【HMVインタビュー】DRADNATS「MY MIND IS MADE UP」

DRADNATS『MY MIND IS MADE UP』インタビュー

---ニューアルバム「MY MIND IS MADE UP」の完成おめでとうございます。PIZZA OF DEATHからのリリースになりますが、PIZZA OF DEATHからリリースしたいという気持ちはやっぱり昔からあったんでしょうか？

Kenjiro Yamamoto（以下 ヤマケン）：最初はなかったです。結成した頃は、あそこだけにはいかないって決めてたんですよね。

---なんでですか？

ヤマケン：Hi-STANDARDを超えられないからです。

---それが、PIZZA OF DEATHからリリースしたいと気持ちが動いたのは何ででしょう？

ヤマケン：KEN BANDのツアーに誘ってもらえるようになって、健さんだけじゃなくPIZZA OF DEATHのスタッフの人たち、レーベルを知るようになったからですね。現場主義でみんなでやっている感が魅力的で。そのくらいから気持ちが変わっていったと思います。

---PIZZA OF DEATHから出したいって決断したのはいつだったんですか？

ヤマケン：それは2ndアルバム「OVERTAKE」のツアー中ですね。その前からKEN BANDと対バンした時に健さんと「売れなかったらうちくればいいじゃん」「そうっすね、売れなかったらいきますわ」って笑い話みたいには言ってたんですけどね。1st「NEW UNSEEN TOMORROW」、その後の4wayスプリット「The Best New-Comer Of The Year」をリリースした頃がDRADNATSをやってきた中で一番人気があった時なんですよ。そこから2年空いて2ndの時にはライブの動員も落ちたしCDの売れ枚数も落ちた。ライブが良いか悪いかはお客さんが決めればいいんで分からないですけど、結果としての実力が伴っていなくて。それでも目標はあって、このままじゃダメだなって思ってメンバーに、次は違うところから出さないか、それだったらPIZZA OF DEATHが一番良いと思うんだよねって言ったんです。

---みなさん同じ気持ちでしたか？

Atsushi Tonohata（以下 トノ）：そうですね。俺もPIZZA OF DEATHに行きたいっていうのはありました。それより、キクオの“俺は行きたいんだ”っていう熱意が強く伝わったことのほうが大きかったです。

Kikuo Yanagisawa（以下 キクオ）：そりゃ行きたいですよね。Hi-STANDARDを見てバンドを始めて今に至るわけですから。KEN BANDに対バンで呼んでもらう機会も増えて、スタッフのみなさんがキラキラしていて面白いことをやろうっていうのがすごく伝わってきたり、健さんやスタッフの方たちからアドバイスもらったり相談にのってくれたりもして。自分の中で遠い雲の上のレーベルだったところが、良いレーベルだなっていうニュアンスになっていったんですよね。ヤマケンから話が出たときには、そりゃ入りたいよって。

---さらに横山健プロデュースということで、KENさんのコラムを読むと本当に4人で作り上げてるじゃないですか。一緒にやることで見えてきた部分、自分達の中で変わっていったことなどもあると思いますがいかがですか？

ヤマケン：曲作りの段階で何かを変えたわけでもないし、楽曲的なことではそんなにはないと思うんですよね。細かいことになりますけど、今までよりもさらに一歩踏み込んで作り込んでいくようにはなりました。それよりも、バンドをやっていく上で一番大事なもの必要なものを教えてもらった期間ではありましたね。バンドってスポーツと違って勝ち負けがないじゃないですか。スポーツだと1位になった奴、金メダル取った奴が一番すごいって分かりやすいじゃないですか。どんなに努力してようがそれまでに何をしてようが最終的に順位が付く。バンドってそれがないじゃないですか。だから、絶対に負けない気持ちが大事だっていうことを改めて教えてもらった感じはありますね。バンドを長く続けていくと良い意味でも悪い意味でもいろんな経験をして一番最初に始めた頃の根拠のない自信みたいなものが揺らいできたりするんですよ。俺達は天才肌じゃないんで。改めてもう一度、そのことの大事さを教えてもらいました。

---収録されている新曲の中で一番最初に出来た曲はどの曲ですか？出来上がったときはどんな気持ちでした？

ヤマケン：一番最初に出来たのは 6曲目の「Sign」ですね。最初から健さんに5段階評価で4と5の曲しかいらない、とにかく曲を作れって言われたんで、よし出来たぞ！みたいなのはなかったです（笑）。倍以上は余裕で、もう1枚アルバム作れるくらい曲を作ってますね。全部ボツですけど（笑）。

トノ：この1年半でヤマケンは35曲くらいもってきてますね。

---自分達だけじゃ出来なかっただろうって曲はありますか？

ヤマケン：全部っていったら全部ですけど、特には7曲目のアコギの曲「My Very First Love」と、あとインストの10曲目「＃Summer Days」かな。作ったとしても入れなかったと思います。アコギの曲なんてやろうと思ったことなかったんで。

---それがなんでやることに？

ヤマケン：やれっていうから。あの方が。

（一同笑）


---どの曲にもそれぞれ思い入れがあると思いますが、その中から個人的に好きな曲を紹介していただけますか？

キクオ：僕は4曲目の「Good Morning And Good Night」ですね。「Bright Star」以外は俺が全部歌詞を書いてるんですけど、健さんからアドバイスを受けて書き直したり、俺にとっては外の壁を壊したくらいの作業だったんです。ただ唯一「Good Morning And Good Night」だけは、ヤマケンがもってきたそのメロディを聴いた時に、サビは「Good Morning And Good Night」でいこうって浮かんだんです。このメロディにはどうしてもこの歌詞じゃなきゃダメだってくらい衝撃が走ったんです。メロディも含めてすごいシンプルだし伝わりやすいサビだし、歌詞も「Good Morning And Good Night」だとなんとなくイメージしやすいじゃないですか。この曲をみんなが知れない曲にしちゃいけないなって思ったんですよね。

---実際、リード曲にもなりましたしね。トノさんはどの曲ですか？

トノ：僕も基本的に全部好きだし、大事な曲ばっかりなんですけど、その中でも13曲目の「Your Voice」っていう曲を。ドラムを作るときにはメロディと歌に合うドラムを意識して作ってるんですけど、この曲は俺の中でシンプルな曲だったんで、シンプルなドラムを作るというのが難しかったですね。この「Your Voice」を僕が好きなのは、タンバリンを裸の自分を出し切ったように叩いたんで・・・

---皆さん、笑っていますが・・・？

ヤマケン：本当に裸でやってますからね（笑）

トノ：入魂できました。タンバリンを特に聴いてもらいたい。

---タンバリン以外でももちろんこの曲は好きなんですよね？

トノ：ぶっちゃけ最初はシンプルすぎたんで「ん？」って思ったところもあったんですよ。結構、展開も難しいし、リズムも変わらないし。レコーディング前までドラムで色を着けるのに一番悩んだ曲でもあるんですよ。それが出来上がったのを聴いたら、逆にそれが良かったんですよね。聴きやすいし入りやすい。その中でもタンバリンを是非意識して聴いて欲しいです。

（タンバリン入魂の模様は『横山健の別に危なくないコラム vol.84』でご確認いただけます）

ヤマケン：もう全員が全裸ですからね。

---なんでそんなことに？

トノ：打楽器ってものは、すべてをさらけ出さないと本当の音は出ないんじゃないかなという勝手なスイッチが入って。

---誰が最初に脱いだんですか？

トノ：僕です。ものづくりは楽しくないといけないって思ったし。

---じゃあ、その時はめっちゃ楽しかったんですね？

トノ：めっちゃ楽しかったですね。マジでやってるんですけど、それを見てみんなが笑ってくれるのが俺は嬉しかった。

キクオ：ドM（笑）

ヤマケン：芸人かよ（笑）

（一同笑）

トノ：でも、そのことがすごく出るんじゃないかなって信じてましたね。着飾るじゃなく格好つけるんじゃなく、すべてをさらけ出したら、それが音となるんじゃないかって。

---大マジなんですね。

トノ：大マジなんです。だからやったんです。だからこのタンバリンを是非聴いてもらいたいです。

---はい。聴きます。ではヤマケンさんは？

ヤマケン：一番最後の曲「This Song Is For You And For Me」。これが一番好きですね。曲順とか決めずに、とにかく曲をバンバン作ってそれを健さんに振ってOK出たものを形にしていくっていう流れだったんで、一つのアルバムとしての流れは考えずに作ってたんですね。この曲は後半の方にMIXしたんですけど、MIXし終わって聴いた時に、PIZZA OF DEATHでリリースすることが決まって、そこから曲作りを始めてからその日までの1年半のエンドロールみたいなのが流れたんですよ、イントロで。その時に、絶対この曲は誰がなんと言おうと最後にしよう決めました。曲順はみんなが決めてくれたらいいやって思ってるんですけど、唯一この曲だけは最後にしたくて。だからかな、この曲が一番好きですね。これで、レコーディングは終わったんだって、聴いてると少し寂しくもなります。レコーディングがすごく楽しかったんですよ。つらい時もあったんですけど、それもひっくるめてめちゃめちゃ楽しかった。憧れの人間と憧れのレーベルの人達と一緒に出来るっていうことの幸せさとか、今までうまくいかなかったことも帳消しになくるらい楽しかった。今は、そこからさらにプレッシャーとかやらなきゃいけないことが見えてきてますけど。この曲を聴くと、自分の中でよくやったなって思います。

---1曲目の「Bright Star」はもともとあった曲じゃないですか。新曲ばかりの中にこの曲を入れたのはなんでですか？

ヤマケン：健さんがどうしても入れたいって。俺らは入れたくなかったんですよ。

---それは何でですか？めっちゃ良い曲じゃないですか。

ヤマケン：もともとあった曲だから。これ入れるの？って思ったんですけど、健さんが好き好き、ホント良いわって言うから。そこまで言うなら入れましょうって。

---実際、入れてみてどうでした？

ヤマケン：・・・いいんじゃないですかね？（笑）

（一同笑）

ヤマケン：もちろん良い曲だとは思っているんでね。ただ、新しいアルバムなんで全部新曲でいきたいっていう気持ちはあったんですよ、それまで。

---そういうことですか。

ヤマケン：言ってしまえば、この曲だけはほとんど健さんと一緒に作ってないんでね。コーラスワークとかイントロのギターのリフがちょっと変わったくらい。ライブでもたまにしかやってなかったし。でも健さんはこの曲好きらしいです。

---今回のタイトル「MY MIND IS MADE UP」はどのタイミングで付けたんでしょう？

ヤマケン：一番最後ですね。タイトルは全然決まらなくて何個かは考えてみて健さんに相談してたんですけど、結局お前らはこのアルバムをもって何がしたいの？このアルバムはお前らにとってなんなの？それをタイトルにしたほうがいいんじゃないのかって言われて。PIZZA OF DEATHから出そうって決まる前に、メンバーにPIZZA OF DEATHから出したいんだよねって聞いて、いいね！ってなった時に、それがどういうことか意味分かる？それは俺ら命かけなきゃいけないってことだよって言ったんですよ。それを思い出して、俺らはこのアルバムに命を懸けて作った、ただ、命を懸けるだと言葉的にちょっと重いなと思ったんで、腹をくくったにしようと。腹をくくらなくてもアルバムは出来てたと思いますけど、自分達の憧れの人間引っ張り出してきて、自分達の憧れのレーベルから出せるってなったら、今、腹くくらなくて、いつくくるんだって。その言葉がいちばんしっくりきてこのタイトルにしました。マジで腹くくってましたからね。今もくくってますけど。

---そしてこのアルバムのツアーが4月5日新宿ANTIKNOCKから始まりますが、このツアーはどんなツアーになりそうですか。

ヤマケン：今までと明らかに違うところは、横山健プロデュースで一番でかかった部分でもあるんですけど、バンドをやる上でどういう気持ちでやるべきなのかってことを話す時間が多くあったっていうのが自分達の中ででかくて。今までのDRADNATSがダメだったってことじゃないですけど、DRADNATS組もうって言った時以来、今3人全員で同じ方向を向いているんで、本当にタイトルの通り腹をくくったツアーになると思います。良いツアーにならない訳がないと思っています。1本1本今までより長い時間ライブをやろうと思っているので満足して帰ってもらえるはずです。

---楽しみにしています。最後にインタビューをご覧の皆様にメッセージをお願いします。

キクオ：とにかくツアーに来て欲しいです。アルバムを聴いてもらったうえでライブ来てもらえたら一番嬉しいですけど、うちら以外のバンドが目当てというきっかけでもいい。この1年半、心境的にも健さんやスタッフの人たちと何度も話して考え方も変わってきているので、そういうことを吸収した今のDRADNATSのライブを観て欲しいし、1本でも多く参加して欲しいと思います。

トノ：本当に純粋になれた作品だと思います。着飾ってないし自然体のDRADNATSがこの9年間やってきたものが素直に残せた作品なので、ぜひ色々な人に聞いて欲しいし、それを聴いてそれぞれがイメージしてもらえたら嬉しいです。ライブでもメッセージを伝えてありのままを出していきたい、DRADNATSを出していきたいと思うので是非ライブハウスにも来て欲しいです。最高な1枚にしたので、ライブハウスに来ることを希望します。キボンヌ！

（一同笑）

ヤマケン：メロディック・パンクは過去のものじゃなく、このアルバムは今のメロディック・パンクの決定盤だと思っているんですよ。そして、今のメロディック・パンク＝DRADNATSにならなきゃいけないと思っているんで、そういうライブもする。Hi-STANDARDがいて、昔はメロディック・パンクを聴いてました、じゃなくて、今もメロディック・パンクはかっこいいっていうのを証明したいと思っています。ツアーもそうですし、この音源もそうです。懐かしいなでもいいし、新しいなでもいいんですよ。ちょっとでも引っかかったらライブ来てみて、今のメロディック・パンクっていうのはこういうものだと思って帰っていってもらったらいいなって思います。だから、そういうツアーにしたいと思います。

---ありがとうございました！！！

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