チック&キースだ! ”木曜マイルス”だ!! これが帝王イン・ダ・フィルモア東の決定版だ!!! 帝王マイルスの”お蔵出し”シリーズ第3弾がBSCD2仕様で登場!
国内盤には先着でオリ特ポスターも付きます!!!
ロックの殿堂「フィルモア・イースト」に1970年から登場した帝王の「電化マイルス」時代を代表する名ライヴが、ブートレグ音源を増強して4枚組という大ヴォリュームで登場!
名作『ビッチェズ・ブリュー』をリリースした後、マイルスはロックの殿堂フィルモア・イースト(ニューヨーク」に何度も出演し、壮絶なライヴを繰り広げたが、その中でももっともすぐれているのが1970年6月17日から20日にかけて行われたものと言われている。これまでは、この4日間の演奏の中からセレクトされた17曲、CD2枚組のかたちで「マイルス・アット・ザ・フィルモア」のタイトルでリリースされていたが、今回はその全曲を初めて公式の形で収録!ボーナストラックとして、こちらもまたオフィシャルでは初登場の1970年4月11日、フィルモア・ウェスト(サンフランシスコ)でのライヴ(ブートレグとしては有名な音源)を4曲収録!
マイルス・デイビス 『ブートレグ・シリーズ Vol.3』
【収録曲】
Disc 1 (Fillmore East, June 17, 1970):
1. Directions / 2. The Mask / 3. It's About That Time / 4. Bitches Brew / 5. The Theme / [BONUS TRACKS:Fillmore West, April 11, 1970] 6. Paraphernalia / 7. Footprints
Disc 2 (Fillmore East, June 18, 1970):
1. Directions / 2. The Mask / 3. It's About That Time / 4. Bitches Brew / 5. The Theme / 6. Spanish Key (encore) / 7. The Theme / [BONUS TRACK:Fillmore West, April 11, 1970] 8. Miles Runs The Voodoo Down
Disc 3 (Fillmore East, June 19, 1970):
1. Directions / 2. The Mask / 3. It's About That Time / 4. I Fall In Love Too Easily / 5. Sanctuary / 6. Bitches Brew / 7. The Theme / [BONUS TRACK:Fillmore West, April 11 1970] 8. Miles Runs the Voodoo Down
Disc 4 (Fillmore East, June 20, 1970):
1. Directions / 2. The Mask / 3. It's About That Time / 4. I Fall In Love Too Easily / 5. Sanctuary / 6. Bitches Brew / 7. Willie Nelson / 8. The Theme
FILLMORE EAST, JUNE 17-20, 1970:
Miles Davis (tp) / Steve Grossman (ts,ss) / Chick Corea (el-p:left channel) / Keith Jarrett (org,tambourine:right channel) / Dave Holland (b) / Jack DeJohnette (ds) / Airto Moreira (per,fl,vo)
Produced by Teo Macero
Recording engineer: Stan Tonkel
Remixed by Dave Darlington, Bass Hit Recording, New York City in 2012
FILLMORE WEST, APRIL 11, 1970:
Miles Davis (tp) / Steve Grossman (ts,ss) / Chick Corea (el-p) / Dave Holland (b) / Jack DeJohnette (ds) / Airto Moreira (per)
先着で”マイルス@フィルモア”B2ポスター(2種セット)をプレゼント!
HMV ONLINE/MOBILEで3/26発売のマイルス・デイビス『ブートレグ・シリーズ Vol.3』国内盤(SICP30530-3)をお買い上げの方に先着で、マイルス・デイヴィスB2ポスター(カラー&モノ2種セット:絵柄違い! 勿論アー写ですよ!!)をプレゼントします! 終了しました。
*サイズはW728mm×H515mmとなります。
*HMV店舗でのご購入は対象外となります。
*輸入盤は対象外となります。
*数に限りがございます。お早めのご購入をおすすめいたします。
『Miles At The Fillmore: The Bootleg Series Vol.3』 (輸入盤)
こちらは輸入盤(生産限定)となります。
特典対象外となります。ご了承下さい。
マイルスが放つ一音に導かれ、 すべての音がもんどりうって坂を転げ落ち、 駐車違反の車の列を踏みつけ突進していく・・・
中山康樹(音楽評論家)
1970年6月の4日間(17〜20日)、マイルス・デイヴィスはニューヨーク「フィルモア・イースト」に出演した。ローラ・ニーロの「前座」ということになっているが、音楽性もファン層もちがうことを思えば二部構成と考えるのが妥当だろう。さらにマイルスとステージを分かつことを歓迎したのはローラ・ニーロのほうで、彼女は初日、マイルスの楽屋に、楽屋の入口から入り切らないほどのバラの花束を贈ったという(その後ローラ・ニーロがマイルスに、レコーディング中の新作『ニューヨーク・テンダベリー』に参加を打診するエピソード等は拙著 『マイルスの夏、1969』を読んでいただければと思います。またマイルスの「フィルモア」出演が実現した背景でくり広げられた「3人の男の企て」並びに今回の完全版に追加されたボーナス・トラックについてはジャズジャパン誌最新号をご覧ください)。
マイルスの演奏は各日とも1回、約1時間。プロデューサーのテオ・マセロはそれらすべてをライヴ・レコーディングし、各演奏を約半分の時間に短縮、曜日をタイトルに付した。そして2枚組『マイルス・アット・フィルモア』が生まれる(70年10月アメリカ発売)。楽曲としての原形をかろうじてとどめているものもあるが、テーマ部分はばっさりカットされ、パートによっては細かく切り刻まれるなど、原形を保っているものは少ない。たとえば現場では《ディレクションズ》という曲が演奏されていたとしても、アルバムにおいてそのような曲は存在せず、《ウェンズデイ・マイルス》や《フライデイ・マイルス》等、ただ曜日とマイルスの名前を合体させた曲あるいは演奏だけが存在している。またテオ・マセロのテープ編集は、演奏の流れやテンポを徹底無視した、いわば雑な仕事だが、それがかえって「ロックな気分」を盛り上げ、じつにかっこいい。図ったのか偶然か。素材がよければどうとでもなるということなのだろう。
今回登場した完全版には、編集される前の演奏がノーカットで収録されているが、しかしながら完全版が出たからといって本家2枚組の価値が減じるわけではない。『マイルス・アット・フィルモア』は完璧なる「作品」であり、ノーカット版とはちがう次元で捉え評価されるべきものなのだ。早い話、両方必要だということです。
前述したように、オリジナル2枚組『マイルス・アット・フィルモア』収録の4日分のライヴは、約1時間の演奏を半分以下に短縮したものだった。それだけならよくあることだが、この場合、短縮する際の編集は、いかにマイルスのトランペット・ソロをかっこよく響かせるかに主眼が置かれ、メンバーの演奏は二の次にされている。当然といえば当然だが、メンバー各自の演奏も含めて丸ごと聴きたい、全貌を知りたいというときには用を成さない。たとえばキース・ジャレットがどのように動いているのか、チック・コリアとの格闘はどこまでガチだったのか等を『アット・フィルモア』だけで推察するには限界がある。そこで完全版の登場となる。
『アット・フィルモア』は「演奏を聴く」ものだが、完全版は「曲としての演奏を聴く」ものに変質している。どういうことかといえば『アット・フィルモア』においては曲のテーマ・メロディーがカットされ、何を演奏しているのかわからない。一説では印税をマイルスが独占するための手段だった。しかし完全版ではテーマ・メロディーがあることによって「楽曲」が姿を現し、マイルス一党は律儀にも基本に忠実に演奏していたことがわかる。『アット・フィルモア』に比して演奏がより保守的に感じられるのはそういうためだろう。さらにスティーヴ・グロスマンがテナー・サックスでソロを吹いていたこともわかり(『アット・フィルモア』でのソロはソプラノ・サックスのみ)、それがジャズ的濃度を高めている。
加えて、完全版を聴けば『アット・フィルモア』の時点でかなり「おいしい部分」が拾われていたことがわかるが、それでもまだまだ食べ尽くされていないこともまた改めてわかる。4日間のなかで最も大きなちがいがあるのは《サーズデイ・マイルス》だろう。決してオーヴァーでなく、まったく別の演奏とまで言い切ってしまっても許されるのではないか。もちろん「おいしい部分」は『アット・フィルモア』でも聴けるが、じつは「もっとおいしい部分」が拾われていなかった。ここまでの落差は他の水曜・金曜・土曜にはない。その意味で完全版としての価値はこの木曜日がいちばん高い。
木曜日の全体的な印象としては、ジャック・デジョネットの張り切り方がハンパなくすごい。まるでトニー・ウイリアムスやジンジャー・ベイカーが乗り移ったかのような瞬間も続出する。もちろんマイルスは絶好調で、パワーいっぱいに飛ばしまくっている。チックもキースもデイヴ・ホランドも好調を堅持、アイアート・モレイラがいつにも増して元気に暴れまくっている。そして《イッツ・アバウト・ザット・タイム》最高のヴァージョンが登場する。この殺気、緊張感、スリルとサスペンス。マイルスが放つ一音に導かれ、すべての音がもんどりうって坂を転げ落ち、駐車違反の車の列を踏みつけ突進していく。マイルスが最後に吹く必殺のスパニッシュ・メロディーたるや!
『マイルス・アット・フィルモア』ではズタズタに編集されているとはいえ《フライデイ・マイルス》が最もかっこよく、音楽的にもまとまっていたが、その印象は完全版を聴いても変わらない。その意味でテオ・マセロの編集及び再現・再構築は事実に基づく作業だったといえる。逆にいえば素材(オリジナルとなる音源)がダメなものは手を加えるにしても限界があるということだろう。それにしてもオリジナルと編集後の演奏、すなわち時間に置き換えれば倍近くちがうものが同じようなクオリティを誇るということは、考えようによればタイヘンなことなのではないか。まさしくこの時代のマイルス・バンドだけに可能な離れ業だろう。
その金曜日だが、1曲目がジョー・ザヴィヌル作《ディレクションズ》というのは毎夜おなじみの展開ながら、この部分は『アット・フィルモア』ではカット、したがって丸ごと聴ける完全版はまるで別物といっていい。とくにスティーヴ・グロスマンが吹き鳴らすテナー・サックスがたまらない。『アット・フィルモア』では短いソプラノ・サックスのソロだっただけに、楽器が替わるだけで印象は大きく異なる。やがてキースとチックの応酬となるが、キースの吠えるようなオルガンがすばらしい。マイルス再登場そして《ザ・マスク》へと身体を震わせながらなだれ込んでいく。『アット・フィルモア』ではこの《ザ・マスク》が約20秒間使われ、《イッツ・アバウト・ザット・タイム》に突進していく。ここからがいわゆる「金曜マイルス」のクライマックス・パートとなる。聴き比べれば一目瞭然だが、テオ・マセロは一切編集の手を加えていない。それだけマイルスのソロが完璧であることを意味し、たしかにこのソロは切れ味鋭く天下一品の尊厳を誇っている。編集を寄せつけないソロって、すごくないですか。
『アット・フィルモア』との差が最も著しいのが土曜日だろう。そもそも『アット・フィルモア』では1曲目が丸ごとカットされ、2曲目の《ザ・マスク》から始まるよう編集されている。したがって、いきなり前衛ジャズの真っただ中に放り込まれたような衝撃を受けるが、この完全版では事前にお決まりの《ディレクションズ》が奏され、順番を踏んだ上での混乱・混沌となる。最大のちがいはキースがフルートを取り出し、完全に前衛要員として活躍していることか。この衝撃はいささか大きい。これは言いかえればキースとデジョネットが 『ルータ・アンド・ダイチャ』の世界をそのまま先行して「フィルモア」に持ち込んでいたことを意味する(同作は約1年後の録音)。
この現象をマイルス側から見れば、マイルスもまたそのような展開を容認し、のみならず前衛ジャズにも理解と関心を示していたことがうかがい知れる。さらにキースに関しては、明確にソロ・パートを与えられていたこともわかる。公式盤では常にチックの咬ませ犬として扱われていたような印象しか残らないが、どうしてどうしてキースは立派なオルガン・ソロを弾き倒し、逆にチックに土下座をさせる場面もある。
さて長い講釈はこれでおしまい。マイルス・デイヴィス、スティーヴ・グロスマン、キース・ジャレット、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ジャック・デジョネット、アイアート・モレイラの「7人のサムライ」が70年の夏「フィルモア・イースト」でくり広げた熱い、あまりに熱い演奏を、さあ全身で浴びようではないか。
* この文章は、近刊『キース・ジャレットを聴け!』(河出書房新社)における『マイルス・アット・フィルモア』及び完全版について書かれた原稿を加筆・改訂したものです。
中山康樹・著『キース・ジャレットを聴け!』
多彩な活動と膨大な作品によって、未だその全貌が掴み難い巨匠キース・ジャレット、その音の核心とは何か? 誰もなし得なかった100枚の主要作品を完全解説し、真の聴きどころを示す!
中山康樹 (なかやま やすき)
音楽評論家。1952年大阪府生まれ。。『スイング・ジャーナル』編集長を務め音楽評論家となる。著書に『マイルスを聴け!』『ジャズメンとの約束』訳書に『マイルス・デイビス自叙伝』など。2012〜2013年は、ローリング・ストーンズ3部作(『ローリング・ストーンズを聴け!』『ローリング・ストーンズ全曲制覇』『ローリング・ストーンズ解体新書』)の執筆に没頭。その後、『キース・ジャレットの頭のなか』を執筆。ジャズやロック、マイルスやビートルズ関連の著作多数。
こちらも完全生産限定盤! 帝王ブートレグ・シリーズ「Vol.1」 「Vol.2」
【特集】マイルス ”ロスト・クインテット”
マイルス「ブートレグ・シリーズ」第2弾! 「ロックの69年」に静かに震えた親分とその一味は、準電化の小宇宙となってミニマムな膨張肥大を繰り返す・・・ 欧州 「夏の陣」「冬の陣」、一挙公式解凍!!
マイルス黄金クインテットの名演が公式リリース
アコースティック・ジャズの最高峰にして臨界点。マイルス・デイヴィス黄金の第二期クインテットによる1967年欧州ツアーの記録が、3CD+DVDのボックスセットにて遂に公式リリース!
東へ西へ マイルスのフィルモア盤+@
「アット・フィルモア」
こちらはテオ・マセロの編集が冴えをみせた”本家”盤。ここでの注目は、現在もユニークな活動を続けるスティーヴ・グロスマンの驚異的な演奏。弱冠19歳のグロスマンの神懸かり的な演奏には、おそらく起用したマイルスさえホクソ笑んだに違いない。そのぐらいのテンションと若さ。まさしく時代を包含していた。ここには6月17日から20日にわたる4日間の演奏が収録され、チック、キース、デジョネット、アイアートという、この後時代を作ることになるメンバーが一堂に会している。「イッツ・アバウト・タイム」での混沌状態を聴けば、5年前の『プラグド・ニッケルのライブ』でみせたセシル・テイラー・ライクなハンコックの演奏に勝るとも劣らない、フリーな状態の演奏におけるマイルスのコンセプトが体現されている。まさにフリージャズの内包するエネルギーとテンションにも劣らない”高み”にここでのマイルス・バンドは達している。
本作は、4月10、11日フィルモア・ウエストにおける演奏を収録した『ブラック・ビューティ』に先立つ、3月7日のイースト・ライヴをノーカットで完全収録。時代の趨勢に反旗を揚げたマイルスの怒りの咆哮が会場の若者を鼓舞する。このライヴによって、マイルスは再び「ジャズ界の帝王」の冠を取り戻し、このライブ直後の3月30日に発売された不滅の名作『ビッチェズ・ブリュー』は40万枚を超える大ヒットとなった。ウェイン・ショーター参加の最後のライヴであり、また、チック、ホランド、デジョネットとの初レコーディングともなる記念碑的一枚。「ファースト・セット」「セカンド・セット」を収録した、ライヴの感動をストレートに伝える無編集収録盤。
「ブラック・ビューティ」
『ジャック・ジョンソン』録音から3日後、サンフランシスコ「フィルモア・ウエスト」で行なわれたマイルス・バンド史上最も過激な、そして、最も衝撃的な作品。若い年齢層に焦点を絞ったレコード会社の戦略だったとしてもここで展開されたマイルスの音楽は、全盛期のロックの迫真力に勝るとも劣らない素晴らしい演奏。チック、ホランド、デジョネットという最高のリズムに電気楽器を弾かせ、弱冠19歳のスティーヴ・グロスマンをステージに引っ張り出したマイルスの真意やいかに? それは音楽の中にある。出演当夜、グレイトフル・デッドのファン、所謂デッドヘッズの多くを踊らせたという。
マイルスのフィルモア出演と相前後して1970年4月にリリースされた『ビッチェズ・ブリュー』。あのウッドストック・フェスティヴァルが開催された日、マイルスがニューヨークのスタジオで繰り広げていたサウンドの全貌が明らかとなった・・・。ロックやファンクの要素を大きく採り入れた”エレクトリック・マイルス”の金字塔にして20世紀音楽の黙示録というべきベストセラー。呪術的なポリリズム、躍動的なベースライン、そしてマイルスのスリリングこのうえないトランペット。そのすべてが永久に新しい。こちらはBlu-spec CD 2仕様国内盤。
同時リリース!日本盤のみBSCD2仕様!! マイルス・デイビス「オリジナル・モノ・レコーディングス」紙ジャケ・ボックス
マイルス・デイビス 『オリジナル・モノ・レコーディングス』
トランペッターとしてバンドリーダーとして、紛れもなくジャズ史上最も重要な人物として挙げられるマイルス・デイビスが、1957-1964年にかけてCBSに残した9作品を最新モノラル・リマスターでコンパイル。現在もマイルスの金字塔として知られる『Round About Midnight』、『Milestones』、『Kind Of Blue』をはじめとする9作品を、発表当時の衝撃を再現すべくモノラル音源のリマスターでCD化。それぞれのディスクはLPのレプリカ紙ジャケット入り。秘蔵写真満載の40ページブックレット収納。国内盤はBlu-spec CD2仕様(限定生産)。
収納9タイトルはこちら
「'Round About Midnight」
マイルス伝説の開花を告げるコロムビア移籍第1弾。ミュート・トランペット奏法の極致というべきタイトル曲(セロニアス・モンク作)を筆頭に、「Bye Bye Blackbird」、「Dear Old Stockholm」など、すべてが歴史に刻まれる名演。まだ無名に近かったジョン・コルトレーンやレッド・ガーランドなど錚々たるメンバーの才能が開花する瞬間を、いち早く捉えたレコーディングとしても計り知れない価値を持つ。何よりもこの作品を特徴付けたのは、マイルスのミュ−ト・トランペットの音色。のちに「卵の殻の上を歩く男」と称されたマイルスのリリシズムが詰まった演奏は、時が経つに連れてさらに輝きを増してゆく。
Miles Davis (tp) / John Coltrane (ts) / Red Garland (p) / Paul Chambers (b) / Philly Joe Jones (ds) 1955年10月27日、1956年6月5日、9月10日録音
「Miles Ahead」
“ジャズの帝王”マイルス・デイヴィスと、“音の魔術師”ギル・エヴァンス。40年代からの盟友ふたりが初めて本格的に繰り広げたコラボレーション・アルバム。マイルスはフリューゲルホーン(トランペットよりも、まろやかな音が出る大型の楽器)に専念し、ギルはホルンやクラリネットなども導入した特別編成のオーケストラを率いて幻想的なバックグラウンドを提供。このコラボレーションに関しては、マイルス自身生前は口を閉ざしていたが、当時のコロンビアとの契約が「ビッグバンドのプロジェクトを叶えてくれるから」という条件の下結ばれた経緯を踏まえれば、本作は当然ながらマイルスが第一にやりたかったことの成就を体現している。
Miles Davis (flh) / Bernie Glow, Ernie Royal, Louis Mucci, Taft Jordan, John Carisi (tp) / Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Joe Bennett (tb) / Tom Mitchell (btb) / Willie Ruff, Tony Miranda (frh) / Bill Barber (tuba) / Lee Konitz (as) / Danny Bank (b-cl) / Romeo Penque, Sid Cooper (fl,cl) / Paul Chambers (b) / Art Taylor (ds) / Gil Evans (arr,cond) 1957年5月6日、10日、23日、27日録音
「Milestones」
ブルーノート盤『Somethin' Else』で共演を果たしたアルト・サックス奏者キャノンボール・アダレイを抜擢してさらに音の厚みを増したセクステットによる録音。ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランドも急成長を示し、マイルスのトランペットも絶好調。非の打ち所のない大迫力のサウンドが全編にわたって繰り広げられる。タイトル曲は、現代ジャズの原点のひとつともいえるモード・ジャズの幕開けを告げた金字塔。親しみやすいテーマ・メロディ、音数を極限までそぎ落としたマイルスのプレイが痛快。本作品を契機に不朽の名作『Kind Of Blue』への模索の旅が始まった。
Miles Davis (tp) / Cannonball Adderley (as) / John Coltrane (ts) / Red Garland (p) / Paul Chambers (b) / Philly Joe Jones (ds) 1958年2月4日、3月4日録音
「Jazz Track」
ルイ・マル監督の仏ヌーヴェルヴァーグ代表作品「死刑台のエレベーター」に使用されたマイルスの即興演奏10曲に、キャノンボール・アダレイ、ビル・エヴァンスら1958年当時のレギュラー・セクステットで吹き込んだ3曲を収録。*リンク先は、2013年米レコード・ストア・デイ用にプレスされた限定アナログLP盤となります。
「Porgy And Bess」
有名ミュージカル「ポーギーとベス」で紹介されたのナンバー(ジョージ・ガーシュイン作曲)を、マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンスの黄金コンビが鮮やかに再創造。マイルスによる独特なスパニッシュ・スケールの採用と、中音域を省いたギルのアレンジがこの音世界の創出にとって大きな力を発揮し、結果発売されるやたちまちベストセラーを記録した。「Summertime」、「Gone」、「I Loves You, Porgy」など、どれもが伝説の名にふさわしい演奏。
Miles Davis (tp,flh) / Ernie Royal, Bernie Glow, Johnny Coles, Louis Mucci (tp) / Dick Hixon (btb) / Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Joe Bennett (tb) / Willie Ruff, Julius Watkins, Gunther Schuller (frh) / Bill Barber (tuba) / Phil Bodner, Romeo Penque (woodwinds) / Cannonball Adderley (as) / Danny Bank (b-cl) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb, Philly Joe Jones (ds) / Gil Evans (arr,cond) 1958年7月22日、29日、8月4日、8月18日録音
「Kind Of Blue」
マイルス・デイヴィスが残した数多くの作品群の中でも最も多くのファンの支持を得、また音楽的にも最も大きい影響を与えた20世紀音楽が残した金字塔の一枚。ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスといった60年代のジャズをリードする若者を擁したこのクインテットが持った緊張感と音楽的な多くのイノヴェーションは、21世紀になっても色褪せることはない。1959年という”時代の狭間”において、マイルスは次の時代への一手を考えあぐんでいた。モード手法による中央突破という方法にするか、グループ・プログレッションへと一気に突き進むのか、マイルスが選んだ道はその両方だった。マイルス自身が「失敗」と感じたのは、実はエヴァンスやコルトレーンが、この作品によって「次の一手に」気が付いてしまったから、というのは穿った見方だろうか? 実際、エヴァンスはマイルスから離れ、ヨーロッパ・ツアーまでは付き合ったものの、コルトレーンも遂にはマイルスの厚い殻を食い破って「ジャイアント・ステップス」を歩み出す。そして、チェンバースは時代に取り残されることになる。巷間言われるように、1959年こそがジャズにとって最も重要な分岐点であったのは間違いないようだ。
Miles Davis (tp) / Cannonball Adderley (as) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb (ds) / John Coltrane (ts) / Bill Evans (p) / Wynton Kelly (p on M-2) 1959年3月2日、4月6日録音
「Sketches of Spain」
マイルス&ギル、黄金コンビのコラボレーション第3弾は、このコンビによる最も有名なアルバムとなった。テーマはスペイン。作曲家ホアキン・ロドリーゴがクラシック・ギターのために書いた管弦楽「アランフェス協奏曲」は、本作で採り上げられたことによって多くのリスナーやミュージシャンに広まることとなった。ドラマティックなメロディ、そして哀愁と熱情に満ちたオーケストラ・サウンド。マイルスのトランペットとギルのアレンジが描く、ジャンルを超えた音楽の美学がここにある。
Miles Davis (tp,flh) / Bernie Glow, Louis Mucci, Johnny Coles, Ernie Royal, Taft Jordan (tp) / Dick Hixon, Frank Rehak (tb) / John Barrows, James Buffington, Earl Chapin, Tony Miranda, Joe Singer (frh) / Albert Block, Eddie Caine (fl) / Harold Feldman (cl,fl,oboe) / Danny Bank (b-cl) / Jimmy McAllister, Bill Barber (tb) / Jack Knitzer (bassoon) / Romeo Penque (oboe) / Janet Putnam (harp) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb (ds) / Elvin Jones, Jose Mangual (per) / Gil Evans (arr,cond) 1959年11月15,20日、1960年3月10,11日録音
「Someday My Prince Will Come」
本作はある意味でマイルスにとっての”小休止時代”に制作された一枚であり、本来のマイルス作品群からすればやや本流から外れる扱いを受けることもしばしばだが、ディズニーアニメ「白雪姫」の人気曲「いつか王子様が」を筆頭に、どこまでもメロディアスなサウンドが繰り広げられるこのラヴリーさはやはり格別なるもの。選曲の妙も光る。また、ウィントン・ケリーの好助演、ハンク・モブレーの抜擢はもちろんのこと、コルトレーンとマイルス最後の共演を収めた作品としても計り知れない価値がある。ジャケットには当時のマイルス夫人フランシス・テイラーが登場。
Miles Davis (tp) / Hank Mobley (ts) / John Coltrane (ts on M-1,5) / Wynton Kelly (p) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb (ds) / Philly Joe Jones (ds on M-7) 1961年5月7日,1961年5月20,21日録音
「Miles & Monk At Newport」
1958年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルにおけるマイルス・セクステットの演奏と、1963年セロニアス・モンク・カルテットによる同フェスでの演奏をカップリング収録した企画盤。『Kind Of Blue』吹き込み前、キャノンボール・アダレイ、ビル・エヴァンス、ジミー・コブらを連れ立った本セクステットによる初ライヴ。この日のマイルス・セクステットの演奏は『At Newport 1958』に完全版として収録されている。
Miles Davis (tp) / Cannonball Adderley (as) / John Coltrane (ts) / Bill Evans (p) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb (ds) / Thelonious Monk (p) / Charlie Rouse (ts) / Edward “Butch” Warren (b) / Frankie Dunlop (ds) / Pee Wee Russell (cl) 1958年7月3日 / 1963年4月録音
[現在お取り扱いしておりません]
|