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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第58号:ベルリン・フィルが音楽雑誌『128』を創刊!

2012年3月15日 (木)

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィルが音楽雑誌『128』を創刊!
 ベルリン・フィルが新しい音楽雑誌『128』を創刊することになりました。「128」とは、ベルリン・フィルのメンバーの数。128ページ(高級紙使用・フルカラー)にわたり、ベルリン・フィル関係のトピックや、音楽一般のテーマが内容となります。創刊号では、バスバリトン、トーマス・クヴァストホフのインタビューが掲載され、彼の歌手引退の背景が語られます。また、11月に行なわれたベルリン・フィル、アジア・ツアーの模様も、詳細にレポートされています。ここでは、ベルリン・フィルの団員(樫本大進ほか)がペンを取り、ツアーの印象を語っています。
 創刊号は、3月8日に発売。ドイツ語と英語の2ヴァージョンがあり、前者は3万5千部、後者は1万5千部発行されます。ドイツにおける価格は、7ユーロ(約750円)。ドイツ国内のキオスク、雑誌店の他、世界の外国語プレスを扱う書店でお求めいただけます。またベルリン・フィル公式ウェブサイトのショップでも、購入可能です(日本への送料:5.50ユーロ。約600円)。さらに創刊号には、デジタル・コンサートホールの48時間チケット(9.90ユーロ)も無料で添付されています。

『128』のページ見本(ドイツ語版・計7ページ)
ベルリン・フィル公式ウェブサイトのショップへ

ハイチの学校に220台の楽器を寄付
 ベルリン・フィルは、ユニセフ親善大使を務めていますが、2010年2月には、1月12日に発生したハイチ大地震のための慈善演奏会が開催されました。その際、有力楽器店チェーン「トーマン」社長ハンス・トーマン氏の発案により、ハイチの音楽学校に220台の楽器が寄付されることになりました。
 ユニセフが現地の3つの音楽学校とコンタクトを取り、楽器の一部はすでにポルトープランスに届けられています(運送会社「パナルピナ」の協力による)。
 ベルリン・フィルでは現在、団員がハイチに送り、子供たちと共演、ワークショップを行なう計画を進めています。

小澤征爾がベルリン・フィル6月公演をキャンセル。代役は、ネルソンス
 小澤征爾が今後1年指揮活動を休止することが発表されましたが、6月に予定されていたベルリン・フィルの演奏会もキャンセルとなります。代役にはアンドリス・ネルソンスが当たることになり、小澤氏により予定されていた2つのプログラムを、変更なしで指揮する予定です。

6月21・22日定期演奏会
6月24日ヴァルトビューネ・コンサート
指揮:アンドリス・ネルソンス(小澤征爾の代役)

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 最新のDCHアーカイブ映像

ティーレマンの《ロマンティック》、A・マイヤーのR・シュトラウス「オーボエ協奏曲」
2012年3月4日

【演奏曲目】
R・シュトラウス:オーボエ協奏曲ニ長調
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調《ロマンティック》(1878/80年版)

オーボエ:アルブレヒト・マイヤー
指揮:クリスティアン・ティーレマン


 3月には、クリスティアン・ティーレマンが2週連続でベルリン・フィルに登場しました。第1回目では、R・シュトラウス、ブルックナーという、ティーレマンが十八番とするふたりの作曲家の作品が取り上げられています。ベルリン・フィルは今シーズン、メンバーを協奏曲のソリストに起用していますが、今回は首席オーボエ奏者のアルブレヒト・マイヤーがR・シュトラウス「オーボエ協奏曲」のソロを担当しています。

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早稲田大学交響楽団の震災犠牲者追悼演奏会が、アーカイブにアップ(3月25日まで)
2011年3月11日

【演奏曲目】
R・シュトラウス:アルプス交響曲
《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》
由谷一幾:和太鼓と管弦楽のための協奏曲

早稲田大学交響楽団
指揮:田中雅彦


 3月11日は、未曾有の被害と数多くの犠牲者を出した東北関東大震災から1周年に当たります。ベルリン・フィルハーモニーでは、ベルリン・フィルの招待により、早稲田大学交響楽団の追悼記念演奏会が行われ、その模様がDCHで無料生中継されました。この演奏会が、3月25日までアーカイブ・コーナーでご覧いただけます。
 当コンサートは、ドイツ、オーストリアの12都市をめぐる第13回海外公演「ヨーロッパ・ツアー2012」の一環。プログラムは、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」、交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、由谷一幾「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」。現地日刊紙『ターゲス・シュピーゲル』は、早稲田大学交響楽団の演奏を「ほとんど厚かましいとさえ言える程の精密さ」と評していますが、その実力は、これらの至難なレパートリーでも見事に発揮されています。
 早稲田大学交響楽団は、1913年に設立。1978年に、ベルリンで行なわれた第5回青少年オーケストラ大会(通称カラヤン・コンクール)で優勝しました。1979年、カラヤンが早稲田大学から名誉博士号を贈呈された際、カラヤン自らが公開リハーサルで指揮。それ以来、ベルリン・フィルとは、メンバーが同響の定期演奏会に参加する等の交流を結んでいます。DCHには、2009年に続き2度目の登場となりました。

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ティーレマンの《悲愴》!
2012年3月11日

【演奏曲目】
ドビュッシー:夜想曲
メシアン:《ミのための詩》
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調《悲愴》

ソプラノ:ジェーン・アーチボルド
合唱:リアス室内合唱団(合唱指揮:ハンス=クリストフ・ラーデマン)
指揮:クリスティアン・ティーレマン


 3月に連続登場したクリスティアン・ティーレマンの2回目の演奏会です。ティーレマンはワーグナー、シュトラウスなどのスペシャリストとして有名ですが、今回はドビュッシー、メシアン、チャイコフスキーの作品を指揮しています。なかでも注目は、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》でしょう。ベルリン・フィルによる《悲愴》といえば、何と言ってもカラヤンの名解釈が有名です。ティーレマンはカラヤンのアシスタントを務めた経験がありますが、彼がこの大作をダイナミックな息遣いで演奏しています。

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 これからのDCH演奏会

メータがブルックナー「交響曲第8番」を指揮
(日本時間3月18日午前4時)

【演奏曲目】
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(1890年版)

指揮:ズービン・メータ

 当演奏会では、ズービン・メータがブルックナーの交響曲第8番を取り上げます。今シーズン、ベルリン・フィル・デビュー50周年を迎えた彼ですが、この大作でも円熟の名演を聴かせてくれることでしょう。他の同時代人と同様、交響曲第8番の初演(1892年12月)を体験したフーゴー・ヴォルフは、この作品に強い印象を受けました。彼は、「本作は、まさに巨匠の作品であり、その精神的大きさ、内容の豊かさ、偉大さにおいて、彼のどの交響曲にも勝っている」と記しています。

放送日時:3月18日(日)午前4時(日本時間・生中継)

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ベルリン・バロック・ゾリステンの演奏会がDCHで中継!
(日本時間3月22日午前4時)

【演奏曲目】
パーセル:弦楽のための序曲ト長調
ヘンデル:オラトリオ《サムソン》よりアリア
オラトリオ《イェフタ》より抜粋
エイヴィソン:コンチェルト・グロッソ 第7番ト短調(ドメニコ・ スカルラッティ原曲)
ジェミニアーニ:コンチェルト・グロッソホ短調 Op. 3-3

テノール:マーク・パドモア
ベルリン・バロック・ゾリステン
ヴァイオリン&指揮:ベルンハルト・フォルク


 ベルリン・フィルのバロック・アンサンブル、ベルリン・バロック・ゾリステンの演奏会がDCHで中継されることになりました。ソロ・ヴァイオリンと指揮を担当するのは、ベルリン古楽アカデミーのリーダーでバロック・ゾリステンとコラボレーションしているベルンハルト・フォルク。ヘンデルのアリアを歌うのは、英国のテノール、マーク・パドモアです。

放送日時:3月22日(木)午前4時(日本時間・生中継)

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K・ヤルヴィ、ユンゲ・ドイッチェ・フィルが「トゥーランガリラ交響曲」を演奏。無料中継!
(日本時間3月30日午前4時)

【演奏曲目】
メシアン:トゥーランガリラ交響曲

ピアノ:タマラ・ステファノヴィチ
オンド・マルトノ:トーマス・ブロッホ
ユンゲ・ドイッチェ・フィルハーモニー
クリスティアン・ヤルヴィ


 ドイツ・ユース・オケの雄ユンゲ・ドイッチェ・フィルハーモニーが、フィルハーモニーに客演します。ドイツの音楽高校に通う14歳から19歳の青少年が集まり、クリスティアン・ヤルヴィの指揮でメシアン「トゥーランガリラ交響曲」を演奏する予定です。DCHのすべてのユース映像と同様、無料でご覧いただけます。

放送日時:3月30日(金)午前4時(日本時間・生中継)

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 アーティスト・インタビュー

ニコラウス・アーノンクール
「ミサハ長調が忘れ去られているのは、まったく理解できません。この曲と交響曲第5番は、非常に似通っているのです」
聞き手:オラフ・ヴィルヘルマー
(音楽評論家)
(2011年10月29日)

【演奏曲目】
ベートーヴェン:ミサ曲ハ長調
交響曲第5番ハ短調《運命》

独唱:ユリア・クライター、エリーザベト・フォン・マグヌス、ヴェルナー・ギューラ、フローリアン・ベッシュ
ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルシー)
指揮:ニコラウス・アーノンクール


 アーノンクールのインタビューの第3回(最終回)です。ここで彼は、コンサートの前半に演奏された「ミサ曲ハ長調」について語っています。その核心は、この作品が「交響曲第5番」の姉妹と呼ぶべきものであること。共に、同時期のベートーヴェンの内面の葛藤や感情を表現したものであり、両曲の間で異なった現れ方をしているとしています。アーノンクールならではの、エモーショナルな議論ぶりが印象的ですが、その調子は、ベートーヴェンその人とも合い通じると言えるかもしれません。

ヴィルヘルマー 「第1楽章冒頭の動機は、西洋音楽の中で最も有名なモチーフと言えますが、実際の音符はト音ではなく8分休符から始まりますね。この最初の“音”は、どう指揮するのでしょう(笑)」

アーノンクール 「フーッと息を吸い込む、私のブレスですね。次の3音を緊張感に満ちた音調で続けるためには、息を吸い込むことが必要ですから(笑)」

ヴィルヘルマー 「ところで、今回の演奏会の前半で演奏される、ミサ曲ハ長調についてお聞きします。この曲は、交響曲と平行して書かれた作品ですが、そうとは思えないくらい、音楽的には全くかけ離れていますね。なぜ《運命》だけが有名になり、ミサ曲の方は忘れ去られてしまったのでしょうか」

アーノンクール 「それは、まったく理解できません。多くの音楽家や音楽愛好家が考える以上に、この2つの作品は、非常に似通っているのです。このミサ曲が、交響曲と一緒に書かれたという事実にもっと注目するべきです。ベートーヴェンの部屋に2つの机が立っている情景を想像してください。片方の机にはミサ曲、もう片方には交響曲のスコアが置いてあります。例えば、彼は自分の信仰に思いをはせた時には、ミサ曲の机に向かいました。この曲の草稿の端には、非常に多くのコメントが書かれています。それは、ベートーヴェンが自分の信仰、神、宗教について内的な葛藤を持っていたことを伝えています。彼は単に信心深い気持ちでこの曲を書いたのではなく、自分のなかのネガティブな感情と戦いながら、神への思いを綴ったのでした」

ヴィルヘルマー 「それは知りませんでした」

アーノンクール 「一方、政治やその行き詰った状況に対する怒りがこみ上げてきた時には、交響曲第5番の机に向かったのです。つまり彼は、心の激しい移り変わりを、その状況に従って、どちらかの机で、ただちに音楽にすることができたのです。同時期に書かれたもうひとつの作品である《田園》のスコアも、おそらく近くにあったことでしょう。でもそれは、午後の散歩のようなリラックスした気分が訪れた時に書いたのでしょうね」

ヴィルヘルマー 「ミサ曲の温和で叙情的な世界と、交響曲第5番の突き進むような激しい世界を比べた時に、あなたはどちらをより身近に感じますか」

アーノンクール 「(一瞬考えて)いいえ、どちらかを選ぶ、ということは不可能です。感情の爆発のないベートーヴェンを想像することは不可能です。彼は常に限界を越えようとします。実際に限界を越えて、何を達成したかという以上に、“越えようとする意志”そのものが重要なのです。しかしそれと同時に、叙情的で神への深い祈りのないベートーヴェンを想像することも、まったくできません。祈りのなかにある強さは、激情のなかにある強さと実は同じなのです。私にとってベートーヴェンとは、この両方の総体であり、どちらの世界も重要です」

ヴィルヘルマー 「この演奏会が終わった後、オーケストラのメンバーの心に残ってほしいと思うことは何でしょうか」

アーノンクール 「ベルリン・フィルの団員は、ひとりひとりが成熟した、優れた音楽家です。彼らは、極めて優れた、特異な音楽的体験のみに心から満足できます。誰ひとりとしてピアノの一鍵盤ではなく、独立し成熟した個性なのです。しかしそれが、逆に団員にとっては問題となる場合もあります。なぜならば、集団のなかで自己を抑え、周囲に合わせなくてはならないからです。それは、とても難しい。私は、ベルリン・フィルのような偉大なオーケストラのメンバーに賛嘆します。彼らは、自分自身が共感できない解釈であっても受け入れ、2時間の間、全身全霊を掛けて演奏しなければならないからです。もし彼らが、ある演奏会を弾いて、深く感動し、作品や指揮者の解釈に確信を得たならば、その体験はその後の彼らの演奏に、よい影響となってあらわれてくるはずです。私自身がオーケストラで弾いた経験から分かるのですが、何か非常に特別な音楽的経験をしたならば、それは奏者の心に、深く残るのです」

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

トーマス・ヘンゲルブロックが、バイロイトの《タンホイザー》を降板
 トーマス・ヘンゲルブロックが、2012年バイロイト音楽祭の《タンホイザー》の指揮を降板となった。背景は、音楽祭当局との契約をめぐるトラブル。『ターゲスシュピーゲル』紙によると、ヘンゲルブロックは、オーケストラのローテーション問題をめぐって音楽祭と交渉を続けていたが、契約書調印の期限を守ることができず、契約が実現しなかったという。
 なお音楽祭は、今年《さまよえるオランダ人》新演出を指揮するクリスティアン・ティーレマンが《タンホイザー》の指揮も担当すると発表している(写真:© Gunter Glücklich/NDR)。

バイロイト音楽祭のチケット販売がより公正・公平に
 バイロイト音楽祭は、チケットの販売を今後より公正・公平なものにしてゆく意向を発表した。これまで同音楽祭では、全チケットの60パーセントが関係者や音楽祭友の会、各国のワーグナー協会等に優先的に販売されていた。昨年、これが連邦経理管理局より批判され、今後はこれらの優待は35パーセントに限られるという。
 これにより、一般の聴衆がチケットを購入するチャンスは増えるが、いずれにしても数年の待ち時間が必要になる。音楽祭広報部のペーター・エメリッヒによると、「待ち時間は平均的に5年から7年。場合によっては13年ということもある。しかし長さは、どのような切符を求めているかによる」という。

ジョシュア・ベルがツアー中に盗難に遭遇
 ヴァイオリニストのジョシュア・ベルが、ロンドン・フィルとのスペイン・ツアー中に盗難にあった。『ロサンゼルス・タイムズ』紙によると、ベルがサラゴサでコンサートを演奏している最中に、ホテルにベルを名乗る人物が出現。彼はフロントで鍵を受け取っただけでなく、ホテル職員に部屋の金庫まで開けさせたという。主な被害はノート・パソコンと時計の他、現金等。

デッカがユリア・レージネヴァと契約
 デッカが、1989年生まれのロシア人ソプラノ、ユリア・レージネヴァと契約した。レージネヴァは、キリ・テ・カナワがサポートしている若手で、すでにマルク・ミンコフスキとロッシーニのアリア集を録音している。デッカでのファースト・アルバムは、イル・ジャルディーノ・アルモニコとの共演によるバロック・アリア集。2013年には、ヨーロッパをまたぐツアーも行なわれる。

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