一色以外のメンバーが入れ替わる大手術ではあったが、今となってみれば、これは映画で理想のキャストを求めてオーディションが繰り返されるのと同じこと――新たな次元に突入するために必要な試行錯誤――だったのだろう。7年ぶりとなる最新サード・アルバム『サイエンス・フィクション・マン』には、新生シネマの魅力(とりわけ、ライブ・バンドとしての)が余すところなく詰め込まれている。本作にはスカートの澤部渡が1曲ゲスト参加しているので、若きポップ・ミュージック愛好家諸氏はぜひこれを入り口に、シネマの世界に足を踏み入れていただきたい。聴き進めていくうちに、中に潜む広大なポップ・ミュージックの金脈に必ずや興奮するはずだ。そんなワクワク&ドキドキ感満載のニュー・シネマ・ワールドについて、松尾清憲と一色進に語ってもらった。
(インタビュー&編集: 小暮秀夫)



-- 2007年に再結成作『シネマ・リターンズ』をリリースした後、バンド内部は大きな変化がありましたね。まずは、メンバー変動の流れを順を追って教えていただけますか?

松尾清憲(以下、松尾): これに関しては、僕より一色くんの記憶が確かだと思うので、一色くんにお任せします(笑)。

一色進(以下、一色): もう時系列的なことはよく覚えてないんですが、ドラムが、鈴木さえ子→大久保由希→夏秋文尚→小松シゲル→大槻敏彦。キーボードが、小滝満→しゃおりん(柏佐緒里)→松田信男。ギターが、錦織幸也→いまみちともたか→澄田健。こんな流れで現在のシネマに行き着きました。

-- メンバー・チェンジは、バンドの音楽性の変化によるところが大きいのでしょうか?

松尾: ブリティッシュという看板は掲げてますが、いろんな音楽の要素が混ざり合ってるのがシネマの持ち味なので、音楽性の違いということでのメンバー・チェンジはありませんね。僕と一色くんはライブが好きなのですが、そのライブ活動に対する各メンバーの温度差と、あとはやはり人間的な相性でしょうね。

-- 澄田健さんが加入した時は、ギターのワイルドな音にビックリしました。澄田さんをメンバーに決めたポイントは?

松尾: シネマで前からやりたくて、まだやってなかったのがグラム・ロック的な作品ですが、これにはそういう要素を感じさせるギタリストが必要なわけです。そこにいいタイミングで登場したのが澄田くんでした。一色くんと2人で彼のライブに行って、とても存在感のあるプレイを観て決めました。このアルバムには、彼のギタープレイにインスパイアされて作った曲がけっこうあります。

一色: 澄田は、タイツのころに同じレーベルにいたG・Y・M(ジム)というバンドのギタリストで、そのころ知り合いました。G・Y・M(ジム)には、現在ジャック達のドラマーの夏秋(文尚)も在籍してて、当時よく対バンとかしていました。澄田は当時からとてもいいギタリストで、いつか一緒にバンドがやれたらとは、ずっと思っていました。キヨが「次のシネマはグラム・ロック的な要素も入れたい」と言ったので、澄田の名前がまず浮かびましたね。キヨと2人で澄田が出演する元サンハウスの柴山(俊之)さんのバンド「ジライヤ」のライブを観に行って、終演後の楽屋でシネマに誘いました。

-- 今までの2枚のアルバムはムーンライダーズの鈴木慶一さんがプロデューサーに迎えられていましたが、今回セルフ・プロデュースで制作することにした理由は?

松尾: 今回は2枚目のアルバム『シネマ・リターンズ』とは正反対で、ライブをやるために作り、アレンジも含めメンバーみんなで育てていった曲がほとんどなので、もう僕たちの中にひとつひとつの曲のヴィジョンがあったんです。ですから、自然とセルフ・プロデュースというかたちになりました。

-- 今回のアルバムはメンバーそれぞれが曲を書き、リード・ヴォーカルをとっています。これは、そういう大枠をあらかじめ決めてから制作に取り掛かったのか、曲を持ち寄ったら結果的にそうなってしまったのか、どちらなのでしょうか?

一色: 前者です。偶然なのですが、メンバー全員がソロでライブをしたり、アルバムを出したりしていて、まあこんなのはあんまりないし、売りになるかなと思いました。しかも全員の作曲や歌唱のポテンシャルの高さに驚きました。これは、アルバム制作中にさらに思いました。

-- スカートの澤部渡君がゲスト参加していますが、彼のどういうところが面白いと思って参加してもらうことにしたのでしょうか?

松尾: スカートの音楽をちゃんと知ったのは、わりと最近です。まだ26歳という若さなのに、僕たちが好きで聴いてきた音楽の要素があちらこちらに顔を出すところが面白いし、不思議だったんですが。本人と話してみると、大昔のものも含め、実にいろんな音楽を沢山聴いてる事がわかり、納得しました。これからどんな曲が飛び出してくるかが楽しみです。

-- タイトルでもある『サイエンス・フィクション・マン』は、SF小説や漫画や映画で育った世代ならではのSF愛が歌われています。他の曲も、恋愛保険という架空の保険が出てくる「恋愛保険勧誘員」、タイムマシンが出てくる「紅タイム・マシーン」、滅亡後の地球が舞台の「赤い第3惑星」など、SF的モチーフの曲が目立ちます。SFのどういうところに魅力を感じるのでしょうか?

一色: 人類の叡智が結集されているところです。

松尾: 現在の宇宙計画はどちらかというと、予算などの関係もあり、やや縮小ぎみに感じますが、60年代、70年代は、人類史上初の月面着陸成功というのもあり、宇宙への関心度が盛り上がった時代でしたね。この現実世界とは違った空間や時間が存在すると思うだけで、想像力が刺激されますよね。自然とこの時代はすぐれたSF作品が多く生まれました。

-- では、オールタイム・フェイヴァリットなSFを教えてください。映画、小説、漫画など、なんでも結構です。

松尾: 映画なら最初に観た印象が今でも残ってる『ブレードランナー』『2001年宇宙の旅』 、タルコフスキーの『惑星ソラリス』、お色気なSFの『バーバレラ』なども好きですね。小説では『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のフィリップ・K・ディックは沢山読みました。そして、SFイメージのスターといえば70年代のデヴィッド・ボウイ、映画『地球に落ちてきた男』の主人公役も演じたデヴィッド・ボウイの「スペース・オディッティ」は今聴いても色あせない名曲です。

一色: オレにとってのSFのルーツは、円谷プロと虫プロです。今回のアルバムのPVを現在制作中なんですが、その打ち合わせは川崎の「怪獣酒場」で行われました。

-- シネマとしての今後の予定は?

松尾: このメンバーでは初めてのライブ・ツアーがあります。

一色: このアルバムが、シネマを新たなステージに連れて行ってくれることを望みます。それがどこでも。


シネマ 『サイエンス フィクション マン』
 [2014年07月23日 発売]

鈴木慶一に見出され80年にデビューした、伝説のブリティッシュ・ポップバンド“シネマ”。2007年、奇跡の復活を遂げた彼らの7年ぶりとなる3rdアルバム『サイエンス フィクション マン』がリリース。
シネマは1980年ムーンライダーズの鈴木慶一プロデュースによりCBSソニーからデビュー。唯一のアルバム 『MOTION PICTURE』(81年)とシングル3枚を残して82年に解散。松尾清憲、鈴木さえ子、一色進、小滝満等が在籍し、後に各メンバーがソロやバンド、プロデューサー等で大活躍することになる、まさに伝説のバンド。2006年にムーンライダーズ30周年企画の一環でほぼオリジナル・メンバーで再結成を果たし、2007年には26年ぶりの2ndアルバム『CINEMA RETURNS』を発表し大きな話題を呼んだ。その後、松尾と一色以外のメンバーを大幅リニューアル。ライヴ・バンドとして蘇った新しいシネマの、約7年振りの奇跡の3rdアルバムが遂に完成した。
彼らを世に出すきっかけを与えた鈴木慶一や元メンバーの鈴木さえ子、また彼らをリスペクトする若手代表としてスカートの澤部渡がゲスト参加した、前人未到の新たなシネマ・ワールドが圧倒的ボリュームで展開されている。



【シネマ】
松尾清憲(Vocal Guitar) / 一色進(Bass) / 松田信男(Keyboards) / 澄田健(Guitar) / 大槻敏彦(Drums)

【ゲスト】
■ 鈴木慶一(ムーンライダーズ/シネマプロデューサー): 11曲目ギター参加
■ 鈴木さえ子(シネマ・オリジナル・メンバー): 3曲目コーラス参加
■ 澤部渡(スカート): 2曲目コーラス参加
■ 小泉信彦: 4曲目SE参加

■ レコーディング・エンジニア: 川口聡
■ マスタリング: 中村宗一郎


【HMVオリジナル特典】

シネマ 『サイエンス フィクション マン』をお買い上げの方に先着で「デビュー前のお宝音源収録CD-R」をプレゼント!

【特典収録曲】
「パイナップル・パイ(Rehearsal)」 1978年録音

※先着ですので、なくなり次第終了となります。ご了承ください。
※特典の有無は商品ページにてご確認ください。

収録曲

  • 01. サイエンス・フィクション・マン
  • 02. ロックン・ロール・プラネット
  • 03. 無口な一夜
  • 04. Lunatic Guy
  • 05. ロゼッタ・ストーン・セレナーデ
  • 06. 恋愛保険勧誘員
  • 07. My Sweet Killer Bee
  • 08. クールにキメたい
  • 09. 僕のスター
  • 10. 紅タイム・マシーン
  • 11. 赤い第3惑星
  • 12. It's a Parallel World


【シネマ プロフィール】


シネマ
1980年ムーンライダーズの鈴木慶一プロデュースによりCBSソニーからデビュー。唯一のアルバム 『MOTION PICTURE』(81年)とシングル3枚を残して82年に解散。松尾清憲、鈴木さえ子、一色進、小滝満等が在籍し、後に各メンバーがソロやバンド、プロデューサー等で大活躍することになる、まさに伝説のバンド。2006年にムーンライダーズ30周年企画の一環でほぼオリジナル・メンバーで再結成を果たし、2007年には26年ぶりの2ndアルバム『CINEMA RETURNS』を発表し大きな話題を呼んだ。その後、松尾と一色以外のメンバーを大幅リニューアル。ライヴ・バンドとして蘇った新しいシネマの、約7年振りの奇跡の3rdアルバムが遂に完成した。

[関連リンク]
  シネマ facebook
  シネマ blog
  松尾清憲 オフィシャルHP






Live 情報

『シネマ2014サイエンス・フィクション・マン・ツアー
  シネマ・サード・アルバム発売記念ライブ』


■ 名古屋 @鶴舞KDハポン
【日時】 2014年8月8日(金) 開場 18:30 / 開演 19:30
【出演】 シネマ
【共演】 壊れかけのテープレコーダーズ
【チケット】 予約:3000円 / 当日:3500円+ドリンクオーダー
【予約方法】 KDハポンにてウェブおよび電話予約 (http://kdjapon.jimdo.com/

■ 大阪 @十三ファンダンゴ
【日時】 2014年8月9日(土) 開場 18:30 / 開演 19:00
【出演】 シネマ
【共演】 ぱぱぼっくす / ANATAKIKOU
【チケット】 前売:3000円 / 当日:3500円+ドリンクオーダー

■ 横浜 @横浜サムズ・アップ
【日時】 2014年8月27日(水) 開場 18:30 / 開演 19:30
【出演】 シネマ
【出演】 東京中低域
【チケット】 前売:3000円 / 当日:3500円+フード&ドリンクオーダー
【前売りチケット取扱(7/5より)】 店頭および電話&ウェブ予約 (http://stovesyokohama.com/thumbsup/mail.html
※7/2の東京公演終演後に先行発売致します。

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発売日:2014年07月23日

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